ライトノベル作法研究所
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  4. 自意識を捨てよう公開日:2011/12/23

成長するために自意識を捨てよう

 自分は本当はすごいんだ! 賞賛して欲しい! 理解して欲しい! などという自分大好きな自意識は、成長するためにも、成功を維持するためにも、問答無用で捨てるべきです。

 小説を書いて発表していると、思うように評価されなかったり批判されたりすることもあります。
 その際、

「せっかく、オレ(私)が丹精込めて書いた小説を読ませてやっているのに、批判するなんて、なんてヒドイ連中なんだ! お前らにオレ(私)の何がわかるんだよ!?」

 という感じにぶち切れていると、成長できません。
 せっかく自分では気づけない作品の問題点を知る機会を得たのに、それを捨てているからです。
 むしろ、ネット上などで読者に対してこのような態度を取ると……

 いや、別に書いてくれなんて、頼んでないから。
 お前の事なんて理解できないし、するメリットなんか無いから。
 ていうか、もうお前の小説なんて読まないから。
 という反応が返ってきて、読者と信用を失うだけでなんのメリットもありません。

 人間には、自分を価値ある存在だと認めて欲しいと願う「承認欲求」という強烈な本能があるので、油断するとこのような態度を取って、成長の機会と信用を失うという愚を犯します。

 また、このような態度を取り続けると、読者の反感を買って誹謗中傷を呼び込み、「もう小説なんて書かねーよ! みんな嫌いだ!」などと自滅することになります。
 逆に、

「自分の好きで小説を書いているんだから、他人からバカにされようが、石を投げられようが、まあ、しょうがなさ。批判されるってことは、自分に未熟なところがあるってことで、指摘されたところを改善できたら、今よりもっと成長できるだろう」

 という気持ちで創作活動に取り組んでいると、批判されたことによって発生する無用な怒りや苦痛に煩わされることなく、より早いスピードで成長できます。
 ネット上で作品を発表している場合、安心して感想を書き込めるようになるので、固定ファンも付きやすくなります。
 結果、さらに成長の機会を増やし、やる気(欲求)もアップして、高い実績にたどり着きやすくなるのです。

 読者からの批判に感情的になることなく、どうしてこの人は、そのように感じたのだろう? と相手の立場になって考えてみましょう。
 それが、単なる嫉妬やねたみを動機とした攻撃なのか、真実そのように感じて、そのことを伝えてきてくれたのか冷静に判断し、改善できる部分は改善していくことで、成長することができます。
 自分の苦手な部分や、長所と表裏一体になっている短所を指摘されることもあるでしょうが、それによって弱点をどのようにカバーすれば良いのか、自分の作品にはどのような特徴や個性があるのか、考える材料と機会を得ることができます。
 的外れな指摘だと判断すれば、お礼だけ述べて意見は取り入れなければ良いだけです。

 嫉妬やねたみによる誹謗中傷には、敬語やあいさつが無い、小説の中身ではなく人格の批判がされているなどの特徴があるので、経験を積めば一目で見分けて機械的に無視することが可能です。
 また、嫉妬やねたみというのは、それに値する高い能力や実績を持っている人間にしか送られません。
 叩かれるようになってこそ一人前と呼べます。

 このように考え、感情的にならないことを自分に課していれば、読者からの批判に何のダメージも受けないどころか、すべて成長の機会に変えることができます。

 そのために、自分は本当はすごいんだ! 理解してくれない周りの連中が悪いんだ! という自意識やプライドは邪魔になるので、理性で押さえつけて極力排除しましょう。
 感情的になりそうになったら、まず深呼吸……スーハースーハーして、何か別のことに意識を傾けるなどして、やりすごすのです。

 批判してくる相手に対しては、顔の見えないことを逆手に取って、全員ツンデレ美少女だと思い込むのも良いです。
「あんたのことなんて、大嫌いなんだからね!」
「行動を逐一チェックしているのは、別にあんたのことが好きだからじゃないんだからね!」
「あんたの小説をスゴイなんて思っていないんだからね! 新作が出たら、必ず読まないんだからね!」
 このように考えて苦痛から気をそらしましょう。
 ……いや、突っ込まないで下さい。方法は何でも良いです。

 とにかく決して、反論したり、喧嘩して論破してやろうなどと考えてはいけません。
 そんなことをしても、憎悪や被害者意識で頭がいっぱいになるだけで、例え、勝利したところで、あなたの小説の質がアップするわけではないのです。
 いや、それどころか無用な敵を増やして、足を引っ張られるようになるだけです。

 言ってみれば、小説を書くというのはボランティア活動と同じです。
 小説を書いて発表するだけで満足するべきで、それ以上の見返りを求めてはいけません。
 見返りを求めると、それが得られなかった場合、不満や苦痛を覚え、やる気の低下やトラブルに繋がります。

 例えば、ボランティア活動で、「私はみなさんに夢と希望を与えるためにがんばります」という人がいたとします。
 その人が支援者から「いや、あなたのやっていることは的外れで、実はいささか迷惑しています。むしろ、こんな物を用意してもらいたいのだけど……」と要望を受けて、
「せっかく、私がお前らかわいそうな連中に夢と希望を届けようとしているのに、感謝しないどころか批判するなんて、なんて心の醜い奴らなんだ! ……死ね!」
 なんてぶち切れていたら、周りの人はどう思うでしょうか?

 ああ、この人は感謝が欲しくて、自分が価値ある人間だと思われたくてボランティア活動をしているだけで、本当は支援者の事なんてどうでも良い偽善者なんだなぁ、と冷淡な目を向けるでしょう。
 ボランティア活動をする場合は、もっと謙虚になって、自分のしていることが間違いだと気づいたら、支援者の望んでいることををするべきです。
 すると、感謝や賞賛がもらえます。

 オレを凄いやつだと認めてくれ! という感情の押しつけは、他人を利用しているだけで、他人に貢献しているのとは違います。他人の気持ちを考えて、自分の問題点を改善しようと謙虚になれなければ、いつまで経っても成長せず、賞賛などされないのです。

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