ライトノベル作法研究所
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  4. 大手と新興どちらを狙う?公開日:2013/10/23

大手と新興どちらを狙う?

 ラノベ新人賞の最高峰には「電撃小説大賞」があります。
 業界シェアNO1の電撃文庫(アスキー・メディアワークス)が1994年より主催する長編・短編小説の新人賞です。第20回(2012年募集)の応募総数、6554作品という大量の作品が応募されています。
 電撃文庫は書店の棚スペースを大量に確保しており、知名度、実績も抜群なので、ここからデビューできれば、処女作が大量に売れて、一気にメディアミックス、人気作家になれるチャンスがあります。ただし、同じ文庫内には、ラノベ業界に君臨する超天才の作家たちがゴロゴロしているので、文庫内競争が激しく、実績のない新人はなかなか本を出させてもらえない、といった話も聞きます。

 社外競争においては有利でも、社内競争は苛烈で厳しいのです。

 電撃文庫を傘下に持つ角川グループは、他にも富士見ファンタジア、スニーカー、ファミ通、MF文庫J、といった有力なライトノベルレーベルを抱えており、角川傘下のレーベルからデビューできれば、かなり強力なバックアップが得られます。
(このうち、『凉宮ハルヒ』以降、ヒット作に恵まれないスニーカー文庫は衰退傾向にある)

 大手出版社である集英社のスーパーダッシュ文庫、講談社の講談社ラノベ文庫、小学館のガガガ文庫が、角川の次に有力な中堅レーベルとなります。
 これ以外のレーベルは基本的に中小、零細に分類されます。
(大手出版社ではなくともヒット作を抱えているレーベル、例えばGA文庫などもあり、これらも中堅に分類されます。GAはソフトバンクの系列出版社であり、失敗を許容するだけの体力、持久力があります)

 零細レーベルは、知名度、実績が低いので、応募総数も少なく、比較的デビューしやすいと言えます。

 ただし、書店にそもそも本を置いてもらえない、出版社の影響力が小さいのでネットでも認知されにくい、といったデメリットがあります。また、ラノベレーベルは競争がとても厳しいので、新興レーベルは、創刊して2,3年で廃刊の憂き目を見ることも多いです。

 取りあえずプロになりたいのであれば、新興レーベルが主催する新人賞を狙うのが良いです。お抱えの作家が少ないので、大事な戦力として扱ってもらえ、もし本がヒットしたら、レーベルその物を引っ張っていけるダイナミックな成長体験が得られます。
 電撃文庫も1998年に刊行された上遠野浩平の『ブギーポップは笑わない』がシリーズ累計発行部数420万部を超えるヒットとなったのが切っ掛けで、一躍、有名になりました。

 レーベルの知名度、シュアとは、結局、ヒット作をどれだけ抱えていられるか? ヒット作を継続して出せるかに関わっています。おもしろいラノベであれば、知名度の低いレーベルから出されようが、じわじわと売れていき、やがてメディアミックスなどの話が舞い込みます。
 なにより物を言うのは、出版社の知名度、営業力ではなく、作家としての実力なのです。

●大手レーベルの特徴

●新興レーベルの特徴

 本の内容が悪ければ、大手レーベルから出しても売れず、本の内容が良ければ、例え新興レーベルや自費出版でも数十万部を越えるヒット作に化けることがあります。人気ラノベ作家の日日日のデビュー作『ちーちゃんは悠久の向こう』は2005年2月5日に自費出版社の新風舎から出版され、映画化されるほどの人気になっています。
 逆に人気ゲームのノベライズがまったく売れない、といったケースもあります。
 例え、ゲームの知名度が高くても、小説の質が低ければ、読者は買ってくれないのです。2000年代後半から、消費者は企業のブランド力や宣伝に踊らされにくくなっており、結局、質の良いコンテンツを作ることが最良のマーケティングになってきています。

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