ライトノベル作法研究所
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  4. 傑作を書こうとしてはいけない公開日:2014/07/02

初心者は傑作を書こうとしてはいけない

 創作初心者は、おもしろい話を作ろうとしてはいけません。
 最初は、質にこだわらず小説を1作書き上げることを目指すべきです。
 長編小説を2,3作完結できたら、もう作品を書き上げる力はついたので初心者卒業です。次は、おもしろい話を書くことを目指しましょう。

 なぜかというと、1作も書き上げることができていない初心者の段階から、みんながあっ! と驚くような傑作を書こうとすると、1作も書き上げることができなくなるからです。

 アニメ制作会社ガイナックスの初代社長である岡田斗司夫さんは、アニメ制作を目指す以前、SF小説が好きだったので、SF作家になりたかったそうです。20代前半だった彼は、国内で刊行されたSF小説はすべて読破しているほどのマニアだったのですが、おもしろい小説を書いてやろうと意気込んだ結果、アイディアは出てくるのに1作も書き上げることができず、SF作家への道は断念したそうです。
 その後、自主制作映画などの脚本を手がけ、1984年に庵野秀明さん(エヴァンゲリオンの監督)らと共にアニメ制作会社「ガイナックス」を設立し、『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』、ゲーム『プリンセスメーカー』などのヒット作を世に出します。

 これだけのクリエーター集団を率い、ヒット作のアニメ原作も手がけていたのですから、岡田斗司夫さんにもクリエーターとしての才能がまず間違いなくあったのでしょう。
 SF小説を大量に読み込んだ知識と、アニメやゲーム制作の才能があったのにも関わらず、SF作家への道は挫折せざるを得なかった。その原因が、

 最初からおもしろい話を書くことにこだわってしまった結果だと、ニコニコ動画で本人自ら語っています。

 これは実に多くの小説家志望が陥る罠です。昔から、小説家志望は小説を書かないと揶揄されてきました。
 当サイトにも「1作も書き上げられない」「プロットは作れるけれど、本文が書けない」といった悩み相談が数多く寄せられていますが、その原因は、この「最初から傑作を書いてやろうという完璧主義」です。

 まだ傑作を書く力がないのに、傑作を書こうとしたら、途中で挫折するのが必然ですよね。

 初心者の段階では、質は度外視して、まずは1作を書き上げることに集中することが大切なのです。1作書き上げればそれは『実績』になり、その過程で必ず『成長』します。後は、その繰り返しで、試行錯誤を積んで成長していくのです。

 この過程を飛ばして、いきなり高い実績を得ることにこだわると、例え、知識と才能(潜在能力)に恵まれていても挫折することになります。

ティアラミスさんの意見2014/07/06

 こんにちは、ティアラミスですわ。

 初心者が、なぜ、傑作を書こうとしやすいのか?
 私としては、欲求や欲望が多すぎる、現実と向き合えていないの2つが原因のような気がしますわ。

 まず、これは、私も経験がありますが、作家を目指そうとする者は、「皆を驚かせる作品を書きたい」「自分が思い描いた物を描きたい」「自分ならもっと面白い作品を書ける」「自分が気に入らない作品上回るものを書いてやる」「自分ならもっと楽にヒットを生み出せる」「誰にも文句を言わせないものを書いてやる」
 等、頭の中が欲求が、魔女の釜のような状態になっていますの、でも、それを叶えるためには、それに見合った努力と、物事の選択を行って初めて、叶うと考えていますわ。そんな欲求が全ていっぺんに叶うことは、よほどのことない限りありえませんわ。

 そして、現実と向き合えないのは、これは、作品を作り上げた方なら、分かると思いますが、作品一つ作り上げるのに、きちんとした資料集め、読書感想文や、レポートの比にもならない。文章を、整合性を整えながら書き上げるのは、ネットで作品の誹謗中を書くよりも、ウン億倍難しいことで、それらの現実と向き合うのが、嫌だから、何も書かないし、下手すれば、ほかの方の作品を誹謗中傷して、安い自尊心を満たそうとするように思いますの。

 初心者は、傑作を作ろうと無謀な妄想に浸る前に、自分の力量や卑しさという現実に向き合うこと。

 それが、作品を書く第一歩なきがしますわ。
 それでは。

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