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  5. シンデレラの沈黙公開日:2013年02月11日

シンデレラの沈黙

おちゃさん著作

 憎くて。憎くて。憎くて。憎い。
 私は、義妹(いもうと)エラが憎い。

 エラが憎くて仕方ない。あの子のすべてが許せない。
 瑠璃色(ラピスラズリ)の大きな瞳が。蜂蜜色につやめく髪が。
 小鳥のように可憐な声と、バラの花弁に似たくちびる。
 神さまから与えられたとしか思えないあの美しさ。あの子が笑うと、太陽の香りがする。――だから嫌い。
 持って生まれたあの美しさがあったからこそ、あの子はあんなに無邪気に笑うのだろう。大した努力をしなくても、美しいというだけで他人から愛される。だからあの子は、他人を疑うことを知らない。――フン、ふざけた子。あんな子、いらない。
 エラを思うと、黒い炎がふつふつ沸き立つ。だから私は、エラを虐める。
 子供の頃から仲良し姉妹を装って、義父と母の目を盗んではエラに嫌がらせを続けていた。あの子の持ち物を奪い、汚い言葉で罵った。それでもエラは笑顔を失わなかった。まるで無垢な仔犬みたいに、私を“慕って”近づいてくる。それが余計に私の嫌悪を掻き立てた。
 時が流れて義父が死に、そして去年は母が死に。屋敷と財産が私とエラに遺された。エラの物は何でも奪う。だから私は、遺産を自分ひとりの物にした。
 “優しい”エラは、されるがままだ。私はエラを使用人以上に働かせ、一番狭くて汚い部屋に住まわせた。灰まみれになって働くエラのことを、私は“Cinder(灰まみれの)-ella(エラ):シンデレラ”と呼んであざけった。
 その時のエラの顔ときたら。本当に愉快だった! どんなときも涙を見せようとしなかったあの子が、初めて見せた涙だったんだから!
 バラ色の唇を青ざめさせて、大きな瞳に涙を溜めて床磨きを続けるシンデレラを見下ろすうちに、胸に巣食った黒い炎がますます大きくなるのが分かった。
 私を焦がす、私の炎。シンデレラを踏みにじるたび、私は満たされていく。内から痺れさせるような快感が、得体の知れない衝動を呼ぶ。
 私には分かる――これはすべての動物が備え持つ、正しい衝動なんだと。猫がネズミを捕るように、いつでも強者は弱者から奪う。私は間違ってなんかない。

 私はシンデレラの姉。
 だから。あの子のすべてを、私が奪う。

        ◇ ◇ ◇

 教会の鐘の音が、朝の七時を告げていた。
 二月の朝はとても冷える。朝の冷気が屋敷の中まで入り込み、私の吐息は白く色づいていた。暖炉の炎があるものの、窓辺はひどく寒かった。
 足先がじんじん痺れて痛むのは、寒さのせいでもあるのだろう。不愉快な痛みに眉をしかめながら、私は窓辺の椅子に腰かけて外の景色を見つめていた。
 窓枠に切り出された四角い景色は、舞い散る雪に白く染まっていた。真下に視線を下ろして中庭を見つめた。そこからゆっくりと視線を上げていくと、この屋敷を取り囲む木立が見え、屋敷の敷地の外に立ち並ぶ木組みの家々が視界に入る。さらに遠くを見る。教会の鐘塔が遠くたたずみ、そのまた遥か彼方には、かすみがかって王城の尖塔がそびえていた。変わり映えのない、いつもの景色だ。
 いつも通りの朝。変わり映えない平凡な朝。しかし私には、今日こそは“それ”が訪れるという予感のようなものがあった。
 そのとき。
「お嬢さまッ! ドリゼラお嬢さま!」
 窓の外から呼ばれた気がしてふたたび視線を下すと、中庭を走る下男の姿が映りこんだ。小太りな体を大きく上下させて、屋敷に向かってあわただしく駆けてくる。
「ドリゼラお嬢さまぁあ!」
 二階の窓の内側にいる私には、実際には下男の声など届いていない。それでも彼が私の名を呼んでいるのが分かった。そして彼が握りしめている手紙の内容もまた、推測するのは簡単だった。
 ――やっと来たのね!
 待ちわびていた“そのとき”が、ついに訪れたのだ。内心の昂揚を押し隠し、私は平静を装うことにした。
 扉がバタンと開かれて、階段を駆け上がる足音がどんどん大きくなっていった。
「ド、ドリゼラお嬢さまぁ!」
 下男の野太い声が、ようやく私の背後で響いた。
「騒々しいわ。なにごとかしら?」
 椅子に腰掛けていた私は、ふり返りもせず静かに言った。下男は私に手紙を差し出し、早口でまくしたてた。
「お城からの伝令が来ましたぁ! 今日の昼にお城から、大公閣下が来るんですっ、ガラスの靴を持って!!」
 ほらね。やっぱり予想通りの内容だ。
 差しだされた手紙の封を切りながら、そっけなく答えてみせる。
「あら、そう? 王さまは、まだガラスの靴で“娘”を探し続けているの? じゃあ、“舞踏会で王子に求愛された娘”は、まだ見つかってないということね」
「そのようです」
 手紙には、こんなことが書かれていた。

************************************
 一週間前の舞踏会で姿を消した、ある娘の行方を捜している。
 手がかりは、彼女の履いていたガラスの靴の片割れのみである。
 国王陛下の勅命により、娘の捜索が行われることとなった。
 残されたガラスの靴を国中の娘に履かせて合致するか調べて回る。
 王国中の未婚の娘は、これに協力すること。
************************************

 その捜索が今日の昼、私の屋敷にも回ってくるというのだ。一週間ずっと待っていた私の番が、ようやく来た。
「……わかったわ。私は身支度をしなければ。お前は屋敷の床を磨きなおして、大公閣下に粗相のないよう努めなさい」
「はい、ドリゼラお嬢様」
 部屋から出ようとした下男は、ためらいがちに私をふり返った。
「お嬢様、……ひとつ、聞いてもいいですか」
「なにかしら?」
「大公さまがお屋敷に来たら、エラお嬢様も部屋からお出ししたほうが良いんじゃありませんかね。だって王さまの命令では、国中のすべての娘に――」
 おずおずと上目づかいに提案してきた下男の顔が、次の瞬間凍りついた。
「なんですって?」
「ひッ――」
 私の眉は吊り上がっていたに違いない。
「どうして舞踏会に行ってもいないシンデレラに、ガラスの靴を試させる必要があるの!?」
 私の声はどんどん鋭くなっていった。
「あの子を閉じ込めているのは、それなりの理由があるからよ。お前なんかに理解できるわけがない!」
「す、すみませ」 
「言っておくけれど、シンデレラの部屋の鍵を絶対に開けるんじゃあないわよ。もしも勝手にそんなマネをしたら、私はお前を――」
「し、しませんって、そんなこと! ドリゼラお嬢様のご命令を無視して、勝手になんて」
「なら無駄口たたかないで支度なさい! お前みたいな役立たずは、屋敷から追い出してやってもいいのよ!?」
「は、はいっ。すみませんでした!」
 下男は冷や汗を散らして、逃げ出すように階下に消えていった。
 バタバタバタと小さくなっていく足音を聞きながら、私は苛立ち混じりの息を吐いた。

 これは私しか知らない秘密。
 王さまが捜し続ける“娘”の正体は、私の義妹・シンデレラなのだ――

 王子の結婚相手を決めるための舞踏会が開かれたのは、一週間前のことだった。国中から年頃の娘を集めて開かれたその舞踏会で、どこからともなく現れた美しい娘が王子の心を射止めた。「妃になるのはあの娘」。あきらめ交じりの溜息とともに、皆がふたりの華麗な舞踏を見つめていた。
 だけれど娘は、十二時の鐘とともに王子の前から逃げ出したのだ。引きとめようとする王子の腕を拒み、王さまの命令で放たれた騎兵の追跡さえもかいくぐって、かすみのように消えてしまった。娘の正体を誰も知らず、手がかりは城の大階段に落ちていた片方のガラスの靴だけ。だから王さまは、靴を手がかりにして娘探しに躍起になっている。
 舌打ちして、私は小さくつぶやいた。
「忌々しい子。……いったいどんな細工を使ったのかしら」
 純白のドレスやガラスの靴は、いつどこで手に入れたの? あの子にはドレスも靴もないはずなのに。朝から晩まで仕事をさせて、用意の時間なんて与えなかった、それなのに。あの子は誰より美しい姿で、舞踏会に現れた。
 あまりの見違えように、“娘”の正体がシンデレラだなんて、私でも気づけなかった――舞踏会の翌日に、シンデレラがガラスの靴の片割れを愛おしげに眺めているのを見つけるまでは。……バカな子。もし私があの子の立場なら、絶対にガラスの靴を私の目に触れる場所なんかで見つめたりはしないのに。
 シンデレラからガラスの靴を取り上げて「なぜあんたがこんなものを持ってるの」と問いつめたけれど、あの子は真実を明かさなかった。頑なに、子供じみたウソを吐き続けたのだ。
『舞踏会の夜に、魔法使いが現れた』
『魔法使いは、ドレスと靴とカボチャの馬車を魔法で作ってくれた』
『けれども魔法は十二時で解けてしまうから、その直前に城から逃げ出してきた』
 バカな話を! いくら怒鳴りたてても、シンデレラはそれ以上なにも語らなかった。それでもあの子が王子をとりこにしたのは事実だ。
「まぁ、いいわ。どうせお義父さまの遺産を隠し持っていたんでしょ」
 ひとりごとを呟きながら、私は自分の足に視線を落とした。思わず、口元に笑みが浮かぶ。
 ――そうよ。私の足は、あの子のガラスの靴を履く。
 憎らしくて仕方ないあの子だけれど。今回だけは感謝しなければ。あの子が引き寄せてきた栄光を私が掴み取るのだから。
 私はあの子の靴を履き、妃になってこの国一番の幸せを掴み取るの。
 色鮮やかな未来がまぶたの裏で像を結び、痺れるような快感が脳髄からつま先まで浸透していった。静かな昂揚に浸りながら、私は城からの使者がガラスの靴を持ってくるのを待ち続けていた。

   ◆

「ドリゼラお嬢様! お、おぉお城の方々がご到着ですッ」

 落ち着きを欠いた下男の声が響き、扉が大きく開け放たれる。屋敷の入り口から二部屋先にある大広間に、二十人近い行列が入ってきた。
 その大広間の一角で椅子に腰かけていた私は、ゆったりと立ちあがって笑みを刻んだ。
「まぁ。これはこれは大公さま。このように小さな屋敷にまでお立ち寄りくださいまして、誠にありがとうございます」
 行列の先頭にいるのが大公閣下に違いない。目の覚めるようなロイヤルブルーの衣に身を包み、肩と胸に勲章を飾った壮年紳士だ。片眼鏡の底から、落ち着き払った瞳でこちらを見つめている。
 淑女らしい笑みを浮かべ、優雅に一礼。行列の面々に向かって、私は為しうる限りに穏やかな表情を作ってみせた。
 大公の後ろに続くのは、分厚い本を抱えた二人の従者と、剣を携えた十五人の騎士。――でも、ガラスの靴は誰が持っているのかしら?
 大公閣下がおもむろに口を開いた。
「……まだ若いが、そなたがトレメイン家の家長ドリゼラ=トレメイン嬢か?」
「えぇ。父は三年前に、母は一年前に天に召されました。以来わたくしがこの家を治めております」
 二人の従者が手に持つ本は、たぶん戸籍帳か何かだろう。ぱらぱらとページをめくり、片方の従者が大公に差しだした。大公はページに視線を落としてから広間を見渡し、怪訝な顔で私を見つめた。
「ふむ。この家にはあとひとり、娘がいるはずだが? 姿が見えんな」
「妹のエラのことでしょうか」
 悲しげな表情を作り、私は言葉を継いだ。
「妹はもうずいぶんと長いこと、病を患っております」
 うつむいて、まつげを伏せてみせる――演技は得意だ。
「他人に感染(うつ)る病です。高熱とともに四肢が衰え、体のいたるところに醜い発疹ができます……。だから先日の舞踏会にも参ることができませんでした」
 短い沈黙を作り出し、それからふと顔を上げる。私はまっすぐに大公を見つめた。
「妹は今、自分の部屋で療養しております。大公閣下に病を感染(うつ)すわけには参りません。本人も『謁見はお許しいただきたい』と申しております」
 どうか非礼をお許しください。と、私は言葉を結んだ。
「ふむ。病か。それなら仕方あるまい」
 大公が私を疑うそぶりはない。手元の戸籍帳をぱたんと閉じて、そば控えの従者に返した。
 ――ふふ。うまくいったわ。
 胸の底で湧き上がる笑みを噛み殺しながら、私は大公の配慮に感謝を示すそぶりで深く頭を下げた。
「ではさっそく本題に入らせてもらう。ガラスの靴をこれに!」
 朗々とした声で、大公が命じる。手前の部屋で控えていたらしい従者が、護衛の騎士に付き添われてしずしずと入室してきた。従者が掲げるベルベッド織りのクッションの上には、小さいガラスの靴が乗っていた。“たった一つの手掛かり”であるその靴を、細心の注意を払って扱っているらしい。 
 ガラスの靴を預かる従者は、大広間に入った途端にすぐ立ち止まり、ひざまずいた。騎士がすぐさまその傍らに椅子を用意する。ガラスの靴を割らないように、移動の距離を最小限にしたいのだろう。
 大公も大広間の入り口へと歩き、ガラスの靴の傍らに立って私に声をかけた。
「ドリゼラ嬢。こちらへ」
 わたしの立つ場所から、ガラスの靴まで二十数歩の距離だ。
「はい」
 穏やかな顔を作りながら、私は胸の中で毒づいていた。
 ――チッ。私を歩かせるつもりなの?
 いつもならば気に留めることもない、ほんの二十数歩。けれども今の私にとってその距離は大きいものだった。
 舌打ちを心の中に押しとどめ、私は笑顔を浮かべて一歩を踏み出した。

 稲妻に打たれるような痛みが、足先を襲ったのはそのときだ。

(ひッ――)
 思わずこぼれそうになった声なき悲鳴を飲み込んで、顔面に張り付けた笑顔を懸命に保つ。
 痛い。
 覚悟していた痛みだけれど、ビリビリと爪先に走るそれは鋭い。切り刻まれるような激痛――いや、『ような』じゃあない。これはまさに、切り刻まれた足の声なき悲鳴なのだから。
 私の足は、シンデレラの足よりも縦に長い。
 だから私はシンデレラから奪ったガラスの靴に合わせて、外科医に私の足の骨を削らせたのだ。ケシの麻酔薬を渡されているから、痛みはこれでもずいぶんと軽くなっているはずだった。
 舞踏会の翌日にガラスの靴を手に入れた私は、すぐに外科医を呼びつけた――靴に合わせて骨を削ぐ手術をさせて、手術痕を残さないよう皮膚を縫わせたのだ。いまの私の足は、シンデレラと同じ大きさ。だから私は、絶対ガラスの靴を履ける。
 医者は、一か月は痛みが残ると言っていた。手術直後に比べれば痛みはずいぶん引いていたし、動かなければ痛みで顔色が変わることもなくなっていた。だけどやっぱり……歩くと激痛が走る。
(ぅッ!)
 いくら薬を飲んでいたって、痛みが無くなるわけじゃない。歩くたびに両足が悲鳴をあげた。意志と裏腹、膝から崩れそうになる。でも、こんなところでボロを出すわけにいかなかった。
 頭がおかしくなりそうだった。
(負けるか……)
 淑女は優雅に一歩ずつ歩く。だから歩みの遅さで疑われることはない。顔に出さなければ大丈夫。歯を食いしばるな。目を剥くな。
(クソっ!)
 負けるな。掴み取れ。意志の力が、何よりの麻酔だ。そう、一歩進めば、勝利が近づいてくる。
 負けたくない。負けたくない。負けたくない……シンデレラなんかに!
 シンデレラの名が脳裏によぎったそのとき、痛みが一瞬消えうせた。
(……シンデレラ)
 そうよ。私はシンデレラからこの栄光を奪い取って、この国で一番幸せな女になるの。
 ガラスの靴を履いて、王子の妃になる私。そんな私を物陰から見て悔し泣きをするシンデレラ。あぁ、なんて快感なのかしら!
 どう? シンデレラ。悔しいでしょう? あんただって本当は、ただ優しいだけの小娘なんかじゃないんじゃないの? そうよ、あんた、わざとガラスの靴をお城に置いてきたんでしょ! わざと手がかりを残して、王子に見つけてもらいたかったんでしょう? あんただって、あたしと同じよ……ずる賢くて、性根の卑しい女なんでしょ?
 でもあたしは、あんたとは違うわ。ただ美人なだけのあんたとは違って、たとえ神さまに与えられていなくたって自力ですべてを掴み取れるのよ。
(あんたと暮らす不愉快な日々も、これで終わりよ!)
 激痛が、いつの間にか快感へと姿を変え始めた。一歩。一歩。靴音を響かせるたび、痛みという名の快感が駆け抜ける。
(そうだわ。あたしは、やっとシンデレラから解放されるの。あの子が私に苦しめられてきたのと同じくらい、あたしだってあの子に苦しめられてきたんだから)
 初めて出会ったその瞬間から、あたしはあの子が嫌いだった。あの子と一緒にいると、自分がみじめになるんだもの。だって、そうでしょ? あの子はあんなにかわいくて、あたしはこんなに醜いのよ?
 子供の頃から、シンデレラはまるでお人形みたいにかわいかった。小柄な体に澄んだ声、輝く金髪、青い瞳。
 比べてあたしは大柄で、鉄さびみたいな赤い髪。赤茶の瞳も、高すぎる鼻も、そばかすだらけの顔も嫌い。シンデレラと姉妹だなんて、そんなの耐えられなかった。
 お母さまに、一度だけ言ったことがある。「あたしも、あの子みたいに美人に生まれたかった」って。
 でもお母様は笑ってた。「貴女もとてもきれいよ。それにまっすぐで、優しくて、私の自慢の娘だわ」って。
 お母さまの目は節穴だった。あたしはきれいじゃないし、優しくもない。お母さまの見てない場所で、あの子をたくさん虐めてたんだもの。お母さまは、血のつながらないシンデレラをあたしと同じようにかわいがった。それが許せなかった。
(……そうよ。シンデレラ。認めるわ。あたしは、あんたがうらやましかった)
 あたしがいくら虐めても、あんたはあたしを好きでいようとし続けた。あんたは美人で、いつもキラキラしてた。だから余計に、あたしは自分がみじめになった。何もかも、あんたに勝てないから。
(だからもう、終わりにしましょう?)
 あたしは、あんたの近くにいてはいけないの。あんたの顔を見ると、虐めずにはいられなくなってしまうから。あんたの物をすべて奪おうとしてしまうから。
(だから、これで最後にさせて? ガラスの靴を、あたしにちょうだい? そしたら、あたしは二度とあんたの前には現れないから)
 現実に意識を戻す。ガラスの靴は目の前だった。
「失礼いたします」
 大公閣下の勧める椅子に、私はゆっくり腰かけた。
「ドリゼラ嬢、顔色が優れぬようだが?」
「あら、お恥ずかしいですわ。緊張しておりますの」
 うそぶいて、淑女の笑みで大公に答えた。
 身をかがめ、履いていた革の靴をゆったりと脱ぐ。右足があらわになった。でも大丈夫、手術の痕がバレないように、化粧(おしろい)をしっかり塗り重ねてある。
 差し出されたガラスの靴を、私は静かに手に取った。ひんやり冷たいガラスの感触。私はそれに、右足を滑り込ませた。

 ぴたり。
 痛みで火照った右足が、吸い込まれるようにガラスの靴に収まった。

「おぉ……!」従者と騎士が、口々に声を漏らした。
「ど、どどど、ドリゼラお嬢様が、靴を!?」下男が声を裏返らせる。
 ついに訪れたこの瞬間。私に浮かんだ安堵の笑みは、心からの表情だった。
「大公さま。このガラスの靴は、わたくしの物でございます」
 快感だ。今までの痛みや苦しみや劣等感が、すべて流れて消えていく。ガラスの冷たさが、本当に心地よかった。シンデレラの靴は、ぴったりすぎるほどにぴったりだった。
 シンデレラに合わせて作られたはずのその靴に、あたしは自分を削り合わせた。なんという皮肉だろう。でも、もうどうでもいいわ。ようやくあたしは勝ったのだ。シンデレラに勝った。えこ贔屓な神さまに勝った。自らの執念で、あたしは勝利を手に入れた。
「……本当に、この靴は君の物なのかね?」
 快感でとろけそうになっていた私の斜め上から、壮年の声が降ってきた。顔を上げると、眉を寄せた大公閣下が私を見下ろしていた。
 ――疑われている?
「えぇ。間違いありませんわ。舞踏会の夜、お城の大階段で右の靴を落としてきてしまいましたの」
「ほぅ」
 大公はいぶかしげな表情を浮かべたままだ。足のサイズが偶然一致しただけでは、まだダメだと言いたいのだろうか? ずっと、靴だけで娘探しを続けていたクセに。
 チッ。舌打ちしたくなるのをこらえ、私は悲しげに笑ってみせた。
「大公さま。わたくしをお疑いなのですね……」
 黙したままの大公を見上げてから、私は部屋の端で控えていた下男をふり返った。
「お前。わたくしの部屋から、あの箱を持って来なさい」
 あらかじめ下男に指示しておいた内容だった。
「は、はいっ。ドリゼラお嬢さまっ!」
 下男はバタバタと退室し、指示した箱を持って戻ってきた。
 壁面に色とりどりの宝石が散りばめられたその箱は、お母さまの形見だ。手のひら三枚分くらいの底面積で、両手で持つとずっしりと重みがある。椅子に腰かけて箱のカギを開けながら、私は穏やかに言った。
「大公さま。これをご覧くださいませ」
 箱の中で、もう片方のガラスの靴が輝いていた。
「これは――!」
「えぇ。左の靴でございます」
 シンデレラから取り上げた、ガラスの靴の片割れだ。それを愛おしげに取り出して、私は静かに問いかけた。
「信じていただけたでしょうか。大公さま?」
 周囲は静まり返っていた。
 最高の気分だ。体の内側からとろけるような快感に身を任せていた次の瞬間――

 私の腕には、縄が掛けられていた。

「……え?」
 なにが起きたか分からない。
「ど、どういうことです……」
「トレメイン家令嬢、ドリゼラ=トレメイン。そなたを不敬罪で連行する」
 大公が、冷ややかな眼差しで私を見下ろしていた。騎士たちが剣を構えて私を取り囲んでいる。
「……不敬罪?」
 耳慣れない言葉を反芻すると、
「そなたは舞踏会の夜、無礼にも王子殿下の求婚を拒み、国王陛下のご意向に背いて城から逃亡した。その罪、万死に値する!!」
 罪、ですって?
「我らは国王陛下のご勅命で、舞踏会の娘を捜し続けていたのだ――連れていけ!」
 縄を無理やり引っ張られ、私は強引に立ち上がらされた。
「きゃあ……待って! 待ってよ!!」
 そんな……そんなはずじゃあ……。ガラスの靴の娘は城に迎えられて、王子の求愛どおり妃になれるんだとばかり思っていた。なのに……まさか、大罪人だなんて!
「違う! わたし、違――」
「そなたが隠しておったもう片方のガラスの靴が、動かぬ証拠だ! 観念せよ」
 痛い! ガラスの靴に合わせて切り刻んだ両足が、悲鳴を上げた。膝を折ってうずくまった私を、騎士たちが容赦なく引きずっていく。
「待って……誤解よ! やめてっ、やめ――」
 屋敷から中庭まで引きずり出された私の瞳に、二階の窓辺が移り込んだ。

 ……シンデレラ!

 自室の窓からこちらを静かに見下ろしていたのは、シンデレラだった。
 瑠璃色(ラピスラズリ)の瞳を真冬の空より冷たく染めて。ただただ私を見下ろしていた。
 美しすぎる彫像のような、その美貌。バラ色の唇はまるで復讐を成し遂げた者のように、冷やかな笑みを刻んでいた――

作者コメント

 グリムとペローの童話『シンデレラ』をベースにして、シンデレラの義姉の一人称で書いてみました。ほわほゎなストーリーではないです。こういうストーリーを書くのは初めてですが、良かったらアドバイスお願いします。

2013.2.16
 新田さまにご指摘いただいた単語の矛盾に気づき、訂正いたしました。
 みなさまのご指導に関しては、文章の推敲も兼ねて、いったん時間を置いてから活かさせていただきたいと思います。

 お気づきの点あれば、どうかお聞かせください(^^)

小説家になろう「シンデレラの沈黙」
おちゃっぱガーデン「シンデレラの沈黙」

2013年02月11日(月)16時55分 公開

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感想

本気と書いてマジさんの意見 +40点2013年02月11日

 おちゃ先生、こんばんは。いつもお世話になっておりますチガイです。

 先生の御作を拝読いたしましたので感想を書かせていただきます。
 浅学非才の身の小生の言う事ですので、不勉強な点も多々あると思います。
 作者先生の方で取捨選択の程、よろしくお願いいたします。

# ※以下、ネタバレ注意
# 一読者として

 やばいっす。これ面白かった。黒い主人公、イイ!

# 良かった所

 ・一人称、見習いたいです。美しい義妹への嫉妬と憎しみという、主人公の思いが良く伝わってきました。
 ・相変わらず、文章はステキです。「瑠璃色(ラピスラズリ)の大きな瞳」「蜂蜜色のつやめく髪」とか土下座したくなります。
 ・こういうダークファンタジーの雰囲気は本当に上手です。見習いたい。
 ・勧善懲悪のオチに、そう来ましたかって感じでした。まいりました。

# 総括

 いやもう、久しぶりに指摘する点が思い付かない作品でした。参りました。
 シンデレラの二次創作として、同じ様に義姉視点の作品(プロ)を読んだことがあるんですが、それより小生的には面白かったですね~。
  cf. ジャン・ストラザー著「みにくい妹」ハヤカワ文庫「冷たい方程式」収録
 先生の背中を追う小生としては「ああ、引き離された~」って思いました。
 次回作を楽しみに待たせていただきます。

 本感想については「こんな風に感じる人もいるんだ」程度でお願いします。
 以上です。今後とも先生の執筆が順調でありますよう祈念いたします。執筆、お疲れ様でした

よろず屋さんの意見 +30点2013年02月11日

はじめまして。よろず屋と申します。拝読させていただきましたので、感想を。

すごく面白いです。
タイトルに惹かれてクリックしてみたのですが、想像以上の出来に驚かされました。主人公がシンデレラの姉という設定も斬新ですし、最後のどんでん返しも予想外でした。捻くれ者の私としては、「まぁ冷静になってみると、そういうオチも思いつかないわけではないよなぁ」とか思ってしまうわけですが、そんな考えに至る余裕もないほど、読んでいる最中は物語に引き込まれてしまいました。
サイズを合わせるために足を切断する、というのも主人公の狂気というか、必死さが伝わってきて良かったです。

指摘する点ですか……。強いて言うなら、

>ド、ドリゼラお嬢さまぁ!
>ど、どどど、ドリゼラお嬢様が、靴を!?

このどもるところ。文法的に、どちらかに統一した方が良いのではないでしょうか。ただ>ド、ドドド、とすると逆に違和感あるような気もしますね……
すいません。あまり気にしないでください。

あと、――と( )の使い分けの基準がよくわかりませんでした。
印象としては、――が前半。( )が中盤に使われているようでしたが、どういう意図なんでしょう? なんとなく気になりました。

以上です。
このサイトを利用し始めて一週間も経っていませんが、今のところ拝読させていただいた作品の中では一番の出来でした。あくまで個人的な意見ですが……

おちゃさんのようなレベルの高い方にぜひ作品の批評をいただきたいです。あ、今のはひとりごとです。気にしないでください。

それでは次回の作品を楽しみにしております。感想失礼いたしました。

ゆうのさんの意見 +20点2013年02月11日

× =絶対に書きなおした方がいい
△ =書きなおしを推奨するが、絶対ではない
○ =絶対書きなおさないでほしい
◎=最高(^q^)
□ =補足、もしくは前提の確認
小説の新人賞受賞を本格的に目指す人の為に、
99%面白い作品でも1%の悪い部分を指摘し、改善代案を(→マークで)提示することに努めます。
───────────

△ 色鮮やかな未来がまぶたの裏で像を結び、痺れるような快感が脳髄からつま先まで浸透していった。
 →色鮮やかな未来が想像の中に像を結び、痺れるような快感が頭からつま先まで浸透していった。
 視覚情報が眼球中に結ばれた像であることも、脳髄という器官の存在も、明らかとなったのはかなり最近の出来事。
 それこそ一般認知されたのはバターフィールド科学革命以降の出来事だと考えられているので、
 これらの言葉自体がこの作品の時代設定に向きません。(オリジナルのシンデレラと同じと見るなら)
 またハイファンタジーである本作の中で、2013年現在の現実と地続きになっているような言葉の比喩は読者の物語への移入を妨げます。
 (もしどうしても使いたいなら、エラの姉自身が医学にかなり通じているという設定をつけておけば自然。
 そうすると後の、足のサイズを変えたいなら手術で削ればいいという発想にも無理がなくなる)

 要するに、
 ・「恐竜の足音は、まるでミサイルが着弾したかのような轟音を立て、地表面をも響かせた」
 ↑恐竜がいる時代にミサイルがないからこの比喩は× (ジュラシックパーク的な設定ならok)
 ・「京都からの饗応が勅使院使の行く先のインテリアを飾る最中、播州赤穂五万三千石の殿「浅野内匠頭」が、儀式儀礼の指南役であった吉良上野介を切った」
 ↑この時代に「インテリア」という言葉はないからこの表現は×
 ・「痺れるような快感が脳髄からつま先まで浸透していった」
 ↑この時代に「脳髄」の存在は一般に認知されていないだろうから表現として×
  つか、超ファンタジーな話で突然こんなノンフィクション的な比喩出されたらなんか夢がなくなってしまう

 ってんで改善推奨。


△ 稲妻に打たれるような痛みが、足先を襲ったのはそのときだ。
 →稲妻に打たれるような痛みが足先を襲ったのは、ガラスの靴へ向かって一歩踏み出したときだ。
 物語がしっかりと出来あがっているので、すんなりと入ってくる文章に読者はぱっぱっと読み進めてしまいます。
 なので、出来れば「そのとき」や「その~」系の指示語は避けて、指示語の指す内容をしっかりと書いた方がいい。
 特にこういう重要な場面の入口では、「そのとき」という言葉を使うと読者によっては「そのとき」の内容を誤解した状態で読み進めてしまう。
 (本作品では「ガラスの靴」が出て来ながら、痛がっているのは「ガラスの靴をはく前」という、少し分かりにくい状況が発生している分尚更)
 (「ガラスの靴へ向かって一歩踏み出したとき」という表現に書きなおすと前文の「私は笑顔を浮かべて一歩を踏み出した」とかぶる為、
 前の文は「私は笑顔を浮かべた」に変更推奨) 


総合
・脚本から言わせてもらうと、悔しいが素晴らしい。この一言。
 最近似たようなやり方の作品を見ました。
 「剛田」という人物がまあ色々暴力的な事件を起こすのですが、警察がどうしても捕まえられない。
 その捕まえられなかった理由が、実は「剛田」が可愛らしい女性だったから、というものです。
 (一般に流通している小説ではないのでネタバレにはならんと思います)
 剛田=ジャイアン的な存在という偏見を利用し、読者を騙す。この作品も叙述トリック的な側面から言えば同じやり方ですよね。
 「ガラスの靴を頼りに王子が探している」=「王子が結婚相手を探している」という偏見を利用し、読者を騙す。
 作中には、王子が結婚相手を探しているなんて手紙にもどこにも書かれていない。
 もしかしたらシンデレラが王族の誰かを殺した後わざとガラスの靴をのこしてきて、結果捜索されているかもしれないのに、
 読者は無意識にその可能性を切っている。むしろ、本命はこっちなのに……見事にやられました。

・上の剛田の例を使って、この作品の「修正すべきではあるが修正が難しい点」について指摘します。
 この小説では、「剛田=暴力的な犯人。捕まえられない! → 実は剛田は可愛い女!」
 の構図がなりたっています。ここで発生するきついしばりが、
 「剛田は可愛い女の設定であるが、作中で可愛い女を連想させるような表現が使えない」ということです。
 (∵読者にとって、ネタバレ直前まではあくまで「剛田=暴力的な男」であるから)
 このシンデレラも同じです。
 「ほわほゎな王道ファンタジーシンデレラ! → 実は王宮がガラスの靴目当てで犯人捜索している超現実的なサスペンス物!」
 の構図が成り立っています。が、あくまで読者にとってラスト直前まではこの話はほわほゎ王道ファンタジーです。
 なので、
 「現実的なサスペンスものではあるが、その直前までは魔法使いも出てくるファンタジー(と読者は思ってる)的な表現しか使えない」
 このしばりが発生します。

 なので途中で出現する、「脳髄」「外科医」「手術」等の、ファンタジーらしからぬ言葉が読者にとっては物語移入の妨げにしかならない。
 読者にとってみれば、例えばエラが足の形を変える方法も、
 「外科医に削らせた」より、「シンデレラが会った魔法使いを無理矢理もっかい呼び出して魔法で変えさせた」
 という方が、すんなり受け入れられるんです。
 しかし、実はサスペンス物なので、この修正はしたくても出来ない。(恐らく作中のシンデレラの「魔法使いに会った」は本当に嘘だから)
 ただ修正しないと若干不自然なまま。

 この点を修正するには、一文や二文をちょこっと変えるだけでは済みません。かなり全体的に推敲・修正する必要が出て来ます。
 長くなるのでこの話はここではしませんが、少しこの点について考えてみてください。

・点数的には+30点ものだと自分は思ってます。
 が、あまりにオリジナルの「シンデレラ」の印象に頼り過ぎている印象も否めず、
 オリジナリティも、姉目線であることと最後の「結」だけなので、-5点程度。
 文法的日本語のミスはほぼゼロ、上で述べた若干不自然なままの点で-2点ほど、四捨五入で20点としました。

・おちゃさんにはかなりの文章執筆力があるように伺えます。
 次回また作品を載せて頂けるのを楽しみにしております+必ず拝見いたします。
 (口うるさい自分の評価が嫌いであればどこかに「ゆうの拒否」とお書き下さい(^q^))

いりえミトさんの意見 +30点2013年02月11日

 拝読しました。


 素晴らしい!
 いやはや、これは一つの作品として見事と言う他ないです。
 おちゃさんの作品を拝読するのは初めてでしたが、これまで投稿されていた作品は常に高い評価を受けていた印象があり、やはり上手い方なんだなと思いました。

 「シンデレラ」をベースにした話ですが、義姉を主人公にするとう着眼点がいいですね。パロディではなく、どちらかというとスピンオフ、あるいはifストーリー的なものと捉えました。

 義姉の心理を、卓越した文章で伝えており、実にうまいと思いました。個人的な感覚では、若干文章に読みづらさを感じたのですが、作風に合った文体だったので、これでいいのだと思います。

 圧巻だったのは、ガラスの靴を履くために歩くシーン。
 本当に画面に引き込まれるように読みました。素晴らしい描写力ですね。
 「本当に怖いグリム童話」で(読んでないので、誰かに聞いただけですが)、義姉がガラスの靴を履くために踵を切り落とすシーンが紹介されているそうですが、それを思い出しました。実際に足を切ったら痛くて歩けたもんじゃないと思いますが、それでも歩く義姉の鬼気迫るような心境が、本当によく描写されていたと思います。

 そしてラストシーン。「ああ、そうきたか!」と思わずにやりとしてしまいました。
 誰しもが知っている「シンデレラ」という物語だからこそできる、絶妙なオチですね。
 このオチを書くだけなら、掌編でもできそうですし、コメディとしても成り立ちそうですが、あえてこの枚数で義姉の心理を描写し、なおかつシリアスなストーリーにした点が、よりラストの衝撃を引き立てていたと思います。

 全体としてとにかく楽しめましたし、勉強になりました。ありがとうございました。

 点数……40点を考えたのですが、本家の「シンデレラ」を前提としているからこそ楽しめた作品であることも間違いなく(オチに関しては特にそうです)、完全なオリジナル作品と同様の評価をくだしていいものか、悩みました。
 これが、パロディのギャグ作品であれば何の迷いもなく感じたままの点数を付けたと思うのですが……申し訳ありません、30点でお許しください。
 誤解をなさらないでほしいのは、「既存作品を下敷きにしている」ことによる減点ではなく、単純に「完全オリジナル作品との比較が難しいから」という理由で、点数を控えめにさせてくださいということです。
 シンデレラを下敷きにしてこれほどの作品が書けるのは逆にすごいと思いますし、とにかく素晴らしく、文句のつけようがない作品でした。


 感想は以上になります。
 また、おちゃさんが完全オリジナルの作品を投稿されたら、ぜひとも読ませていただきたいと思います。
 それでは、失礼します。

ラスタさんの意見 +30点2013年02月12日

どうも
ラスタです
作品、読ませて頂きました

面白かったです
なんて完成度の高い作品なんだ

指摘できる点は特にありません
好みを言うなら、シンデレラの腹黒さを感じさせる伏線のようなものがあれば、より楽しめたと思います
後で読み返した時に、「そうか! だからシンデレラはこんなことを……」みたいなシーンがあれば、ラストの衝撃も大きくなるかと
好みの話なので参考程度に

うん、面白かったです
序盤はシリアスな姉の視点で本家に沿って進むのかと思いましたが、まさか終盤ではストーリーすらも変更するとは
してやられましたね
流石です

感想に不備等ありましたら申し訳ありません
私は素人ですので間違ったことを言っているかもしれません
ご容赦ください

ではでは、次回作も期待しております

nonさんの意見 +30点2013年02月13日

こんばんは、おちゃさん。作品のほう読ませて頂きましたので感想をば!

義姉の心象描写がお見事だったと思います。
彼女のシンデレラに対する嫉妬心や羨望の気持ちが読んでいる私にもひしひしと伝わってきました。

お話の流れも良かったと思います。
読み手の思考をいい意味で裏切ってくれた感が素敵でした。
最初のうちはセオリー通りにいくのかと思いきや、中盤に差し掛かるにつれどんどん話が変わっていき最後まで引き込まれるように読んでしまいました。シンデレラ怖いぃ、ブルブルっ!

おちゃさんの次回作も楽しみにしています、頑張ってください☆

ストレイツォさんの意見 +20点2013年02月13日

 脇役を主役に据えた着眼点はお見事だと思います。二次創作という点は惜しいですが、ありそうでなかったオチも含めて、ほとんどオリジナルと言っても差し支えないでしょう。ちなみにオチはある程度予測はつきました。エラに主役を譲ってしまえば本家との差別化はできませんから。靴が伏線になっている以上、見せ方としては (A) 靴を履けなかった場合 (B)靴を履けた場合 どちらかしかありません。(A)の場合、衆目の前で破壊する、もしくは別の靴とすり替える。(B)は本作のようなオチ、或いは下男の工作も有り得るでしょう。また、『Cinder-ella』からは、おそらく復讐劇になるのだなと。結果的には身内が手を下すまでもなく”不敬罪”オチ。意表を突かれましたし面白かったんですが、大きな驚きがなかったのは前述のとおり、ある程度パターンを推測していたからです。えぇ、二次作というのは『本家』の絶対的な存在感から逃れられません。ゆえに捻りにも限度があると思います。次回作はぜひオリジナルを。

 前置きが長くなりました。こんばんは、初めまして。もう少しコメント残しますのでしばしお付き合いをば。

 貴方が女性かどうか分かりませんが、女性主人公から見た視点、そして心理を深く掘り下げられていました。多少語彙がラノベ層に似つかわしくない部分があって、パッと見はコバルト向きなのかなとも思っちゃいましたけど、これはこれでラノベも有りです。そう納得させるだけの作品だったと思います。

>稲妻に打たれるような痛みが、足先を襲ったのはそのときだ。

 本作の見所、苦痛に悶えながら靴と戦うシーンですね。文量的には適量やや不足かなとも思います。けれど、それ以上に感情描写の挿入が小気味よかったですね。適宜工夫されていて、雰囲気自身オリジナルに近いものを感じます。もう一度言っておきます。面白かったです。

>だから私はシンデレラから奪ったガラスの靴に合わせて、外科医に私の足の骨を削らせたのだ。
>負けたくない。負けたくない。負けたくない……シンデレラなんかに!

 指摘については既に先人たちからの感想で殆ど網羅されているかと存じます。ざっとみて気になった点だけ挙げていきます。

>淑女は優雅に一歩ずつ歩く。

 ⇒一人称のはずがまるで三人称のような”淑女”。

 以上になります。ご馳走様でした。

新田朗さんの意見 +10点2013年02月14日

感想返しに参りました。

童話をベースにうまく悲劇を表現できていますね。(童話自体、悲劇が多いですよね)
心情や状況が細かく書かれていて飲み込みやすいです。


ぐるぐる巡ってますね。
姉→残虐(嫉妬、本当は傷つけたくない?)
シンデレラ→けなげ(実は腹黒?)

いきいきブラックって感じです。

※気になった点
・タイトルになってるくらいなのに、シンデレラがあんまりシンデレラしてない。(出番少ない)

・二階が屋根裏なんですか?
>自室

くらいかな。

点数では評価しにくいです……。つけるとするならば、ということで。


次回作も楽しみにしております。それでは~。

御衣黄さんの意見 +30点2013年02月14日

初めまして。御衣黄と言います。

面白かったです。
主人公の心理の描写がすごく良かったです。
これだけだと何の参考にもなりませんので、私の個人的意見を付け加えておきます。

最後の地の文が一人称としては客観的な感じを受けました。少し盛り下がった気がします。
例えば、

私を罠に嵌めたのね。その瑠璃色の目を私のこの手で抉り出してやる。この忌々しいシンデレラめ! 死んでも貴方を許さないわ。

って感じです。
この場合、前もって姉がエラを貶める必要があるかと思います。母親が死んで家督を相続する時、姉が策を弄するといいかもしれません。
御作では遺産は均等に配分されそれを姉が取ったという設定ですが、もう少し詳しく、姉が遺言を偽造するとか、町の有力者を使って独り占めするとかにしたらいいのかなと思いました。

今後のご活躍を期待します。

まさきふみとさんの意見 +30点2013年02月15日

はじめまして。すごくおもしろく読むことができました。

羨望と嫉妬、それと欲望とが渦巻き、最上の結果を得ようとした矢先に、急転直下の展開。私はあのままドリゼラさんがしめしめ、という形で終わるのかなと思っていたのですが、見事にカウンターを頂戴いたしました。

復讐には復讐をもって返す。最後のシンデレラの表情を想像すると、ゾッとしてしまいますね。

と、なんだかよくわからない感想ですみません。技術的なこととか、私はよくわからないので何も申し上げられませんが、楽しく読むことができました。
それでは、失礼いたします。

ツナさんの意見 +20点2013年02月15日

 こんばんは、ツナです。先日は感想ありがとうございました。作品拝読しました。

 感想ですが、一言で書くと「やられた!」です。タイトルや元の童話からの先入観をラストで見事なくらいひっくり返された様は、推理小説終盤の上質な種明かしのように感じられました。
 気になったのは、「ガラスの靴~」を含むフレーズが頻繁に使われている所です。例を上げると、主人公が足の痛みを抑えて靴の方へ一歩踏み出す直前のシーンで頻繁にこの言葉が出てきます。なので、所々で言い回しを変更すると、文章に更に味が加わるのではないかと感じました。例えば前述のシーンなら、

「ガラスの靴を預かる従者は、大広間に入った途端にすぐ立ち止まり、ひざまずいた。騎士がすぐさまその傍らに椅子を用意する。ガラスの靴を割らないように、移動の距離を最小限にしたいのだろう」

「将来お仕えする方の大切な持ち物を損なわないように、移動の距離を最小限にしたいのだろう」

 のような感じです。これだと冗長過ぎる感がありますが、参考になれば幸いです。この作品のように既視感を爽快なくらい壊してしまうような小説を、自分も執筆出来るようになれればと思いました。それでは失礼します。

udukiさんの意見 +30点2013年02月16日

udukiです。

拝読させていただきましたのでつらつらと。

文書や表現についての指摘云々については他の方にお任せするとして、

一つだけ、気になったことが。

私自身医療に携わっているのですが、

足を削るという手術、この時代での止血云々についてはいささか疑問におもいます。
まあ、私の推察でしかないのですが、この時代の医療技術では、足の骨を削る、という行為は命の危険を大きくはらんでいるといっても過言ではないでしょう。
単純な整形外科手術や虫垂炎の手術は確かこの時代よりも前に行われていますが、足の骨を削り、上から皮をかぶせ縫合し、その傷の腫れがおさまり靴が履けるようになるまで(物理的に)どれくらいかかるのだろうか。また、骨を削る際の止血はどうしたのだろうか。ケシの身から得られるアヘンでの鎮痛効果は果たしてその痛みを抑えられるほど効果があったのだろうか。もしかしたら、それまでに感染症で足は腐り落ちてしまうかもしれない……。

という、最早いちゃもんとしか捉えられない感想を残してみました。この点に関してはまったく気にしないでください。職業柄、どうなのかな?と気になっただけですので。すみません。

もう、読みながら義姉の心理描写に入り込みつつ、最後のオチでは、こうきたか!という驚きを感じていました。まったく持って皆様と同じ感想ですが、とても面白かったです。

やはりシンデレラの冷たい目がいいですね。私もその冷たい目で見つめられ……、あ、これも気にしないでください。

私もおちゃ様のような小説が書けるよう精進しなければ、と思いました。

楽しい時間をありがとうございました。

失礼します。

トライアゲインさんの意見 +30点2013年02月16日

おちゃ様、お久しぶりです。『シンデレラの沈黙』を読ませて頂きました。

タイトル通りまさに『沈黙』で、一言も喋らないシンデレラ。なのに存在感がありました。

ドリゼラが窓の景色を眺めているシーン、素晴らしかったです。ファンタジーの世界に入り込んで、窓を覗き込んでいるかのような気持ちになりました。

シンデレラがどこで殺意を抱いたのかとか、計画の伏線を探したりだとか、二度見るのが楽しい小説ですね。シンデレラが一言も喋らない分、彼女の性格や、どのように犯行したのか想像するのが楽しいです。
おちゃ様の作品にはどんでん返しがあって、その作風がすごくいいなと思います。

作品として気になったのはドリゼラです。彼女の憎しみをもっと具体的に見たかったな、と思いました。
ドリゼラの心中が語られますが、具体的なエピソードとしてエラになにかされた、というのはなかったように思えます。ドリゼラのエラに対する劣等感や嫉妬心は理解はできますが、共感するところまではいかなかったかなと。
自分より優れている者への劣等感はわかります。ただ、十何年も相手を憎しみ続けるのはかなり体力がいると思います。しかも相手は好意を持って接してくる相手なわけで。なぜそこまでしてシンデレラを憎み、そして勝とうとしているのか。なんでなんだろうな、という気持ちで読み進めてしまったのが、ガラスの靴を履こうとするドリゼラへの感情移入の妨げになったような気がします。
もっと具体的なエピソードで、エラに対する嫉妬心や劣等感が芽生える場面。無邪気な人の、悪意なき悪を描いていたらよかったな、なんて思いました。

もうひとつドリゼラについてなんですが、一面的なキャラクターだったのが気になりました。彼女の感情は憎しみしかないのかなと。
童話のシンデレラの、意地悪な義姉というサブキャラクターなら、一面的でいいと思うんです。でも、この作品では主人公となっているので、ドリゼラの人間らしい部分をもう少し広げてほしかったなと。
ドリゼラもシンデレラが全て悪いと思っていたわけでもなさそうです。作中の『あたしは、あんたの近くにいてはいけないの~』というところに、それを見て取れた気がしました。
ここをもう少し広げて、ドリゼラの人間らしい部分が感じ取れると、感情移入出来るのかな、と思いました。


なんでこんないちゃもんみたいなことをつらつらと書いたかというと、ドリゼラに感情移入出来ていたら、どんでん返しがもっと衝撃的だったろうな、と思うからです。ドリゼラに共感しながらガラスの靴を履き、そしてシンデレラに復讐されたと気付いたのなら。読み終わった後に、ぽっかりと穴が空いたような気持ちになれたのではないかなと。
自分がつけた点数の足りない残りの二〇点はなんなのか、と言われれば、感情の揺れです。ストーリー、構成は完成されていると思います。何かが足りないと思ったのは、胸に突き刺さるような感情の揺れでした。

色々書きましたが、点数の通り面白かったです。復讐劇でページ25枚縛りモノであるなら、文句一つつけようのない完成度だと思います。本屋に売ってる短編集に載っててもおかしくないレベルでしょうし、ヘタに改稿するよりかはテンポの良いこのままの方がいいかなとも。ならいちゃもんつけるなよって話ですが。
まあひとつぐらい変な感想もあるか、程度に思って頂ければ。


お互い執筆頑張りましょう。

ではでは

ニアさんの意見 +10点2013年02月16日

ニアと申します。
読ませていただいたので感想を残していきます。

一貫して姉の一人称が近く書かれていてうまいと思いました。
物語も読者の知識をついた面白いオチでした。
特に不満な点はありませんが、良かったのはシンデレラという元があるのが大きいかなと思いました。
シンデレラ自体も悪い人間ぽく描かれていたので、そこは少しだけ読後感が悪くなりました。

執筆お疲れさまでした。