ライトノベル作法研究所
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  4. 中二病という蔑称への対処法公開日:2013/08/04

中二病という蔑称への対処法

 主人公が実は異世界の戦士の転生体で、学園に通いながら放課後に悪と戦っていて、超モテモテ! などという設定は、俗に中二病と呼ばれます。
 中学生が妄想しがちな、現実世界のコンプレックスから来る痛い設定という奴です。

 オレは特別! オレは超モテモテ! オレは超強ぇえ! オレは悲しい過去を背負いながら戦っていてカッコイイ! という作者自身を慰撫するための自己満足的な要素が詰まっています。
 このような姿勢が「痛い奴」として嘲笑の対象となるのです。

 しかし、物語というのは、人間の願望を反映したモノであり、中二病的な設定の中にダイヤの原石が含まれているので、一概に馬鹿にはできません。

 ハイカルチャーに属するギリシャ神話やケルト神話などを調べてみても、中二病全開な話がゴロゴロしています。
 主人公が最高神との混血児で、魔物を倒してお姫様と結婚して王様になるとか、魔女から最強の武器をもらって、俺TUEEEE!の大活躍、自分の作った彫像に恋をしたら女神様が彫像を生きた美少女に変えてくれたよヒャッホー! な超絶萌え展開などなど。
 これらの話が廃れずに現代まで語り継がれてきたのは、これらがおもしろくて多くの人の心を掴んだからに他なりません。

 神話が中二病にならないのは、主人公が良かれと思ってやったことが裏目に出て殺されたり、活躍しすぎて恨まれて罠にはめられたり、恋を成就するために弟を殺してバラバラにして海に撒いたりといった、大人好みのヘビーな展開が入っていて、バランスが取れているためだと思われます。
(簡単に言うと、夢だけではなく、現実はすこぶる厳しい的な教訓が入っています)

 中二病作品もバランスが取れさえすれば、名作になる可能性があると言えます。

 また、中二病を馬鹿にする人たちは、自身もかつては、自意識過剰な妄想に掻き立てられた過去を持っているがために、中二病の作者や中二病作品が好きな人を見ると、過去の自分を否定したくて攻撃してしまうのだと考えられます。
 そうでなければ、中二病の特徴などをあげつらって馬鹿にすることなどできません。
 中二病を馬鹿にする人も、実は中二病作品が大好きだったりするのです。
 イヤボーンのヒロインを端から上げていこうぜ、などと持ちかければ、喜んで乗って来てくれるでしょう。

 また、中二病というのは精神的に未熟なオタクがかかる病のようなイメージがありますが、ふつうの大人でも、現実の辛さから逃避するために、おかしな妄想に取り付かれてしまうものです。
 例えば、1999年に人類が滅亡するというノストラダムスの大予言を当時の日本人の多数が信じ、盛んにテレビや書籍などで、ノストラダムスの予言についての分析がされていました。
 キリスト教なども現実には存在しない魔女を恐れるがあまり、魔女狩りという大虐殺をした歴史を持っています。

 人生があまりにも辛く、また退屈であるため、人間は終末予言に魅せられたり、神秘的な宗教思想や魔術の存在に惹かれてしまうものなのです。

「宇宙人なんていねーよ!」
 と常識的なことを言っていたのでは退屈でツマラナイので、
「いや、実は、月は宇宙人が作った超次元航行機能を持った人工天体で、アポロ計画はその調査をするのが目的だったんだよ!」
「な、なんだってー!?」
 という陰謀論をぶち上げて、NASAやアメリカ政府の巨大な陰謀について考えていた方が、世界がバラ色になって楽しいのです。

 人間は多かれ少なかれ、こういった心理を持っているものなので、安心して中二病を極めましょう。

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