高得点作品掲載所      龍咲烈哉さん 著作  | トップへ戻る | 

ランナーズ・ハイ

 トラックを走る先頭集団の、そのまた先頭を走る一人の女子に目がいったのは、それがオカザキだったからという理由だけではなかった。
「なんで、オカザキは裸足なんだ?」
 ぼくは隣でだらしなく口を開けて女子の太腿を見ていたハタノに聞いた。ハタノは知らないと言った。「別にいいんじゃねえの、どう走ろうがさ」
 オカザキが安っぽい紙テープを胸で切り、かなり遅れて二着三着がゴールしていった。ぼくは体育教師が呼び止める声を完全に無視して、オカザキの所へ駆け寄った。オカザキは肩で息をしながらぼくの方を向いた。オカザキの体操着は汗で濡れ、青いブラジャーが透けて見えていた。オカザキはどうしたの、と笑った。何してるの、先生が怒ってるよ。
 女子の視線がぼくに集まる。ぼくは構わずに聞いた。 
「なんで、オカザキは裸足なんだ?」
 オカザキは一瞬きょとんとしたが、ああこれ、と座り込んで自分の足を見せた。オカザキの綺麗な足の裏は砂にまみれ、土踏まずの柔らかい皮膚には血が滲んでいた。それでもオカザキはにやっと笑い、ぼくにVサインをしてみせた。
「あと二十キロは余裕で走れるよ」
 二十キロって、いきなり何だよそれ。ぼくの反応に彼女はまた笑った。
「やっぱり知らないか。知らないよね」
「知らない。ていうか、分からない。なんで裸足なんだ?」
「裸足はマラソンを制するんだよ」
 オカザキの血まみれの白い足は、ぼくの目に焼き付いていた。

 体育の授業が終わり、皆が引き上げていく。オカザキも靴を履いて教室に向かっていた。ぼくは教師に殴られて痛む頭をさすりながら、誰もいなくなったグラウンドを眺めていた。
 なぜ、裸足なのだろう。こんな砂と土と砂利の上を裸足で走るなんて、痛いに決まっているのに。オカザキをばかにしながら、靴を脱いで裸足になっているぼくがそこにいた。ハタノが気付いて、何やってるんだ、と言った。試してみるのさ、とぼくは言った。そのまま靴を放り投げ、ぼくはトラックへ飛び出した。ハタノがなにか言ったが、それもすぐに聞こえなくなった。
 土の感触が、ざらざらした砂が、足の裏をざかざかとなぜていく。砂ならまだ良い。走っているとときどき、小石が足の裏に喰い込んだ。思わぬ激痛。トラック半周で、ぼくの足は限界にきていた。オカザキはこれでずっと走っていたのか。あのスピードで? 信じられなかった。靴を履いて走るのと、裸足で走るのとではぜんぜん違う。
 あと二十キロ? ばかを言え、百五十メートルで限界だ。
 ぼくはジャージが汚れるのも構わずに、グラウンドに寝転がっていた。
 気付いたら、オカザキがぼくの顔をのぞき込んでた。

 オカザキは足が速い。陸上部だからといえばそれまでだったけれど、オカザキは走ることに関しては、こと長距離に関しては誰にも負けなかった。もしかすると、男子の誰よりも早いかもしれない。上背があるわけでもないし、他に運動が得意なわけでもない。可愛かったけれど、格別に美人だったというわけでもない。ただ、走るのだけは得意。オカザキはそんな女の子だった。  
 だから気になった。

 放課後、ぼくはオカザキを誘った。
「オカザキ、一緒に走ろう」
 いいよ、とオカザキは答えた。
 そしてやっぱり、オカザキは裸足になった。ぼくは靴のまま走った。

「陸上は面白い?」
 あるときぼくはオカザキに聞いた。オカザキは首を横に振った。
「陸上って言うより、走るのが面白い。だから、別に陸上部でなくてもいいんだ。長距離を走れればサッカー部だってラクロス部だって、茶道部だってかまわないの」
「裸足で走れるならどこだって、か?」
「別に裸足じゃなくてもいいんだけど、どうせならとことんやらなくちゃと思ってね」
「わざわざ靴を脱ぐ、それが不思議なんだ」
「そういえばこの前、キミ、私の真似して試してたよね。馬鹿みたい」
 オカザキは他人事のように笑った。
「痛かったでしょ?」
「それなりに」
「ねえ。フルマラソンで走る距離がどれくらいだか知ってる?」
「それくらい小学生でも知ってるさ」
「裸足で走れる距離だと思う?」
「四二・一九五キロを? 無理だ。ぼくはトラック一周も出来なかった。オカザキだって、この間走ったのはたかが三キロくらいだろう」
 ぼくがそう言うと、オカザキは「走れるよ」と言った。
「ううん、走る。私も走ってみせる」
「裸足でフルマラソン走って、どうする気だよ」
「裸足で走って、四二・一九五キロをフルに走りきって、テープを一着で切って、そんで、テレビカメラが寄ってきてインタビューしてきたら、にやって笑って、Vサインでこう言うんだ。『あと二十キロは余裕で走れるよ』ってね」
「だから、何で二十キロなんだ?」
「キミは分からなくても良いの。これは、私の夢みたいなものなんだから」
「ヘンな夢だな。それに、妙に具体的だ」
 ぼくは腕組みをした。オカザキは怪訝な顔になってぼくを見た。
「笑わないんだね」
「笑いどころが分からないだけだ。分かったら大笑いしてるさ」
 オカザキはふうん、と言った。
「キミ、いいひとだね」 
 
 オカザキが走るとき、少なくともぼくが見ている彼女はいつも裸足だった。体育の授業中、ぼくの視線は何度もオカザキの足に行っていた。ハタノがときどきそれに気付いて冷やかしてきたが、ぼくは意にも介さなかった。
 オカザキの白い足は、ぼくの脳裏を何度も駆け巡った。
 
 オカザキが唐突に彼の名前を出したのは、たしかその頃だったように思う。ぼくは「何だそれ」と言った。「人の名前?」
「金メダリスト。すッごく速かったんだって」
「速かったって、そいつ、ランナーなのか」
「うん。おじいちゃんから聞いた話。東京オリンピックの頃だったから、五十年以上も前だって。当時のマラソン界の英雄」    
「ふうん……それで、何で半世紀も前の選手が出てくるんだ?」
 オカザキはその何とかが目の前にいるかのように、目を細めて呟いた。
「目標なんだ」

「オカザキの足って綺麗だよな」
 ハタノが言った。ぼくはそんなことはとうの昔に知っていたけれど、なんだか鼻が高くなって、そうか、とうなずいた。ぼくはハタノに何となく聞いてみた。
「なんで、オカザキはあんなに走ることにこだわるんだろう。それもただ走るんじゃなく、その綺麗な足を傷つけてまで――」
「好きなんだろ」
「走ることがか」
「走ることも、裸足も、さ」
 ハタノは分かりきったようだった。ぼくはなぜかむっとした。 
「そうかな」
 オカザキは走ることは面白いと言ったし、得意なのは誰もが認めている。けれど、好きだという言葉は聞いたことがなかった。屁理屈だけど、ハタノに雷同したくなかった。
「そうさ。見てて分かるだろう」
「分からないよ。オカザキが何を考えているかなんて、ぼくには分からない。それに、そこまでじいっとオカザキを見る趣味はない」
「ウソつけよ」
 ハタノはめずらしく真面目に言った。
「おまえ、オカザキのことが好きなんだろう?」
 ぼくは言葉につまった。ちょっと間をおいて、分からないよ、と言った。好き? たしかに興味はあるけれど、ぼくはオカザキが好きなのだろうか。
「分からない、か。まあそれならそれでいいけどな」
「なんでおまえがいいんだよ」 
「俺は好きだぜ」
 ハタノはめずらしく真面目に言った。

 授業中、走っていたオカザキが派手に転んだ。転んだというよりは、倒れた、に近かった。オカザキが倒れるところを、ぼくはばかみたいにじっと見ていた。さすがに救急車まではこなかったけれど、ちょっと大変な騒ぎになった。オカザキは少しのあいだ息ができずに、青い顔で苦しんでいた。
 ぼくはそのとき初めて、胸の病気のことを知った。
 
「昨日、オカザキと一緒に飯食った」
 ハタノは自慢げだった。
「陸上の練習が休みで、ヒマそうだったからな。俺が誘ったら、嬉しそうにしてたぜ」
 ココロに絆創膏を貼って騙しながら、ぼくは、だからなんだと言った。
「いま告白したら、アイツ、俺と付き合ってくれるかな」
 ずきん。

 息を切らしながら追い越しぎわに「ハタノくん、最近明るいよね」とオカザキ。誰のおかげで明るくなったと思っているんだ。もう一周どころか三周差ついている。ぼくに体力は残ってなかったけど、必死で追い上げた。背中から声をかける。
「大丈夫かあ、胸え!?」
「ありがとー、平気だよー!」
 オカザキはずっと先で愉しそうに叫ぶ。
「なんで、メシ、食いに行ったの?」
 ようやく横にならんでぼくは聞いた。おなかすいてたんだあ。オカザキは笑った。
 ぼくはいま、おなかが痛いよ。ついでに胸も痛い。君の足と同じくらいに。
 なんでだろう?

 みんながうわさをしはじめた。オカザキとハタノは最近仲がいい、って。まわりのやつらに、あいつらは付き合ってるのかと聞かれた。
 そんなん、しらねえよ。
「お前、二人と仲いいじゃん」
「親友だろ。そういうこと聞いてないのか」
「あいつら、キスとかしたのかな」
 だから、ぼくに聞くな。聞くなよ。

 今日、ハタノとオカザキがしゃべってるのを見た。がまんできなくなった。
 二人がぼくに気付く。オカザキは手をぶんぶん振り、ハタノは勝ち誇ったように笑う。
 やめてくれよ。

「付き合ってるの?」ぼくはオカザキに聞いた。
「付き合ってるよ?」きょとんとした顔でオカザキは答えた。
 ショックだった。それで分かった。ぼくはオカザキが好きだったんだ。 
 その日から、ぼくはハタノとしゃべらなくなった。オカザキとも。
 そうしたら、オカザキから言われた。どうしたの、最近って。君のせいだろ。もうぼくにかまわないでくれよって言ったら、オカザキは悲しそうな顔をしてた。 

 オカザキ――ぼくの好きな女の子。
 ハタノ――ぼくのトモダチで、敵。
 ぼく――何だろう? 
 とりあえず、世界でいちばんなさけないやつ。

 ハタノがずうずうしく、オカザキの肩をたたいている。
 ここはぼくの望まない空間だ。

 それから数日経ったある日、電話がかかってきた。「もしもし?」ハタノだった。ハタノはひとこと、ふられたと言った。
 肩からチカラが抜ける。ホッとしている自分がそこにいた。ぼくはトモダチとして最低だと思った。――あれ? じゃあ、いまオカザキは誰と付き合ってるんだ?
 それで、ぼくは電話をかけた。オカザキは弾んだ声で、すぐ行くと言った。

「―――キミと、でしょ?」オカザキは答えた。
「だって、前に言ってくれた。一緒に走ろうって」
「それは、」
「私のこと、嫌い?」
「いや、」
「よかった。じゃあ、いいじゃん」
 オカザキは微笑んで、ぼくと手を繋いだ。オカザキの手は冷たかった。

 ハタノに言った。
 ハタノはぼくを殴った。勝手にしろ、と吐きすてて。口の中が鉄臭さで満ちた。

 それから、ぼくと彼女はふつうの恋人になった。ふつうにデートをし、ふつうにキスをし、ふつうにセックスをした。高校二年で付き合いはじめて、卒業まで一年とちょうど半分。ぼくらは思ったより相性がよかったのかもしれない。彼女の傷だらけの足の裏を、ぼくは何度もなでた。彼女はいつもくすぐったそうに顔をしかめた。
 
 ぼくはトラックに座り、彼女が走っているのをぼんやりと眺めていた。こうしていると、彼女が病気なのだということがウソに思えてくる。陸上部のやつらの、まったくかなわない次元。そこに裸足の彼女は立っていた。なぜ彼女は、そうまでして走るのだろう。その理由を、ぼくは彼女の口から聞いたことがなかった。
 急に怖くなった。彼女はぼくにとって他人なのだ。宇宙人かもしれない。 
「オカザキにとってマラソンって、走るって一体なんなんだ?」
 白い息を弾ませている彼女に駆け寄り、ぼくは聞いた。ぼくの顔を引き寄せて口づけ、彼女は微笑んだ。「キミ、あの時と質問が違うよ?」
「同じだよ。根っこの部分は同じだ。分からないんだよ。オカザキが何を考えているのか。オカザキがなんで裸足なのか。そもそも、なんでオカザキは走っているのか。ぼくは一つも答えをもらってない。頼むよ。ぼくに大笑いさせてくれよ」
 ぼくは無我夢中で言った。そうしないと、彼女がすぐにでも走り去ってしまいそうだったから。いやだ。ハタノみたいなやつらに、彼女を渡したくなかった。彼女はちょっとのあいだぼくを優しく見つめて、子供をあやすようにぼくをぎゅっと抱きしめた。汗の匂い。横にならんで座ると、彼女は静かに口を開いた。
「本当はね、走るのは好きじゃないの。面白いけど、だからって好きにはなれない」
「面白いと好きは、同じじゃないのか」
「違うよ。私はキミのことを面白いとは思わないけど、好き。ハタノくんは面白いけど、好きだっていう気持ちはない。そういうこと」
「じゃあ何で、好きでもないのに裸足で走るんだ? 病気なんだろ?」
 何でかなあ、一応それバクダンだし、ねえ。彼女はオレンジ色の空を見上げた。
「――自分への宿題かな。ちゃんと走れて、彼みたいになれたら、それでいいの。やりがいはあるけど、夢みたいなものだし、ケド何とかなりそうだし。もしそうできたら走るのをやめてもいいって、いまなら思えるんだ」
「その夢を叶えて、走るのをやめたら、その先はどうするんだ?」
「さあ? よく分かんないや。分かんない。キミと一緒だね」
 彼女は笑って、もう一度ぼくにキスをした。
 
 そして、春。彼女はスポーツ特待生として大学に入り、ぼくは受験をして別の大学に入った。進路が分かれても、ぼくらの仲は変わらなかった。どちらも近い大学だったから、遠距離恋愛ではなかった。ぼくらは毎日のように電話をし、週末にはデートをした。彼女は部活で疲れていることもあったが、それをぼくに見せようとはしなかった。
 彼女は陸上部に入った。同じ大学に行った友達の話だと、彼女はただもくもくと走っていたのだという。
 
 彼女は走った。本当にただ、走った。
 
 新聞に彼女の名前がのったのは、その夏のことだ。女子フルマラソンの大学選手権で準優勝したのである。二着のくせにやたら大きな写真と、『はだしのランナー、彗星の如し!』という、陸上界の新しいヒロインの登場を祝うインタビュー記事。彼女はそつなく、優等生のような答えを返していた。当然ぼくはスポーツ新聞を買いあさり、切り抜きを集めたけれど、本当はそんなものは必要なかった。だってぼくはそのとき、特等席で彼女の白い足を見ていたのだから。

「おめでとう」ぼくが言う。
「ありがとう」彼女が微笑む。
「でも、二着じゃ意味ないんだ。私、まだ走らなきゃ」

 
 そして一瞬の煌きを残し、彗星は消えていく。

 
 その年の秋に、彼女は死んだ。
 長距離ランナーとして将来を嘱望された女の子の最期は、まどろみの中の夢が終わったときみたいに曖昧で、あまりにあっけなかった。はねられそうになった猫を助けようとしてだとか、そういうたぐいのドラマも何もない。 練習中の発作だった。
 走るのをやめてしまった、ぼくの彼女。涙は出ない。出なかった。
  
 彼女の遺影は、ただひたすらに無表情だった。彼女の母親に会ったのは、葬式のときが初めてだった。ぼくは請われるがままに、彼女のことを話した。
 彼女は母親や医者の反対を押し切ってまで、走ることに固執したらしい。いつかこういう日が来ることを、母親はずっと覚悟していたのだと言った。
 彼女が憧れていた選手の話になったとき、母親は静かにうなずいた。
「アベベ・ビキラですね。娘は、同じマラソンランナーとして彼に憧れていました」
「――そのアベベ・ビキラとは、一体どういう選手だったのですか?」
 彼女の母親は、彼女の祖父に聞いた話だと言って語りはじめた。
「彼は、とても足の速い黒人ランナーでした。マラソンではむかうところ敵なしとまで言われていたそうです。ある大会で、彼は何を思ったか、四二・一九五キロをすべて裸足で走りきり、独走状態のまま一着でゴールしたのです。裸足になった理由は分かりませんが、いま考えると、きっと黒人の強さと誇りを見せたかったのでしょう。その頃はまだ、黒人に対するいわれのない差別が平然とまかり通っていましたから。彼は驚く記者たちのインタビューに対し、笑顔でこう言ったそうです――」

 五十年前の、そして目の前の、二人のマラソンランナー。
 アベベは何を思い、裸足で走ったのだろう。
 彼女は何を想い、裸足で走ったのだろう。
 
 彼女の母親がタクシーを呼んでくれると言ったけれど、ぼくはそれを断った。急に走りたくなったのだ。彼女と一緒に走って以来だった。ぼくの家まで、十キロもない。きっと、余裕だ。走りきれる。走りきって、ぼくは――どうするのだ?
 彼女は――どうした? 走って――

 ――ああ、そうか。
 証明したかったのだ、自分の誇りを。病魔をねじふせる、強い躯を。
 たったそれだけのことだったのだ。ぼくは大笑いしたくなった。
 エウレーカ!

 そこで気付いた。今のぼくは、全身黒ずくめだ。
 そうだ。家までたどり着いたら、ぼくはどんなに疲れていても、息一つ乱さずVサインを作り、にやっと笑って言うことにしよう。あと二十キロは余裕で走れるよ、と。
 そうすればこの涙も、きっと汗に見える。そうすればこの感情も、何もかもを忘れて気持ちよくなれる。何ていうんだっけ、そういうの?
 ――まあ、いいや。
「オカザキ、一緒に走ろう」
 スタートラインに立ち、ぼくは革靴を脱いで裸足になった。


この作品が気に入っていただけましたら『高得点作品掲載所・人気投票』にて、投票と一言感想をお願いします。
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●感想
富士山さんの感想
 読みました。面白かったです。
 感想は長所と短所に分けます。

長所
・始まりとオチがしっかりしている。
・内容がある物語ですね。作者が書きたいことがよく伝わっていると思います。
・登場人物のオカザキと主人公が魅力的です。
・読者をつかむ文章で最後まで読ませてくれる。

短所
・エウレーカですね。やはり。伏線がないからでガクッときます。伏線さえあれば何の違和感も無いです。
・ハタノです。捨て駒っていうのが。オカザキの葬式のときに現れたら良かったです。お母さんの代わりで出ても良かったかも。
・オカザキの死です。少し違和感を覚えます。ありきたりで陳腐な感じがします。良く練っていたら完璧だったんですけど。


村神さんの感想
 始めまして、村神です。読ませていただいたので、感想を残したいと思います。
 ちなみに文章的な指摘はほとんどありません。抽象的な僕個人の感想文になっております。

 すごく好意を抱けるキャラクターですね。主人公もオカザキもとても好きになれるキャラです。オカザキの場合、出だしからかなり目を引きつけられました。主人公は、気持ちの変化が綺麗だったと思います。

 個人的に、二人が付き合う事は別に無くても良かったかなぁとか思ってます。このままお互い好意を寄せあう程度の友達でも、十分話は面白かったでしょうしね。
 あぁでも、オカザキとハタノが仲良くて主人公の嫉妬やらの描写のところ、あそこの心理描写は結構好きですから、彼女が誰かと付き合うかも云々も必要だったのかもなぁと色々考えてます。

 にしてもハタノ君、ずいぶんな扱いですね。突然出てきて、結局去ってく。恋愛ライバル用に作成された感じが見えてしまったので、どうかなと思いました。(そう見えたのは自分だけと言う可能性も、だけど彼だけ、他のキャラと違い存在感のようなものが見られなかった気がします。ではどうすれば?と言われると困ってしまうんですが。

全体の感想
 文章もテンポも他に見られない、物語らしさと言うか……。上手く言葉に出てこないんですよ、なんて言ったらいいんだろうかと悩みっぱなしです。
 よく見るストーリーのようでも、ちゃんと引き込まれたのはなぜだろう。キャラでしょうか。好きになれるキャラと、落ち着いた雰囲気の会話。この二つが作品のレベルを引き上げてるのかなと思います。


運び手さんの感想
 拝読しました、運び手と申します。

 一息に読ませるテンポの良い文章と、爽やかな読後感の素晴らしい作品でした。
 多くは語りません、全て物語内で説明されているからです。
 ひとつだけ老婆心から言わせてもらうならば読者の読解力は信用しない方がいいです、自分を見失う原因になります。
 例をあげるなら「エウレカ」=「我、発見せり」などは一般常識だと思います。
 少なくとも本を読む人間ならば身に付けていて当然の知識です。
 こんなことにまで注釈を付けていたら、せっかくの良い文章が崩れるだけです。
 アベベの走る姿は哲学者のようだったと称されていますが、私にはオカザキの走りがそれに綺麗に被るのをイメージすることが出来ます。
 これは龍咲さんの素晴らしい文章表現力があったからこそです。それを大切にして下さい。

 次回作も期待しております。


政治さんの感想
 こんばんは、政治と申します。
 他の方は褒めた感想を持っているようですが、あまり楽しめませんでした。

 作者の脳内でしか理解できていないのが多いです。

 陸上部でもないのに、授業中にいきなり女子に聞いたりとか、告白もないのに、いつの間にか付き合っていることになっていたり、常識はずれな行動が多いです。
 彼女に惹かれた理由も「平凡だから好きになった」としか思えなくて、どこに具体的に惹かれたのか、ぼかされたままです。

 彼女が死んだときは、病院で静かに眠る恋人とかは必要だと思いますよ。別に恋人にしなくてもいいんじゃないですか。
 発作が起きるほど胸の病気だったら、ドクターストップがあるはずです。

 最後も何がやりたかったのかよくわからないですね。エウレーカよりも全身黒ずくめで20キロは余裕で走れるって、彼女の真似をして、走って何を証明したかったんですか?陸上部でもないのに。

 死んだ彼女と一緒に走るって、かなりむなしいオチのようにしか思えないです。

 他の人のように褒めれるところがどこにもなかったので、この酷評になってしまって、申し訳ありません。
 もっと状況をイメージできるような綿密な次回作を期待しています。


椎名さをりさんの感想
 はじめまして。椎名さをりといいます。
 いやあ、直球なラブストーリーですね。容姿などの説明がほとんどなかったですが、私はあまり気にならなかったです。
 主人公の心情で語られる文章が心地よかったので、それが崩れるくらいならないほうがいいかな、と。まあ、好みの問題だとは思いますが。

 ス トーリーに関して気になったのが、ハタノが捨て駒のように扱われていたことです。オカザキって一応ハタノと付き合ってたんですよね?彼氏の親友に乗り換え るって、それなりの配慮が必要だと思うんですけれど。ハタノのことは投げっぱなしにするのではなく、ある程度回収したほうがいいかなと思いました。

 あと、エウレーカの意味が読んでいてわからなかったのが残念でした。せっかくここまで調子よく読んでいたのに「?」と立ち止まった瞬間、ヤフーで検索してから続き読んだほうがいいかな、と妙に現実に立ち返ってしまったので。

 私の言いたいことはそれくらいです。生々しさのないラブストーリーですので、駄目な人は駄目かもと思わないでもないですが、私はそういうの好きだったので、とても面白く読むことができました。
 それでは失礼します。また機会があれば別の作品も読んでみたいと思いました。


書けだしさんの感想
 駆け出しだから、細かいことは指摘できない書けだしです。

 エウレーカ、ググったw
 たぶん、これ読んだ人ほとんどググると思う。

 シンプルイズベターな作品で、表現したいことが伝わってくる。
 ありきたりな展開なのによかったと思えるのは、文章の巧みさか。

 唯一欠点は発作での死。
 長い間病気だったように書いてあるのに、少しも言及がない。
 死はでっかいことだから、唐突に死ぬのはいただけない。


東 辰巳さんの感想
 ふぅん。感動する準備はできていた、といった感じですかね。
 あ、なんか最近話題の小説と似てるな、響きが。

 さて。東です。はじめまして。
 厳しめに、と言うので厳しめに行きたいと思います。いけるかなぁ……?

 さて、意味ありげに言わせてもらいましたが、「感動する準備はできていた」ですね。
 物語が階段的になっています。
 徐々に段階を踏んで進んでいくストーリーそして、落とす。
 淡々とした主人公の語りがそうしているんでしょう。その技術は素直に凄いのでは、と思います。
 ただ、それ故に階段の先にあるものが見えてしまいますね。
 まあ、この淡々とした感じが、あっさりと迎える彼女の死に感動をもたらすのであり、「静的な雰囲気」を生み出してSADな感じにするのでしょうねー。
 って何言ってんだ……

 テテさんも申し上げていますが、国語の教科書や模試に載っていそう、というのは確かにありますね。
 主人公の心情を読者に伝えようとする感じ? というか。
 淡々としているので、ストーリーも追いやすいし、素直に共感できますしね。

 さて。キャラ描写がない、というのは既にあがっていますか。
 タッパがない、ということはありましたが、あれは女子の平均と比べて、ということなんでしょうかね?

 あとは「胸の病気」ですね。
 快方に向かっている患者が発作でころっといく、なんてのはまあ、よくある話ですよね。
 これは文中では特に追求されていませんが、どんなものだったのでしょうねぇ。
 心肺系の病気、軽度なら、陸上などを医者も進めるかもしれません。心肺系を鍛えることは、すなわち発作などの発症も抑えられるということに繋がりますからね。
 逆に、発作=死に繋がるような重度のものなら逆に反対するでしょう。下手に運動して死なれちゃあ困りますからね。
 まあ、前者だと受け取っておきます、一度倒れてますし。

 前半のハタノを始めとした他のキャラクターの動きはよかったと思います。
 逆に、後半になると彼らがまったく出てこない(新規で母親が出てきましたが)のは寂しいですかね。オカザキが死んだ後にハタノがなにかしらのアプローチしてきてもよかったかも?

>体操着は汗で濡れ、青いブラジャーが透けて見えていた。
>ふつうにデートをし、ふつうにキスをし、

 などの一文はよいスパイスになっていると思います。
 淡々としていると、逆に人間性の欠如を疑われますからね。こういった文が入っていると、安心します。

 文章については、ツッコミどころがありません。やっぱりエウレーカがありますが。
 主人公がなぜその言葉を知っていたか、などの注釈もありませんし。
 前々から言わせておけばよかったかもしれませんね。


縞島さんの感想
 はじめまして。縞島と申します。
 作品を読ませていただきました。

 恋愛ものって、私は苦手(書くのも読むのも)なんですが、面白かったです。
 文章に静かな、というか落ち着いた雰囲気があって、それが話筋に味を持たせているのかなと思いました。

 よく分からなかったのは、アベベがインタヴューに何と答えたかですか。
 文中に載っているのかとも思ったのですが、ちょっと気になりました。

 ちなみに、「エウレーカ」って英語だと「ユーリカ」みたいな発音をすると思ったのですが、なるほどそういう意味でしたか。

 それではこの辺りで失礼します。では


テテさんの感想
 や、良かったです。稚拙ではないと思いますよ。感動しました。
 国語の教科書とか、模試とかに載っててもいいと思える作品でした。僕的に。
 構成とかもしっかりしていましたし、これといった矛盾点も感じませんでした。
 ただ、欲を言えばオカザキさんの容姿をもう少し説明してほしかったですね。大体はイメージできますけど。
最後に、エウレーカって何ですか? 文中で説明がなされていたのならただの読み落しですが、無かったように思ったのです。

 それでは失礼しますね。これからもがんばってください。


一言コメント
・よかったです。私もハーフのランナーなので、オカザキの気持ちがよく分かる。
 でも17歳で裸足で走るようなことしたら、絶対足を痛めます。
 長く走りたいならば靴を履くのが最良だと思いますので、そこだけは全く共感できませんでした。
 アベベは、ただ脱げてしまったのでそのまま走っただけでしなんというか、
 読んだ後にスッキリとした心地よさを感じました。
・よくできた青春小説だと思います。
・泣ける。
・私もランナーです!そして普段実際に裸足で走っています。
 綺麗な舗装路ならば10Kまで走れるようになりました☆  読んで嬉しかったです☆
・なんていえばいいのか……なぜかスラスラと読めて、感動できて、とても素敵です
・透明感のある作品だと思いました。よいです!
・ちょっとありきたりな展開だったが、面白いと感じられた。
・なける。
・描写が足りない気がしたけど、なかなか面白かったです。
・面白かったです。初投稿で高得点とはぐぐぐ……
・描写が神秘的で感動しました。オリジナリティのある文体が良かったです。
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