企画過去データ

2012GW企画優勝作品
うち、あんたの事めっちゃ好きやねん!


2012年04月30日(月)12時18分 公開
■著者:庵(いおり)さん
■作者からのメッセージ
◆使用したお題:
 黒(「黒縁眼鏡」「黒髪」「黒い感情」として使用)
 白(「顔が白い」「白い雲」として使用)
 赤(「顔を赤くして」として使用
 青(「真っ青な顔」として使用)
 黄(「黄色い声」として使用)
 
◆一行コピー:
 大阪の女はな、ごっつ愛情深いんやで。せやけど……ちょっぴり照れ屋やねん。
 
◆作者コメント:
 大阪出身の……いえ、関西出身で不器用な女の子の為に書きました。
 (男性が読んでも全然構いませんよ、むしろ読んで下さいw)
 読了後、幸せな気持ちに浸って頂けたら嬉しいです。

 GW企画が楽しい企画になりますように!


 なんっ……でやねんッ!?

 とか、叫んだろか思うたわ。
「気持ちは、嬉しいんだけどさ」
 目を伏せて、遠慮がちに言う倉田君。顔は困ったような半笑い。ウチの告白をあっさり断わったくせに、中途半端な優しさを見せようとする。こっちを傷付けんように振る舞いたいんやろうけど、そんなんはコントで聞く『スタッフ笑い』と同じくらい虚しい。
「……なんでなん?」
 一応、理由ぐらいは聞いとかな気が済まん。半年間も想い焦がれてきた結果がこれなんやから、それぐらいはしてもええやろ。
 ウチに訊かれて、倉田君は体育館の窓を見上げた。というより、視線を外したって言ったほうがええかもしれん。物の言い方でも考えとるんやろう。
「あのね、西野さんって大阪の人でしょ?」
「はぁ?」
「大阪の女の子ってよく喋るじゃん。俺、どっちかっていうと大人しい子のほうが好きなんだよね」
 ちょ、待てや! それが理由かい!!
 確かにウチは大阪出身の女や。今はオトンの仕事の都合で東京に来とるけど、関東の流儀はそれなりに心得とるつもりやし。せやのに、大阪の女ってだけで断れるんは納得が行かん!
「じゃ、そういう事だから」
 ウチの顔色を読んだのか、倉田君は逃げるように体育館裏から立ち去る。ていうか、マジダッシュで行ってもうた。ウチ、そんなに怖い顔しとったんやろうか?
 ぽつーんと一人残された事で、余計に虚しさが後を引く。後ろから聞こえた失笑が追い討ちを掛けた。昼休みに入った直後やから、学食へ行く連中に一部始終を見られたんやろう。きっと、今日の出来事はしばらくの間、笑い話のネタに使われるんやろうな。
 やったら、もう行くとこまで行くしかないやんか。
「あーあーそうそう。ウチは大阪の女やさかい、うるさくて敵わんしなー。そら嫌われるんはしゃーないわなー……って、何でやねん!」
 全然気にしてへんでーというパフォーマンス。振り返ると案の定、体育館の陰におった女子達が、見たらアカンものを見たような顔して逃げてった。それでもキャアキャア笑い合う声は聞こえてくる。
 ふん、笑いたいなら笑えや。ウチは大阪の女や、笑いの為なら自分を犠牲にしたかてかめへんねん。気取り屋の東京モンには負けへんで!
 ……正直、めっちゃしんどいけどな。


 学食で。
「彩、あんた噂になってるよ」
「やかましいわ! 笑いたいなら笑ろたらええねん!!」
 と怒鳴り返して、ウチは特盛りきつねうどんを豪快にすする。関東風の濃い汁は苦手やけど、ヤケ喰いするなら味は別になんでもええ。
 席の向かいでは、親友の結(ゆい)が呆れた目でウチを見とる。小説のヒロイン級に超絶美少女な結にしてみれば、ウチはコメディのお笑い担当みたいなもんやろう。
 さらっさらのロングヘアーを揺らして、結が顔を近づけてきた。二重でぱっちりした目とか形のいい鼻は、平凡な顔立ちのウチにとっては羨ましい。実際、結は恋愛経験に関しては百戦錬磨。少しでええから、その男運を分けて欲しい。
「『西野彩 十六歳、体育館裏に散る』あんた、自分がどれだけ面白おかしく言われてるか知ってるの?」
 結が小声で訊いてくる。こんなウチでも心配してくれるのは嬉しいんやけど、やってもうたもんは今更嘆いてもしゃーないやんか。
「ひっほるふぁぁい!」
「ちょ、ヤダ! 汁飛ばさないでよ!!」
 がばっ、と身を引く結。
「ええか! フられた理由が『大阪の女だから』やで。こらもう、笑い話にしかならへんやろ」
「だからって、自分をネタにすることないでしょ」
「ああもう、ええねん。大体、ウチを『大阪の女』っていう見方しかせえへん男はその程度の男やったって事や。付き合わんで正解やったわ」
「え、何? あんた、そんなこと気にしてるわけ?」
 気にしてへん言うたらそれは嘘になる。一昨年の春に引っ越してきて以来、ウチにはいつも『大阪の女』って肩書きがついて回った。人を笑かす事を期待されたり、ネタで返すよう無茶振りされたり。学祭でハリセン渡されて「よろしくね♪」とか言われた時はどうしようかと思ったわ。とにかく、大阪出身の女は全員芸人気質とか思われてるんやろうな。
 ウチもそれは自覚しとるから、周りの期待に応えなあかんと思ってしまう。まあ、笑いに厳しいんは事実やけども。
「がぁぁぁー腹立つー! 『大阪の女』言うても色々おるやろ。なんでウチがお笑い担当みたいにならなアカンねん」
 結はいつも通り「何言ってんだか」って顔しとるけど、ウチにとっては重要な事や。
「そんなこと言われてもね……やっぱりお笑いは好きなんでしょ?」
「まあな」
「阪神タイガースのファン?」
「そらもう」
「お好み焼きでご飯が食べられる」
「余裕やで」
「探偵ナイトスクープは欠かさず観てる」
「録画必須やな」
「……そのまんまじゃん」
「やかましいっ!」
 結はウチが典型的な大阪人や言いたいんやろうけど、他にも見るところはあるやろうが。
「あのなー、そういう事ちゃうねん。ウチはな、ウチを見て欲しいだけやねん」
「ふーん……」
 あ、くそ。聞き流しに入りよった、このアマ。なまじモテるだけに何か腹立つ。文句の一つでも言ったらんと気が済まへん。
 ウチはガタッと席を立ち、息を吸い込む。とっくに台詞は用意済み。「あんたにモテへん奴の気持ちが解るか!」
 ――とか言うたろう思ったんやけど。
 ふと、結の向こうに座っとる男子が見えた。
 学食の隅っこで、牛乳片手にパンを一かじり。周りには誰もおらんから独りぼっちに見えた。
「何、東野君がどうかした?」
 ウチの視線に気付いたらしく、結が訊いてくる。
「東野君、今日も一人だよねー。あの性格じゃ仕方ないけどさ」
 結が言う通り、東野君はクソが付くぐらい真面目な男子や。ウチらと同じクラスなんやけど、他の連中と楽しく話しとるのを一度も見た事がない。
 見た目は、どこの学校にでもいそうな『ガリ勉君』ってところ。黒縁眼鏡を掛けて、クスリとも笑わない仏頂面。暇な時は本を読んでいるか勉強しているか。こんなんやから、友達が一人もおらんのやと思う。
「えー、もしかして次のターゲット?」
 にまぁ、と結が笑う。
 おいこら、人を発情期の猫みたいに見るんやない。
「そんなんちゃうわ。なんとなく見えただけやし」
「ふーん……」
 生返事で答える結。何か言いたそうに見えるけども、下手につついたらどうイジられるかわからん。そういうわけで、ウチは黙々とうどんを口に運ぶことにした。


 あれから一週間。
 失恋で傷付いた心も幾らか癒えたところで、今日はタイミング良く終業式やった。明日から夏休みになるし、同じ学校の生徒とも顔を合わせる機会が減るから、失恋ネタでイジられる事もしばらく無いやろう。
 校門を出て進むこと数分、後ろから呼び止める声がした。
「西野さん」
 聞き覚えのない声やなーと思いながら振り返ると、真面目君としか言いようのない男子が小走りで近づいてきた。
「なんや、東野君かいな」
「今、ちょっといいですか?」
 ……おいおい、クラスメイト相手に敬語て。そういや、今まで話した事なかったけど、他人に話し掛ける時はいつもこんな感じなんやろうか。
「ええけど、何?」
「見て欲しいものがあるんですけど」
 と、東野君はいつも通り張り詰めたような顔で言う。他の男子みたいに余裕やら脳天気さが欠片もあらへんけど、毎日こんな表情しとって疲れたりせえへんのやろうか。
「ええよ」
 人を呼び止めるぐらいやから、きっと重要な用件なんやろう。ウチは立ち止まって、東野君に向き直った。
 すると東野君は、その場に鞄を置いてウチから一歩遠ざかる。
 ……こうして見ると、東野君って意外と背ぇ高いんやな。座っとるところしか見た事なかったけど、ウチより頭半分くらい上ってとこか。
 東野君はウチに向かって半身になり、右手を宙に掲げた。その構えはまるで、空手の構えみたいやった。型演舞でも見せるつもりなんやろうか?
 そして東野君は、開いた右手を握り込みながら、こう言った。

「ガチョ~ン」

 ……………………………………は?
「あれ、おかしいな?」
 ウチの無反応が意外やったらしい。東野君は首を傾げて、別の構えを取った。今度は両脚をガニ股にして腰を落とす。でもって、開いた両手を太ももの付け根に添えて――
「コマネ――」
「あかんあかん! 空気が凍るッ!!」
 危なかった。あと少しでも止めるのが遅かったら凍死するところやったわ。
「……ダメですか」
 いや、何でそこで凹むん!? こっちが泣きそうやわ、寒すぎて。
「あ、あのな。東野君、何がしたいん?」
 こころなしか肩を落とし気味の東野君。ただでさえ余裕のない顔やのに、こんな姿を見たら自殺でも考えとるように思えてまうやんか。
「西野さんが笑ってくれたらいいと思って……」
 ますます訳がわからん。っちゅーか、この程度でウチが笑うと思ったら大間違いやで。
「あのな、あんた全然やわ」
「? どういう事ですか」
「ええか。笑いっちゅーのはシチュエーションの中で生まれるもんなんや。『普通ならこうなるやろうなー』って流れの中で、いきなりズレた事するから笑ろてしまうねん。せやけどシチュエーションもクソもないのにネタだけかまして笑いを取れるわけあらへんやろ!」
 一気にまくしたてて、一旦息継ぎ。
「ついでに言えば、シチュエーションを作るんも芸人の腕の内やで。例えば三段オチぐらいあんたも知っとるやろ。……知っとるな、よし。第一、第二のネタで規則性を作っておいて客にある程度オチを予想させる。そしたら次は、客の予想からズレたネタを言って笑いを誘うんや。基本中の基本やで!」
 ……はーっ、はーっ。まさかクラスメイト相手にダメ出しするとは思わんかったわ。あとは、ネタそのものが古い上にパクリやって事も言いたかったけど、そこは勘弁したろう。東野君、さっきから俯いたままやしな。
「ほな、もう行くで」
 若干、言い過ぎた感があるけれども、まあしゃーない。結局、東野君の目的が何かわからんかったのが気になるけど。
「待って下さい!」
 なんや、まだ言いたい事あるんかいな。
「何?」
「西野さん、やっぱり君は僕が見込んだ通りの人です。だから――」
 東野君は勢いを付けて顔を上げる。その瞳には、落語会の重鎮に弟子入り志願する芸人のような決意が見て取れた。
「僕の相方になって下さい!」
 ………………は? 相方って、その……えーと……。
 瞬間、ウチの顔がボッと音を立てて熱くなる。
 いやいやいやいや! 『ドキッ☆』とかしてへんで、全然、まったく、ほんまやって!!
「ちょ、あんたどういう意味で言ってるん!?」
 自然と声がデカくなる。まさかこんな形で告白されるとは思わんかった。
「西野さん、笑いには厳しいって聞いてたから。だから、漫才の相方になって貰えないかと思って」
 ……なんや、漫才の相方かいな。ウチはてっきり、別の『相方』かと……って、漫才ぃ!?
「な、何で漫才やりたいん?」
 悪いんやけど、東野君は笑いのセンスがゼロや。いや、マイナス行っとるかもしれん。やのに、何でまた漫才なんかを。
 ウチが考える限り、漫才は笑いの最高峰や。そら、コントやピン芸もええけど、喋りだけで人を笑かすには相当な修練とセンスが必要になる。落語も伝統芸能の域やけど、あれはまだ一人でやれるだけマシ。その点、漫才は、二人の息がピッタリ合わへんと双方共に爆死する事になりかねん。要するに漫才は、お互いに命を預けて闘うタッグマッチみたいなもんなんや。それを素人が一朝一夕で出来るわけあらへん。まして、笑いのセンス皆無の真面目君には荷が重すぎるやろ。
「僕には、どうしても漫才をやらないといけない理由があるんです……」
 思い詰めたような顔で、東野君は声を絞り出す。言うてる事はアホっぽいんやけど、声色や表情からして人生の決断を迫られてるように見えてしまう。
 ……ま、話ぐらいは聞いたろか。
「ええよ、事情を話してみ」
 そう言って、ウチは歩き出した。


「僕には妹がいてね」
 と、東野君が切り出した。
 ちなみに、タメ口になってるのはウチがそうせぇと言ったから。クラスメイトやのに他人行儀は居心地が悪いし、真面目くさった顔で敬語を使われると気が重くなるからやった。
「へぇ、そうなんや」
「その妹っていうのが、今ここにいるんだけど」
 東野君は歩みを止めて、目の前の建物を指さす。その先に建っているのは総合病院。さっきから街ん中歩いてると思っとったけど目的地はここやったんか。
「妹は生まれつき身体が弱くてさ。学校も行かずに、ずっとここで生活してるんだ」
 病弱な少女か。小説とかでしか見た事ないけど、現実におるもんなんやな。
 東野君の後に続いて病院の中に入る。妹さんの病室は六階にあるらしく、東野君はエレベーターに乗り込むと「6」のボタンを押した。
「ここから先は、妹には黙っててくれる?」
 そう前置きして、東野君は話し始めた。
 東野家は、オトン、オカン、東野君、妹さんの四人家族らしい。どこにでもあるような一般家庭やけれども、妹の入院生活が長いせいで家族は精神的にしんどい思いをしとるそうや。
 入院にかかる費用が馬鹿にならへんから、オトンはいつも働きづめ。一方オカンも、看病の為にいつも疲れた顔をしとるらしい。
 で、兄の東野君は、公立の有名大学へ奨学金を貰いながら通う為に、進学を見据えて毎日勉強三昧やそうで。
 ……聞けば聞くほど、重苦しい話やった。これなら、東野君がいつも張り詰めたような顔をしとる理由が解る。
「ふーん……。で、何で漫才やる必要があるん?」
 上昇を続けるエレベーターの中で、本題に切り込んだ。口が重くなってきた東野君を促す為でもある。
「妹は、僕たち家族を気遣ってるみたいなんだ。それで、いつも笑顔でいてくれるんだけど……」
 そこで、東野君が僅かに言い淀む。
「無理して笑顔作ってるのが分かるんだよ。だから僕は、妹を心の底から笑わせてあげたい」
「なるほど、な」
 つまりこういう事やな。東野君は、ウチに笑いの手ほどきをして欲しいんやろう。それならお安い御用やで。
 ……それにしても、何やええ話やないか。ウチ、こういうの弱いから泣いてまうやんけ。
 ウチが鼻をすするのと同時にチーンという音がして、エレベーターの扉が開いた。通路を進んで一番奥。一人用の病室らしく、ドアの横には〈東野優奈〉と名前が書いてある。
 ドアを開けると、中から元気な声がした。
「いらっしゃーい! ……あ、お兄ちゃん」
 カナリアみたいに可愛らしい声。せやけど、見た目はもっと可愛い。
 実年齢は十歳やのに、発育が遅れとるせいか八歳ぐらいに見える。子犬みたいに愛らしい顔立ちで、艶やかな黒髪をツインテールにしとるから、それも幼く見える原因やろう。
「あれ? その人、お兄ちゃんの彼女?」
 妹さん――優奈ちゃんがウチの存在に気付いた。途端、ウチの芸人魂に火が灯る。
「あーあーそうそう。ウチは目下ラブラブ進行中の彼女で……って、なんでやねん!」
 これぞ乙女のたしなみ、ノリツッコミや。掴みとしてはまぁまぁってところやろう。
「!?」
 おろ? 優奈ちゃんどないしたんや、ビックリした顔して。ひょっとしてウチ、ダダ滑りしたんやろうか。
「……もしかしてお姉ちゃん、大阪の人?」
 ちょっとしてから、優奈ちゃんが怪訝そうに訊いてくる。
「せやで」
「すごーい! 本場の『なんでやねん』、生で聞いたの初めてー」
 いや、そんなんまるでモノホンの宇宙人見たように言われてもやな。なんや、えらい喜んどるけど。
「そっか。お姉ちゃん、お兄ちゃんの相方さんなんだね」
 嬉しそうに優奈ちゃんが目を細める。どうやら、東野君は前もって漫才の相方を探すと伝えとったらしい。それなら話は早いわ。
「そうや。兄ちゃん、漫才やりたいらしいな」
「うん! これ見てー」
 優奈ちゃんはベッドの脇から雑誌を取り出した。広げたページには〈漫才甲子園 地区予選出場者募集中〉と書かれとった。
「八月にあるんだけど、お兄ちゃんが出てくれるんだって。全国大会に行けば、テレビにも出られるって!」
 キラキラ光る瞳で、優奈ちゃんは熱っぽく語る。本気で兄ちゃんが願いを叶えてくれると思っとるらしい。
 ……つうか、漫才甲子園出場の話は聞いてへんで。「聞いてないよ~」言いたいところやわ。
 ま、ええけどな。
「おお、そうかいな。やったら、ウチに任せとき。必ず、兄ちゃんを優勝させたるからな」
「ほんとー!?」
 優奈ちゃんは満面の笑顔をウチに向ける。
「ああそうや。やから優奈ちゃんも、思いっきり笑ろたらええ。そしたら病気も吹っ飛ぶで」
「うん!」
 ……ぅあ、何かこの子めっちゃ可愛ええんやけど。おっさん、頑張りたくなるやんけ。
 それから暫くの間、三人で話を続ける。ウチも優奈ちゃんと話すんが楽しかったから、思い切りサービスしといた。優奈ちゃんがどれだけ本気で笑ってくれたかは分からんけど、とりあえず今日は良しとするか。
 そうしてウチと東野君が病院を後にしたのは、夕日が沈みかけた頃やった。


「……ま、こんな事があったんやけど」
 家に帰ったところで晩ご飯。今日はオトンの帰りが早かったみたいで、久々に三人で食卓を囲む事になった。
「ほぉ、そらえらい大見得切ったもんやな」
 と、これはオトン。ハゲでビールっ腹のおっさんやけど、裏表のない性格がウチは大好きや。
「ええやん。これから相方を目一杯しごけば何とかなるやろうし」
「せやけどねぇ。相手男の子やろ、しかも東京の。その子、面白いん?」
 椅子に座りながら、オカンが言った。豹柄の似合ういかにも大阪のおばちゃんで、やけに男気があったりする。
「いや全然。なんせ、最初に見せたネタが『ガチョ~ン』やで!」
 爆笑。オトンが吉本新喜劇ばりに椅子から転げ落ちたんは、ちょっとやり過ぎやと思うけど。
「今時珍しい子やな! あのネタ使える子は、なかなかおらんで!!」
「ほんまやわ。何やったら、そのまま付き合うたらええやんか。お母ちゃん、その子大好きやで」
「もう、やめてやー。しばらく男はいらんねん」
『んな事言って~』
 目の前の馬鹿夫婦が声を揃える。喧嘩する時はとことんやり合うくせに、こういう時だけ息がピッタリや。このまま、夫婦漫才でも始めたらええのに。
 ……とまぁ、これがウチの両親。西野家の家訓が「お互い隠し事をしないこと、そして面白おかしく毎日過ごすこと」と決められている通り、なかなかに明るい家庭ではある。疲れる事もあるんやけど、ウチはこの家の子で良かったと思うとる。
 それはさておき、ウチが今日の出来事を話したら、オトンとオカンは二重マルでOK出してくれた。
「ところで彩、あんたネタはあるんかいな」
 オカンがサラダに手を伸ばしながら言う。
「んー、まあちょこちょこ考えとるよー」
「漫才甲子園言うたらアレやろ。全国からおもろい高校生がいっぱい集まってくるんやろ? 優勝目指すんなら、めっちゃ練習とかせなアカンのとちゃうか」
 確かにオトンの言う通りや。ネットで調べたら、漫才甲子園は全国の地区予選から始まって、地区予選の優勝コンビが全国の舞台に進める仕組みになっとるらしい。採点は観客の投票制で、得票数の一番多いコンビが優勝っちゅう分かりやすいもの。と言っても、勝ち抜くのが簡単いうわけやあらへん。軽快な喋りは当然のこと、ネタの面白さ、インパクト、ボケとツッコミのタイミング……とにかくあらゆる点で他のコンビに差を付けなあかん。あの相方でどこまで戦えるか不安やけども、逆に育てる楽しみはありそうや。
「ま、少なくとも地区予選ぐらいは抜けよう思とる。期待しとってや!」
 ウチが胸をどーんと叩くと、オトンとオカンはにっこり微笑んだ。


 翌日の午後。昼ご飯を兼ねて入ったファミレスで――
「ほな、役割分担から行こか」
「役割分担?」
 東野君……ああ、まどろっこしい。下の名前で呼んだろ。
「何や栄吾。あんた、そんな事も知らんのかいな」
「……?」
 いきなり下の名前で呼ばれて、相手は驚いたっぽかった。理由は解らんけど目も逸らすし。何か問題でもあるんやろうか。
「漫才といえば、ボケとツッコミのキャッチボールが重要なんやで。せやから、どっちがボケ役でどっちがツッコミ役か決めなアカンやろ」
 ウチが言うと、栄吾は少し考えるそぶりを見せた。
「じゃあ、僕がツッコミで……」
「なんでやねん!」
 反射的にツッコむ。
 こいつ、何でこういう時だけ自己主張すんねん。今のボケのタイミングは良かったけどやな……。もしかしてこいつ、天然なんやろうか?
「ほんなら、今ので決まりやな。あんたがボケで、ウチがツッコミで行こか」
「……うん」
 元気のない返事にイラッとしながら、ウチはトートバッグからルーズリーフの束を取り出した。
「ほい、ネタ原稿」
「これ、一晩で?」
 信じられない、っちゅう顔。そらそうやろ、全部で三十枚あるんやから。昨日の晩からえらい筆が乗ってもうたから、書き終えた頃にはラジオ体操が始まっとった。それでも今のウチには、心地よい疲労感がある。
「とりあえず読んでくれるか。あとは二人で意見出し合って修正したらええし」
「うん」
 と言って、栄吾は文面を読み始める。
「……ん」
 時々、頷いたり声を漏らしたり。いつもと同じ真剣な顔。面白いんか、そうやないのか全然わからへんから反応が気になる。
 じぃっと栄吾の顔を見てみた。
 ……あれ、案外まつげが長いんやな。外で運動せぇへんから顔も白いし、こうして見ると文学少年みたいや。あ、下の方見た。へぇー鼻高いな、こいつ実は磨いたら結構イケるんとちゃうか。せやな、髪型をもうちょっとオシャレにして、眉も綺麗に整えて……って、なに考えとるんやウチは。
「あー、そういうことか!」
「おわっ!?」
 栄吾がいきなり顔を上げた。そのせいでウチの鼓動が跳ね上がる。
「な、何なん?」
「ここのところだけどね」
「え、どこ」
 相手が対面側に座っとるからよう見えん。ウチが身体を乗り出すと、栄吾も同じ事を考えたらしく顔を近づけてきた。
 ……ええと、ふんふん。ツッコミ役がナンパの方法についてネタを振って、ボケ役が答えるところかいな。最初は割とありきたりな声の掛け方を二種類、その次がボケ――って、顔近ッ!?
 気付いたら、栄吾の顔が目の前にあった。
「?」
 相手も気付いたらしく、視線を上げる。そしたら、二人の目が合ってもうた。
『ッ!?』
 二人して顔を引き離す。こん時は秒速何メートルやろうか。
「……き、昨日言ってた笑いを取る為のシチュエーション作りってこういう事だったんだね……!」
「……そそそそそうや。わ、わかっとるやんけ……!」
 ウチはあさっての方向を見て答える。栄吾がどんな顔しとるんか見えんけども、声が上ずっとるんは分かった。こんなウチらを見たら、他の客はどんな関係やと思うんやろう?
 とりあえず深呼吸して、平常心を取り戻す。
「ま、今んところはそう書いてあるんやけど、何やったらアドリブでもかめへんで」
 惚れてへん、惚れてへんで。ビックリしただけや――と自分に言い聞かせながら説明。すると栄吾は、ほんのちょっとだけ崩してた顔を元通りにして、
「アドリブ?」
 と訊いてきた。
「即興のボケをかますんや。そのほうが臨場感あって、盛り上がる事もあるしな」
 そう。漫才においてアドリブは重要や。なかなかに高等テクニックやけど、上手く行った時は客を爆笑の渦に巻き込める。
 実はさっきのやりとりで、ウチは栄吾の天然に賭けてみたいと思った。笑いの事をわかってへん分、逆にとんでもないボケが出るかもしれん。そこを、ウチが機転効かせてツッコめば、観客に高く評価されるんやないやろうか。
「なるほどね、考えとくよ」
 そう答えて、栄吾はもうしばらく原稿の読み込みに没頭する。
 それから十分ぐらいして。
「よく考えてあるね。ひょっとしたら、下手なコメディ小説より面白いかも。僕が言うのも何だけど、西野さん、才能あると思う」
 いや、にこりともせずに言われても。
 ま、こいつは普段からこういう顔らしいからええか。
「うしっ。やったら、今日はその原稿を読み込んで頭に入れとき。明日からネタ合わせするから」
「うん」
 相手の返事を聞いて、ウチは立ち上がる。その時、素早く支払い伝票を手に取った。
「あ、いいよ。僕払うから」
「ええって、今日ぐらいは。優奈ちゃんの入院費が少しでも必要なんやろ」
 とは言うても、ウチが払う分はスズメの涙みたいなもんやけどな。
「……そう、じゃあ今日だけ」
 うん、素直でよろしい。それに「デート代は男が払うもの」とかいうの、ウチは嫌いやし(デート違うけど)。
 気ぃ遣っとるように見えへんように、ニコッと笑ってやる。レジに向かおうとすると呼び止められた。
「西野さん」
「何?」
「ありがとう」
 たった一言。不器用な男子らしいっちゃらしい。
 ただその時、ウチは栄吾が僅かに微笑んどる事に気付いた。
 ……何やこいつ、笑えるやんけ。


 夏休み言うても、やる事はようさんある。
 連れと遊んだり、バイトしたり、夏期講習行ったり。ウチら高校生にとってはある意味一番忙しい時期かもしれん。
 そんな中、ウチと栄吾は漫才の練習をしとった。
「ちっがーう! そこはもうちょい早よう入ってこんかい!!」
 夕方の公園で、ウチの声が響く。
「ええか、今んところはテンポが命やで。台詞言うタイミング間違えたら調子狂うやろが」
「う、うん……」
 練習を始めて十日目やけど、栄吾は笑いに必要な『間の取り方』がイマイチ分からんらしい。普段から漫才に親しんでこなかったのが原因やろうけども、胎教の代わりに夢路いとし・喜味こいし両師匠の漫才を聞いてたウチにしてみれば、もう歯がゆうて歯がゆうて。
 そら育ってきた環境が違うんやから仕方ないけれども、そんな事は言い訳にしかならへん。笑いのセンスが染みついてないんなら、そこは練習で身に付けていくしかないやろ。
「ほな、今んところもう一回いくで」
「うん」
 ベンチの方を向いて、二人で横並びになる。
「ところで西野さん、今年の夏はどこか行きましたか?」
「ウチは海に行ってきたで」
「いいですねー。何かいい出来事ありましたか?」
「あったなぁ」
「何です?」
「ナ・ン・パや」
「へぇー、物好きもいたもんですね」
「やかましわ! ウチかてナンパぐらいされるがな」
「そうですか。どんな風に誘われたんです?」
「気ぃ悪いから言うたらへん。当ててみぃや」
「そうですね……」
 と、そこで変な間があった。ほんまやったらこの後、栄吾がイケメンっぽくモーション掛けてくるところやのに。
 見上げると、栄吾は口に手を当てて困り顔。いっちょまえに照れとるらしい。
「はいはいストップ。何恥ずかしがっとるんや」
「……ご、ごめん」
「あのな、今から恥ずかしがっとってどないするん。今でけへんかったら、客の前でもっと出来んくなるで」
 こくりと頷くだけで返事はなし。
「もうええ加減、恥は捨てえや。男やったら堂々とせんかい!」
 ばしーんと背中を叩いても、覇気のない返事しか返ってけえへん。ウチが相方に対して不満なんは、どうにも元気が足らへんところやった。
 確かに、人前でアホなことするんやから恥ずかしいんは仕方ないと思う。せやけど、そんなんで尻込みされて中途半端なネタになってもうたら勿体ないやんか。優勝狙うなら、やっぱここは吹っ切れて欲しい。
 ウチに散々言われて凹んだらしく、栄吾はさっきから下ばっか見とる。
 ……そろそろ潮時か。
「今日はもうええ、帰ってオール阪神・巨人の漫才を百回くらい観とき」
 栄吾に笑いのセンスが無いんはウチも分かっとる事や。せやから今日までずっとスパルタ教育でやってきた。やけど、叩き過ぎてモチベーションがゼロになられても困る。優し過ぎず、かといって厳しくし過ぎず。このへんのすれすれラインを見極めるんが結構難しい。
「わかった」
 それだけ言うと、栄吾はベンチの鞄からノートとボールペンを取り出した。練習初日から、ウチにダメ出しされたところを逐一メモしとるらしい。
 あくまで真面目に、そして愚直に。これが唯一、ウチの認めとるところ。栄吾は今まで愚痴一つこぼした事がないし、ウチに反論した事もない。自分でも笑いのセンスがないのを分かっとるから、積極的にこっちの意見を受け入れようと努力しとるみたいや。
 栄吾は栄吾なりに、漫才と真摯に向き合おうとしとる。それが伝わってくるから、ウチもある程度は厳しくできる。そう考えると、お互いの信頼関係が成り立っとるんかなーと少しだけ嬉しくなる。
 ……絶対に「嬉しい」とか言うたらへんけどな。
「また明後日な」
「明後日?」
「明日、バイトなんや。昼間は時間なくてな、悪いんやけど」
「そう……」
 ん? 何で残念そうなんやろ。ここんところぶっ通しやったから、一日ぐらい相方に責められん日があってもええやないか。
「どないした?」
「何でもない。オール阪神・巨人の漫才でも観て勉強しとくよ」
「せやな。あとは、中川家とフットボールアワーとブラマヨと……そうそう、チュートリアルもチェックしとくんやで」
 こんだけ宿題与えとけばええやろ。栄吾も勉強やら優奈ちゃんの見舞いやらで忙しいやろうけど、時間がないから仕方ない。
「ほんなら」
「うん、今日もありがと」
 いつものように栄吾が言った。最初は照れくさくて止めて欲しかったけど、今では練習最後の楽しみになっとる。気ぃ緩めたら笑ってしまいそうや。
 綻んだ顔を見られないよう、ウチは栄吾に背を向けて歩き出した。


 翌日の夜。
 スーパーのバイトでくたくたになっとったから、風呂上がってすぐベッドに倒れ込んで、ぼぉっと天井を眺める。ちらりと目覚まし時計を見たら、午後十時を回っとった。
『~♪』
 ウチの携帯から、やしきたかじんの【やっぱ好きやねん】が流れた。誰からの着信やろう思って画面を見ると、そこには栄吾の名前。こんな時間に何の用事やろうか?
「何?」
『あ、西野さん。今、大丈夫?』
 申し訳なさそうな、かといって弱々しくもない声。
「大丈夫やで。どないしたん?」
『こんな時間だけど、今から付き合ってくれないかな』
「付き合う」の辺りにちょっとだけドキリとしたけども、多分別の意味やろう。
『練習したいんだ。西野さんさえよければ今から』
 そう聞いた時、何でか知らんけど胸が弾んだ。好きな男子に交際してくれ言われた訳でもないのに。
 そんな疑問を抱えながらも、何故か迷わずOKした。単純に、栄吾の一生懸命さが嬉しかったからかもしれん。
『じゃあ、今から行くね。自転車だから、あと十分ぐらいで着くと思う』
「いや、わざわざ家に来んでも。いつもの公園でええやんか」
 すると栄吾は、ほんの少しだけ言いにくそうに。
『でも、もう夜遅いし。それに……西野さん、女の子だから』
 ……ぅあ、そういうこと言う?
「わ、わかったわ。ほな待っとるから……着いたらまた連絡ちょうだい」
 最後のところがちょっと女の子っぽい言い方。変に意識しとるんが自分でも分かって顔が熱くなる。いやいや、これはクーラー点け忘れたからやって、絶対。
『また後で』
 それを最後に、栄吾との通話が切れた。
 ウチはベッドの上に携帯を放り投げて、ぼふっと枕に顔を埋めた。夢と現実を行ったり来たりしとるような感覚。せやけど嫌やない。出来たらこのままずっとこうしてたい。
 でも、時の流れは残酷なもので。ウチはハッと我に返った。
「あと十分しかないやん!」
 ウチは慌ててベッドから降りると、髪を乾かすドライヤーを取りに走った。


 結局練習は、ウチの家から近い自販機の前でする事になった。そこなら人通りも少ないし、明かりがあってお互いの顔が見えるからやった。
 ネタを通しでやった後、上手く行かんかったところを重点的に反復練習。栄吾が自分から練習しようと言い出したんは嬉しいけども、まだまだ甘い顔はでけへん。素直に笑いかけてやれるんは、きっと地区予選を通過した時やろう。
 そうして時計が深夜零時を回った頃、そろそろ練習を終わろうかって雰囲気になった。
 ウチがガードレールに腰掛けとると、自販機からガタコンいう音がした。
「はい、お疲れ様」
 栄吾はサイダーの缶をウチに渡してきた。
「?」
 今までそんな事せえへんかったくせに、どういう風の吹き回しなんやろう。どうしていいか分からんかったから、一瞬固まってもうた。
「あ、ごめん。お茶のほうが良かった?」
 自販機の明かりに照らされた顔は困り気味。見慣れた表情やのに、今日はいつもと違って見えた。何やろ、申し訳ないというよりも残念がるとかそういう感じ。
「……いや、これでええわ」
 と言って、ウチはサイダーの缶を受け取る。封を開けて一口飲むと、すうっと爽やかな風味が口の中に広がった。
「ええっと」
 百二十円出そうと思ってはみたものの、そういや財布を持ってきてない事に気付いた。
「また今度払うわ、ごめんやで」
「いいよ、これぐらい。いつも出してもらってるし」
 なんやかんやで普段はウチが出しとる分、栄吾なりに負い目を感じとるらしい。ま、今日ぐらいはご馳走になろうか。
「おおきに」
 さらりとお礼を言って、もう一口。すると隣に栄吾が座った。
 手が届きそうな届かなさそうな微妙な距離。これが今のウチらの距離なんやろう。
 しゃべくり倒した後やから、二人で何も言わずにひたすらジュースを飲む。連日の熱帯夜に関わらず、今日は少し涼しい。時々弱い風が吹くから、汗が引くのも早かった。
 喉の渇きが収まってきたところで、ウチは「うーん」と背伸びした。二人で漫才やっとる時はそうでもなかったけど、終わってみると少ししんどい。今晩はよく眠れそうな気がした。
「西野さん」
 出し抜けに栄吾が言った。隣を見ると、栄吾は前を向いたまま。ウチが自販機側に座っとるから、影になって顔が良く見えんかった。
「本当に、ありがとう」
「何で?」
 どうしてこのタイミングで礼を言ったのか分からん。しかも栄吾の声は、いつもより柔らかく聞こえた。
「今日、妹の見舞いに行ってきたんだ。西野さんと漫才の練習してるのを話したら、嬉しそうに『頑張ってね』なんて言ってさ。これも全部、西野さんのおかげかなって」
 そん時の優奈ちゃんの笑顔が目に浮かぶようや。兄ちゃんがこれだけ声を弾ませとるんやから、きっと心の底から喜んでくれたんやろな。そんならウチも少しは役に立てとるって事やろう。こういうの、何かええなぁ。
「西野さん、練習の時は厳しいけど、それって一生懸命教えようとしてくれてるって事でしょ?」
 ……あ。こいつ、ウチの考えを読んどるわ。下手したら恨まれても仕方ないこと言っとるのに、それを逆に感謝で返されると――照れ臭い。
「さあ、どうやろな。ほんまは、あんたのこと嫌いやからかもしれんで」
 本音を言うのは癪やから、敢えて意地悪な言い方で。鼻で笑ってやると、栄吾も釣られて鼻を鳴らした。
「……だったら、僕はちょっと悲しいかな」
「え……?」
 今こいつ、何て言うた。
 ウチが問い掛けるよりも早く、栄吾は立ち上がる。
「だってさ、ここまで来たらもう『戦友』みたいなものだと思う」
 戦友。苦しいときも楽しい時もずっと一緒。そんな関係で居られたら、きっと毎日が心強い。
「何言うてんねん。ウチが教えてばっかやから『師弟関係』やろ」
 こんな時、素直に「そやな」とか言えたら良かったんやけど。ウチの意地っ張りスイッチはなかなかオフになってくれへんかった。
「かもね」
 お、すかしてきよった。こいつ、段々余裕出てきたやんけ。
 ええ傾向や、そう思うと顔が緩む。
 いつも張り詰めてたら、ええ漫才は出来ん。少しぐらいは余裕がないとアドリブも出んくなるもんや。それに何より、今まで知らんかった一面が見えてきたのが嬉しい。ブリキ人形みたいな奴やと思っとったけど、予想以上に人間味があるんやと段々分かってきた。
「あ、もうこんな時間」
 栄吾が腕時計を見る。ウチも顔を近づけて見ると、頭に栄吾の吐息がかかった。ちょっとだけくすぐったい。
「ほな、今日はもうお開きやな。また明日……言うても、日付変わっとるけど」
「そうだね。じゃあ、いつもの公園で十時に」
 ウチは立ち上がり、栄吾に向き直った。
「よっしゃ、残りあと二週間もないけど頑張ろか」
「うん」
 相手の返事を聞いてから、ウチは右手を肩の高さに挙げた。すると栄吾も察したらしく、パチンとハイタッチしてくれた。こういう以心伝心が出来たんは、コンビとしての自覚が出てきたからかもしれん。そう考えると、今後の練習が楽しみに思えてきた。


 それから約二週間、ウチと栄吾は時間の許す限り練習を続けた。残り一週間を切った頃には段々形になってきて、栄吾はすっかりネタ原稿を頭に叩き込んどるようやった。間の取り方もそれなりに学習したようで、ウチが口うるさく言う事も少なくなってきた。
 いける。これが今のウチの実感。足らんところを強いて挙げるなら、栄吾がまだアドリブをマスターしてへんことぐらい。せやけど、ネタ原稿を忠実になぞるだけでも地区予選なら充分戦えるはずや。
 そんな感じで毎日が過ぎ、地区予選本番を明日に控えた今日。ウチは結と、渋谷駅前のスターバックスに入ったところやった。
「疲れたー」
 席に着くなり、結が溜息をついた。
「ごめんやで、付き合わせて」
 ウチは結の目の前にフラペチーノを置く。当然、迷惑代としてウチの奢り。
「そうだよー。私、今日デートだったのにぃ」
 おいおい、つまらん男子と一緒にならんで済んだとか言うてたんはどこの誰やねん。三日前から約束しとったらしいけど、それを電話一本で断るあたり相当凄い女やでアンタは。
 ま、それでもウチの都合を優先してくれた事にはやっぱ感謝するべきやろうけどな(相手の男子は気の毒としか)。
 結の向かいに座ってアイスティーを一口。買い物疲れと猛暑でダメージを受けた身体には、冷たい飲み物が心地良い。
「それにしてもさぁ、随分買い込んだよねぇ……」
 結の視線は、ウチの両側に置いてある紙袋に注がれとった。
「そらな。ステージ衣装にはこだわらんとアカンやろ」
 そう。ウチが渋谷まで買い物に来たのは、明日着る衣装を準備する為やった。実はこれも作戦の内。
 漫才甲子園の公式ホームページによると、去年の主な客層は女性やったらしい。しかも大半が十代から二十代ということで、ウチはそこに勝機を見いだした。つまり、若い女性層からより多くの票をゲットできれば、優勝できる可能性がぐっと高まる。
 というわけで、ウチが考えたのは『相方イケメン化作戦』。栄吾は普段は冴えない奴やけど、磨き方次第ではいい線行きそうやった。だから今日は、見栄えのいい衣装を買い込んで男前のレベルアップを図ろうと思った。
 ちなみに栄吾は今、ウチが指定したヘアサロンで髪を切っとるところ。その後は優奈ちゃんの見舞いに行くそうで、出来映えは明日のお楽しみっちゅうわけや。
「衣装って言ってもさ、ほとんど東野君の分じゃん。これ、全部あんた持ちなの?」
「まあな」
 栄吾の家は優奈ちゃんの入院費やら何やらで物要りなんやから、あんまり銭を使わせるわけにはいかん。栄吾のカット代やって、ウチがバイトの給料から渡したもんや。こないだ振り込まれたばかりやから、まだ若干の余裕はある。
「……あんたって、男に尽くすタイプだったのね」
「ちゃうって、ウチはただ漫才甲子園でええ成績残したいだけやって。あいつを男前にしたったら、女性客が票入れるかもしれへんやろ?」
 早口で説明してやると、結は両手を机の上で組んだ。その上にアゴを乗っけて、ウチにどよんとした目を向ける。
「そんなに計算高いタイプだったっけ、彩って?」
「さ、さあな」
 何もかもお見通しみたいな目で見られると、やましい事がなくてもドキドキする。恋愛経験豊富な結の事や、ウチと栄吾の間の微妙な空気を感じ取ってるのかもしれん。
「ま、いいけどさ」
 結がそう言った時、何故か追っ手を捲いたような安心感があった。口ん中がカラカラやったから、アイスティーをずずぅっと吸い込む。
「ところでさ」
「んー?」
 ストローを咥えたまま返事。
「もう、ヤっちゃったの? 東野君と」
「ぶふぁッ!?」
 こ、こいつ……よりによって何ちゅーこと訊くねん! ウチのアイスティー返せや!!
「んなわけあるかいな!」
「えーでも、付き合ってるんじゃないの?」
 気付けば、結が女の目をしとった。少女やのうて、女の目。色恋沙汰は絶対に見逃さない凄腕ハンターみたいな。
「ちゃうちゃう! ウチらはただのコンビやって」
「本当にそお? あんたたち、結構な回数で見られてるよ。あそこの市民公園でさ」
 ……迂闊やったわ。確かに、ウチと栄吾の家から近いんやから、同じ学校の生徒に目撃されとってもおかしくない。
「なんかさ、いい雰囲気だったって」
 いい雰囲気……あれのどこがやねん。ウチが一方的に栄吾を怒鳴りつけとるだけやんか。
 ――ん? そういや、何で結がそんな事まで知っとるんやろう。結はウチと駅一つ離れたところに住んどるから、見とるはずないんやけど。
「ちょい待ち。なんで知っとるん?」
「ん、ネットの学校掲示板でね。今、一番ホットなニュースだよ。明日は地区予選の本番だから、みんなで応援しに行こうって書き込みがあったかな」
 学校掲示板か。見たことないけど、要するに誰かが情報を流しとるんやろう。ウチと栄吾が漫才甲子園にエントリーする事をみんな知っとるわけか。その副産物として、ウチらの関係がどうのこうのって話になっとるんやな。
「もう、いいんじゃない。付き合っちゃえば」
 結が目を細めた。
「私、あんた達のこと好きだよ。お似合いっていうかさ。それに、最近の彩は東野君のことばっかり話してる。本当は好きなんじゃないの?」
「むぅ……」
 正直なところ、ウチにもようわからん。漫才の練習をしとる間に距離が縮まったのは確かやと思う。せやけど、自分が相手の事を漫才の相方として見とるのか、それとも別の意味の『相方』として見とるかどうかまでは。
 そら確かに、栄吾はええ奴や。素材を差し引いても、妹想いなところとか真摯な取り組み姿勢とか、ええところはいっぱいある。今までみたいに単なるクラスメイトやったら、絶対に気づけなかった一面を見る事もできた。
 ふと、栄吾の微笑む顔を思い出した。ぎこちなくて、固くて、不器用で……それでも何だか暖かい。妹の優奈ちゃんは、あんな笑顔を毎日見とるんやろうか。
「ほら~、顔赤くして~」
 結がウチの想像に割り込んできた。悪戯猫みたいな声と目で。
「……あのな、そろそろ許してくれへんか」
「ふふっ、今日はこれぐらいにしてあげる」
 ウチの泣きそうな声を聞いて、結は美少女スマイルを浮かべた。きっと、こういう小悪魔的なところが男子に大ウケする理由なんやろうな。
 ……ウチも結みたいに器用になりたいわ、ほんまに。


 本・番・当・日!
 会場はお台場の野外特設ステージ。実際来てみると本格的な舞台が用意されとるし、客の入りもなかなか。去年は五百人集まったそうやけど、今年も多分そんなもんやろう。
 東京地区予選のエントリー数は百二十二組。予選は一日当たり三十組の計算で四日に分けて行われるらしい。順番は開会式前のくじ引きで決定、ウチらは十八番目やった。
 で、くじ引きの後は会場責任者から簡単な説明を受けて、開会式に出席。それ以降、初日の出演組は楽屋に通された。あとはこのまま、自分達の出番が来るまで待機っちゅう事になる。
 そんな楽屋での一場面。
「だ、大丈夫かな……!」
「そんな緊張しいなや。とりあえずネタの復習でもしとき」
 このやりとりをするんは、もう何回目やろうか。栄吾はそわそわしながら、ウチの前を行ったり来たりしっぱなしやった。
 結のトータルコーディネートで変身したんはええけども、中身は全然変わっとらん。女性受けしそうな外見をしとる割には弱々しそうやから、見ているとアンバランスに思えてくる。
 落ち着かない相方を尻目に、ウチはイスに座ったまま他のコンビを見渡した。延々練習を続けとる組、ナーバスになって喧嘩し出す組、携帯いじって遊んどる組……時間の使い方は人それぞれ。せやけど、共通しとるもんが一つだけある。
 その時、会場からひときわ大きな笑い声が聞こえてきた。
 すると楽屋におる全員が、一斉に会場の方を向く。
 ……そう、これや。誰もが、自分達よりも前の組を気にしとる。客にウケとるか、はたまた滑っとるのか。今、舞台におるコンビはどうやら前者のようで、その事が待機しとる人間にプレッシャーを与えとった。
 ウチの相方もその一人。目を見ると、焦点が全然定まっとらん。そら当然やろう、ウチらの組は次の次に出番を控えとるんやから。
 しばらくして、演目の終わったコンビが戻ってきた。顔が達成感に満ちとるから、本日一番の大当たりを出したんやろう。
「……もうすぐやな」
 会場から拍手が聞こえてきた。ウチらの前の組がネタを始めたらしい。
 一組あたり持ち時間は十分なので、次のウチらはそろそろ舞台袖に待機せなあかん頃や。
「次の組は準備して下さい」
 案内係が楽屋に来てウチらのコンビ名を呼んだ。
 軽く返事して、栄吾と一緒に楽屋から出る。通路を歩いとると、後ろの足音が遠ざかっていった。振り向くと、栄吾は通路の途中で立ち止まったまま動かへん。体調でも悪くなったんやろうか。
「どないしたん?」
 引き返して訊く。
「あ、足が」
 下を見ると、栄吾の両脚が小刻みに震えとった。緊張し過ぎて足が動かへんのやろう。
 ……しゃあないな。
「そういう時はな、手のひらに『人』って書いて飲み込むんや」
 ありきたりやけど、やらんよりはマシ。小さなアクションを起こす事で身体が準備を始めてくれればそれでええ。
「ほら、こうやって」
 初めにウチがやって見せる。かくいう自分も緊張しとるから、ちょうどええ機会やった。
「ひ……ひとって……どう書くんだっけ……!」
 指が震えとる。怖いんやろう。失敗した時の事が。
 いよいよ末期や。完全に頭がパニクっとる。せやからウチは、自分の手のひらに「人」と書いた。
「ほら、こっち向き」
 真っ青な顔。その唇に、ウチは自分の手のひらを当てる。
「そのまま深呼吸や」
 左手に栄吾の息を感じる。
「ええか、練習を思い出すんや。今まであんたは一生懸命やってきた。ウチはあんたの頑張りをずっと見てきた。大丈夫、ウチらは最高のコンビや」
 栄吾は目を閉じて回想しとるみたいやった。段々息は収まり、いつもと同じぐらいに。やがて相方は目を開き、小さく頷いた。
「……ありがとう、落ち着いた」
「よし、ほんなら先行くで!」
 ウチは栄吾に手を振り背を向けた。ここでへこたれてくれるなと願いながら。


『それでは次の組です、どうぞー!』
 司会のアナウンスが聞こえた。ウチは勢い付けて階段を駆け上る。
 いざ、勝負!
「はいっ、どぉーもぉー」
 舞台の袖から早足で中央へ。前屈みで両手を叩くのがウチのスタイルや。
 反対側を見ると、栄吾も同じ格好で出てきた。ウチが教えた事を忠実に守ってくれとるのが嬉しい。表情は……若干固いけど、まあ大丈夫やろう。
 舞台中央のマイクスタンド前に集合すると、栄吾が先に口を開いた。
「東野です」
「西野です」
『イースト・ミーツ・ウェストです!』
 まずは最初の挨拶。二人の声がバッチリ重なった。すると会場が拍手で一杯になる。
「よろしゅー!」
 ウチは手を振りながら客席をざっと見渡した。観客の割合は、十代から二十代の女性客が大半。ウチの予想通りや。
 視界の端では、栄吾も照れくさそうに手を振っとった。女性客にサービスするとか、えらい余裕やんけ……とか思ってたら、栄吾が見てるのは客席の端っこやった。そっちを見てみて納得、そこには車椅子に座った優奈ちゃんがおった。隣に座っとるんは栄吾のオカンやろう。
 栄吾の身内が見とるんなら、下手な漫才はでけへん。ウチは相方にアイコンタクトを送ると、いつもの元気三倍増しで第一声を放った。
「はいっ、というわけで始まりました漫才甲子園。見ての通り、ウチらは男女コンビなんですけど、こいつは東京出身、ウチは大阪出身になりますー」
 最前列の客が「へぇー」と唸る。うんうん、そこの姉ちゃん。ええ反応やで。
 すかさず、栄吾が後に続いた。
「……まあ、本当は九州出身なんですけどね」
「嘘ぉん!?」
「産地偽装しましたことを、この場で深くお詫びします」
「いやいや、意味わからんし」
 ウチは速攻でツッコミを入れる。おじぎする栄吾の頭をペシッとはたいた途端、会場がドッと沸いた。
「……ごめんですたい」
「泣くな! ていうか、言葉おかしいし!!」
 栄吾がボケを被せてきた。一方ウチは二段ツッコミで更に笑いを誘う。
 会場の反応は上々、掴みがええ感じに炸裂したみたいや。よし、ええで。この調子この調子。
 こうしてウチらの漫才は、まずまずのスタートを切った。


 ネタが中盤を過ぎた頃には、栄吾は完全に落ち着きを取り戻したみたいやった。
 せやけど、まだまだ気を緩めたらアカン。次はいよいよ栄吾が苦手やったパートや。
「――ところで西野さん、今年の夏はどこか行きましたか?」
 よし、話題換えのタイミングばっちりや。声の張りもええ。
「ウチは海に行ってきたで」
 心の中で満足しながら、練習した通りの台詞で返す。
「いいですねー。十代の海といえば色々夢が広がりますよね」
 お、ちょっと変えてきよった。そういう返しは歓迎するで。
「せやろー。海いうたらアレやん」
「そうそう。白い雲、見渡す限りの砂浜!」
「眩しい太陽、女の子の水着!」
「そして海坊主!」
「なんでやねん!」
 すぱーんと栄吾の頭をはたく。ここまで完全なアドリブや。そんなこと知らん観客はウチらのボケとツッコミに大盛り上がり。こら、ほんまにイケるかもしれんで。
「失礼」
 こほん、と栄吾が咳払い。
「……それで、何かいい出来事ありましたか?」
「あったなぁ」
「何です?」
「ナ・ン・パや」
 実際にあった出来事やないのに、ついついドヤ顔をしてしまう。
「へぇー、物好きもいたもんですね」
「やかましわ! ウチかてナンパぐらいされるがな」
 会場から聞こえる女子の笑い声。
「そうですか。どんな風に誘われたんです?」
「気ぃ悪いから言うたらへん。当ててみぃや」
「じゃあ、ちょっとやってみますね」
 ここまでの流れは完璧や。あとは、栄吾がイケメンっぽくモーションを掛けてくるのを待つだけ。相方イケメン化作戦が、最も効果を発揮するところでもある。
 うきうきしながら栄吾のネタ振りを待っとると、何故か両肩をガシッと掴まれた。
 ……ん? ここでまたアドリブかいな。ええで、どんなボケでも返したるがな。

「好きです」

 あー、そうそう。アホかっちゅうぐらいにストレートで………………って! ぇぇぇええええッ!?
 正面向いたら、栄吾の顔が間近にあった。まっすぐな瞳を見たら、ふざけてないことぐらいすぐに分かる。っつーか、こいついきなり何言い出すんや!
 ボンッと何かが爆発する音。体中の血管が広がって、ウチの顔がみるみる熱くなる。きっと遠目に見ても、ウチがトマトみたいになっとるのが分かるはずや。それだけ、栄吾の台詞は破壊力抜群やった。
「……え、ちょ……!」
 あかん、返しが全然思いつかん。三段オチでも一発ギャグでもなく、なんでこんな事……。
「頑張ってー!」
 観客の誰かが茶化すように叫んだ。ふわふわした感覚のまま、ウチは声がした方を向く。
 こっちに手ぇ振っとる連中を見た瞬間、ウチの顔にヒビが入った。
 そこにいたのは――同じ学校の生徒達やった。
 客席の真ん中を陣取って、ご丁寧にも応援用の横断幕をウチに見せてくる。横断幕には、ウチと栄吾のフルネーム。二人の名前の間にはでっかいハートマークが描かれとった。挙げ句の果てに、横断幕を持っとるのはウチをフった倉田君。他の連中が連れてきたんやろう。
 ちょ、あんたら何してんねん!?
 声が出ない代わりに、心の中で精一杯抗議する。せやけど、同級生はそんなことおかまいなしに黄色い声ではやしたてた。
 夏休み前の失恋劇がフラッシュバックする。恋が破れた瞬間を見とった目、その時の様子を笑い話にする女子達、飛び交う噂に尾ひれがついて――
「……み」
 やっとのことで声を絞り出す。今はもう、ネタなんかどうでもよかった。
「見るなァァァァッ!」
 魂の叫び。
 なのに観客の笑い声が余計デカくなる。
 会場を埋め尽くす、笑い、笑い、笑い。邪念のない、ただ「おかしいから」というだけの笑い。ウチの慌てっぷりがツボに入ったんやろう。でも、それをオイシイと思えるほどウチの心に余裕は無かった。
 嫌や、こんなん嫌や……っ!
「西野さんっ!」
 ウチは舞台を駆け下りる。観客の笑い声が聞こえんよう、耳を塞ぎながら。


 あの後、ウチは結果発表も見ないで会場を出た。ネタを中断したんやから失格なのは目に見えとるし、恥の上塗りされるぐらいなら帰ったほうがマシと思ったからやった。
 お台場から電車に乗って自宅最寄駅まで。栄吾が顔色伺いながら付いてきとったけど、話をする気にはなれんかった。
 駅の改札を出たところで、栄吾に呼び止められた。
「……ごめん、全部僕のせいだ」
 それを聞いた途端、抑えとったもんが一気に爆発した。
「何でもかんでもすぐに謝ったらええもん違うわ!」
 振り向きざま、ウチは栄吾を怒鳴り付けた。
「あんなん、どう見たってウチのミスやろが! それを自分の責任にして、気取るのも大概にせえや!!」
 そうや、あれは予想外なこと言われて舞い上がってもうた自分が悪い。それを全部背負い込むとか、あんたどこまでお人よしなんや。
 栄吾が首を横に振った。
「……違うよ。僕が謝ってるのは、みんなを呼んだこと」
 えっ? それ、どういう意味やねん。
「学校掲示板に漫才甲子園のこと書き込んで……応援して欲しいって言って……」
「……何やって?」
 ちゅうことは、会場に同じ学校の生徒が来てたんは。
「あんたか! あんたが原因か!!」
 裏切られた。そう思った。理屈抜きで。
 掲示板でウチらの関係がどうのこうのって書かれとるのに、学校の連中を呼んだら火に油を注ぐようなもんや。そしたらあいつらのことや、面白がって突っつくに決まっとるやろ。ちょっと考えれば分かるはずやのに、何でこいつはそれがわからんのや。こいつっ……ここまでアホやとは思わんかったわ!
「ドアホ! そのせいでウチは――」
 そこで喉が詰まった。夏休み前の失恋劇が頭を過ぎったからやった。
 人の色恋沙汰を笑いもんにして、無責任な噂を流す奴ら。そのせいでウチがどれだけ辛い思いしたのか、あいつらは……知らんのや。
 じわっと涙が浮かんだ。けど、泣きそうなのを気取られたくなかったから、ウチは声のボリュームを上げた。
「あんたもっ……あいつらと同じや! ウチが大阪の女やからって、何してもええと思っとるっ。ああそうか、あんたはウチを笑いもんにして仕返ししたかっただけなんやな! やからあんなアホなこと言って、ウチを困らせようとして――」
 自分でも難癖やって解っとる。それでも言い続けんと泣き崩れてしまいそうやった。
「ごめん言うたら何でもチャラかいな! もうええ、あんたとはコンビ解消や。人の気持ちも解らんような奴と組みたくない!!」
 それからウチは栄吾を罵倒し続けた。次々と出てくる汚い言葉、黒い感情がどんどん溢れてくる。自分がこんなにも人でなしかって思えるぐらいに。
 そして最後に、ウチはこう言った。
「あんたの事なんか大っ嫌いや!」
 その時、栄吾がグッと奥歯を噛みしめるのが見えた。眉を八の字にして、哀しそうな目をウチに向けとる。信じとった相手から刺されたような……そんな顔。
 胸がズキンと痛んだ。でも、もう今更後には戻れない。ウチは栄吾から逃げるように、駅の出口へと走った。


 家に帰った後は、自分の部屋から出る気になれんかった。
 ベッドに寝転がったまま今日の出来事を思い返して、怒って、泣いて、そんな自分が嫌いになって……それの繰り返し。ウチの心を海に喩えたら、船は確実に沈没しとる事やろう。
 ――わかってんねん、全部自分が悪いんやって。
 意地っ張りで、負けず嫌いで、いつも強がってばっかりで。笑いに厳しいと自覚しとる割には、自分の失敗をオイシイと思えないほど中途半端。それでも周りが変に期待するから、応えなあかんと思ってしまう。
 そら、ウチにも原因があったんやと思う。こないだの失恋劇でも、話を振られる度に笑って答えとったから。だってそうでもせえへんと、自分が弱っとるってバレてまうやんか。
 きっとウチは、自分をネタにする事でしかプライドを保てへんかったんやろう。自分が弱っていくのを見透かされたくなくて、本当は泣きたいのを指摘されたくなくて。だから無理して笑って答えた。心の中で涙流しながら。
 今思えばそれが間違いやった。ウチが笑うから、他の連中はまだ大丈夫と思って余計調子に乗る。そしたらウチはもっと強がって、「んなわけないやん」とか言いながら笑顔作って、その代わりに人目のないところで落ち込んで。ほんまに、面倒臭い女やわ……。
 携帯が鳴った。
 着信画面を見ると、表示されてるのは栄吾の名前。あれだけ酷いこと言われたくせに、まだウチと話すつもりなんやろうか。
 今のウチに、栄吾と話す資格なんか無い。あいつが少なからず好意を持ってくれとるんは知っとるけど、こんな面倒な女と話して楽しい事なんかあらへんやろ。それにウチはもう、あいつの事を大嫌い言うてしもたし。結みたいに可愛らしく「ごめんね」とか言えたらええんやろうけど、生憎ウチはそこまで器用やない。
 ウチは携帯の電源を落とすと、枕に顔を埋めた。


 それから一晩、悶々と過ごした。飯も食わず、風呂にも行かず。まるでベッドが自分にとって最後のオアシスみたいな感覚。どれだけ思考の堂々巡りを繰り返したか分からんけど、気付いた時には眠りに落ちとった。
 ――ピンポーン。
 玄関のチャイムで目が覚めた。寝ぼけまなこで時計を見ると、時刻は午後一時過ぎ。こんな時間まで寝っぱなしになるほど、ウチは同じ事を考え続けとったんやろう。しかもまだ、鬱モードは継続中なわけで。こんなんじゃあかんって頭では解っとっても、部屋から出るにはまだ抵抗がある。
「彩ー、降りてきいやー」
 玄関の方からオカンの声が聞こえた。二階の部屋でこもりっきりのウチに、何の用事があるんやろうか。
 すると、階段を昇る足音が近づいてきた。ドアの前で立ち止まったから、部屋に入るのを迷っとるような印象。これがオカンやったら、問答無用でドア開けそうなもんやけど……?
「西野さん、今……いい?」
 この声――栄吾やんか!
 よりによって一番話したくない相手が来た。ドアの向こうに悲痛な顔が想像できる。ウチに許して貰えるまで謝り続けるつもりなんやろうか。
 ウチが返事せえへんかったから、相手が一方的に話し掛けてきた。
「全然電話に出ないから心配したよ」
 一瞬、「えっ?」と思った。もしかしてこいつ、一晩中電話掛け続けとったんやろうか。
「きっと今は、僕が何を言っても受け入れてくれないと思う。だから、聞き流すだけでもいいよ」
 そう前置きして、栄吾は語り始めた。
「今まで、本当にありがとう。西野さんと漫才の練習をしてた時の事、僕は一生忘れないよ」
 ……なんやそれ。もしかしてあんた、ウチに別れを言いに来たんか。
「でね、練習しながら気付いた事があるんだ」
 こころなしか、栄吾の声が明るくなる。
「何ていうかさ、西野さんって本当は優しい人なんだと思う。上っ面だけじゃなくって、相手の事をよく考えてるっていうか」
 ウチが優しい? そんなわけあらへんやろ。
「意地悪なこと言っても、本当は逆の事を考えてたんじゃないかな。僕はそう思ってたから、厳しいこと言われても耐えてこられたんだよ」
 こいつ……何から何までお見通しみたいなこと言って……。
「ひょっとしたら僕の下らない妄想かもしれない。だけど僕にとって西野さんは、優しい女の子だよ。ちょっとだけぶっきらぼうなところがあるけど、それでも最後はちゃんと助けてくれる。手をさしのべてくれる度に、『ありがとう』って何度も思った」
 それを聞いて、胸がきゅっとなった。辛いのとは別の感情が溢れてくる。それが何なのか、今のウチには解らへん。
「僕はこんな性格だから、みんなは話し掛けるのが面倒で避けてると思う。けど、西野さんだけは僕と正面から向き合ってくれたよね。僕はそれが嬉しかったんだ」
 胸の締め付けが強くなる。ウチは服の胸元を掴んだ。
「西野さんに会えて、本当によかった。僕の事が嫌いなら、それは仕方ない事だと思う。いくら弁解しても白々しいだけだし。二度と会いたくないって言うなら、もう来ないよ」
 何で、何であんたはそんなに潔くできるん。もっとしがみついてくれたら、ウチかて……っ!
「最後に一つだけ。『あの時』に言ったこと、嘘じゃないから」
 ぎしっ、と床が軋んだ。栄吾が帰り支度を始めたんやろう。
 ウチが何も言わんかったら、栄吾はこのまま帰ってしまう。そう思ったら寂しさが込み上げてきて、途端に涙腺が緩んだ。
 栄吾は、「大阪の女」やからやのうて、ウチやったから付き合うてくれた。同じ学校で唯一、ウチのありのままを見てくれた男子。このまま離ればなれになるのは名残惜しい。
「栄吾っ……」
 行かんとって! そう言えたら良かった。でも、まだ心の整理が出来てへん。口にした相手の名前さえ、小さな声でしかなかった。
「じゃあね」
 ウチの声が聞こえんかったらしく、栄吾の足音が遠ざかる。玄関のドアが閉まったのがわかった時、胸の締め付けが一気に弾けた。
 涙が、後から後からこぼれてきた。冗談めかして笑う事も出来ん。部屋に一人で居るのが、こんなに辛いとは思わんかった。
 泣いた。とにかく泣いた。声を押し殺して、それでも顔を目一杯歪めながら。
 そしてようやく気付いた。
 ウチが、栄吾を好きやって事に。


 少しして、ドアのノックが聞こえた。
「彩、ちょっとええか?」
 珍しく、オカンが部屋に入るのを遠慮しとる。ウチが泣いとるんを察してくれたんやろう。
「東野君、帰ってしもたで。ええんか、それで」
 いつもは気軽な喋り方やのに、今は違う。親として真面目な話をしようとしとるのが伝わってきた。
「……けどっ」
 やっとの思いで絞り出した声は、つまらん言い訳を始める合図やった。
「ウチ……あいつに逢う資格ないもん!」
 正直言うたら、逢いたいに決まっとる。こんなウチでも、栄吾はわざわざ家に来て、おまけに自分の気持ちを全部吐き出して行った。そんなら、こっちも相手に応えなあかんと思うのが人情や。
 けど、自分の気持ちを正直に言わんと天の邪鬼なことばっかりしとるウチが、あいつに会ってどないすんねん。またおんなじ事を繰り返すだけやんか。
「アホか、あんたは」
 怒るでもなく、ツッコミにも似たオカンの返答。
「あんたも大阪の女やったら、ええとこ見せへんかい」
 何言うてんの、大阪の女にええとこなんかないやんか。周りから芸人扱いされるし、泣きたくても笑って応えなあかんし。せいぜい、コメディ小説のお笑い担当務めるんが関の山やないか。
「嫌や! ウチ、大阪の子に生まれとうなかったもん!!」
 はぁ、という溜息が聞こえた。オカンはウチの言い分に困り果てとるらしい。
「何言うてんの。お母ちゃん、長い間大阪の女やっとるけど、なかなかええもんやで」
 まるで自分を誇るような言い方やった。
「大阪のおばちゃんはな、ちょっとずうずうしいねんで。家族や友達の為なら、何しても恥ずかしくないんや」
「それのどこがええんや! しかもウチ、おばちゃん違うし!!」
「まぁ、最後まで聞きぃや。サービス精神旺盛なのも大阪女のええところやな。おもろい事するのが好きやし、ネタ交えてしゃべくり倒すのも大好きや。そうやって、周りの人を笑かしたら気持ちええやんか」
 それは……確かにそうやけども。笑われるんは嫌いやけど、みんなを笑顔にさせるのは大好きや。そもそもウチがお笑いを好きなんは、そのせいでもあるんやし。
 反論するのも忘れて聞き入っとると、オカンの声が優しくなった。
「……ええか。大阪の女はな、ごっつ愛情深いんやで。好きな人の為なら何でもできるし、ちょっとばかし恥ずかしくても頑張れるんや。人の笑顔を好むんも、愛情あればこそなんやで」
 そんな風に考えた事、一度もなかった。これはオカンなりの考え方やろうけど、妙に説得力がある。
「お母ちゃんはな、彩の笑顔も、お父ちゃんの笑顔も大好きやで。みんなが笑ってくれるんやったら、お母ちゃんそれで嬉しいもん。せやから彩、一つ教えてや」
 ん? 何や改まって。
「あんたは今、誰の笑顔が見たいん?」


 ――今、どこにおるん?
 ――妹の病院だけど、どうしたの?
 ――そこ動くな! 今からウチの気持ち、ぶつけに行く!!


 ウチは部屋を飛び出した。階段を駆け下りて玄関まで一直線。外出を思い立ったのは、栄吾の居場所が分かったからやった。
「おー、彩。どこ行くんや?」
 振り向くと、ちょうどオトンがリビングから顔出したところやった。阪神タイガースのユニフォームを羽織っとるから、野球の観戦中なんやろう。
「栄吾んとこ!」
 西野家の家訓は隠し事をしないこと。ウチは正直に答えて、ドアの取っ手を握った。
「そうかいな」
 と言った後、何かを考えるような間。ウチがドアを開けると同時に、こんな台詞が聞こえた。
「球児並の剛速球投げてきぃやー」
 ……このアホ親父。あんたおもろいやんけ!
「ああ、ストライク決めてきたるわ!」
 振り向くのももどかしく、ウチは家を出た。さっき受信したメールによれば、栄吾が今おるのは優奈ちゃんの入院先。妹想いな栄吾らしいっちゃらしい。
 眩しい太陽に照らされながら、ウチは全力で走った。この気持ちが変わってしまう前に、少しでも早く栄吾のもとへ行きたかったから。
 ウチは栄吾が好きや。もうこれは変わらん事実、やったら今度はこっちから気持ちを伝えなあかん。結果がどうなるかわからんけど、とりあえず今は素直な気持ちを言う事が先決や。
 握ってた携帯電話が鳴った。
 走りながら通話ボタンをプッシュ、耳を当てるとどこか懐かしい声が聞こえた。
『やっと繋がった! ちょっと彩、大丈夫なの!?』
 ……そういえば電源入れた時、鬼のように不在着信メールが届いたっけか。その割合は栄吾と結が半々ぐらい。まったく、ウチは人騒がせな女やわ。
「ごめんやって! もう復活したから大丈夫やで」
『……もう、あんたが死んでたらどうしようかと思った。彩って打たれ弱いくせに結構強がりだから。あの後どうしたか、本気で心配したんだからね!』
 結の声が震えとる。普段はスカしとっても、こんな時はやっぱり親友やと思う。漫才の結果があんなんやったから、結なりにウチの事を考えとってくれたらしい。
『ところで彩、あんた走ってる?』
 多分、風を切る音が聞こえたんやろう。ウチは肯定すると、理由を付け加えた。
「今から、栄吾に告ってくる!」
 電話の向こうで、結が「ええぇぇぇっ!?」と叫んだ。そらそうやろう、今まで煮えきらんかったウチがいきなりそんな事を言い出したんやから。
『……ま、まあ。彩が決めたんなら文句ないけど……勝算はあるの?』
「知らんっ。けど、ウチは大阪の女やから、愛情表現せずに居られへんのや!」
 またまた結が変な声を出した。いつもの仕返しが出来てると思うと、何か気持ちがええ。
『……ま、頑張ってきなさいよ。後で絶対に結果教えてよね、約束だよ?』
「ああわかった。ほな、もう切るで」
 はいはい、という呆れた返事が聞こえた。きっと今頃は、欧米人みたいに肩をすくめとる事やろう。
 電話を切って、走る速度を上げた。強い日差しが体力を奪っていくけど、立ち止まりたくない。一分でも、一秒でも、一瞬でも早く、ウチは栄吾の顔を見たい。不器用でいて、暖かい笑顔を見たい。できたら満面のスマイルが理想的やけど、それは高望みし過ぎってもんやろう。
 信号のある交差点を通って、そこからは近道。ビルの隙間を縫うように走る。
 息が切れてきた。汗も滝みたいに流れとる。体温が限界まで上がってきたのを感じたころ、目の前に病院が見えてきた。敷地周りの低い植え込みを飛び越え、エントランスに向けて最後の力を振り絞った。
 ――おった!
 栄吾はちょうど、自動ドアを通り抜けたところやった。律儀に出迎えてくれるつもりやったらしい。
「栄吾!」
 名前を呼ぶと、向こうも気付いた。歩きながら、こっちに近づいてくる。
 ウチは立ち止まり、両膝に手を当てた。そのまま深呼吸して息の乱れを整える。栄吾はウチの準備が整うまで待ってくれそうやった。
 顔を上げると、五歩向こうに栄吾が見えた。表情はいつも通り、余裕のない真顔。そこから動かへんのは、ウチのアクションを待つ為かそれとも別の目的からか。
「お姉ちゃん、が・ん・ば・れぇぇぇぇええええっ!」
 幼い声援が割って入った。
 声がした方を向くと、六階の窓から優奈ちゃんが顔出しとった。天使の笑みを浮かべながら手を振って。ひょっとして栄吾が動かんのは、ウチの告白を待つよう優奈ちゃんが指示したからなんやろうか。十歳になればもう、こういう場面で何があるか分かるやろうから。
 ……ありがとな。
 優奈ちゃんの応援を受けて、ウチは前に進む。
 手が届きそうな距離。栄吾の顔が目の前にある。
 胸の高鳴りはいよいよマックスへ。心臓の音が栄吾にも聞こえそうなくらい。
 言う。絶対に今言う。あんたの事が好きやって。
 そう決めたはいいものの、恥ずかしくて相手の顔が見られへん。やから、一旦顔を下げて深呼吸。
「緊張してる?」
 栄吾の声を聞いて、口から心臓出そうになった。返事でけへんから、目ぇ瞑って首を横に振る。
「そういう時は、手のひらに『人』って書いて飲み込むんだよ」
 どこかで聞いたようなアドバイス。こんなしょーもないこと言うたの、一体誰やねん。
「ほら、こっち向いて」
 茹で上がった顔をおそるおそる上げると、唇に手のひらを当てられた。意外にたくましい、節くれ立った手。伝わってくる、栄吾の体温と、匂い……。
 目を開いた。
「落ち着いた?」
 そう尋ねてきた栄吾の顔は、まさかの満面スマイル。今まで見てきた中でも、とびきりの笑顔やった。
 もう……こんなんされたら………………ッ!
「だぁっ!」
 衝動に任せて、がばっと栄吾に抱きついた。相手の首に両手を回して、顔を見られんよう、おでこを胸に預ける。
 びくんっ、という反応。それでも栄吾は、遠慮がちに両腕を回してきた。まるで壊れ物を触るみたいに、だけど逃がさないようしっかりと。
 みるみるうちに、頭の中が「だいすき」と「しあわせ」で一杯になる。
 ああそうや、怖い事なんか何もあらへん。
 せやからウチは、栄吾の耳に口を近づけて、そっとささやいた。

「……うち、あんたの事めっちゃ好きやねん」


                                              [了]

2012年05月20日(日)20時11分 シンズー  +20点
執筆お疲れ様です! そして、この度は企画の運営、本当にお疲れ様です。良き創作の場を設けてくださり本当にありがとうございました。御作には既に多くの感想が投稿されており、企画運営でお疲れのところに手間を増やしてしまうようで心苦しいのですが、感想のお返しなどさせていただこうと思います。

○ 文章について
な……なんてアクの強い文章……! 正直、初めのうちは関西弁に少し戸惑いましたが、ちょっと読み進めてみると案外すんなりと受け入れることができました。西の人の思考回路って独特ですよね……。話してみると本当にそう思います。

○ キャラクターについて
見せてもらおうか、関西の乙女の実力とやらを……! 
というわけで、関西ガールの主人公が魅力的でした。ただ、主人公が個性的なせいか、東野君がだいぶ食われてしまっているとも感じました。彩の両親や結など脇役の存在感は適度で良かったと思います。主人公一家がコッテコテの大阪家族って感じでわりとツボでした。

○ ストーリーと構成について
コミカルな関西弁の文章に加え、展開に勢いがあって好印象でした。冒頭ではマジダッシュで逃げる倉田君の行が面白く、早い段階で心掴まれました。ただ、前半部分に『漫才大会に出場する』という方向性を強く示されていたせいか、漫才大会が終わってからが少し冗長だったという側面もあったように思います。加えて、その大会の結果もさらっと流されてしまっていて、漫才大会という要素がやや消化不良気味だったようにも思いました。

○ 全体的なことについて
ユニークな題材に加え、読み手に次の展開への興味を持たせるようなストーリーの進め方がされており、とても魅力的な作品だったと思います。面白かったです。ただ、主人公が関西ガールであること以外には、ごく普通の高校生の恋愛ストーリーだったという印象も受けました。その点が少し物足りないと感じた部分です。関西ガールの特徴、漫才大会への出場、この二つの要素を今より一歩踏み込んで二人の恋愛に関連させることができれば、さらに個性的で、今以上に魅力的な作品になるのではないかと自分は感じました。

○ 最後に
知ったふうなことを色々と書いてしまいましたが、ご気分の害されない範囲で参考にしていただけると幸いです。少しでも作者様の糧になれればと書かせていただいた次第です。
それでは、失礼いたします。 
2012年05月20日(日)12時26分 庵(いおり)  作者レス
 拙作に感想を下さった皆様、ありがとうございます!
 大変遅くなりましたが、作者レスです。
 本来ならばお一人様につき1ページを費やしてお返事差し上げるのが礼儀だとは思いますが、同じ作者のレスで感想新着欄を埋めてしまうと他の方の迷惑になりかねませんので、失礼ながら一括レスさせて頂きます。

※表示形式の都合上、作者レスを書いた逆順に投稿しています。

■ ■ ■

【いさおMk2さん】

 感想一番乗りありがとうございました。多分、速攻で作者バレしていたからでしょうね。普段お世話になっている方から一番に感想を頂けて嬉しいです。

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


> 読後、小生も耳元で
>「……うち、あんたの事めっちゃ好きやねん」
>とか言われてええええ! と思いました。切に思いました。
◆ありがとうございますw
 今回はヒロインの可愛らしさ重視で書きましたので、そう言って頂けると嬉しいです。

>おそらく作者様はネイティブの人なのでしょうね。
◆実はネイティブじゃないんです。大阪在住なんですけど、出身は別のところだったり。普段から大阪弁の人と会話しているのが功を奏しました。

>ですので、その大阪人の気質と、それが関東で妙に浮いている感じとかがとても良く表現できている事にまずは舌を巻きました。
◆そうなんですよね。大阪人って、何故か他府県だと妙に浮いている感じです。本作では大抵の人が思い浮かべる「大阪人」のイメージで書きました。

>無理繰り難癖をつけるのならば、やはりお話の展開がストレート過ぎる所
◆凝った展開のお話って、書くの苦手なんです。挑戦してみようとは思いつつ、いつも易きに流れてしまうのは私の悪い癖ですね。

>お題が本当に消化だけで使われている所
◆本企画に投稿された作品で、お題と真摯に向き合った作品と出会う度に罪悪感に苛まれっぱなしでした。お題を設定した身として、ここは深く反省すべき点でしょうね。

>あと、東野君。
>気持ちは大変良く伝わるのですが、それでも妹の為にあれだけ一生懸命やっていたのに、あそこで全部ひっくり返しちゃう様な振りをするかなあ、と、少しだけ思いました。
◆彼の告白については、他の方からもご指摘頂いています。ここが本作のウィークポイントだとよく分かりました。
 作者的には、本番前のやりとりで彼が勝手にテンション上げちゃった……ぐらいの動機付けしか考えていませんでした。彼の心情について書き込みが足りなかったのも反省点です。ご指摘、ありがとうございました。


 さて。
 ここ最近負けが込んでいたので、ようやくイーブンに持ち込めた感じです。次回また競うことがあれば、その時もどうかお手合わせ願います。

 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

【grass horseさん】

 いつもお世話になっています。感想でのご参加、ありがとうございました。深く読み込んだ上での的確な感想はとてもいい勉強になります。

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>以上の点から考えると、自分は良いタイトルなのではないかと思いました。作品の内容と同じような潔さを感じます。
◆ありがとうございます。
 本作はタイトルありきで、それに合ったお話を書く形になりました。ストレート過ぎるのが難点ですが、これしか思いつかなかったので仕方ありませんねw

>一方で、前半から中盤にかけての展開は、いささか勢いに欠けるように思いました。
◆ですよねぇ……(汗
 中盤は彩と栄吾の交流をメインに描きたかったので、あまり動きのあるシーンを描けませんでした。ゆっくりと時間をかけながら、でも楽しく読ませられる方法を模索しないといけませんね。

>また、妹を笑わせるために二人で漫才をすることになる、というところから始まった二人の交流でしたが、結局のところその目的がどこかぼやけていってしまい、ある意味二人が出会うための「きっかけ」としてしか機能していないところが、勿体無く感じられました。
◆うぅ……鋭い。
 まったくその通りでして、妹の存在や漫才は、あくまで2人を一緒に行動させる為のきっかけでしかありませんでした。色々と誤魔化している本作ですが、やはり読む人が読むと張りぼてだらけなのだと思い知らされます。

>とはいえ作品を呼んでいる間に物凄く感じた、という部分ではなく強いて言うのであれば最後に妹が出てきて「がんばれぇぇぇ!」と叫ぶところでしょうか。その時に、ふと「あれ? この人を笑わせるために、二人は漫才を始めたんだった……よな?」と思いました。
◆ますます鋭いですね……(汗
 ラストで妹に応援させたのは、作者が「みんなに祝福されながら告白する」という流れを作りたいがために、その一要素として入れただけの事です。このあたり、読者にそうと感じさせないだけの練り込みが足らなかったのだと反省しています。

>個人的にラブストーリーとして物足りなかったのは、栄吾の魅力がそれほど伝わって来なかったことです。
◆はい、おっしゃる通りで。
 彼については、他の方からも同じようにご指摘頂いています。ヒロインの可愛らしさを描く事を重視していた為、相方がおざなりになってしまいました。物足りなさを感じさせてしまうのは作者の力不足ですね。すみませんでした。

>それは、この作品で使われている小道具とも言える存在である「漫才」がイマイチ生きていなかったと感じたことです。
◆先述の通り、漫才に関してはメイン2人を一緒に行動させる為のきっかけでしかありませんでした。つくづく詰めの甘い作者です。

>とはいえ、それを考慮からはずしたとしても、やはりうるさい文章だなぁ、とそのように感じてしまいました。
>勢いがあるのは良いのですが、どこか詰め込みすぎのようにも感じます。
◆地の文が大阪弁なので、読みにくく感じさせてしまうであろう事は覚悟していました。
 あと、詰め込みすぎという感想については、以前の拙作でも同じ指摘を頂いていましたね。ごめんなさい、癖なんですよ。色々と情報を詰め込みたくなってしまうの。

>>「球児並の剛速球投げてきぃやー」

>特に自分のお気に入りは、この一言ですね。
◆ありがとうございます。オトンの存在を消そうかどうか悩んだ末に登場させましたが、この一言を評価して頂けて嬉しいです。

>一方で、ときおりあざとさを感じるようなところもあり、リアルかそうでないかと問われるとよくわからないのですが、そういった部分を削っていけばもっと魅力的な主人公になったのではないかと思います。
◆あざといところがあるのは重々承知の上。一般文芸なら必要ないとは思うのですが、ラノベである以上、どうしても入れなければと思っていました。

>東野栄吾
>名前の響きにどこか某有名作家を感じますね……。
◆ヒロインが「西野」なら、相方は「東野」しかないでしょうと思った時、真っ先に浮かんだのが某作家と某芸人でした。語呂の良さから名前をちょっとだけ改編して採用。安易過ぎましたね(苦笑

>ひとつ気になったのが友人こと結でした。結構いいキャラクターをしているのに、完全な脇役としているのがもったいないような気がします。
◆本作でやりたかった事の一つに、「美少女ヒロインと脇役関西弁女の立場逆転」というのがありました。ラブコメなどでいつも「いい奴」どまりの関西弁キャラにスポットを当てたい、それが本作執筆の動機です。言われてみれば、もう少し彼女にも何かしらの役割を与えてあげられれば……とは思いますが。

>以上長々と書かせて頂きましたが、率直なことを言うと面白かったです。
>天一のこってりラーメンを頑張って食べたら、予想以上に美味しかった、とそんな感じでした(すみません、わかりにくいですね)。
◆暖かいお言葉に感謝です。
 また、馴れ合いを廃した鋭い指摘にも感謝。言うべき事をしっかり言ってくれる方の存在は、自分の実力を把握するうえでとても重要だと思っています。慧眼に溢れ、思慮深い感想をどうもありがとうございました!


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

(つづきます) 
2012年05月20日(日)12時25分 庵(いおり)  作者レス
(つづきです)

■ ■ ■

【夜月さん】

 いつもお世話になっています。このところずっと、夜月さんから感想を頂いていますね。簡単に作者バレしてしまうほどバリエーションの少ない私ですが、これからもお付き合い頂ければと思います。

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>始めは「地の文まで訛りなのはちょっとなあ……」と戸惑いましたが、読み進めていくうちに違和感は無くなり、むしろ楽しみの一つとして捉えられるようになりました。終わってみれば、なるほど作風に適した文体であったと思います。
◆標準語で書かれた小説に慣れてしまうと、どうしても方言混じりの地の文には戸惑いますよね。好意的に捉えて頂けて感謝です。

>そして何より、思っていた以上に大阪弁女子が可愛かったです!
◆ありがとうございます! 可愛らしさを重視して描いた甲斐がありました。

>また小ネタについても、大いに楽しませていただきました(特に探偵ナイトスクープネタには大笑いでしたw
◆小ネタを拾って下さってありがとうございます。それにしても、どうして大阪人は探偵ナイトスクープを欠かさず観ているというイメージがあるのでしょうね。

>とまあ、非常に満足できたのですが、強いて難を挙げるならば、栄吾のキャラクター性でしょうか。私はあまり魅力を感じなかったので、そこが残念と言えば、まあ残念です。
◆ごもっとも。
 ヒロインの描写に力を入れすぎたことと、作者の都合で振り回してしまったのが彼の魅力を失わせてしまった原因でしょうね。大変失礼しました。


 はい、というわけで。
 いつもながら感想を頂いてばかりで心苦しく思います(勿論、嬉しい事に変わりはないのですが)。今回ようやく、御作に感想を投稿できて良かったです。今後とも変わらぬお付き合いをして頂けたら、これほど嬉しい事はありません。この度は感想投稿、ありがとうございました。


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

【raphaelさん】

 元企画運営部門の方の来訪、感謝です!
 本企画はこれまで企画の運営に携わってこられた方々のノウハウを真似たものに過ぎません。その意味で、三大企画運営部門は偉大な方々の集まりなのだと再認識できました。

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>本当は大阪出身ではないのですが、長年大阪にいたことがあるので、このタイトルを見て、読まなければと思いました。
◆大阪に馴染みのある方をお待ちしていました!w

>私は東野英吾という、某有名作家に似た名前だけが気になるだけで、そのほかには違和感を感じなかったのですが、他の方の感想を読んで、確かに妹を笑わせるという目標をどこに忘れてしまったのだろうかと思いました。
◆彼の名前については、安易過ぎたと反省しています。実在する人物の名前を改変して使おうと思うなら、もう少し配慮が必要ですね。
 妹を笑わせるという目的についても、作者が途中から忘れてしまっていたようです。詰めが甘くて申し訳ありませんでした。

>でも、私は最後の西野さんが告白するときに英吾が落ち着かせようとして、人という字を飲ませるシーンは、英吾が成長してるシーンだと思いました。最初の「ガチョーン」をしていた英吾ではできなかっただろうと思います。
◆都合の良い解釈……じゃなくて、好意的な解釈をありがとうございます。
 主に心情面の描写が足りていなかった彼ですが、そう言っていただけると救われます。

>全く参考にならない感想となってしまいましたが、どうかお許しください。
◆いえいえ、そのような事はありません。
 簡潔ながらも的確な感想をありがとうございました!


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

【もどきモドキさん】

 にゃぁぁぁぁあああっ!(意訳:いつもお世話になっています。拙作を読んで下さってありがとうございました。それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい)


>いいですねぇ、この主人公。
>こういう子が自分はちょー好きなので、終始ニヤニヤですよ、ニヤニヤ。
◆私も大好きですw

>思わず主人公と一緒になって突っ込んでいました。
>しっかし、ひっでー理由の断り文句だな……。
>そして募る冒頭の男への怒り。
◆私も、自分で書いていて酷いと思いました(汗
 リアルにこういう断り方をする男の子っているのかしら? もしそうなら「なんでやねん」どころじゃないと思います。

>ところで、携帯の着メロが年頃の女の子のじゃない件について。
◆小ネタを拾って下さってありがとうございますw

>かわいい! かわいい! かわry
>何ですかこの生き物! ちくしょう末永く爆発しやがれですよ!
>しゃべりがナチュラルでいいですねー、リアルですねー。
◆もどきさんのテンションの高さが伝わってきますね。これだけ言っていただければ作者としては本望です。

>頭の中が、主人公カップルのかわいさを叫んでいます。
>よいニヤニヤをありがとうございました!
◆こちらこそ、可愛らしいネコミミと学園ファンタジーを読ませて頂きましてありがとうございました!


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

(つづきます) 
2012年05月20日(日)12時23分 庵(いおり)  作者レス
(つづきです)

■ ■ ■

【ひながたはずみさん】

 いつもお世話になっています。それから感謝状と素敵な作品をありがとうございました!

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>『文章』
◆王道作品しか書けない作者としては、まずは地の文から差別化を図らなければと思っていました。読みにくいという声が出るであろう事は覚悟していましたが、好意的に解釈して頂けて安心しています。

>『設定』
>漫才甲子園の結果はっ!? というのがまずはお尋ねしたいです。
◆ええと……やっぱり失格でしょうね(他人事

>『構成』
>話の目的が変わってます。妹を笑わせるために漫才をするはずだったのに、だんだんと二人の関係の進展の方に重きが置かれていく。それ自体は何の問題もないと私は思うのですが、それにしたって当初の目的が忘れられすぎのように感じます。
◆ですよねぇ……(汗
 妹を笑わせる為に漫才をするという展開は、あくまでメインの2人を共に行動させるきっかけでしかありませんでした。つくづく、本作が誤魔化しに満ちた作品なのだと分かります。

>彩の葛藤も失敗に関するものと東野君に関することだけで、妹の事は一欠けらも考えてない。さすがにそれは……と思いました。恋する乙女大失態モードなので他の事は考えられない、という心境はわかるのですが、あの場に妹がいた以上、ちょっとは気を使うと思うんですよね。
◆そうですよね……(滝汗
 一人称で書いている時は語り手と気持ちがリンクしているので、作者自身も妹の事までは考える余裕がありませんでした。作者がキャラにのめり込み過ぎるというのも考え物ですね。

>それから、最後のシーンですね。六階から聞こえる声を出せるのなら健康な気がします。ちょっとご都合主義に感じました。
◆はい、ご都合主義です!(開き直り
 妹に応援させたのは、「周りの人々に祝福されながら告白する」という流れを作りたかった作者の都合でしかありません。

>人という漢字を飲むシチュエーションの使い方はお見事でした。
◆彩が自分で人という字を飲み、その後栄吾にも同じ事をしてあげる。このシーンを思いついた時「これって間接キスじゃね!? うは、萌える!!ww」と一人でテンションを上げていたのを思い出しました。今思うと、同じ事をしてあげた栄吾も相当な女ったらしに見えてしまいますね。

>『キャラ』
◆我が子を誉めて貰っているようで嬉しいです。
 栄吾についてはまだ魅力が足りないとのご指摘を頂いていますので、今後更に、相方の魅力を伝えられるよう頑張っていきたいと思っています。

>この企画に参加させていただいて、また一つ幸せな気分に浸っております。素敵な時間をありがとうございました。
◆こちらこそ、ありがとうございました。
 また同じ競作の場で競える日を楽しみにしています。


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

【ふらふらさん】

 初めまして! 拙作に感想ありがとうございました。

 三行感想でも大歓迎です。いち読者としてのご意見はとても参考になりますので。
 何より、楽しんで頂けた事が嬉しいです。
 今後のモチベーションアップに繋がりました、感謝しています。

 それでは、今後ともお互いに頑張りましょうね。
 ではでは。

■ ■ ■

【朱鷺 ミチルさん】

 拙作に感想ありがとうございました!

 それにしても感想を拝読してみて改めて分かる大阪弁の威力。作者にとっては嬉しい誤算でした。
 確かに、地の文が大阪弁である事を抜いてしまえば、本作はただのありきたりな作品である訳で。それでも楽しんで頂けた事には感謝しなくてはなりませんね。
 しょうもない感想だなんてとんでもない、今後のモチベーションアップに繋がりました。

 それでは、今後ともお互いにがんばりましょう。
 ではでは。

■ ■ ■

【おちゃさん】

 拙作に感想ありがとうございました! また、結果発表完全版への書き込みもありがとうございます。

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>おもしろい!! 気に入った(^^)! 
◆このお言葉が何よりのご褒美です!

>ちなみにわたし西日本に疎いんですけど、大阪女ってホントにこういうアツいキャラの子いるんですか?
◆うーん、どうなんでしょう。作者の理想を形にしただけかもしれませんね、こういう女の子が居たらいいなという。関東の方が関西の子と話したらキツいイメージを持たれるかもしれません。逆に関西の人が関東の人と話したら、冷たい印象を受けるみたいです。

>傷ついた自分をそのまま見透かされてしまうのが怖くて、ネタっぽく冗談めかしたり、おもしろおかしく振る舞ったりしてしまう……この気持ちに共感できますね!
◆共感して頂けて何よりです。
 これはほとんど、私の本音。自分の弱いところを作品に反映させるのは少し勇気が要りますけれど、書き込んだ甲斐がありました。

>・どうして漫才中に告白したんですか、彼(すごく読み落としてる気がするけど……)。◆作者的には、栄吾が勝手にテンション上げちゃって、後先考えずに本気の告白をしてしまった。だけど心の底では彩がちゃんとツッコミで返してくれると思っていた……なんて風に考えていました。でも今になって考えてみたら、それだと整合性が無いのですよね。「こういう流れが欲しい」という作者の都合に彼を乗せてしまった結果だと思います。

>・ラストシーン。妹の声援に逆に水をさされました。
◆これも、作者の都合ですね。「周りの人々に祝福されながら告白する」という流れが欲しかったので、妹にも応援して貰いました。演出を意識するあまり、違和感を感じさせるような乱入の仕方をさせてしまいました。まだまだだなぁ……私。

>・このシーンの、情景が浮かびませんでした。
◆正直言いますと、栄吾が出迎えた明確な理由を考えていなかったり(汗
 それでも敢えて無理矢理に付け加えるなら、彩のメールを栄吾が受信した後、以下のような流れがあった事を想像して頂ければと。

栄吾:「こんなメールが来たんだけど、どういう意味か解る?」(←基本的に空気が読めない兄)
優奈:「ん? ……ああ、これ。へぇ」(←彩の意図を察した妹。マセた女の子という裏設定)
栄吾:「解るの?」
優奈:「お兄ちゃん、外で待ってたほうがいいよ」(←理由は言わない。ちょっとした悪戯心から)
栄吾:「何で?」
優奈:「もう、わかってないなぁ。いいから早く」
栄吾:「??」(←訳も分からず外へ出る兄)

 という感じでいかがでしょうか。これなら彼が彩を出迎えた時、いつも通りの張り詰めた表情をしていた事にも矛盾は無いかと。
 あと、栄吾の「緊張してる?」発言とその後の行動は、単に「自分がして貰った事をお返ししたかった」というだけの理由でした。愛情というよりは恩返しに近いかもしれません。でも確かに、さらっと読むとイケメン化が激しく見えますよね。
 ……とまあ、解説するぐらいなら作中に書けという話で。すみません。


 はい、というわけで。
 素敵な感想をありがとうございました。これからも宜しくお願いします!

 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

(つづきます) 
2012年05月20日(日)12時22分 庵(いおり)  作者レス
(つづきです)

■ ■ ■

【タカテンさん】

 いつもお世話になっています。「勇者」からの感想をお待ちしていましたw

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>が、周りから関西人だからと見られているところ、弱さを見せたくないあまり強がって笑いに走るところ、でもそのくせ人知れず傷付いているところなど、自分の若い頃とよく似ています。
◆自分もですが、結構周りに気を遣って自虐ネタなんかを使ってしまったり。その後は自己嫌悪に陥っちゃうんですよね。自分の弱いところを書くのは恥ずかしいですが、敢えて書き込んだ甲斐がありました。共感して頂けて何よりです。

>ああ上手いなぁと思いつつも、苦い思い出がフラッシュバックしてしまったのが東野君。
>なんというか恋に不慣れな人間が、相手の事を考えずにドラマチックな演出をしてみた、と自分には感じられました。
◆何という都合のいい解釈……げふんげふん。好意的に捉えて頂けて良かったです。
 実を言いますと、彼がいきなり告白した事に深い意味はありません。彼がどんな心情だったかも、作者はそれほど考えていませんでした。単にテンションが上がっちゃったから勢いで言っちゃったよ、みたいな。
 あとは作者の都合でしょうか。二人の関係をグッと近づけた後に、いきなり離すという演出をしたかったので、彼にはその通りに動いて貰いました。彼が作者の都合で動かされているシーンは後半特に目立つので、ここが(「も」?)本作の弱いところかなと。

>最後に地の文の大阪弁についてですが、これで西野さんの個性を上手く表現されていたように感じます。
>ちゃきちゃきの関西人って感じですね。
◆まさにちゃきちゃきの大阪人キャラを目指していたので、そう言って頂けると助かります。


 はい、というわけで。御作にも可愛い女の子が登場しますが、やっぱりヒロインの可愛らしさはラノベで重要なファクターだと確認する事ができました。
 これからもお互いに頑張っていきましょうね。


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

【インド洋さん】

 前々作、前作に引き続き、今回も感想ありがとうございました!

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>内容としてはまさに企画直球の作品で、ストーリーとして目新しさのようなものはなかったように思うのですが、一人称の大阪弁が全体的にとてもいいアクセントになっていたように感じます。
◆大阪弁の一人称でなければ、本作は割とありきたりな作品なのですよね。他作品と差別化を図る為の策でしたが、好意的に捉えて下さってありがとうございます。

>まさか、携帯の着信が「やしきたかじん」とは……(笑)。
◆小ネタを拾ってくれてありがとうございますw

>気になった部分を無理にあげるとすれば、王道展開なので先を予想する楽しみや、ストーリーを追う楽しみが若干薄いという点でしょうか(無茶振りな指摘ですが、それ以外読んでいて残念に思えた部分がなかったのでどうかご容赦を)。
◆無茶な指摘だとかとんでもないです。王道作品しか書けないのが私の最大の弱点なので、そろそろ易きに流れるのもどうかなと思い始めています。今後の作風を検討する上で、有意義なご意見でした。


 はい、というわけで。
 感想での参加、ありがとうございました。本企画はインド洋さんのように感想で盛り上げて下さった方がいたからこそ楽しく感じられたのだと思います。これからも素敵な感想を書き続けていって下さい。


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

【へろりんさん】

 拙作に感想ありがとうございました! また、楽しい作品を読ませて頂いた事にも感謝しています。

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。

>大変楽しんで読ませていただきました。
>面白かったです。
>笑いました。
>にやにやしました。
>そして、泣きました。
>それほど感情移入できた作品でした。
◆嬉しいお言葉の数々。もうこれだけで、本作を執筆して良かったと思いましたw

>関西弁も気になるところはあったものの、かなり自然な感じで表記されていたと思います。
◆大阪弁の一人称については、割と拘りました。読みやすさ、それっぽさ、語り手の性格表現、全てを兼ね備えた書き方をするのに腐心した覚えがあります。気になる点については、私の詰めが甘かったところですね。本当に人が話しているように読める文章を書く域には、まだ至っていないようです。

>おかしくないってば! 爆笑でした。
◆狙ったので嬉しいですw

>いや、使えてないし! 笑いました。
◆あら、思わぬところで笑って貰えましたw

>待ち受けにたかじんって! こってこてですねw 爆笑しました。
◆ここも狙いました。嬉しいですw

>にやりw
>にやにやw
>にやにやにやw
◆いや、どんだけニヤニヤしてくれたんですかw
 でも、一番にやにやしていたのは、執筆中の私だったと思います(←キモイ

>ですが、この二つのシーン、よくよく考えると、なんかあざとい気がしました。
◆いずれのシーンも、作者の都合でキャラが動いていますね。演出の為、あざとく展開を弄ったのです。その結果、何人かの方から「違和感があった」とのお声を頂きまして。演出を重視するあまり、他の事がおざなりになってしまうのは考え物ですね。ここはもう少し、違和感のない理由付けなりキャラの動かし方をするべきでした。

>好き勝手を書きましたが、素人の拙い感想ですので、取捨選択をお願いします。
◆いえいえ。作者のモチベーションを上げながら、必要な事も指摘してくれる素敵な感想でしたよ。今後とも宜しくお願いします。


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

【つとむューさん】

 前作に引き続き、拙作に感想ありがとうございました。またツイッターでもお世話になっています。それから、楽しい作品を読ませて頂いた事にも感謝です!


 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>お題は弱いと感じました。なんとかクリアする程度だったと思います。
>申し訳ありませんが、個人的にはお題を重要視したい方なので、少しマイナスさせていただきます。
◆ここは本当に申し訳ありませんとしか。
 自分でお題を設定しておきながら、他の方に比べるとお題の使い方が甘かったのは大きな反省点です。

>東野君のキャラがブレているように感じて、とても気になりました。
>まるで、ストーリー展開に合わせるように性格が変化しているような印象です。
◆他の方からも同じようなご指摘を頂いています。
 特に後半、彼の心情を想像せずに作者の都合で動かしてしまった感がありますね。まだまだ修行が足りないと思い知らされました。

>最初に読んだ時は、読みやすさと関西弁の面白さで一気に最後まで読んでしまいましたが、冷静になって改めて読んでみると、個人的には少し気になってしまいました。
◆ですよね……。
 勢いに任せてざっと読むとボロに気付きにくいものの、注意して読むと実は本作が張りぼてだったという出来。誤魔化すにしたって、もう少し巧いやり方があったと思います。あるいは、隅々まで気を配った作品づくりを心がけるべきだったのかもしれません。大変失礼しました。

>いろいろと書いてしまいましたが、とても面白く読めた作品であったことは間違いありません。
◆厳しくも暖かい感想をありがとうございました。
 拙作がつとむューさんにとって有意義な作品であったならば、作者としてこれほど嬉しい事はありません。最後まで読んで下さり、しかも感想まで、ありがとうございました。


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

(つづきます) 
2012年05月20日(日)12時20分 庵(いおり)  作者レス
(つづきです)

■ ■ ■

【イシバシセンパイさん】

 ※作者レスも大阪弁で書かせて頂きます。無礼ご容赦。

 今回はほんまおおきに! ウチな、大阪弁好きな人に読んでもろてメッチャ嬉しかってん。あと、感想制覇お疲れさん。こんだけ盛り上げてくれたら、惚れてまうやんか。ウチ、頑張る人が好きやねん。

 ほんなら、しょーもない作者レスやねんけどよろしゅう。


>フェチをピンポイントで狙い、討つ……そうでなくても作品の雰囲気や方向性が漠然と伝わってくる……良いタイトルでした。
◆関西弁フェチてw そんなん初めて聞いたわww
 せやけど、こんだけ喜んで貰えたんならウチも嬉しい。

>全て自分自身の主観的意見ですが……あんた最高や! 自分、関西人か? 東京? ……東京でこれやったらマジで感動する。中々の再現度やったでコレ。
◆んー、残念ながらどっちでもないんやな、これが。今は大阪に住んでんねんけど、元々は違うとこの出身でな。まぁ、大阪に住んで7年になるから、大阪弁に馴染んできたんは事実やけども。
 大阪の人からお墨付き貰えて、苦労した甲斐があったわ。おおきに。

>もう自分は彩無しでは生きていけない。彩有りでもキュン死にしそうだし、可愛過ぎて辛い。
◆うはーw もうこんだけヒロインの事好きになって貰えたら、嬉しいどころの話やないで。

>彩は、やや誇張された大阪の女な感じがしました。
◆せやな。大抵の人が思い浮かべる大阪人って、こんな感じちゃう? それに加えてマンガとか小説に出てくるような大阪弁キャラを意識して書いてん。現実にはこんな大阪女おらへんと思うけど、ラノベやし、まあアリかな思うて書いてみたわ。

>彩が大阪の女ならば、結は東京の女でしょうか。キレかわ今ドキの愛されガール。……ただの糞ビッ……あ、いや、何でもないです。
◆大阪女の対比として東京モンの女も出してみたんやけど、よかったわ悪い印象持たれんで。

>名言でしたね。格好良い。この人は結同様、彩の恋物語に不可欠ですね。
◆大阪のおばちゃんて、結構鬱陶しい時もあるんやけど、基本的に男前やと思う。近しい人への愛情は、全都道府県中1番やと思うし。

>妹の為に漫才甲子園に出たのに、まさかでしたね。なぜ今、告る? さすがに不自然でした。
◆他の人からも同じ事言われてな。読み返してみて「やってもーたー」思うたわ。
 なんしか幸せ絶頂の状況から最下層へ落とす演出がしたくてな、その結果がこれやねん。今にして思えば、作者の都合でキャラ振り回して、違和感覚えられるんも仕方ないわなって話やな。

>一行コピーの奴ですが、読後、これを読んだらはきゅぅぅん! ってなりました。
◆やっと一行コピー拾てもろたw
 プロット考えた時点で、これしか思いつかなかったんやわ。誉めてくれてありがとう。

 あ、あと。最後の「よし」「よろし」っていう評価方法。何故か古典を思い出した。おもろいな、自分w


 ほい、っちゅうわけで。
 お礼言うの何度目かわからんけど、今回はほんまにありがとさん。沢山読んでくれただけやなくて、感想もろた側まで楽しませてくれる感想には参ったわ。これからもごっつええ感想を頼むで!


 ほな、これでしょーもない作者レスは終わり。ばいなら~。

※大変失礼致しました。

■ ■ ■

【こんてさん】

 こんにちは。お忙しい中、拙作に感想ありがとうございました!

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>・地の文全部。関西弁可愛いです。
◆他の作品との差別化を図る為に思いついた策でしたが、意外と「可愛い」という声が多くてびっくりです。嬉しい誤算でした。

>【可愛かった箇所】
◆ありがとうございます。あざと過ぎて逆に嫌がられるかなとは思っていましたが、そうでもなかったようで安心しました。

>【笑った箇所】
◆コメディを書く時はいつもネタが滑っていないか不安になるのですが、笑って頂けて良かったです。

>【グッと来た箇所】
◆地の文が大阪弁である事を除けば割とありきたりなお話なので、演出を意識しました。王道展開しか書けない作者にとっては、これしか作品を面白くさせる方法が無いのですよね。有り難い評価に甘んずることなく、今後様々なやり方を模索していきたいと思います。

>率直に言うと、東野君が登場するまではちょっと退屈な印象でした。
◆そうでしたか……残念です。
 キャラ同士のテンポ良い掛け合いなどをもっと意識したほうが良かったかもしれませんね。

>東野君のキャラが薄めだったので、キャラ同士のパワーでちょっと負けてたかな……。
◆彼のキャラが薄かったのは、ヒロインの可愛らしさを演出する事に気を取られていた作者のミスです。最終的にカップルを作るなら、双方ともに応援して貰えるようなキャラ作りを心がけなければならないと感じました。

>あと漫才のネタがすごく面白かったかというと、微妙だったかも知れません。物語を成立させるためのファクターであって重要項目ではないのかも知れませんが、本番の漫才の部分でも笑いたかったです。
◆うぅ……すみません。漫才のネタは練り込みを放棄してしまいました。サービス精神が足りなかったと痛感しています。

>現状でも十分なんですが、読み手としては十ではなくて十五くらいを期待するものなので。
◆身に余るお言葉、恐縮です。今後より一層、読み手の期待に応えられるような作品づくりを心がけていきたいと思います。
 この度は、本当にありがとうございました!


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

【燕小太郎さん】

 こんにちは。タイトルホルダーの来訪に緊張しました。拙作に感想ありがとうございます!

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>……やられた、面白かったです。序盤できっちりネタ的に面白く、後半はシリアスもあってストーリーが面白く、総じて面白い。グッジョブ関西。
◆燕小太郎さんから感想を頂いた時、激しく緊張したのを覚えています。
 そこへ、この感想。ほっと胸をなで下ろしました。そして同時に嬉しさも込み上げてきました。

>今作一番のウリは、キャラクターだと思います。彩の大阪のノリが秀逸で、その一方で『大阪の女』というレッテルに少なからずコンプレックスないしプレッシャーを感じている。その辺りの明暗のつけ方が素晴らしく、彼女の、そして今作の魅力に昇華させていると感じました。
◆ヒロイン不在の作品を書いた事がある前科(?)持ちとしては、今回絶対に可愛らしいヒロインを書かなくては! ……という変な強迫観念から出来たのが彼女です。やっぱりラノベは可愛らしいヒロインが居てこそのものだと再確認できました。

>また、天然ド真面目栄吾君が素晴らしい。初っ端の『ガチョ~ン』で全部持ってかれた感じです。吹きました。他にも、『ありがとう』を照れずに言えたり、漫才中にガチ告白しちゃったり、電話が通じないとあれば家まで来ちゃうアグレッシブな姿勢は好印象、言うだけ言って帰っちゃう物分かりの良さは若干マイナスでしたが、ある意味ヒロイン待遇という意味では(主人公が女の子なので)、ベストな選択かなと思います。
◆栄吾についても好印象を持っていただけたようで。我が子を誉めて貰っているようで嬉しいです。
 彼については、他の方から物足りないとのご評価も頂いていますので、燕小太郎さんのお言葉に甘んじことなく、男女カップルのいずれも応援して貰えるようなキャラづくりを心がけていきたいと思います。

>小説ヒロイン級超絶美少女なのに脇役の結も、なんやかんや言いつつ良い親友なのは良かったです。超スペックの割に出番が少ないのはご愛嬌ですね。
◆ありがとうございます。
 本作を執筆するにあたり、やってみたかった事は、美少女ヒロインと脇役大阪弁キャラの立場逆転でした。ラブコメなんかだと、大阪弁キャラって大抵お笑い担当か「いい奴」止まりなんですよね。だから今回は、そんな大阪弁キャラにスポットを当ててみたかったのです。
 結の性格については、嫌われるか好ましいと思われるか、ぎりぎりのラインを目指しました。好意的に捉えて頂き、ほっと胸をなで下ろしています。

>余談ですが、私は2008年のM-1が歴代の中で一番好きです。
◆2008年といえば、NON STYLEの優勝年ですね。私も大好きです!w


 はい、というわけで。
 本企画に投稿された燕小太郎さんの作品を読ませて頂きましたが、やっぱりタイトルホルダーの方はそれ相応の実力をお持ちなのだと思いました。また感想も沢山書かれて、書くこと・読むことは両輪の如しだと感じました。これからも素敵な作品と感想を書き続けていって下さい。この度は、本当にありがとうございました。


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

(つづきます) 
2012年05月20日(日)12時18分 庵(いおり)  作者レス
(つづきです)

■ ■ ■

【華樹さん】

 初めまして! 拙作に感想ありがとうございます!!

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>京都に住んでますが、やっぱり小説で関西弁書かれると違和感ありますね。御作のテンポの良さにより途中から気にならなくなりましたが。
◆同じ関西弁でも、京都弁・神戸弁・大阪弁は全然違いますよねw
 地の文全てが大阪弁なのは、他の作品と差別化を図る為でした。読みにくいと思われてしまうのは重々承知の上、それでも意外に最後まで読んで下さる方が多くて安心しました。

>西野さん可愛かったです。本当は失恋で笑われて傷つく普通の女の子なのに、周囲に気をつかって(プライドもあるみたいですが)強がったり怒ったりしないところとか、好感が持てました。
◆ありがとうございます。
 過去にヒロイン不在のお話を書いた事がありまして、その反動か今回は可愛らしいヒロインを書く事に腐心しました。我が子を誉めて貰っているようで嬉しいです。

>東野君はもう完全に文系少年でしたが、最後の最後まで生真面目で人の内面を見ているところが良かったと思います。二人の性格は正反対ですが、そんな印象を持ったので二人が惹かれあっていく過程に違和感はありませんでした。
◆彼については好感が持てなかったとのお声が多い中、そのように評価していただけて嬉しいです。
 正反対な性格の2人が惹かれ合っていく様は、書いていて楽しいものでした。違和感が無かったと言って頂けて良かったです。

>まあ、最後らへんちょっと東野君余裕ありすぎじゃね? とも思いましたが。
◆はい。他の方からも同じような指摘を頂いています。
 後半特に、彼を作者の都合で動かしてしまったので反省材料だと痛感しています。

>>『イースト・ミーツ・ウエストです!』
>長いわ!
◆えええ!? ツッコむところ、そこですかっ!!


 はい、というわけで。
 京都からのご来訪、ありがとうございました。同じ関西勢として、これからもお互い頑張りましょう。


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

【目前さん】

 おそらく初めまして! お忙しい中、拙作に感想ありがとうございました。

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>御作で使われている関西弁は非常に読みやすかったのですが、所謂「関東人用に調整された関西弁」なのでしょうか。
◆そんなところです。
 他の作品と差別化を図る為に地の文を大阪弁にしたのですが、意味が通じなければ読み手を疲れさせてしまうと思ったので、他の地方の人でも意味がわかる語句を意識しました。その点、大阪弁は比較的メジャーな方言だったので調整しやすかったです。

>それはともかくこのパロディ、作品的に何か意味があるのでしょうか。
>某ミステリー作家が漫才が好きって話があるんですかね? むしろ某作家は大阪の方なので、東野のパロディにするのは逆効果だと思うのですけど。
>この部分だけは安易な受け狙いの印象でした(私の知らないネタが存在するのでしたら、申し訳ありません)。
◆実は、深い意味なんて無いのです(汗
 ヒロインが「西野」だったら相方は「東野」にしようと考えていたのですが、「東野○ ○ 」という名前で思いついたのが、某作家と某芸人の名前だったのです。そして語呂の良さだけで某作家の名前を少しだけ改変して採用。今にして思うと、安易過ぎましたね。すみません。

>■西野
>私の中では、本企画の中で一、二を争う良キャラでした。
>ですが、主人公の東野に対する感情描写については、ちょっとうんざりもしました。
◆我が子を誉めて貰っているようで嬉しいです。
 彼女の東野君に対する感情描写については、まだまだ改善の余地がありそうです。ご指摘ありがとうございました。

>■東野栄吾
>主人公のリアルな書き込みに反して、このキャラの人格は初見では掴みにくかったです。
>作品を動かすために必要な動作をしか描写されていないのが原因かな、と想像しています。
◆これはもう、おっしゃる通りで。
 ヒロインの魅力や心理描写に力を注ぐあまり、相方の書き込みが不足していました。
 彼の心情がわかる場面を書いたほうが良かったかもしれませんね。あるいは、彩の一人称を通じて、彼の心情がわかるような描写をもっと書き込むべきだった。
 しかも彼、ほとんど作者の都合で動かしているのですよね。ここが、本作一番のウィークポイント。だから、そんな彼に違和感を持たれるのも当然だと思います。大変失礼しました。

>告白の部分でも似たようなことが起っています。
>初見では「妹のための優勝を壊してまで告白して、妹はどうしたんだよ」と思いました。
>でも再読で以下の部分を読んだ時に、考え直しました。
>更に三回目に読んだ時に、そもそもあの発言は告白じゃなかったのでは、と解釈できるとも思いました。
>東野は妹のお見舞いの際に、彼女に漫才のことを語っています。
>そこで「ナンパするシーンが難しくて」のような話を漏らした時に、兄の気持ちに気付いている妹が「素直な気持ちでやれば?」などと言われたのでは、と。
◆三回も読んで下さったんですか!? しかもここまで深く考察されていたとは……。
 ここまで拙作と真摯に向き合って下さったのに申し訳ないのですが、作者は深く考えないで書いていました。あくまで演出の為だったのです(滝汗
 東野君側の事情を深く書いていなかった分、彼の言動については様々な解釈が他の方からも寄せられています。読み手に脳内補完を丸投げしておいて、作者は何も考えていなかったというのは大きな反省材料だと思います。以後気を付けたいと思います。

>不満があるとしたら、あの甲子園の感想が聞きたかったかな、というところですね。
>それがあれば、東野の項で触れた告白の件も、ある程度カバーできたと思うので。
◆ああ、なるほど。妹から東野君サイドの事情を説明させる方法もありましたね。感想を頂くことで自分にはない考え方を知る事ができました。感謝しています。

>展開自体は、突っ込みどころもなければ特筆すべき点もない、王道でした。
>文体が関西弁と目を惹かれましたが、そこを差っ引くと物語的に目新しい部分はありませんでした。
◆そうなんですよね。王道作品しか書けない作者には苦肉の策だったのかもしれません。

>また、読後感の清々しさは、本企画中で最高だったと思います。
>というかあの終わり方はずるい(笑)。
◆厳しいご指摘が続く中、このお言葉。目前さん、飴と鞭の使い方が絶妙ですよ、もう!w

>■雑記・改善案
◆アドバイスありがとうございます。本作に足りない点がよく分かりました。次回作以降の参考とさせていただきますね。

>……で、割りと気になっているんですけど、実際、本当に告白したのか、愚直にネタを行ったのか、どっちだったんです?
◆先述の通り、あまり深く考えていなかったりするのですが。
 一応、彼の心情として想像していたのは「事前のやりとりで勝手にテンションを上げてしまった。勢いに任せて本気の告白をしたけれど、彩のツッコミによってネタにもなると考えていた」というものでした。つまり「本気」という事ですね。


 はい、というわけで。
 厳しくも暖かい感想ありがとうございました。ここまで深く読み込んで頂けたら、作者としては本望です。
 これからもお互い頑張りましょう。


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

(つづきます)

2012年05月20日(日)12時16分 庵(いおり)  作者レス
(つづきです)

■ ■ ■

【紅島さん】

 いつもお世話になっています。また拙作に感想ありがとうございました!

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>会話のテンポが良かったと思いました。特に彩と結の掛け合いは小気味良く会話の応酬に作られているなと思い楽しめましたが、少なかったのが残念です。
◆会話のテンポは意識しました。ラノベは会話のテンポが大事だと思いましたので。結との会話が少なかった事については悩み所でした。結の登場場面を長引かせると、彼女に喰われてしまう恐れがありましたもので、はい。

>キャラ付自体は良かったと思いますが、東野のキャラが個人的にはもう少し練ってほしなと思いました。どうにもストーリーに動かされている感があります。
>今のだと作者さんがこういう話を書きたいんだー、という作りで配置したエピソードになってるんじゃないかと思い、余計に妹思いという東野の姿にも違和感? かな。
◆おっしゃる通りですね。
 彼については作者の都合で動かしてしまいました。他の方からも同じようなご指摘を頂いているので、ここが本作一番の弱点なのだと思います。

>残りすくない枚数でしたので仕方がなかったのでしょうが、告白後のシーンからはもっとゆっくりと立ち直っていったほうが良かったなぁと。
>終盤が本当に駆け足で、壇上から逃亡してからの展開には物足りなさがあります。
◆終盤の展開の早さも、作者の都合だったりします。
 彩にとことん鬱モードになって貰い、それが改善した後は一気に畳みかける終わり方を意識したのです。演出の為とはいえ、さすがに急ぎすぎたかもしれません。

>さて、私が言えるのはこのぐらいです。それでは失礼致します。
>次回作も頑張ってください。ではでは。
◆ありがとうございました。次回作も頑張ります!


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

【三水 未さん】

 感想制覇お疲れ様でした! また拙作にも正直な感想をありがとうございます。

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>正直全編関西弁は、やっぱり若干萎えるところがありました。確かに段々慣れはしていったんですが、鬱陶しい感は拭いきれませんでした。
◆地の文を大阪弁で書くと決めた時、そういったご意見が出るであろう事は覚悟していました。好みの問題なら仕方ないですよね。

>ストーリーで気になったのが、最初に彩がフラれた意味はあったのか、と。あのくだり、なくてもよかった気がするんですよね。
◆最初に彩がフられる場面は、作品の方向性を読者に示す意図があったので入れました。
 彩の「大阪の女であるが故の悩み」を明らかにし、かつ彼女の意地っ張りな性格を知らせたかったわけでして。それが上手く伝わらなかったのは、作者の力不足ですね。失礼しました。

>個人的な好みを言えば、むしろ告白するのはこれからであってほしかったです。実はちょっと奥手なところのある彩は、好きな男子に告白するのに踏ん切りがついていない。その上で漫才で地区一番になったら告白する、というような動機を彩に持たせてあげてほしかった。
◆なるほど。そういう展開もアリですね。参考になります。

>東野くんの妹云々はありましたが、結局彩にとってみたら他人なんですよ。あそこまで必死になる理由には今一つ足りない。
◆他人の為でも一生懸命になれる、それが大阪女の愛情深さなのです!(キリッ

>大体そんなものでしょうか。色々と面白いものや他にはないものがあったとは思うんですが、その魅力を受け止めきれませんでした。よくも悪くも地の文の関西弁がどこまで受けれられるかで、大きく感じ方が変わったのかもしれません。
◆自分には合わなかった、そういうご意見も大事だと考えています。
 お世辞ではなく、正直な感想を頂けて感謝しています。


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

【巻上つむじさん】

 いつもお世話になっています。感想返し、ありがとうございました!

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>空白を開けてのこの真面目君のギャップ、これは卑怯ですよぉww 
◆狙いましたもんw

>気取らないですねぇ。本当に、一切気取らない。素直で変な捻りがない、とても好感が持てる文章だと思います。彩のキャラ性がにじみ出てますね。
◆彩のサバサバした性格を表現するために腐心した甲斐がありました。

>彩ちゃんだったらコーディネートで変身した時に、ちょっとしたときめきを覚えるような気がしたのですが。うーん、ここはちゃんと描写してほしかったかもしれませんね。
◆ううむ、なるほど。確かに描写が足りなかったかもしれません。

>誰の言葉かは最早言うに及ばず、ですね。個人的な嗜好ですが、妹さんの出番がもうちょっと欲しかったかなぁと思いつつも、この名場面には鳥肌が立ちました。ちゃんと意味があったんですよね。ロリコンじゃないですよ、えぇ、はい。
◆今にして思えば、妹の出番をもう少し増やしていればと。多くを語らない兄のよき代弁者という位置づけもできたと思いますので。
 ロリコンじゃない……? ソウデスカー(棒読み

>色については、個人的にはそこまで印象に残るものがなかったのですが、どうでしょう。見逃している可能性も無いわけではないですが。
◆自ら設定したお題の使い方が甘いという体たらく。他の方の作品を見ると、皆さん真摯にお題と向き合って下さっているのですよね。この点については猛省しています。

>東野とその妹、そして結についてなのですが、物語上必要になったから出して、台本どおりに動いているという印象を受けます。
◆おっしゃる通りです。
 特に東野君は、作者の都合で動かしてしまった感がありますので、好印象を持たれないのも仕方ない事だと思います。彼の扱いが、本作一番の弱点だったと今では痛感しています。

>ラストはスッとフェードアウトしていく感じだったのですが、うーん、もう少し読みたかったかもしれません。蛇足になる可能性もあるのですが、この二人のいちゃつくエピローグが見たかったかも。
◆いちゃつくエピソードですか。リア充爆発しろーなんて声が飛びそうだったので以下略。

>以前に作者様の作品を読んだのはおそらく、「おっさん学園」が最後であったと思います。「うち、あんたの事~」も、「おっさん学園」ほどではないにせよ、現代のライトノベルではあまり描かれることのない「家族」というものの関係に重きを置いているような気がしました。
>おそらくはこれが作者様の持つ温かみのある色、個性なのかな、などと思いつつ感想を終えたいと思います。
◆あ、覚えてて下さったのですね。嬉しいです。
 家族の温かみや友情といった要素、私の書く作品は現代的なライトノベルでは無いのかもしれません。公募では評価されないでしょうが(というか、公募はもう考えていません)、これからも自分のカラーとして追求していきたいと思っています。
 この度は、お忙しい中、拙作に感想ありがとうございました。次回の企画で再び戦える事を楽しみにしています。


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

(つづきます)

2012年05月20日(日)12時13分 庵(いおり)  作者レス
(つづきです)

■ ■ ■

【イボヂーさん】

 最早企画名物と言ってもいいイボヂーさんの感想、お待ちしていました! これまで何度かイボヂーさんの感想を拝見してきましたが、いずれもそのクオリティには瞠目させられてきました。
 そして芽生えた、感想が投稿された作品に対する嫉妬。いつか私も、イボヂーさんから感想を頂きたいと心密かに思っていました。
 その矢先、本作にイボヂーさんから感想が寄せられ、本当に嬉しく思いました。というわけで、正座で読ませて頂きました。

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>天使って関西弁で話すんですね。
◆彩がイボヂーさんにとっての天使であったなら、生みの親としてこれほど嬉しい事はありません。

>そして御作を読み終える頃には、すっかり彩ちゃんに恋焦がれていました。めっちゃ好きやねん、になっていました。
◆笑いましたw こういう言い回し、どうやったら思いつくんですか!ww

>冒頭から彩ちゃんがフルスロットルです。勝気な印象をもたせる関西弁の突っ込み口調には、いったい何事が起こったのかと興味をひかれます。
◆最初の一文にはいつも気を遣っていますので、お褒めにあずかり恐縮です。

>ところで、あろうことか彩ちゃんを振ってしまう倉田くんについては、見る目がない可哀想な男ということで別にいいのですが、そんな可哀想な倉田くんに彩ちゃんが好意をもった理由が気になります。彩ちゃんはいったい倉田くんのどこを好きになったんでしょうか? このあたりもう少し深く追求しても面白いかもしれませんね。
◆彩が倉田君に好意を持った理由は深く考えていませんでした。彩がどういった男の子を好きになるのかをほのめかす為に、少しでも触れておいたほうが良かったかもしれません。

>もしそうだとしたら、私も結構可哀想な人間ですし、彩ちゃんとお似合いなんじゃないかと妄想します。
◆大阪女は愛情深いので、困っている人を助けたくなっちゃいます(多分)。なのできっとお似合いだと思いますよw

>これは本当に個人的な趣味で恐縮なのですが、この辺で彩ちゃんに結ちゃんと自分の容姿を比較させて、簡単でもいいので彩ちゃんの容姿を描写してくれると嬉しかったです。
◆そうですね。一人称だと、どうしても語り手の容姿を描写しにくくなってしまいます。対比するという考え方は良いアイディアだと思いました。

>ちなみに私の彩ちゃんは、ショートカットの小柄で小動物っぽい女の子です。ちっちゃい彩ちゃんは普段は関西弁でしゃきしゃき喋っているんだけども、私がちょっとした悪戯心で頭を撫で撫でしたりしたら、「ひゃ!? な、なにすんねん……」と恥ずかしそうにしどろもどろになってくれたら、すごく幸せです。
◆作者が想像していた彩も、大体そんな感じですね。素晴らしい脳内補完をありがとうございます。

>全然接点のない男子に呼び止められて、何かと思ったらいきなりこれ。さすがの彩ちゃんも無反応でしたが、私は笑いました。私はこういう脈絡のない雑としかいいようがないギャグが嫌いではありません。
◆実は、私も意外と好きだったりしますw

>私の彩ちゃんはお笑いにも精通している生粋の関西人ですね。普通になるほどと思わせる内容です。勉強になりました。
◆笑いを取る為のシチュエーションづくりは、以前観た「トリビアの泉」での「最もつまらないギャグとは何か?」という検証を参考にさせて頂きました。

>よしきた、とガッツポーズを作らされました。これですよ。
◆この部分を読んで、「よしきた!」とガッツポーズを作りましたw

>私は彩ちゃんに恋しておりますが、優奈ちゃんでも全然いけるのでご安心ください。念のためご報告しておきました。
◆さすがです!(←?

>さらにいざ自分が下の名前を呼ばれるとうろたえたりしてくれたら、なおイエスです。
◆なるほど。そういう萌えの演出方法もありましたか。勉強になります。

>彩ちゃんに突っ込むのは、この私の役目です。
◆こらー!www

>きゅんきゅんしちゃいました。
◆きゅんきゅんして下さいw

>この辺りの掛け合いは普通に漫才になっていて感心しました。面白いと思います。
◆漫才のネタまでは考えられなかったので、せめてそれっぽさだけでも表現しようと思いまして。良かったです。

>本当に彩ちゃんはとことん攻めに弱いですね。愛しちゃいます。
◆私もこういう子、大好きです。

>このときの彩ちゃんはお風呂上りで部屋着かと思います。ちなみに私はホットパンツにノースリーブのシャツを希望します。
◆なるほど。サービスが足りませんでしたか(違

>あと衣装がぜんぶ彩ちゃんの負担とすると、東野くんがその好意を当たり前のように受け入れているのは、いかんせん彼がヒモ過ぎる気もします。もっと東野くんに感謝させるか、埋め合わせの約束をさせてあげてもいいかもしれません。
◆そうですね。彼の感謝の気持ちをもっと読者に伝えていれば、彼の印象はもう少し良かったかもしれません。細かい気配りって大事ですものね。

>うろたえる彩ちゃんがいちいち私のツボに入ります。結ちゃんはいい仕事をします。
◆いい仕事をして貰いましたw

>紳士なら当然のことかと思いますが、ニヤニヤしました。彩ちゃんは本当に可愛いですね。
◆ありがとうございます。狙いました。あざと過ぎるぐらい狙いました。

>天使や……、ここにほんまもんの天使がおるで!
◆彩がイボヂーさんにとっての天使(以下略

>しかし、この本番中のサプライズには度肝を抜かされますね。東野くんなりにウケを狙ったアドリブなのか、あるいは彩ちゃんへの気持ちを抑えきれなくなったのか、それとも優奈ちゃんにあたりにけしかけられたのか。謎です。謎ですけども。彩ちゃんの可愛さを引き出すという点では正解だったと思います。
◆東野君が告白をした意図は不明、というのも作者が深く考えず演出の為に告白させただけでして。好意的に捉えていただき感謝です。

>もうキスしちゃえよって感じです。私ならいつでも受け入れます。
◆周りで見ているぶんには、そんな気持ちになるでしょうねw

>まさかの倉田くん。彼はどういうつもりでこの場に現れたのか。たぶん誘われたから来ただけでしょうね。倉田くんはそういう軽い男です。
◆そうです、彼はきっと軽い男です。

>たぶんクラスメートの皆さんは、面白半分ではあるものの、彩ちゃんと東野くんを応援してくれているんじゃないかと思います。別に彩ちゃんのことを笑いものにしているんじゃないでしょう。
◆そうですね。ただ、彩が彼らの好意を悪意にしか受け取れなかったという心情を書きました。読み取って貰えて嬉しいです。

>彩ちゃんにすれば裏切りともいえる東野くんの行動。この行動を東野くんに対して好意的に解釈してみると、彼としては彩ちゃんのために学校のみんなに応援に来てもらったということでしょうか。
◆そんなところです。東野君は基本的に「いい奴だけど空気が読めないキャラ」として書いていました。読み取って貰えて嬉しかったです。

>落ち込んでいる彩ちゃんに説得力があります。彩ちゃんはただ可愛いだけの女の子ではなく、ちょっと意地っ張りな等身大の女の子ということですね。
◆そうです。そんな女の子を書きたかったのですよ。

>ひとりで悲しみに暮れる彩ちゃんが痛々しいです。こういうときは誰かが駆けつけてあげねばなりませんね。
◆是非、駆けつけてあげて下さい!w

>このとき彩ちゃんは枕に顔をうずめながら、ぐすんぐすんとむせび泣いているんでしょうね。可哀想なのですけど、泣いている彩ちゃんもやっぱり可愛いですね。
◆きっと男性にとって、女の子の泣き顔は物凄い破壊力があるのでしょうね。

>めっちゃ男前やん! おかん、めっちゃ男前やん!
>この場面のお母さまはイケメンすぎますね。さすがは豹柄の似合う女です。
◆これが、大阪のおばちゃんのいいところです。

>お母さまには負けますが、お父さまもいい仕事しています。いい家族に恵まれた彩ちゃんは幸せ者です。
◆最近のラノベだと家族の暖かさにはあまり触れられていないのですよね。こんな素敵な家庭が現実にもあってくれればと思っています。

>私は基本的に走っている女の子を応援しているのですが、走っている彩ちゃんは応援どころかもはや信仰の対象といってもいいですね。台詞も小気味いいですし、ここの彩ちゃんは姐御って感じでした。
◆迷いの吹っ切れた女の子というのは、本当に素敵だと思うんです。そんな女の子を、これからも書き続けていきたいです。

>あれ? ここにも天使がいますね。自分で言うのもなんですが、私は意外と甲斐性のある人間ですので、彩ちゃんと優奈ちゃん二人ともどんとこいです。
◆さすがです!(←?

>てめー東野! なにいきなりイケメンになってんだてめーはよぉ!
>……失礼しました。あまりにいきなり東野くんがイケメンになっていたもので、少しばかり気が動転してしまったようです。
◆彼の突然のイケメン化は、作者が彼の心情描写をおざなりにしていた為ですね。作者的には「空気の読めていない彼が、自分のして貰った事を恩返しとしてしただけ」という心情を思い描いていました。

>素晴らしい締めくくりでした。もし彩ちゃんが私の耳元でこの言葉をささやいてくれるのなら、おとなしく天国に行きます。我が生涯に悔いなしです。「パトラッシュ、僕もう満足だよ」って感じです。
◆あら、天から光が……w

>すでに多くの方が感想で述べられておりますが、私も東野くんについては一考の余地があるんじゃないかと思います。
◆はい、その通りだと思います。彼の足掻く姿をもっと書いていれば良かったと今では思っています。好きな人の為に格好悪くなれる男の子もまた格好いいと思いますので。

(文字数制限に引っかかりましたので、ここで一旦切ります) 
2012年05月20日(日)12時12分 庵(いおり)  作者レス
(イボヂーさん宛て感想の続きです)


>去年の夏、私はとある事情で、宮城県は仙台市におりました。
>(中略)
>とまあ、長々と申し上げさせて頂きましたが、私がいったい何を申し上げたかったかと言いますと、東野くんにも諦めずに声を上げてほしかったと、つまりそういうことなんです。
◆なるほど。ということは、こういう事ですね。
 つまり、東野君に、彩の部屋の前で「ぱいぱいぱぱいぱいぱいぱぱーい!」と叫ばせればよかった……と(違
 冗談はさておき、彩を笑わせる為に寒いギャグを連発していくという展開は熱いですね。そして彼のひたむきさを表現するにはこの上なく良いアイディアです! 勉強になりました。
 というか、仙台でのエピソードは事実なのでしょうか。そこが物凄く気になります。もし創作であれば、感想に関連づけてここまでのストーリーを即興で考えられるイボヂーさんの実力には憧憬の念を抱かずにはいられません。

>私の感想は以上です。無駄に長い妄言になってしまいましたが、それもこれも全て彩ちゃんに対する恋心が暴走してしまったことが原因なのです。なので作者さまにあられましては、気持ち悪い読者につかまってしまったなやれやれと、そう温かなお心で受け止めてくだされば幸いです。
◆いえいえ! 楽しい上にとても勉強になる感想をありがとうございました。これほどの感想を頂けた私は、幸せ者だと思います。
 最後になりましたが、拙作の為にここまで時間を割いて下さり、本当に感謝しています!


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

【チガイさん】

 こんにちは。感想返し、ありがとうございます!

 それでは以下、拙い作者レスですがお付き合い下さい。


>お、面白かった……。何故、これを期間中に読まなかったのかと、激しく後悔しました。
◆ありがとうございます。その感想が聞きたくて、いつも作品を書いています!

>彩さん、可愛いかったです。強がりつつも、乙女心全開で。
◆前作が色々と酷かったので(笑)、今回は可愛らしい女の子を書く事に腐心しました。お褒めにあずかり恐縮です。

>地の文が関西弁な話って、初めてかも知れません。序盤では、少々身構えたんですが、話が進むに連れて気にならなく成りました。
◆地の文を全て大阪弁で書くと決めた時、読みにくいと言われるであろう事は覚悟していました。けれど意外に最後まで読んで下さった方が多くて安心しました。

>甘酸っぱいお話でした。大好きです。とても「雪舞う聖夜のLVSS」と同じ作者とは思えませんでした。
◆あの作品は色々酷過ぎましたから(笑) こんなお話も書くんですよーとだけ。

>東野君、最後のイケメン化、どうした? なんか軸がゆらいでいるような気が……。
◆彼については、他の方からも同じようなご指摘を頂いています。
 作者が深く考えないまま振り回してしまった感があるので、ここが本作一番の反省点だったと痛感しています。

>以上です。今後とも先生の執筆が順調でありますよう祈念いたします。執筆お疲れ様でした。
◆チガイさんこそ、お疲れ様でした。今後ともお互いに頑張りましょう!


 以上、拙い作者レスでした。

■ ■ ■

 ここまでが、今日までに感想を書いて下さった方宛ての作者レスになります。
 これ以降、拙作に感想を書いて下さるという奇特な方に対しては、お一人様につき1ページ費やして返信させて頂きます。

 それでは皆さん、この度は拙作に感想ありがとうございました!
  
2012年05月17日(木)14時27分 チガイ xQLqdssd9Y +30点
 庵(いおり)先生、こんばんは。チガイ、と申します。
 企画主催、感想制覇、そして企画優勝、おめでとうございます。そして、お疲れ様でした。
 先日は小生のGW企画作品に、優しさにあふれた暖い感想をお寄せいただき、ありがとうございました。祭り期間には間に合いませんでしたが、先生の御作を拝読いたしましたので感想を書かせていただきます。
 他の先生方の感想は目を通さずに感想を書いておりますので、指摘が重複するかもしれません。また、言うは易く行うは難しを地で行く小生の言う事ですので、不勉強な点も多々あると思います。作者先生の方で取捨選択の程、よろしくお願いいたします。

 # 一読者として

 お、面白かった……。何故、これを期間中に読まなかったのかと、激しく後悔しました。
 (答:感想数が少い順に読んでいたから)

 # 良かった点

 彩さん、可愛いかったです。強がりつつも、乙女心全開で。
 地の文が関西弁な話って、初めてかも知れません。序盤では、少々身構えたんですが、話が進むに連れて気にならなく成りました。
 甘酸っぱいお話でした。大好きです。とても「雪舞う聖夜のLVSS」と同じ作者とは思えませんでした。

 # 悪かった点

 東野君、最後のイケメン化、どうした? なんか軸がゆらいでいるような気が……。まあ、ヒロイン主人公の物語だから、これで良いのかなとも思います。すみません。こんなイチャモンしか、思い付きません。

 底辺の者が好き勝手申しました。本企画中、一番のお気に入り作品です。素敵な時間をいただきました。本当にありがとうございました。

 以上です。今後とも先生の執筆が順調でありますよう祈念いたします。執筆お疲れ様でした。


2012年05月16日(水)23時12分 イボヂー  +30点
 最後の感想です。感想というかほぼ私の妄言ですので、無視してくださっても構いません。




 御作に対する総括です。何はともかく彩ちゃんが天使でした。彩ちゃんに恋しました。だからもう彩ちゃんについては何も言うことがありません。そのままの君でいてほしいって感じです。
 
 優奈ちゃんについても天使でした。私はいつだって病弱な少女の味方です。たとえこの世界に神様がいなくても。私が優奈ちゃんについています。役には立ちませんがついています。
 
 御作の彩ちゃんは天使でした。そして優奈ちゃんも天使でした。結ちゃんも出番が少ないながらいい子でした。お母さまは抜群のイケメンでした。あと不満が残るとしたら、申し訳ないのですが東野くんについてでしょうが。
 
 すでに多くの方が感想で述べられておりますが、私も東野くんについては一考の余地があるんじゃないかと思います。
 別にね、漫才中に空気読まずに告白してもいいんです。ラストでの怒涛のイケメン化もいいんです。ただですね、これは本当に個人的な趣味なのですが、私としては東野くんにもっと足掻いてほしかったかなと思うんです。がんばる男の子してほしかったのです。
 この東野くんに足掻いてほしかった理由ですが、私のちょっとした実体験に由来しております。あれはそう、去年の夏のことでした――。


 去年の夏、私はとある事情で、宮城県は仙台市におりました。
 東日本大震災からまだ数ヶ月しかたっていない頃でしたが、仙台市は人々で賑わい活気あふれ、震災による被害などなかったかのように見えました。
 しかし街を歩けば、「がんばろう東北」のメッセージが目に飛び込んできます。私は考えました。私が東北のために出来ることは何か。日本のために出来ることは何か。矮小な私の力で、果たしていったい何が出来るのか。
 私は仙台の街並みを歩きながら、自分に出来ることは何か考え続けました。そして思い至ったのです。仙台でお金を使おう。消費者として仙台の経済に貢献しよう。それが私に出来ることなんだ。出来ることからはじめよう。
 そう決意したの夜だったので、私は仙台市の国分町に繰り出しました。なぜ国分町かというと、そこが仙台の歓楽街で夜も賑やかだったからです。
 私はいったいどうお金を使おうかと、そう悩みながら光で照らされた街並みを歩きました。もし歩いているところでお腹をすかした美少女がいたら、迷うことなくお腹いっぱい食べさせてあげたでしょう。男の娘でもお腹いっぱい食べさせてあげたでしょう。
 でも私が出会ったのは、美少女でも男の娘でもなく、スーツ姿のお兄さんでした。
 お兄さんが言いました。
「セクキャバありますよ」
 
 私はね、バーとかでひとり静かにお酒を飲みたいハードボイルドな紳士なんです。セクキャバとか全然興味ないんです。だけどね、東北でお金を使うことが、東北の経済に貢献することが、日本のために必要なことなんだと、私はそう心を鬼にして決意しました。日本のためにセクキャバに行こう。
 お兄さんに紹介されたお店は、時間中にサービスタイムが2回あるお店でした。サービスタイム中はお姉さんがおっぱいぽろりするので、もみもみぺろぺろ自由なお店でした。
 もちろん私は、もみもみとかぺろぺろとか、そういう如何わしい行為を毛嫌いするナイスガイです。だから本当はお店のお姉さんと文学についてとか語り合いたかったんです。でもセクキャバでお金を使う以上は、その店の趣旨にあったお客としてあるべきではないのかと、責任ある人間ならお金を払った以上は客としての義務を果たすべきではないのかと、そういう尊い義務感から、私はお姉さんのおっぱいをもみもみしました。日本のためにぺろぺろもしました。
 そうして私が日本人としての義務を果たしているときです。あの事件が起こったのは。
「ぱいぱいぱぱいぱいぱいぱぱーい!」
 店内に響き渡ったのは。無駄にでかい男の野太い声でした。あやまんJAPANさんの「ぽいぽいぽぽーい」とかいう歌のリズムに合わせて、店のボーイさんがやけくそのように「ぱいぱいぱぱいぱいぱいぱぱーい!」と声をあげたのです。
 おっぱいタイムだから「ぱいぱいぱぱーい」という安易な発想。誰もが考え付くけども、あえてやろうとは思わないネタ。そのネタにボーイのお兄さんは果敢にチャレンジしていました。
 正直にいってね、キョトンでしたよ。「え、あの人どうしたの?」って感じでした。お店の女の子も全然笑っていませんでしたね。なんなら謝罪されたくらいです。「つまんないですよね。すいません」と、女の子も苦笑いでした。
 そうなんです。ボーイのお兄さんはダダ滑りだったのです。お酒も入っているセクキャバなのに誰にも受けていませんでした。驚きましたよ。人間ってこんなに滑れるのかと。こんなに滑っていいのかと。
 私はくすりともしないまま、ただ日本のためにおっぱいをもみもみぺろぺろして1回目のサービスタイムを終えました。
 その後、女の子が交代して、その子と談笑しているうちに、2回目のサービスタイムが到来しました。
 本当は気乗りしないのですが、サービスタイムが来たのなら仕方ないと、私はおっぱいをもみもみしました。日本の未来のためにぺろぺろしました。
 そうやってぺろぺろしている私の耳に、またしてもあの声が飛び込んできたのです。
「ぱいぱいぱぱいぱいぱいぱぱーい!」
 1回目と変わることのない調子で、あんなに滑ったのに全く気にすることもなく、お兄さんはまたしても声をあげたのです。
 2人目の女の子も、やはり「ぱいぱいぱぱい」には失笑していました。びっくりするくらいお店の女の子には不評でした。お兄さんはホームでプレイしているはずなのに、女の子たちは完全にアウェーに回っていました。
 でもそれも仕方のないことでしょう。たしかにお兄さんは面白くなかった。なにひとつ面白くなかった。なにが「ぱいぱいぱぱい」やねんと。そんな声だけでかくても全く笑えませんよ。
 そう、全く笑えなかったんです。たしかに私は全く笑えなかった。これっぽっちも笑えなかった。それはたしかなんです。
 だけど、お兄さんが2回目の「ぱいぱいぱぱい」をやってくれたとき、心のどこかで私は「あ、2回目もやってくれた」と、不思議な安堵感を覚えたのです。別に何も面白くないんだけども、お兄さんが「ぱいぱいぱぱい」してくれたとき、ちょっとだけ嬉しかったんです。
 だってそうでしょう。お兄さんは諦めてなかったんですから。全く受けなくても、お店の女の子から総スカンを食らっても、それでも彼は諦めていなかった。屈することなく声を上げてくれた。私たちお客が少しでも楽しめるように、がんばって声を上げてくれたのですから。
 あの日、お兄さんが諦めずに2回目の「ぱいぱいぱぱい」を聞かせてくれたとき、私は静かに確信しました。日本は復興するなって……。


 とまあ、長々と申し上げさせて頂きましたが、私がいったい何を申し上げたかったかと言いますと、東野くんにも諦めずに声を上げてほしかったと、つまりそういうことなんです。
 彩ちゃんの気持ちを尊重するのは紳士として正解だと思います。自分の気持ちを押し付けるのではなく、自分の気持ちを語るだけ語って、後は彩ちゃんに任せる。それは間違いではないのかもしれません。
 しかしですよ、東野くんの前から立ち去るとき、彩ちゃんは泣いていたのではないでしょうか。悲しげな顔をしていたのではないでしょうか。
 だったら彩ちゃんを笑わせてあげてほしい。優奈ちゃんを笑わせるために漫才をはじめたというのなら、今度は彩ちゃんを笑わせるために、東野くんには奮闘してほしい。
 彩ちゃんという最高の相方を欠く以上、東野くんは大して面白いネタは出来ないことでしょう。でもだったら「ガチョ~ン」でもいいじゃない。何度もガチョればいいじゃない。面白くなくても挫けないでガチョろうよ。ガチョってガチョって、もっとガチョっていこうじゃない。
 私はね、東野くんには不器用にがんばってほしかった。最後のイケメン化は正直キュンときたので全然文句ありませんが、イケメンになる前に東野くんの真面目ゆえのド天然をかましてほしかったのです。嫌われているとしても彩ちゃんには笑っていてほしいから、とかそんな理由でやけくそのように「ガチョ~ン」とか「コマネチ」とか、そういうかっこ悪いネタを全力でやってほしかったのです。
 好きな女の子のためにかっこ悪く奮闘する男の子を、私は応援します。



 私の感想は以上です。無駄に長い妄言になってしまいましたが、それもこれも全て彩ちゃんに対する恋心が暴走してしまったことが原因なのです。なので作者さまにあられましては、気持ち悪い読者につかまってしまったなやれやれと、そう温かなお心で受け止めてくだされば幸いです。
 また最後になりますが、このたびは恋愛企画という素晴らしい企画を主催し、さらには彩ちゃんという天使と私を引き合わせてくださった作者さまに、心よりの感謝と敬意を表し、これにて失礼させて頂こうと思います。ありがとうございました。

2012年05月16日(水)23時05分 イボヂー 
 感想の2枚目です。



 

>「ええか、練習を思い出すんや。今まであんたは一生懸命やってきた。ウチはあんたの頑張りをずっと見てきた。大丈夫、ウチらは最高のコンビや」
 天使や……、ここにほんまもんの天使がおるで!
 出し抜けに失礼しました。あまりに彩ちゃんが天使すぎて、思わず関西弁が出てしまいましたよ。この場面の彩ちゃんは、背中から翼がはえてますね。間違いないです。



>「好きです」
 東野くんの野郎、なかなかやってくれますね。それにしてもこういうストレートな言葉に弱い彩ちゃんは、どこまでも可愛い女の子です。
 しかし、この本番中のサプライズには度肝を抜かされますね。東野くんなりにウケを狙ったアドリブなのか、あるいは彩ちゃんへの気持ちを抑えきれなくなったのか、それとも優奈ちゃんにあたりにけしかけられたのか。謎です。謎ですけども。彩ちゃんの可愛さを引き出すという点では正解だったと思います。



>ボンッと何かが爆発する音。体中の血管が広がって、ウチの顔がみるみる熱くなる。きっと遠目に見ても、ウチがトマトみたいになっとるのが分かるはずや。それだけ、栄吾の台詞は破壊力抜群やった。
 もうキスしちゃえよって感じです。私ならいつでも受け入れます。



>挙げ句の果てに、横断幕を持っとるのはウチをフった倉田君。他の連中が連れてきたんやろう。
 まさかの倉田くん。彼はどういうつもりでこの場に現れたのか。たぶん誘われたから来ただけでしょうね。倉田くんはそういう軽い男です。



>会場を埋め尽くす、笑い、笑い、笑い。邪念のない、ただ「おかしいから」というだけの笑い。ウチの慌てっぷりがツボに入ったんやろう。でも、それをオイシイと思えるほどウチの心に余裕は無かった。
 たぶんクラスメートの皆さんは、面白半分ではあるものの、彩ちゃんと東野くんを応援してくれているんじゃないかと思います。別に彩ちゃんのことを笑いものにしているんじゃないでしょう。
 ここで彩ちゃんが陽気なアメリカンなら、「オーマイゴット」とか言いながらステージで東野くんと抱き合ってハッピーエンドなんでしょうけど、まあさすがの彩ちゃんもまだ高校生ですから、公開プロポーズみたいなのは受け入れがたいのでしょうね。やっぱり告白は二人きりでロマンチックにいきたいのですね。そんな彩ちゃんも可愛いです。ニヤニヤできます。



>「学校掲示板に漫才甲子園のこと書き込んで……応援して欲しいって言って……」
 彩ちゃんにすれば裏切りともいえる東野くんの行動。この行動を東野くんに対して好意的に解釈してみると、彼としては彩ちゃんのために学校のみんなに応援に来てもらったということでしょうか。
 東野くんにすれば、漫才は優奈ちゃんのためにしているのであって、優奈ちゃんさえ会場に来てくれていたらよかったはずです。それなのに学校のみんなにも会場に応援に来るよう求めたというのは、『大阪の女』としてではなく、彩ちゃん個人をもっとみんなに見てほしかったとか、そんな感じの理由でみんなを呼んだのではないかと愚考します。
 あるいは、東野くんはただ純粋に空気を読めていないだけなのか。個人的にはただ空気を読めていない東野くんでいてほしい気もします。そんで彩ちゃんに「もー!」って怒ってほしいです。



>人の色恋沙汰を笑いもんにして、無責任な噂を流す奴ら。そのせいでウチがどれだけ辛い思いしたのか、あいつらは……知らんのや。
 普段は気丈に振舞っていても、彩ちゃんだって十六歳の女の子ですから、そりゃ色々と悩むこともありますし、傷つくこともありますね。可哀想な彩ちゃんを今すぐにでも抱きしめてあげたいです。



>今思えばそれが間違いやった。ウチが笑うから、他の連中はまだ大丈夫と思って余計調子に乗る。そしたらウチはもっと強がって、「んなわけないやん」とか言いながら笑顔作って、その代わりに人目のないところで落ち込んで。ほんまに、面倒臭い女やわ……。
 落ち込んでいる彩ちゃんに説得力があります。彩ちゃんはただ可愛いだけの女の子ではなく、ちょっと意地っ張りな等身大の女の子ということですね。作者さまの心理描写が巧なので、彩ちゃんの造形に厚みがありますね。



>ウチは携帯の電源を落とすと、枕に顔を埋めた。
 ひとりで悲しみに暮れる彩ちゃんが痛々しいです。こういうときは誰かが駆けつけてあげねばなりませんね。



>何で、何であんたはそんなに潔くできるん。もっとしがみついてくれたら、ウチかて……っ!
 私も彩ちゃんと同じく歯がゆく思いました。もっと東野くんにはがんばってほしい気もしますが、彼が潔いからこそラストの彩ちゃんが可愛さマックスになっている気もしますし、難しい問題ですね。



>ウチが、栄吾を好きやって事に。
 このとき彩ちゃんは枕に顔をうずめながら、ぐすんぐすんとむせび泣いているんでしょうね。可哀想なのですけど、泣いている彩ちゃんもやっぱり可愛いですね。



>「あんたは今、誰の笑顔が見たいん?」
 めっちゃ男前やん! おかん、めっちゃ男前やん!
 この場面のお母さまはイケメンすぎますね。さすがは豹柄の似合う女です。



>「球児並の剛速球投げてきぃやー」
 お母さまには負けますが、お父さまもいい仕事しています。いい家族に恵まれた彩ちゃんは幸せ者です。




>「知らんっ。けど、ウチは大阪の女やから、愛情表現せずに居られへんのや!」
 私は基本的に走っている女の子を応援しているのですが、走っている彩ちゃんは応援どころかもはや信仰の対象といってもいいですね。台詞も小気味いいですし、ここの彩ちゃんは姐御って感じでした。



>「お姉ちゃん、が・ん・ば・れぇぇぇぇええええっ!」
 あれ? ここにも天使がいますね。自分で言うのもなんですが、私は意外と甲斐性のある人間ですので、彩ちゃんと優奈ちゃん二人ともどんとこいです。



>「そういう時は、手のひらに『人』って書いて飲み込むんだよ」
 てめー東野! なにいきなりイケメンになってんだてめーはよぉ!
 ……失礼しました。あまりにいきなり東野くんがイケメンになっていたもので、少しばかり気が動転してしまったようです。このラストにおける東野くんのイケメン覚醒はただごとじゃありませんね。彼の身にいったい何があったというのでしょうか。まったく困ったものです。こんな急にイケメンなことされたらね、キュンとしちゃうじゃありませんか。




>「……うち、あんたの事めっちゃ好きやねん」
 素晴らしい締めくくりでした。もし彩ちゃんが私の耳元でこの言葉をささやいてくれるのなら、おとなしく天国に行きます。我が生涯に悔いなしです。「パトラッシュ、僕もう満足だよ」って感じです。
 惜しむらくは、この台詞が私ではなく東野くんに向けられたことでしょうか。ただまあ、ラストの東野くんは尋常でなくイケメンだったので、私の彩ちゃんがコロッといってしまうのも仕方ないことでしょう。




 驚かれるかもしれませんが、まだ感想が続きます。本当に長くて申し訳ありません。



2012年05月16日(水)23時01分 イボヂー 
 イボヂーと名乗らせて頂きます。私は日々を無為に過ごすことが特技の能無しですので、作者さまにとって参考になるアドバイスを送る力は持ち合わせておりませんが、御作を楽しませてもらった読者のひとりとして、ここに拙い感想を残させて頂きたく思います。よろしくお願いします。



 まことにお恥ずかしいことですが、無知蒙昧な私は御作を拝読するまで知りませんでした。天使って関西弁で話すんですね。
 まったく参りましたよ。私も関西弁の女の子が可愛いということは承知しておりましたが、御作の彩ちゃんは可愛いどころか天使でした。だってそうでしょう。なにせ彼女は、全然ゴールデンじゃなくてどちらかというとドブ色だった私のGWに、トキメキという名の光を与えてくれたのですから。
 私は彩ちゃんの放つ眩いばかりの光に導かれるようにして、御作を一心不乱に読み進めました。そして御作を読み終える頃には、すっかり彩ちゃんに恋焦がれていました。めっちゃ好きやねん、になっていました。
 ですのでここからは、私がいかにして彩ちゃんに恋したのか、御作の流れに沿ってつらつらと申し上げていこうと思います。よろしくお願いします。



>なんっ……でやねんッ!?
 冒頭から彩ちゃんがフルスロットルです。勝気な印象をもたせる関西弁の突っ込み口調には、いったい何事が起こったのかと興味をひかれます。



>「あーあーそうそう。ウチは大阪の女やさかい、うるさくて敵わんしなー。そら嫌われるんはしゃーないわなー……って、何でやねん!」
 まさかの冒頭から失恋している彩ちゃんです。空元気な彩ちゃんを抱きしめてあげたいですね。切実に。
 ところで、あろうことか彩ちゃんを振ってしまう倉田くんについては、見る目がない可哀想な男ということで別にいいのですが、そんな可哀想な倉田くんに彩ちゃんが好意をもった理由が気になります。彩ちゃんはいったい倉田くんのどこを好きになったんでしょうか? このあたりもう少し深く追求しても面白いかもしれませんね。
 しかし考えてみると、東野くんもガリ勉で一人ぼっちないわゆる可哀想な男の子でしたし、彩ちゃんはそういう可哀想な男の子のことが気になってしまう母性本能溢れる女の子だったりするんでしょうか。もしそうだとしたら、私も結構可哀想な人間ですし、彩ちゃんとお似合いなんじゃないかと妄想します。



>さらっさらのロングヘアーを揺らして、結が顔を近づけてきた。二重でぱっちりした目とか形のいい鼻は、平凡な顔立ちのウチにとっては羨ましい。
 これは本当に個人的な趣味で恐縮なのですが、この辺で彩ちゃんに結ちゃんと自分の容姿を比較させて、簡単でもいいので彩ちゃんの容姿を描写してくれると嬉しかったです。
 ちなみに私の彩ちゃんは、ショートカットの小柄で小動物っぽい女の子です。ちっちゃい彩ちゃんは普段は関西弁でしゃきしゃき喋っているんだけども、私がちょっとした悪戯心で頭を撫で撫でしたりしたら、「ひゃ!? な、なにすんねん……」と恥ずかしそうにしどろもどろになってくれたら、すごく幸せです。



>ウチもそれは自覚しとるから、周りの期待に応えなあかんと思ってしまう。まあ、笑いに厳しいんは事実やけども。
 周囲の期待を重荷に感じながらも、無理してその期待に応えようとがんばる私の彩ちゃんは、本当にいい子だと思います。



>「ガチョ~ン」
 全然接点のない男子に呼び止められて、何かと思ったらいきなりこれ。さすがの彩ちゃんも無反応でしたが、私は笑いました。私はこういう脈絡のない雑としかいいようがないギャグが嫌いではありません。



>「ええか。笑いっちゅーのはシチュエーションの中で生まれるもんなんや。『普通ならこうなるやろうなー』って流れの中で、いきなりズレた事するから笑ろてしまうねん。せやけどシチュエーションもクソもないのにネタだけかまして笑いを取れるわけあらへんやろ!」
 私の彩ちゃんはお笑いにも精通している生粋の関西人ですね。普通になるほどと思わせる内容です。勉強になりました。



>瞬間、ウチの顔がボッと音を立てて熱くなる。
 よしきた、とガッツポーズを作らされました。これですよ。普段は押せ押せな彩ちゃんなんですけども、予想外の攻めには以外と弱くてすぐ赤くなっちゃうとかね、もうどう考えても天使でしょう。ありがとうございました。



>実年齢は十歳やのに、発育が遅れとるせいか八歳ぐらいに見える。子犬みたいに愛らしい顔立ちで、艶やかな黒髪をツインテールにしとるから、それも幼く見える原因やろう。
 私は彩ちゃんに恋しておりますが、優奈ちゃんでも全然いけるのでご安心ください。念のためご報告しておきました。



>「すごーい! 本場の『なんでやねん』、生で聞いたの初めてー」
 無邪気な優奈ちゃんが可愛いです。優奈ちゃんのためなら、私だってなんでやねんします。



>東野君……ああ、まどろっこしい。下の名前で呼んだろ。
 このさばさば感はイエスですね。さらにいざ自分が下の名前を呼ばれるとうろたえたりしてくれたら、なおイエスです。



>「じゃあ、僕がツッコミで……」
>「なんでやねん!」
 このテンポのいい会話は非常によかったです。彩ちゃんのちゃきちゃき感が出ていると思います。そもそも東野くんに彩ちゃんのツッコミ役は務まりませんからね。彩ちゃんに突っ込むのは、この私の役目です。
 とまあ、大阪なんかではお約束であろう下ネタを交えてみました。



>……あれ、案外まつげが長いんやな。外で運動せぇへんから顔も白いし、こうして見ると文学少年みたいや。あ、下の方見た。へぇー鼻高いな、こいつ実は磨いたら結構イケるんとちゃうか。せやな、髪型をもうちょっとオシャレにして、眉も綺麗に整えて……って、なに考えとるんやウチは。
 このときの彩ちゃんは、ちょっと頬を染めていますね。私には分かります。



>二人して顔を引き離す。こん時は秒速何メートルやろうか。
 きゅんきゅんしちゃいました。



>「ナ・ン・パや」
>「へぇー、物好きもいたもんですね」
 この辺りの掛け合いは普通に漫才になっていて感心しました。面白いと思います。



>……絶対に「嬉しい」とか言うたらへんけどな。
 素直になれない意地っ張りな彩ちゃん。ニヤニヤしちゃいます。




>「わ、わかったわ。ほな待っとるから……着いたらまた連絡ちょうだい」
 本当に彩ちゃんはとことん攻めに弱いですね。愛しちゃいます。



>ぼふっと枕に顔を埋めた。夢と現実を行ったり来たりしとるような感覚。せやけど嫌やない。出来たらこのままずっとこうしてたい。
 このときの彩ちゃんはお風呂上りで部屋着かと思います。ちなみに私はホットパンツにノースリーブのシャツを希望します。



>「……あんたって、男に尽くすタイプだったのね」
 結ちゃんのお言葉に間違いはないと思います。彩ちゃんはあれですね。ダメンズにつかまっちゃうタイプの女の子ですね。心配になってしまいます。だから彩ちゃんみたいな女子には、女の子に尽くすタイプの私みたいな人間がお似合いですね。
 あと衣装がぜんぶ彩ちゃんの負担とすると、東野くんがその好意を当たり前のように受け入れているのは、いかんせん彼がヒモ過ぎる気もします。もっと東野くんに感謝させるか、埋め合わせの約束をさせてあげてもいいかもしれません。



>「ぶふぁッ!?」
 うろたえる彩ちゃんがいちいち私のツボに入ります。結ちゃんはいい仕事をします。



>「ほら~、顔赤くして~」
 紳士なら当然のことかと思いますが、ニヤニヤしました。彩ちゃんは本当に可愛いですね。



 長くなりましたので、ここで感想を一旦区切らせて頂きます。無駄に長くて申し訳ありません。 
2012年05月13日(日)15時59分 巻上つむじ  +20点
お世話になっております、巻上つむじですー。
企画も後夜祭となり、緊張感もようやく薄れてまいりました。
ということで、気軽に感想を残していきたいと思います。テンプレ通りの感想ではない上、好き放題なことを言わせてもらおうと思うので、お気に障ったならスルーをお願いいたします。


以下、読みながら気になったところを抜粋します。

>「ガチョ~ン」
→空白を開けてのこの真面目君のギャップ、これは卑怯ですよぉww まさかこんなところで突然自分が爆笑してしまうとは思いませんでした。掴みはバッチリですね!

>本・番・当・日!
→気取らないですねぇ。本当に、一切気取らない。素直で変な捻りがない、とても好感が持てる文章だと思います。彩のキャラ性がにじみ出てますね。

>結のトータルコーディネートで変身したんはええけども、中身は全然変わっとらん。女性受けしそうな外見をしとる割には弱々しそうやから、見ているとアンバランスに思えてくる。
→彩ちゃんだったらコーディネートで変身した時に、ちょっとしたときめきを覚えるような気がしたのですが。うーん、ここはちゃんと描写してほしかったかもしれませんね。

>「お姉ちゃん、が・ん・ば・れぇぇぇぇええええっ!」
→誰の言葉かは最早言うに及ばず、ですね。個人的な嗜好ですが、妹さんの出番がもうちょっと欲しかったかなぁと思いつつも、この名場面には鳥肌が立ちました。ちゃんと意味があったんですよね。ロリコンじゃないですよ、えぇ、はい。


読み終わって一言、非常に素直で真摯な作品だったと思います。
恋愛企画、そのテーマに真っ向から挑んでいった、とても甘酸っぱい恋愛小説でした。この企画でこういう作品が素直に評価されるというのは、正しい形であると思います。
色については、個人的にはそこまで印象に残るものがなかったのですが、どうでしょう。見逃している可能性も無いわけではないですが。

文章についても彩の性格を表すようにして単純明快、余計なものは混じっていないという按配で、読み進める上で全く違和感を覚えることがありませんでした。文章の完成度については(関西弁については正直、全然わかんないですが)かなりのものがあったと思います。やはり書き慣れている、というかもう百戦錬磨の方は凄いなと、勉強になりました。
あと、彩ちゃんが普通に可愛いっていうのもありますよね。げふんげふん。

東野とその妹、そして結についてなのですが、物語上必要になったから出して、台本どおりに動いているという印象を受けます。皆彩にとって都合の良いように動くし、物分りもいいし親切。彩について詳細に語られすぎているためか、その対極として彼らは読者にとってあくまで「キャラクター」でしかなかったように思います。あまり感情移入ができませんでした。

ラストはスッとフェードアウトしていく感じだったのですが、うーん、もう少し読みたかったかもしれません。蛇足になる可能性もあるのですが、この二人のいちゃつくエピローグが見たかったかも。枚数にもまだ、少しだけ余裕があったことですしね。


作品としての感想は以上になります、ここからは個人的に少し思ったことを。
以前に作者様の作品を読んだのはおそらく、「おっさん学園」が最後であったと思います。「うち、あんたの事~」も、「おっさん学園」ほどではないにせよ、現代のライトノベルではあまり描かれることのない「家族」というものの関係に重きを置いているような気がしました。
おそらくはこれが作者様の持つ温かみのある色、個性なのかな、などと思いつつ感想を終えたいと思います。
お疲れ様でした。 
2012年05月12日(土)17時30分 三水 未  +10点
 こんにちは。三水 未(さみず まだ)といいます。「うち、あんたの事めっちゃ好きやねん!」読ませていただきました。
 基本的に僕の好みでの感想にしかなりませんので、参考にならないと思われたらスルーしてやってください。

 関西弁の女の子、いいですね。大好きです。何気なく当たり前に関西弁のイントネーションで喋ってる女の子とか見たらキュンと来ちゃいますって。
 そして漫才を組んで一番とまではいかないまでも上を目指す二人。ありそうであんまり見ない、いいストーリーだとは、思いました。

 が、すいません先にいったことを全力で否定するようなこと言うんですが、正直全編関西弁は、やっぱり若干萎えるところがありました。確かに段々慣れはしていったんですが、鬱陶しい感は拭いきれませんでした。他の方の感想を見ていると、これはもう好みの問題だと思うんですが……。

 ストーリーで気になったのが、最初に彩がフラれた意味はあったのか、と。あのくだり、なくてもよかった気がするんですよね。フラれたことが意味あったのって最初にみんなにちょっとからかわれていたくらいですし、それだったら元々ひょうきん者で学校中に知られていたってことにしておけば十分描写できる気がするんですよね。
 個人的な好みを言えば、むしろ告白するのはこれからであってほしかったです。実はちょっと奥手なところのある彩は、好きな男子に告白するのに踏ん切りがついていない。その上で漫才で地区一番になったら告白する、というような動機を彩に持たせてあげてほしかった。
 なんというか、彩が漫才をする動機があまり見えなかったんですよね。東野くんの妹云々はありましたが、結局彩にとってみたら他人なんですよ。あそこまで必死になる理由には今一つ足りない。
 そこで、漫才で一番になったら告白する、という彩にとっての動機を持たせて、でも漫才の練習をやってる内に東野くんのことが好きになっていく――というストーリーが、個人的には好きでした、という話です。

 大体そんなものでしょうか。色々と面白いものや他にはないものがあったとは思うんですが、その魅力を受け止めきれませんでした。よくも悪くも地の文の関西弁がどこまで受けれられるかで、大きく感じ方が変わったのかもしれません。

 最後になりましたが、執筆お疲れ様でした。それでは生意気な感想失礼しました。 
2012年05月12日(土)14時06分 紅島 t1pBdWX50o +20点

 こんにちは、初めましての方は初めまして。紅島です。拙い感想ですが精一杯書いていこうと思います。関西弁のキャラが書けるのが羨ましいなぁと思いながら読みました。

 いい作品でした。特に書くことないです。……で、終了したらダメですよね。わかってます。
 甘酸っぱくて読んでて悶え死にそうでした。いい意味で。色んな方がすでにたくさん感想書かれているので、私は自分が特にちょっとなぁと思った部分だけを書きたいと思います。

 関西弁のキャラで、この関西弁がはたして正しいのかどうかはさっぱり私にはわからないので、さておき。会話のテンポが良かったと思いました。特に彩と結の掛け合いは小気味良く会話の応酬に作られているなと思い楽しめましたが、少なかったのが残念です。
 個人的には彩と結の掛け合いのほうがテンポよく作られていたので、彩と東野の会話が物足りなかったなぁと思いました。ひとえに、真面目系の東野のキャラだと仕方がないのかもしれません。

 キャラ付自体は良かったと思いますが、東野のキャラが個人的にはもう少し練ってほしなと思いました。どうにもストーリーに動かされている感があります。
 妹を笑わせたいはわかりましたが、そこがどうこんがらがってどうして大舞台での告白になっちゃったんだろうとか思い、残念な気持ちです。いや、ストーリー自体は分かるのですが、個人的にそういうキャラ? うーんと困惑してしまいました。壇上の場面ではしっかりしたギャグで笑わしてくれると思っていたために、あっさりと告白シーンに移ってしまったので、そこがストーリーに合わせて動かされているなと思った所以でした。
 妹来てるんだから徹頭徹尾笑わしてあげれば良かったのになぁと個人的には思います。今のだと作者さんがこういう話を書きたいんだー、という作りで配置したエピソードになってるんじゃないかと思い、余計に妹思いという東野の姿にも違和感? かな。
 彩が逃げてからの東野の動きが個人的には身勝手君状態なので……いや、まぁ、告白するシーンからその前準備から把握するとすごい身勝手くんなので、さすがの私も甘酸っぱくはありますが、東野の行動にはドン引きです。その点がこの作品における欠点かなと思いました。
 いやー、恋は盲目ですねと言っても、限度がありませんかねと彩が告白しに行く場面で思いました。
>>栄吾は、「大阪の女」やからやのうて、ウチやったから付き合うてくれた。同じ学校で唯一、ウチのありのままを見てくれた男子。このまま離ればなれになるのは名残惜しい。
 →うむ、分かっておるぞ。だが、その男はお前を陥れたんだ(違う
 残りすくない枚数でしたので仕方がなかったのでしょうが、告白後のシーンからはもっとゆっくりと立ち直っていったほうが良かったなぁと。
 終盤が本当に駆け足で、壇上から逃亡してからの展開には物足りなさがあります。できることなら、家にやってきた東野が喋っているシーンの前に、彩が結と喋ってくれればもっと良かったんじゃないかと思いました。
 そうであれば、ワンクッション置かれるので、まだ東野の身勝手くんっぽさが軽減されてくれる……はず? 無理かな。
 
 さて、私が言えるのはこのぐらいです。それでは失礼致します。
 次回作も頑張ってください。ではでは。
  
2012年05月12日(土)12時47分 目前  +20点
「うち、あんたの事めっちゃ好きやねん!」、拝読致しました。
以下、感想を述べさせて頂きます。

関西にも漫才にも詳しくなく、思い入れもない私ですが、楽しめました。
ただ、告白周りが……。


■文章
文章自体は突っかかるような表現もなく、すんなり読めました。
突然の展開にもある程度直前にフォローがなされていたので、「これどういう意味だ?」と読み返すこともなかったです。

御作で使われている関西弁は非常に読みやすかったのですが、所謂「関東人用に調整された関西弁」なのでしょうか。
意味が分からない表現が一つも出てこなかったので、方言小説を辞書やネットを片手に読む楽しさはありませんでした。
それを“残念”と感じていいのか、関西弁に詳しくない自分には自信が持てないのですが。

■設定
どこに書こうか迷ったので、こちらに。

> 「何や栄吾。あんた、そんな事も知らんのかいな」
いきなり下の名前で驚いたのは私の方です。東野君、漫才よりミステリー書いた方がいいじゃない?
それはともかくこのパロディ、作品的に何か意味があるのでしょうか。
某ミステリー作家が漫才が好きって話があるんですかね? むしろ某作家は大阪の方なので、東野のパロディにするのは逆効果だと思うのですけど。
この部分だけは安易な受け狙いの印象でした(私の知らないネタが存在するのでしたら、申し訳ありません)。


■西野
関西人であるが故のメリットとデメリットを併せ持つ、リアルで面白いキャラでした。
誰かを好きになることに対する苦しみから始まり、癒されかけるもすれ違い、それでも最後は自分の意志で立ち上がる流れは、王道ながら感動しました。
私の中では、本企画の中で一、二を争う良キャラでした。

ですが、主人公の東野に対する感情描写については、ちょっとうんざりもしました。
主人公自身、最初から東野に対する特殊な感情には気付いていて、読者的にも「惚れたんだよね」と分かるのですが、それを意識しようとしない期間が枚数的に多かった印象です。
主人公のバックグラウンドからすれば、好きという感情を無意識に否定する気持ちも分かるのですが、そこに乗り切れなかったのは感情移入しきれていないためだったと思います。


■東野栄吾
主人公のリアルな書き込みに反して、このキャラの人格は初見では掴みにくかったです。
作品を動かすために必要な動作をしか描写されていないのが原因かな、と想像しています。

たとえば序盤と終盤が顕著でした。
「学食の隅っこで、牛乳片手にパンを」かじり、「独りぼっち」の人物が、一週間後には校門を出て数分のところで「ガチョ~ン」
「ひ……ひとって……どう書くんだっけ……!」が、告白してからの「そういう時は、手のひらに『人』って書いて飲み込むんだよ」どちらも東野にとっての重要なイベントを挟んでいますし、彼の中では色々と葛藤と変化があっての行動とは思うのですが。
読者の視点にはその事情が整理されて表現されないので、彼の“〇”と“一”しか見えてきません。
想像に任されるにはちょっと辛すぎる変化で、初見では不自然な人物に見えてしまったのでした。
(因みに後者は、いいシーンなのに「いつの間にそんなイケボが似合う男になってんだよ!」と大笑いしてしまいました)

告白の部分でも似たようなことが起っています。
初見では「妹のための優勝を壊してまで告白して、妹はどうしたんだよ」と思いました。
でも再読で以下の部分を読んだ時に、考え直しました。
> 「今日、妹の見舞いに行ってきたんだ。西野さんと漫才の練習してるのを話したら、嬉しそうに『頑張ってね』なんて言ってさ。これも全部、西野さんのおかげかなって」
東野が漫才という打ち込めることを見つけたことで(そして主人公に恋をしたことで?)、漫才甲子園出場以前の段階ですでに、優奈に作り笑いじゃない笑顔をさせることができているんですよね。
東野にとって「漫才甲子園優勝」は表面的な目標で、真の目標は「妹に笑っていてもらいたい」ということ。
だから、優勝を蹴ってでも妹の前であの告白を選ぶのは、決して不自然ではないと思ったのです(主人公と漫才に対しては不誠実ですが)。

更に三回目に読んだ時に、そもそもあの発言は告白じゃなかったのでは、と解釈できるとも思いました。
東野は妹のお見舞いの際に、彼女に漫才のことを語っています。
そこで「ナンパするシーンが難しくて」のような話を漏らした時に、兄の気持ちに気付いている妹が「素直な気持ちでやれば?」などと言われたのでは、と。
真面目な東野は“アドリブ”としてあの演技を選んだが、主人公が感じていたトラウマを知らなかったことで、裏目に出て誤爆した、という解釈です。
東野自身、後で「『あの時』に言ったこと、嘘じゃないから」としか言っていないので、上記の可能性は十分あるでしょう。
愚直で真面目な東野のキャラとしてもブレていませんし。

もちろんこれら告白の解釈は、文脈から読み取っただけの妄想です。“想像の余地がある”のはいい小説の条件ともいいます。
ですが、前述の変化の件もあわせて、東野というキャラについてはあまりに余地が多すぎて、最終的についていけませんでした。


■東野優奈
兄である東野と同じで、もうちょっと情報が欲しいと思いました。ですが、こちらは概ね問題ないです。

> 「今日、妹の見舞いに行ってきたんだ。西野さんと漫才の練習してるのを話したら、嬉しそうに『頑張ってね』なんて言ってさ。これも全部、西野さんのおかげかなって」
東野の項でも抜粋したこの台詞で、優奈自身も栄吾に心から笑っていて欲しいと思っていたことが分かります。
なので、病院での応援も納得できましたし、描かれていたキャラからブレていないと感じました(六階はどうかと思いますが(笑))。

不満があるとしたら、あの甲子園の感想が聞きたかったかな、というところですね。
それがあれば、東野の項で触れた告白の件も、ある程度カバーできたと思うので。


■物語
展開自体は、突っ込みどころもなければ特筆すべき点もない、王道でした。
ただ、他の方も指摘していますが、東野が登場するまでの主人公の鬱屈した心理描写が、短いですが辛かったです。
評判を聞いて読み始めたものの、そこで一度読むのをやめていました。


■まとめ
文体が関西弁と目を惹かれましたが、そこを差っ引くと物語的に目新しい部分はありませんでした。
ですが、キャラの魅力で最後まで引っ張られる感覚はライトノベル的ですし、それを補強しつつも決して読みにくくない関西弁の文体も効果的に作用して、王道な物語を活かすだけのクオリティだったと思います。
また、読後感の清々しさは、本企画中で最高だったと思います。
というかあの終わり方はずるい(笑)。

それだけに、告白周りにスパッとした解釈が提示されていたら、と勿体ない気持ちで一杯です。


■雑記・改善案
ここに書くことは、どれも得点に影響しない個人的な印象です。

やっぱり東野の書き込みが少ないと思います。
基本的に主人公と東野だけのやりとりで話が進むので、東野の一面しか見えてこないのですよね。
せっかく兄に対する最強キャラである妹がいるのですから、東野の思わぬ一面や、主人公に見せていなかった顔を出して欲しかったです。

告白については、東野がどんな意図だったのかを語る(もしくは主人公に語らせられる)だけで、よかったと思います。
妹が言い出したのであれば、それについて妹が謝るなり、逆に妹が兄に「ああじゃない」と怒るなりさせれば、描写に厚みも出るでしょう。

それ以外には、改善案は思い浮かばないです。
本当にレベルの高い作品だったと思います。

盛り込まれた小ネタが、漫才に詳しくない自分にもそこそこ分かるものだったのもよかったです。
(分かっていないのも沢山あると思いますけど)

……で、割りと気になっているんですけど、実際、本当に告白したのか、愚直にネタを行ったのか、どっちだったんです?


以上、つたない感想ですが、参考にできる部分があれば幸いです。 
2012年05月12日(土)11時11分 華樹  +40点
華樹と申します。『うち、あんたの事めっちゃ好きやねん!』、拝読しましたので感想残させていただきます。

 京都に住んでますが、やっぱり小説で関西弁書かれると違和感ありますね。御作のテンポの良さにより途中から気にならなくなりましたが。

 西野さん可愛かったです。本当は失恋で笑われて傷つく普通の女の子なのに、周囲に気をつかって(プライドもあるみたいですが)強がったり怒ったりしないところとか、好感が持てました。東野君はもう完全に文系少年でしたが、最後の最後まで生真面目で人の内面を見ているところが良かったと思います。二人の性格は正反対ですが、そんな印象を持ったので二人が惹かれあっていく過程に違和感はありませんでした。

 まあ、最後らへんちょっと東野君余裕ありすぎじゃね? とも思いましたが。でもそのおかげで西野さんの可愛らしさが際立ったのでこれも良かったと思います。しかしここまで気風のいい快活な女性一人称だと男っぽい感じがしてもいいような気がするのですが、西野さんは最後まで女の子らしかったです。大阪の女、だからでしょうか。

 つたない感想、というか西野さん可愛いとしか言ってないようで申し訳ありませんが、最後にひどく個人的なツッコミを。

>『イースト・ミーツ・ウエストです!』
 長いわ!

 大変面白い作品をありがとうございました。 
2012年05月11日(金)10時53分 燕小太郎  +40点
 執筆お疲れ様です、燕小太郎と申します。
 拝読いたしましたので、感想を残したいと思います。

・読みながら思ったこと
 ……やられた、面白かったです。序盤できっちりネタ的に面白く、後半はシリアスもあってストーリーが面白く、総じて面白い。グッジョブ関西。
 今作一番のウリは、キャラクターだと思います。彩の大阪のノリが秀逸で、その一方で『大阪の女』というレッテルに少なからずコンプレックスないしプレッシャーを感じている。その辺りの明暗のつけ方が素晴らしく、彼女の、そして今作の魅力に昇華させていると感じました。
 また、天然ド真面目栄吾君が素晴らしい。初っ端の『ガチョ~ン』で全部持ってかれた感じです。吹きました。他にも、『ありがとう』を照れずに言えたり、漫才中にガチ告白しちゃったり、電話が通じないとあれば家まで来ちゃうアグレッシブな姿勢は好印象、言うだけ言って帰っちゃう物分かりの良さは若干マイナスでしたが、ある意味ヒロイン待遇という意味では(主人公が女の子なので)、ベストな選択かなと思います。
 小説ヒロイン級超絶美少女なのに脇役の結も、なんやかんや言いつつ良い親友なのは良かったです。超スペックの割に出番が少ないのはご愛嬌ですね。

・こうすればもっと良くなるのでは? という提案
 ぶっちゃけ何も思いつかないです。久しぶりにお手上げ侍な感じの面白い作品と巡り合いました。

 余談ですが、私は2008年のM-1が歴代の中で一番好きです。
 とても面白かったです。ありがとうございました。

 拙い感想ですが、少しでも参考になる部分があれば幸いです。それでは、また。

2012年05月10日(木)23時45分 こんて BVw3mTXR3k +20点
こんばんわ。こんてといいます。拝読したので感想を。

良かったです。

実はかなり前にタイトルを見た瞬間から読もうと思っていました(本当)
序盤だけさっと見た時に地の文が全部濃い関西弁だったので、これはいいな―と思って四月三十日の時点で模写用フォルダに保存していたのです。本当は土曜日にもう少し丁寧な感想書きたかったのですが間に合わなそうな気がしたので軽く足跡として残させて頂きます。少し急いで読んだ感じです。キャラに偏った感想になります。

【参考になった箇所】
・地の文全部。関西弁可愛いです。

【可愛かった箇所】
>「ああそうや。やから優奈ちゃんも、思いっきり笑ろたらええ。そしたら病気も吹っ飛ぶで」
>「うん!」
> ……ぅあ、何かこの子めっちゃ可愛ええんやけど。おっさん、頑張りたくなるやんけ。

・可愛いです。

>「ほぉ、そらえらい大見得切ったもんやな」
> と、これはオトン。ハゲでビールっ腹のおっさんやけど、裏表のない性格がウチは大好きや。

・サッパリしてて良い感じ。

> 観客の誰かが茶化すように叫んだ。ふわふわした感覚のまま、ウチは声がした方を向く。

●この付近の数行は思考が上滑りする感じが良く出ていて、凄く上手いと感じました。そして可愛さアップ!

>「……うち、あんたの事めっちゃ好きやねん」

●あー可愛い。可愛いなあ。いやホント可愛いっすヨォ。

【笑った箇所】
>「いや全然。なんせ、最初に見せたネタが『ガチョ~ン』やで!」
 爆笑。オトンが吉本新喜劇ばりに椅子から転げ落ちたんは、ちょっとやり過ぎやと思うけど。
「今時珍しい子やな! あのネタ使える子は、なかなかおらんで!!」

> こいつ、何でこういう時だけ自己主張すんねん。今のボケのタイミングは良かったけどやな……。もしかしてこいつ、天然なんやろうか?
>「ほんなら、今ので決まりやな。あんたがボケで、ウチがツッコミで行こか」
>「……うん」

●仕事上がりだと相当面白くない限り笑わないメンタル状態になっているのですが、それでもこの二つは笑えました。

【グッと来た箇所】
>「あんたは今、誰の笑顔が見たいん?」

>「お姉ちゃん、が・ん・ば・れぇぇぇぇええええっ!」
> 幼い声援が割って入った。

・ちゃんとツボを押さえてて良いですね! すばら!

【今ひとつだった点】
野暮かも知れませんが、書きます。率直に言うと、東野君が登場するまではちょっと退屈な印象でした。全体に関して簡単にまとめると、

序盤:やや退屈
中盤:普通
終盤:良かった
最後:超可愛い

となります。東野君のキャラが薄めだったので、キャラ同士のパワーでちょっと負けてたかな……。中盤は展開的に普通だったので、主に西野さんの思考の可愛さを頼りにして読み進めました。あと漫才のネタがすごく面白かったかというと、微妙だったかも知れません。物語を成立させるためのファクターであって重要項目ではないのかも知れませんが、本番の漫才の部分でも笑いたかったです。

でもラストが凄く可愛かったので大体帳消しになりました。全体として、西野さんの可愛さが目立った物語でした。
尺的にはもう少し短い方が甘くつけられたかもしれません。この枚数だとやっぱり物語の比重が高くなってきますね……。

【その他良かった点】
名前が分かりやすくて覚えられました。西野さんは大阪だから西、東野くんは東京だから東、結は二人を繋げてくれるから結(むすび)なんですよね。どっちかというと縁結びをしたのは優奈ちゃんの気がしますが。

【総括】
西野さん。今でも可愛いですが、もっと可愛くして欲しいです。少し具体的に言うと、思考は良い感じだったので、行動でも突飛さというか、枠組みから外れるほど可愛い部分がもっと欲しかったです。行動の方は物語中であまり意外性はありませんでした。

現状でも十分なんですが、読み手としては十ではなくて十五くらいを期待するものなので。

簡単ですが以上です。では。 
2012年05月08日(火)22時26分 イシバシセンパイ 8dwx/vJdj. +40点
イシバシセンパイです。
今回は一身上の都合により読み専となりました。
「折角読み専になったんだ」という訳で、感想の書き方を一新しました。自分は、ただ思ったことを徒然なるままに記した感想の書き方をしていましたが、これからは項目に分けて評価していきたいと思います。

【タイトル】

>うち、あんたの事めっちゃ好きやねん!

このタイトルを見たとき、自分はこう思わざるをえなかった。これは……自分の為にある作品だな、と。
ええ、関西弁大好きです愛してます。最近ではスマイルプリキュアのサニーたんこと日野あかねにもうメロメロです。
返信時の「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー」の「サニー」の部分が素敵。自分はこれ(第二話のフルな奴……「Leady プリキュアスマイルチャージ GO Lets go サニー」から)を着メロにしてますが、サニーって言い終わるまでケータイを開けないんですよ。一回、「キュア……」で切られて軽くキレましたよ。ちょっとくらい待てや……聞けなかったジャマイカ。脱線すみません。

フェチをピンポイントで狙い、討つ……そうでなくても作品の雰囲気や方向性が漠然と伝わってくる……良いタイトルでした。

【文章・文体】

終始一貫して関西弁。彩のプリティチャーミーな関西弁。
全て自分自身の主観的意見ですが……あんた最高や! 自分、関西人か? 東京? ……東京でこれやったらマジで感動する。中々の再現度やったでコレ。
地の文まで関西弁とは……濃いですね。自分は関西人っつーか大阪の男ですから、しかも関西人フェチですから、むしろヒャッハー! な訳ですよ。でも「読みにくいなぁ」なんて思ってしまう人もいるんだよなぁ……他の感想を見る限りは大丈夫そうでしたが、途中で「読めんし読まん!」なんて言った人が感想を書いていないだけかもですし……。

ただこの一人称が、作品を一際光らせているのでしょう。

【世界観・設定】

大阪から東京に行くとな、何か知らんけどツッコミ期待されるんや。みんないきなりボケだすねん。ダルいわ~……俺ボケやっちゅーに。
とは昔東京に転校した友人の談です。彩の置かれている境遇が、まさしくこれじゃないでしょうか。
フラれた話さえ笑いに換えなくてはならない。まあ彩もやけくそになってボケてましたが、友人も確かやけくそになってツッコミ倒したと言ってました。全部「なんでやねん!」で済ませたらしいです。
人間の周りが上手く書けていた気がします。それだけに漫才中に皆が居たのがショックでしたね、良い意味で。彩に感情移入がしやすかったです。

【キャラクター】

>彩

とにかく自分の性癖は関西弁なわけで、こんなにも彩のことを想ってしまうのは仕方がないんだよ……。
流石はこの作品のヒロイン。めっちゃくちゃ可愛いです。ちなみにヒロインとヘロインは発音記号同じなんだぜ……つまりだな、ヒロインはヘロイン、中毒性があるんだよ! ……しかも依存性ね。
もう自分は彩無しでは生きていけない。彩有りでもキュン死にしそうだし、可愛過ぎて辛い。

彩は、やや誇張された大阪の女な感じがしました。

>「そんなこと言われてもね……やっぱりお笑いは好きなんでしょ?」「まあな」

>「阪神タイガースのファン?」「そらもう」

>「お好み焼きでご飯が食べられる」「余裕やで」

>「探偵ナイトスクープは欠かさず観てる」「録画必須やな」

しかしこの誇張は良い誇張だと思います。だってラブコメなんですから。あと探偵ナイトスクープは笑いました。

>ウチの携帯から、やしきたかじんの【やっぱ好きやねん】が流れた。

女子高生がやしきたかじんを着メロにするかぁ! ただギャグとしては最高。笑いましたよ。

>結

彩が大阪の女ならば、結は東京の女でしょうか。キレかわ今ドキの愛されガール。……ただの糞ビッ……あ、いや、何でもないです。
しかし糞ビッ(以下略)なのに素敵な友達だなぁと思いました。
彩に告れなんて言っちゃって。

>「もう、ヤっちゃったの? 東野君と」

実はこの下ネタ、めがっさ笑いながらも純粋に、結、こんなこと言いそうだなぁ……ってなりました。偶然か必然か、キャラクターらしい行動だったと思います。

>母

名言でしたね。格好良い。この人は結同様、彩の恋物語に不可欠ですね。

>「……ええか。大阪の女はな、ごっつ愛情深いんやで。好きな人の為なら何でもできるし、ちょっとばかし恥ずかしくても頑張れるんや。人の笑顔を好むんも、愛情あればこそなんやで」

【構成・内容】

妹の為に漫才甲子園に出たのに、まさかでしたね。なぜ今、告る? さすがに不自然でした。
ただ皆が来ていて、二人の仲がピンチになるこの展開は素晴らしいですよ。でも大義は通さなきゃ。

漫才甲子園には全力で挑んで、しかし予選敗退。舞台裏で彩が申し訳ないと泣き、栄吾が抱きしめて「好き」と告白。「決勝戦行ったらそこで言うつもりだったけど……負けてしまったし……もしかしたら彩と漫才するのはこれで最後かもしれないし……」みたいな。
そしてそれを見に来ていた皆に目撃されて、「嫌ぁぁぁあああああ!」で、あとはエンディングまでGOつって。

……ええ、ええ、自分でも思いますよ、何でそんなこと考えたんだろう。
多分この作品が好きだからでしょうね。そりゃもう好きですよ。

最後にひとつだけ。

>大阪の女はな、ごっつ愛情深いんやで。せやけど……ちょっぴり照れ屋やねん。

一行コピーの奴ですが、読後、これを読んだらはきゅぅぅん! ってなりました。

【総括】

タイトル:よし
文章:よろし
文体:よし
世界観:よろし
設定:よろし
キャラクター:よし
構成:よろし
内容:よし

ふぅ……感想を書くのにかなりの時間がかかりました。しかし今までと違い、深く考えて書けたので自分のタメにもなったかなと思います。
それでは。

2012年05月08日(火)21時20分 つとむュー  +20点
GW企画お疲れ様です。作品を拝読いたしましたので、感想を記したいと思います。

すごく読みやすく、ストーリーも面白かったです。

お題は弱いと感じました。なんとかクリアする程度だったと思います。
申し訳ありませんが、個人的にはお題を重要視したい方なので、少しマイナスさせていただきます。

>ウチはベッドの上に携帯を放り投げて、ぼふっと枕に顔を埋めた。夢と現実を行ったり来たりしとるような感覚。

こういう描写がとても良かったです。主人公の心情がよく表れていると思います。


コメントを書くために作品を再読した際、
東野君のキャラがブレているように感じて、とても気になりました。
まるで、ストーリー展開に合わせるように性格が変化しているような印象です。

>結が言う通り、東野君はクソが付くぐらい真面目な男子や。

最初、東野君は気弱な男子生徒だと思っていました。

>校門を出て進むこと数分、後ろから呼び止める声がした。

えっ、校門を出て数分って、ガチに通学路ですよね? そこで、ガチョ~ンですかっ!?
確かに、ガチョ~ンを使った展開は面白かったです。オトンが笑い転げたシーンも最高でした。
でも「通学路で」というのは、東野君の性格設定を少し犠牲にしているような気もしました。
せめて、通学路の脇の人気の無い路地で、という設定の方が良かったのではと個人的には思いました。

>下を見ると、栄吾の両脚が小刻みに震えとった。緊張し過ぎて足が動かへんのやろう。

そうですよね、東野君はそういう人ですよね。

>視界の端では、栄吾も照れくさそうに手を振っとった。

ええっ、緊張で震えていた東野君が、ステージ上で手を振っているって!?
いくらなんでも、緊張あっと言う間に消え過ぎじゃないですか?(笑)

>「好きです」

気弱な東野君なら、ステージという機会を告白に使うかもしれませんね。

>「学校掲示板に漫才甲子園のこと書き込んで……応援して欲しいって言って……」

えええっ、気弱な東野君が学校の掲示板に書き込みを!?
しかも、あの告白は、同級生が来ているのを承知でやったということですか???

>ウチは栄吾から逃げるように、駅の出口へと走った。

うーん、ここで西野さんを追いかけなかったら、東野君は翌日までは何もしないような気がします。
もしくは、西野さんを追いかけて「大嫌いでもいい。僕は君が好きなんだ」という風に言うとか……

という感じに、ストーリー展開に合わせて弱気の東野君と強気の東野君が使い分けられているような印象を受けてしまいました。
最初に読んだ時は、読みやすさと関西弁の面白さで一気に最後まで読んでしまいましたが、
冷静になって改めて読んでみると、個人的には少し気になってしまいました。


ステージのシーンでは、西野さんの行動にも少し?な部分を感じました。

>こっちに手ぇ振っとる連中を見た瞬間、ウチの顔にヒビが入った。

さすがの西野さんでも、ステージの緊張と告白の驚きで、手を振っている連中を見れる余裕は無かったんじゃないかと思います。
逆に、手を振っている連中や、横断幕の内容が見れるということは、
告白の動揺はそれほどでもなかったんじゃないかと、そんな印象を持ってしまいました。
東野君はずっと西野さんのことを見つめているわけだから、東野君のことが本当に好きなら目を逸らさなかったような気もします。


いろいろと書いてしまいましたが、とても面白く読めた作品であったことは間違いありません。
拙い感想で申し訳ありません。今後のご活躍を期待しています。 
2012年05月06日(日)23時47分 へろりん  +30点
へろりんと申します。

イベント参加作品、執筆お疲れ様でした。
御作拝読しましたので、感想を書かせていただきます。

大変楽しんで読ませていただきました。
面白かったです。
笑いました。
にやにやしました。
そして、泣きました。
それほど感情移入できた作品でした。

タイトルを拝見すると、どうやら関西の女の子の恋のお話らしいです。
一行コピーを拝見すると、やっぱりそうらしいです。
『照れ屋』ってところに、にやにや要素がつまってる予感がします。

文章、ストーリー、演出ともに、ハイクオリティーで纏まっていると思いました。
関西弁も気になるところはあったものの、かなり自然な感じで表記されていたと思います。

ちょっと気になった関西弁について、以下に述べます。

○ やんけ

『~やんけ』は女の子にしては品がないかなと思います。
『~やんか』『~やん』で充分かと。

○ 思って

冒頭だけ『~思うて』になっていますが、『~思って』が多かったなと。
『~言って』は『~言うて』になっていたのに。

○ おおきに

『おおきに』より関西弁のイントネーションの『ありがとう』の方が好きなのですが、これは書き言葉だと関東弁と同じなので、仕方ないですかね。

○ いとしこいし

> 胎教の代わりに夢路いとし・喜味こいし両師匠の漫才を聞いてたウチにしてみれば

いとし・こいし師匠って確かにしゃべくり漫才の重鎮ですが、古いですね。
阪神・巨人ぐらいにしておけば……って思ったらあとから出てくるんですね。


以上は、ちょっと気になった程度で、このままでも、まあいいかなと思います。
それよりも、爆笑ポイントや、にやにやポイントの方が多かったです。

>「ガチョ~ン」

> ……………………………………は?
>「あれ、おかしいな?」

おかしくないってば! 爆笑でした。

>「いや全然。なんせ、最初に見せたネタが『ガチョ~ン』やで!」
> 爆笑。オトンが吉本新喜劇ばりに椅子から転げ落ちたんは、ちょっとやり過ぎやと思うけど。
>「今時珍しい子やな! あのネタ使える子は、なかなかおらんで!!」

いや、使えてないし! 笑いました。

>ウチの携帯から、やしきたかじんの【やっぱ好きやねん】が流れた。

待ち受けにたかじんって! こってこてですねw 爆笑しました。

>「僕の相方になって下さい!」
> ………………は? 相方って、その……えーと……。
> 瞬間、ウチの顔がボッと音を立てて熱くなる。
> いやいやいやいや! 『ドキッ☆』とかしてへんで、全然、まったく、ほんまやって!!

にやりw

>「うん、今日もありがと」
> いつものように栄吾が言った。最初は照れくさくて止めて欲しかったけど、今では練習最後の楽しみになっとる。気ぃ緩めたら笑ってしまいそうや。

にやにやw

>『でも、もう夜遅いし。それに……西野さん、女の子だから』
> ……ぅあ、そういうこと言う?

にやにやにやw

あと、舞台の上で栄吾が告白した後、学校のみんなが応援するシーン。そして、その後、彩が逃げ出すところ、泣けました。
いや、マジで。
それと、病院で告白するシーンも。

ですが、この二つのシーン、よくよく考えると、なんかあざとい気がしました。
ステージのシーンは、なんか大きなトラブルがあるんだろうと予測はしていました。
しかし、いきなりネタ中に告白とは!
でも、なんで東野君、わざわざネタ中に告白しちゃったんでしょう?
あんなに練習したのに。
ステージの上から妹に手なんか振ってたのに。
東野君の行動起源がわかりません。
うがった見方をすると、ここで『好き』って言うと、物語としては盛り上がります。
そう考えると、あざとく思えてしまいました。

病院での告白の感動シーンもそうです。

> 「お姉ちゃん、が・ん・ば・れぇぇぇぇええええっ!」

優奈ちゃんの声援にうるうるきます。
でも、なんでお姉ちゃんへの声援なんでしょ?
おろおろしている栄吾に、「お兄ちゃん、しっかり!」なら分かりますが。
それに、栄吾の落ち着きっぷりも違和感ありまくりです。
栄吾は西野に負い目があるはずなのに、西野の告白を待つ余裕はなんでしょう?
西野にラストの台詞を言わせるためのお膳立て? と思うと、あざとく思えてしまいました。
もちょっと、自然にできなかったかなと思うと残念です。

とは言え、全体的にエンターテイメントとして楽しめました。
楽しい作品をありがとうございました。

好き勝手を書きましたが、素人の拙い感想ですので、取捨選択をお願いします。
作者様の今後の創作に、少しでもお役に立てれば幸いです。
失礼しました。

2012年05月06日(日)16時38分 インド洋 dIe1A1rqVw +30点
 王道を行く、とても安定感のある良作でした。

 こんにちわ、インド洋と申します。
 自作は間に合わなかったので感想だけの参加となりますが、どうかよろしくお願いいたします。

 内容としてはまさに企画直球の作品で、ストーリーとして目新しさのようなものはなかったように思うのですが、一人称の大阪弁が全体的にとてもいいアクセントになっていたように感じます。
 また、主人公の内面がしっかり丁寧に書かれているので、「あれ?」と思う部分や、共感し難い点などがなく、全体通して非常に完成度の高い作品でございました。ラスト、告白で締めているところもよいですね。安心感があると言いますか、きっちり地盤が引き詰められているような感覚があって、最後まで安心して文章を読み終えることができました。

 個人的には主人公の芯の強さにとても惹かれる部分を感じたのですが、まさか、携帯の着信が「やしきたかじん」とは……(笑)。そのセンスも渋くてかっこよいです。

 気になった部分を無理にあげるとすれば、王道展開なので先を予想する楽しみや、ストーリーを追う楽しみが若干薄いという点でしょうか(無茶振りな指摘ですが、それ以外読んでいて残念に思えた部分がなかったのでどうかご容赦を)。


 最後になりますが、執筆お疲れ様でした。
 それでは、良い結果が出ることを祈って失礼いたします。


2012年05月06日(日)07時20分 タカテン ZNLlZe1lFk +30点
タカテンと申します。
拝読いたしましたので、感想を送らせていただきます。

めっちゃ分かる!
思わずそんな言葉が零れました。
いや、いい歳したおっさんがヒロインにシンパシーを覚えるのもどうかと思います。
が、周りから関西人だからと見られているところ、弱さを見せたくないあまり強がって笑いに走るところ、でもそのくせ人知れず傷付いているところなど、自分の若い頃とよく似ています。探偵ナイトスクープの録画はデフォでしょ、ええw

なんでも笑いに変えてタフそうに見えますが、実際は傷ついた心を笑いで隠してしまう見栄っ張り。そのような大阪人気質が上手く表現されているヒロインだと思いました(でも、人生経験を重ねるうちに、本当に笑って前向きに考えられる強さを持つのも大阪人だと思います。ヒロインのおかんがそのように描かれているのも非常に好印象でした)

そしてもうひとつ。
ああ上手いなぁと思いつつも、苦い思い出がフラッシュバックしてしまったのが東野君。
いや、真面目だと思います。妹想いだし、誠実さも感じます。
が、あんな場所で告白をして、しかもクラスメイトの応援を呼びかけてしまう。なんというか恋に不慣れな人間が、相手の事を考えずにドラマチックな演出をしてみた、と自分には感じられました。
東野君にとっては最高のタイミング、シチュエーションだったのでしょう。でも、西野さんにしてみれば、一番の願いはやはりお笑い甲子園予選突破だったと思うんですよね。
結局は相手の事が見えていない。東野君の恋に不慣れな所が上手く表現されていると感心すると共に、学生時代、彼に似た後輩が同じ様な事をして後始末に苦労させられた事を思い出してしまいましたw

ところでこの告白シーン、しっかり目標を果たした後の告白ならば、西野さんもあんな自己嫌悪に陥る事なく、告白を受け止める事が出来たかもしれません。個人的にはそちらの方が好みです。

が、御作はそのような綺麗な展開ではなく、あえて西野さんが大阪人気質で実は苦しんでいた事を描写し、自己嫌悪する姿を描かれました。
ここに作者様の手腕の高さを感じます。
単純な恋も青春も大成功のサクセスストーリーにするのではなく、トラブルの中で自分が最も大切にしなくてはならないものを見い出す。
その結果、西野さんを深く掘り下げており、より彼女の魅力を引き出していました。お見事、脱帽です。

最後に地の文の大阪弁についてですが、これで西野さんの個性を上手く表現されていたように感じます。
ちゃきちゃきの関西人って感じですね。
ちなみに自分だったら語尾を「~やん」に留めて、少しぽわっとした感じの西野さんになるなぁと想像したりw
語尾一つで結構変わる、なかなか面白いものですね。

それでは拙いですが、自分からは以上です。
執筆お疲れ様でございました。
GW企画、盛り上げていきましょう! 
2012年05月05日(土)22時15分 おちゃ 3WmQZKDzxM +30点
 おもしろい!! 気に入った(^^)! 大阪の女ってかっこいいなぁ。私も生まれ変わったら大阪選びたいですよ。男気に惚れた。オカンもかっこいかった。
 綾と栄吾はすごくいいカップルになれますね。恋心に戦友要素が絡めば、もはや最強タッグでしょ。良い家庭つくりや~、って思った。
 ちなみにわたし西日本に疎いんですけど、大阪女ってホントにこういうアツいキャラの子いるんですか? それとも作者サンの理想女子ですか? (あ、ただの質問ですよ、これは)

 読んでいるうちに感情移入できる良作でした。
 「感情移入は必須項目ではない」というのが私の読書スタイルなんですけども、このお話は彩の心の動きが受け取りやすくて素敵です。
 傷ついた自分をそのまま見透かされてしまうのが怖くて、ネタっぽく冗談めかしたり、おもしろおかしく振る舞ったりしてしまう……この気持ちに共感できますね! 気力・体力が減ってくると、演じ続けるのがしんどくなって自虐的な気分になるよね。彩、応援したくなります。
 ということで、おちゃが感じた本作の魅力は、軽妙な言葉回しと温かい登場人物、読み手の心臓にすっと染み込んできてくれる彩の心情、でした。

 あ。思ったことを挙げておきますね。二点。大会の最中に告白したことと、ラストのシーンです。勘違いしてたら許してください。
・どうして漫才中に告白したんですか、彼(すごく読み落としてる気がするけど……)。あの告白は彼の真摯な声ですが、漫才の場でやっちゃったら鋭いツッコミで返されてしまう可能性が高いのでは。彩の本心の答えが聞きたいなら、あの場で告白は無茶だったのでは。

・ラストシーン。妹の声援に逆に水をさされました。妹の存在は物語を開始させるための重要なキャラですーーラストシーンは基本的に栄吾と彩ふたりだけの世界ですが、妹登場により妹は一貫した存在感を得ました。でも最後に「お姉ちゃん、が・ん・ば・れぇぇぇぇええええっ!」は、いきなり乱入しちゃったよって感じでした。ノンストップで彩が栄吾のもとに突っ走ってきたのだから、そのまま2人だけの世界が見たかった。少なくとも、告白し終わるまでは。
・このシーンの、情景が浮かびませんでした。
 >ウチの告白を待つよう優奈ちゃんが指示したからなんやろうか。
 「 ――そこ動くな! 今からウチの気持ち、ぶつけに行く!!」って言っただけですよね、彩は。そしたら、告白と断定できないのでは(いや実際わかるけど)?察しのいい妹ちゃんが「これって告白だよお兄ちゃん、出迎えておいでよ!」という発言をしたのでしょうか。で、栄吾もそれに納得して下に降りて待ってた? でも栄吾は、彩が告りに来たと思うでしょうか、思慮深くてやや控えめな彼が。……栄吾の「緊張してる?」っていう発言が、ちょっと違和感です。「それじゃあなんか告白を促してるみたじゃん?」って思ってしまったのは、まぁ私だけかもしれませんけど。

イチャモンみたいでごめんなさい、無理やり指摘しました。すごくおもしろかったです。ありがとうございました! 
2012年05月05日(土)12時14分 朱鷺 ミチル  +30点
 朱鷺ミチルと申します。ギャグの連射速度が凄すぎて作品につっこめません。
 いや~、おもろかった。ほんまに楽しませてもろたわ。この作品が辛気臭い関東弁やったら、妹の病状がど~の、これからが心配やとか、話が一本道でヒネリがたらんとか、いろいろ出るところやけどな。関西弁になっただけで、そんなことド~デもようなる。いまが大事。いま、生きてることが大事やってことが判る。難かしゅう言うたら言語が認識を変容させよるんや。SFのバベル17はこのテーマを正面からあつかっとるし、古来から日ノ本では、詞(うた、ことば)は天地(あめつち)を動かし、と言うたもんやって、そんなことあるかいな! スパコ~ン!
下手な作品が書かれるたびに天地が動いたらおおごとやんか。
 思わず、しょ~もない感想を書いてしまいました。GW企画、感想でも大いに盛り上がりましょう。 
2012年05月04日(金)05時23分 ふらふら  +40点
 こんばんは。辻(三行)感想で失礼します。

 10Pもろくに読み続けられない私ですが、あっという間に最後まで「読まされちゃった」ことに感動を覚えました。
 関西弁もツボです。彼女に欲しいくらいです。
 変に引っかかることもなかったのでほんとビックリするぐらいの読みやすさ。勉強させてもらいます、ありがとうございました。

 ほんとしょうもない感想で申し訳ない! お疲れ様でした。 
2012年05月04日(金)01時17分 ひながたはずみ  +30点
こんにちは。ひながたはずみと申します。拝読させていただきました。折角ですので感想など残させていただければと思います。

 大阪の女と純朴な男の子が漫才に真剣に取り組むお話でした。ニヤニヤが止まりませんでした。

『文章』
 地の文まで関西弁。だからこそインパクトがあるというか、尖っているというか……もちろん読みにくい部分もあるのですが、噛めば噛むほど味が出てくるような印象でした。だって終盤には慣れっこになってましたから。

『設定』
 漫才甲子園の結果はっ!? というのがまずはお尋ねしたいです。あれだけ笑いを取れたのならあるいは……
 この項目は特にないです。矛盾しているように感じられた点とかもありませんでした。倉田君、応援に来てる場合じゃないよ……

『構成』
 話の目的が変わってます。妹を笑わせるために漫才をするはずだったのに、だんだんと二人の関係の進展の方に重きが置かれていく。それ自体は何の問題もないと私は思うのですが、それにしたって当初の目的が忘れられすぎのように感じます。
 彩の葛藤も失敗に関するものと東野君に関することだけで、妹の事は一欠けらも考えてない。さすがにそれは……と思いました。恋する乙女大失態モードなので他の事は考えられない、という心境はわかるのですが、あの場に妹がいた以上、ちょっとは気を使うと思うんですよね。
 それから、最後のシーンですね。六階から聞こえる声を出せるのなら健康な気がします。ちょっとご都合主義に感じました。

 人という漢字を飲むシチュエーションの使い方はお見事でした。

『キャラ』
 西野彩 かわいいヒロインでした。大阪の女は情に厚いんですよね。幸せになって欲しいものです。
 東野英吾 真面目な彼も素敵でした。誠実で魅力的な人でした。

 この企画に参加させていただいて、また一つ幸せな気分に浸っております。素敵な時間をありがとうございました。

2012年05月03日(木)21時13分 もどきモドキ  +30点
 こんにちは、こんばんは。
 春もがんばる何かです。

 思わず主人公と一緒になって突っ込んでいました。
 しっかし、ひっでー理由の断り文句だな……。

 いいですねぇ、この主人公。
 こういう子が自分はちょー好きなので、終始ニヤニヤですよ、ニヤニヤ。
 そして募る冒頭の男への怒り。
 ところで、携帯の着メロが年頃の女の子のじゃない件について。

 さて、読み終わりまして。
 かわいい! かわいい! かわry
 何ですかこの生き物! ちくしょう末永く爆発しやがれですよ!
 しゃべりがナチュラルでいいですねー、リアルですねー。
 ともかく、方言使いの女の子は正義だと思います。

 頭の中が、主人公カップルのかわいさを叫んでいます。
 よいニヤニヤをありがとうございました!

2012年05月03日(木)10時52分 raphael  +30点
企画お疲れ様でした。raphaelと申します。
拝読させていただきましたので、拙文ですが感想を残させていただきます。

本当は大阪出身ではないのですが、長年大阪にいたことがあるので、このタイトルを見て、読まなければと思いました。そしたら、面白いこと面白いこと。時を忘れて読んでしまいました。方言が気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はこれぐらい普通なので気になりませんでした。

私は東野英吾という、某有名作家に似た名前だけが気になるだけで、そのほかには違和感を感じなかったのですが、他の方の感想を読んで、確かに妹を笑わせるという目標をどこに忘れてしまったのだろうかと思いました。

でも、私は最後の西野さんが告白するときに英吾が落ち着かせようとして、人という字を飲ませるシーンは、英吾が成長してるシーンだと思いました。最初の「ガチョーン」をしていた英吾ではできなかっただろうと思います。

全く参考にならない感想となってしまいましたが、どうかお許しください。
お互いGW企画を楽しみましょう。 
2012年05月01日(火)02時03分 夜月  +30点
こんばんは、夜月と申します。拝読しましたので、コメントさせていただきます。

始めは「地の文まで訛りなのはちょっとなあ……」と戸惑いましたが、読み進めていくうちに違和感は無くなり、むしろ楽しみの一つとして捉えられるようになりました。終わってみれば、なるほど作風に適した文体であったと思います。

そして何より、思っていた以上に大阪弁女子が可愛かったです!

また彩の素直になれない性格とも相まって、とても素晴らしい効果だったと思います。天邪鬼な描写を見る度に、にやにやとしてしまったのはここだけの話です(傍から見るとキモい←

ストーリーに関してですが、短篇ということもあってストレートですね。とはいえその分心理描写が充実しておりましたので、最後まで楽しんで拝読することができました。また小ネタについても、大いに楽しませていただきました(特に探偵ナイトスクープネタには大笑いでしたw

とまあ、非常に満足できたのですが、強いて難を挙げるならば、栄吾のキャラクター性でしょうか。私はあまり魅力を感じなかったので、そこが残念と言えば、まあ残念です。

感想は以上です。駄文極まりませんが、少しでも参考になれば幸いです。

2012年05月01日(火)01時24分 grass horse a.TkuxTCe. +10点
こんばんは。
ストレートなタイトルに惹かれてやって参りました。
作品拝読させて頂きましたので、感想を残させて頂きます。

ベタベタの大阪弁でしたね。
自分はわりと大阪に近いところに住んでいるのですが、ここまでこってりとした大阪弁を聞くのは初めてな気がします。もしかしたら、文字で呼んでいるからそう感じるだけかもしれませんが。

では、以下に項目ごとの感想を書いていきます。


《タイトル》

さきほども申し上げましたが、とりあえずストレートでした。
なにより目を引きますし、一発で作品の雰囲気が分かります。そして、作品の一番最後に来るセリフと同じですよね。
以上の点から考えると、自分は良いタイトルなのではないかと思いました。作品の内容と同じような潔さを感じます。


《ストーリー》

大阪から来た少女と真面目な少年が出会い、ともに漫才をするという目標を掲げる中で、お互いに惹かれ合っていく。
そんな展開だったように思います。
大阪弁のテンポに乗せられて、どんどんと話が進み、最後には主人公の心情が思いっきりこちらにぶつかって来ました。
スピードのある、良い展開だったと思います。最後の場面では、少なからず心に来る部分がありました。
大阪だけに漫才。
ときおり絡ませてくる関西ネタに、思わず笑ってしまう部分も多かったです。

一方で、前半から中盤にかけての展開は、いささか勢いに欠けるように思いました。
主人公と英吾との出会いは強烈ですが、それからの展開はある意味流れていっているだけのように思えてしまうところもあります。特に二人は漫才を始めるわけなのですが、実際にその漫才を練習しているシーンが「やっているだけ」のように感じられてしまうのです。エピソード的な面白さがあまりないといいますか……。
また違う書き方ならばこれらの場面も違った生き方をするのかもしれませんが、御作のスピード感からするとやや中だるみをしていたように思えてしまいます。
 
また、妹を笑わせるために二人で漫才をすることになる、というところから始まった二人の交流でしたが、結局のところその目的がどこかぼやけていってしまい、ある意味二人が出会うための「きっかけ」としてしか機能していないところが、勿体無く感じられました。
いつのまにか主人公たちの目標とするところは、地方大会を突破することになっていますし――もちろん主人公はそこまで英吾(呼び捨てにしてすみません)の妹に思い入れがあるわけではないでしょうから良いのですが――、主人公はまだしも英吾までその目標を強く意識しているように見えなかったです。
自分でも「このような性格」といっている英吾が、バリバリ大阪弁の主人公に話しかけることはもちろん、ガチョーンなんていうネタをやってみせるのには相当の勇気が必要だったでしょうし、それをさせたほどのことが途中から薄れていくのには、どこか首を傾げてしまいます。
とはいえ作品を呼んでいる間に物凄く感じた、という部分ではなく強いて言うのであれば最後に妹が出てきて「がんばれぇぇぇ!」と叫ぶところでしょうか。その時に、ふと「あれ? この人を笑わせるために、二人は漫才を始めたんだった……よな?」と思いました。

個人的にラブストーリーとして物足りなかったのは、栄吾の魅力がそれほど伝わって来なかったことです。
むしろ主人公の魅力はストレートに伝わってきますし、いいなぁと思ったのです、が一方の栄吾がいまいちパッとしないように感じます。主人公が彼を好きになっていく過程に違和感があるかというと別にそこまででもないのですが、最終的にこの二人がくっついて、「良かった」と思えるところまでは自分の中で至りませんでした(微妙な表現ですみません)。
その理由の一つとして――ここからはキャラクターの分野に入ってしまうようなきがするのですが――栄吾の成長があまり見えて来なかったことがあるのだと思います。確かに前半から後半に向けて彼は変わっていきますが、それはむしろ主人公の影響を受けたからで、自分から変わったという部分があまりありません。
だからこそ、最後まで彼に対して好印象を抱くことがなく、魅力も伝わって来なかったのかもしれません。

もう一つ思ったことがありました。
長々とすみません。
それは、この作品で使われている小道具とも言える存在である「漫才」がイマイチ生きていなかったと感じたことです。
大阪だけに漫才、という流れもありますし、きっかけまでは良かったと思うのですが、実際に「漫才をやっている」ということに、あまり魅力が感じられませんでした。その理由の一つとして考えられるのは、先程も述べましたが「やっているだけ」というあまりエピソードの挟まれない話の展開と、満載の扱いが中途半端に感じられたことです。
どうせ少しでも漫才のセリフを出すのであれば、もっとがっつりとかいてしまったほうが良かったのではないかと思います。
それとも、実際に漫才をやる場面が全く出さずに、二人の関係が変わっていくところにもっと焦点を当てても良かったのかもしれません。どちらにしても御作においては、中途半端に思えたのが、残念でした。


《文章》

関西弁なので当然、文字として読みにくいということはありました。
しかし、それはあえてのことでしょうし、そもそもそれがなければこの作品がこの作品であるゆえんがなくなってしまうので、そこについては触れずに置きます。
とはいえ、それを考慮からはずしたとしても、やはりうるさい文章だなぁ、とそのように感じてしまいました。
勢いがあるのは良いのですが、どこか詰め込みすぎのようにも感じます。
関西弁に慣れている人ならばスラスラ読めるかもしれませんが、そうでない方にとってはちょっとつらいかもしれない、と思いました。
また、少しうるさく感じる原因の一つに、主人公が一人称でさかんに「ウチ」という言葉を使っていることがあるのかもしれません。たいていの文に主語として「ウチ」が含まれていますし、それが続くとだんだんめんどくさくなってきます。
少なくとも自分にはそう感じられました。
こってり大阪弁なのはいいのですが、こってりすぎてちょっと胃が持たれる感じです。

また、これは文章という項目には入らないと思いますが、とりあえず――家族の会話が面白かったです!
なんといいますか、勝手なことを言わせていただくと、主人公の家族をもっと登場させて欲しかったほどです。

>「球児並の剛速球投げてきぃやー」

特に自分のお気に入りは、この一言ですね。
矢野は引退しましたが、球児にはまだまだ頑張って欲しいです。

その他、誤字らしい誤字や、わかりにくい表現などはなかったように思います。
一つだけ気になったといいますか、一読では理解できなかったのが、

>、胎教の代わりに夢路いとし・喜味こいし両師匠の漫才を聞いてたウチにしてみれば、もう歯がゆうて歯がゆうて。

この一文でした。
単純にパッと見で《夢路いとし・喜味こいし》が読めなかったと、まぁそういうことなのですが……。
固有名詞が読みにくいというのはもはや仕方のない事だとは思いますが、なにか工夫があればなお良いのではないかと思います。


《キャラクター》

西野彩:大阪から来た女子高生。バリバリの大阪弁を使い、性格もまさに万人のイメージする「大阪人」言った感じだったと思います。

※突然なのですが、さやでしょうか……あやでしょうか。どちらとでも読めるので、どこかでルビがあると嬉しかったです。好感の持てる主人公でした。サッパリしようとして、でもサッパリしきれない。そんなところに人間味を感じたりもします。口調や思考の仕方に、どこか親近感を抱いたり……。結構リアルな人物造形だったのではないかと思いました。一方で、ときおりあざとさを感じるようなところもあり、リアルかそうでないかと問われるとよくわからないのですが、そういった部分を削っていけばもっと魅力的な主人公になったのではないかと思います。

東野栄吾:真面目で地味な男子高校生。身体の弱い妹を持ち、彼女を心の底から笑わせたいと重い気持ちから、主人公に声をかける。

※名前の響きにどこか某有名作家を感じますね……。彼については、ストーリーの項目でも触れたとおり、どこか軸がぶれている印象を受けました。

その他:親友とか、家族とか。

※ざっくりまとめます。主人公の家族については先ほど触れたとおりですが、ひとつ気になったのが友人こと結でした。結構いいキャラクターをしているのに、完全な脇役としているのがもったいないような気がします。勝手なことを言いますが、もうすこし話の大筋に絡んできても良いのではないでしょうか。また、優奈が完全に空気化していると思いました。仮にも兄を頑張らせたキッカケとも言えるのですから、もう少ししっかりと登場させるか、そもそも栄吾が漫才を始めるキッカケを変えてキャラクターとして消してしまっても良いのではないかと思います。


《総評》

以上長々と書かせて頂きましたが、率直なことを言うと面白かったです。
天一のこってりラーメンを頑張って食べたら、予想以上に美味しかった、とそんな感じでした(すみません、わかりにくいですね)。
ところどころ気になるところはありつつも、濃いスープが全てをまとめて持っていったように思います。
最後までぶれない関西弁には、作者様の熱意を感じました。



以上が感想になります。
完全に個人の主観に基づいた感想となりますので、取捨選択をよろしくお願いいたします。
それでは、執筆お疲れ様でした。
GW企画。盛り上げて行きましょう!!

2012年04月30日(月)16時03分 いさおMk2  +30点
 企画参加お疲れ様です。いさおMk2と申します。
 御作を拝読致しましたので、拙いながらも感想など書かせて頂きます。

 
 関東出身のの疲れたオッサンですが、読ませて頂きましたw
 結論から申しますと、えらく出来の良い青春恋愛コメディーでした。ええ、読んだ後、幸せな気分にさせて頂きました。オッサンですが。
 読後、小生も耳元で
「……うち、あんたの事めっちゃ好きやねん」
 とか言われてええええ! と思いました。切に思いました。
 関東の人間から見ますと、関西弁で喋るおにゃのこってとても可愛く思えるんです。そう言えば巷では「方言女子」なるものが密かなブームらしいですが、その気持ちは大変良くわかります。
(ちなみに我が郷土の暴走半島は、全国屈指の荒い言葉使いなので、聞いても全然萌えません。女の子が平気で『おめぇよお』とか言うんだもん……)
 ともあれ、ヒロインの西野さん、とても魅力的な女の子でした。
 おそらく作者様はネイティブの人なのでしょうね。実に素敵な大阪弁でした。
 小生は福島系千葉県人なのですが、友達に尼崎出身のコテコテが居ますので(実家はハマちゃん家のすぐ近所らしいですw)、多少大阪人の気質みたいなものは知ってます。まあそいつは兵庫県民ですが。
 ですので、その大阪人の気質と、それが関東で妙に浮いている感じとかがとても良く表現できている事にまずは舌を巻きました。冒頭からして、『掴みはオッケー』てなもんです。
 随所に組み込まれた大阪風味が良い味出してますね。探偵ナイトスクープとか、やしきたかじんとかw

 東野君が登場してからの流れは、まあ言ってしまえばお約束の流れなのですが、それもこのお話だとやはり『コテコテ風味』という事で不思議と納得できてしまいますw
 むしろ、安心して読み進める事ができると言いますか。そういえば二人のコンビ名『イースト・ミーツ・ウエスト』は上手に出来ているなあと感じました。東野君と西野さん。ここまで全然気にしていなかった名前を、ここで初めて気付きました←鈍感
 終盤の、オカンがカッコ良すぎます。もう、「惚れてまうやろー!」てなもんです。
 そういえば、大阪の女性はこっちから見るとけっこう「男前」な人が多い様に感じます。まあ、これが褒め言葉なのかは微妙なところですが、褒めているつもりです。

 
 気になった所は……
 うーん、正直あんまり思いつかないんだよなあ。
 無理繰り難癖をつけるのならば、やはりお話の展開がストレート過ぎる所と、お題が本当に消化だけで使われている所。そつなく使われているとは思いましたが、カラフル感はありませんでした。
 あと、東野君。
 気持ちは大変良く伝わるのですが、それでも妹の為にあれだけ一生懸命やっていたのに、あそこで全部ひっくり返しちゃう様な振りをするかなあ、と、少しだけ思いました。ええ、言いがかりですねw

 読後感は先述しましたが、とても良かったです。思わず、小生も大阪のおにゃのこと恋をしたくなりました(ぉ


 なんだか本当に只の感想となってしまいました。
 とても作者様のご参考になるような事は書けませんでしたが、どうか企画に免じてくださいな。
 乱文、ご容赦を。
 お互い企画を楽しみましょう。 
合計 24人 660点

ページの先頭に戻る▲