峰しずくさん(元編集者、プロライター)の意見、2005年
マンガと違って、小説の場合、「持ち込み」というのはほとんど行われておらず、門前払いを食うことがたいていです。
それでも運とタイミング次第で、持ち込み作品を編集者に見てもらえることもあるでしょう。
僕は持ち込みの経験はありませんが、編集者の経験はありますので、その立場で言うと、
「可能性のある作品ほど、具体的にボロクソに言う」ことになります。
ですから、落ち込んではいけません。賞と違って、作品のどこが良くてどこが悪いのか、批評を受けられるわけですから、この機会を逃してはなりません。
また、作品を書き直してはしつこく持ち込むべきです。
なぜなら、「編集者とのコネクションが出来た」というだけでプロへの第一歩なのですからね。
コネクションは生かさなくてはなりません。
「お預かりさせてください」となった場合は、その後、適当なタイミングを見計らって「どうなりましたか?」と問い合わせをしてみましょう。
放っておくと忘れ去られてしまう場合があります。
新人賞のように「発表は○月○日発売の○月号で」などと、スケジュールが約束されてるわけじゃありませんからね。
突き返された作品を他の出版社に持ち込むのは自由です。
実際に、ある出版社では見向きもされなかった作品が、他社で評価されてベストセラーになったという逸話は、いくつかあります。
編集者と言っても神様ではないので、突出した才能は見抜けない場合があるのです。
ただ、同時に同じ作品を別の出版社に持ち込んではいけません。
それが発覚した場合、ルール違反として、せっかくうまくいきかけていた話が没になることがあります。
なお、出版社(ほとんどの場合が東京)へ出向くだけの時間や費用が無い場合は、郵送でもかまいません。しかし、
本人が直接出向くのに比べて成功率は下がるでしょう。
小説家志望者はこの世に掃いて捨てるほどいて、編集者の机の上には、持ち込まれた原稿が山積みになっているのです。
むごいようですが、これは時に何ヶ月、ときに半年、ときに永遠に読まれないままゴミ箱行きとなる場合があります。
これを防ぐ手だてとして有効なのは、反則技ですがコネを使うという手です。
誰か親類や知り合いに出版関係者がいれば、その人に頼んで、編集者に原稿を読んでもらうことができます。
ただし、コネやツテを頼みの綱にしている人間も想像以上にいるので、この方法は成功の可能性を高める一手段くらいに考えた方がいいでしょう。
ライトノベルレーベルの中で、新人賞を開催しないで持ち込みでの原稿応募を受け付けているところとして、PHP研究所のスマッシュ文庫がありました。(2014年2月で受付を終了しています)
原稿を郵送で送り、審査の結果、採用の見込みのある場合のみ、原稿を受け付けた日より4カ月以内に、連絡が来るという仕組みです。
当サイトには、実際にスマッシュ文庫からデビューしたうれま庄司さんのインタビュー記事を掲載しています。
また完璧なフィクションですが、電撃文庫の人気作『俺の妹がこんなに可愛いわけがない3巻』(2009/4/10刊行)で、主人公がヒロインと一緒にメディアスキー・ワークス第二編集部、電撃文庫編集課という架空の出版社の部署にラノベ原稿を持ち込みに行き、編集者にボロクソに批評される、といったエピソードが出て来ます。
(作中では、コネを利用して編集部に持ち込みをしており、本来、素人の持ち込みは受け付けていないそうです。ライトノベル作家くしまちみなとさんによると、プロ作家または、実績のあるゲームシナリオライターからの持ち込みは受け付けているようです。)
たぶん、著者の伏見つかささんもこのような経験をお持ちなのでしょう。持ち込みの雰囲気を味わいたい人は、一読されると良いと思います。ラノベ作家志望が読むと、結構グサグサ来ます。
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