小説を書く際に気を付けなくてはならないのは、登場人物の置かれた状況をいかに読者に伝えるかです。
説明不足だと、なにがどうなっているのかわからないし、説明が多いと、うざったく感じられます。
登場人物の置かれた状況をうまく読者に伝えるのは難しいのですが、1つだけコツがあります。
それは5W1Hを念頭に置いて書くということです。
5W1Hとは、英語のWhy、What、Who、Where、Whenのそれぞれの頭文字をとった5Wに、Howの1Hを加えたものです。
簡単に言うと、「誰が」「いつ」「どこで」「なにを」「なぜ」「どうやって」行ったか?を明確に相手に伝えましょうね。ということです。
この5W1Hが不明瞭の場合、意味不明でわかりにくい文章になってしまいます。
そのため、冒頭や場面転換後のシーンでは、「誰が」「いつ」「どこで」「なにを」「なぜ」「どうやって」行ったか? を、すばやく明確に示す必要があります。
「意味不明、わけがわからない」と読者から批評される作品は、たいがいこの基本原則に反してしているのが原因です。
Who | 誰が |
What | 何を |
When | いつ |
Where | どこで |
Why | なぜ(どんな目的で) |
How | どうやって |
物語をわかりやすくするために、5W1Hを意識して小説を書くようにしましょう。
例として、2008年2月刊行のアサウラさんの人気ライトノベル『ベン・トー』 第一巻、第一章の冒頭2行をあげてみます。
一九時四八分、『彼女』は、一軒のスーパーの前に立っていた。
『彼女』は春の夜風に制服のスカートを揺らしつつ、ライトアップされた看板を見上げる。
ベン・トー サバの味噌煮290円
『誰が』、「制服のスカート」という言葉から、学生の少女がここでの主人公であることがわかります。(制服姿で出歩く社会人は、まずほとんどいない)
『何を』、ライトアップされた看板を見上げています。
『いつ』、春の夜のできごとです。
『どこで』、スーパーの前で。
『なぜ』、スーパーに買い物に来たことがわかります。
『どうやって』、立ち止まって風に吹かれながら看板を見上げているところから、なにか普通ではない心境であることが伝わってきます。
このように、たった二行中に登場人物の置かれた状況を過不足無く伝える情報が入っています。
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