高得点作品掲載所     猫らぼさん 著作  | トップへ戻る | 


Fly high!!

「できるさ。僕にだって飛べるんだ」
 小刻みに震える右手には、若い男女が幸せそうに顔を寄せ合い笑っている写真が一枚。

 十四歳の少年はゆっくりと歩き出したかと思うと、そのまま走りだし、全力で十五階建てマンションの
屋上を駆け抜ける。

 そして、漆黒の闇に浮かぶ赤みがかった満月に向かって――

 ――飛んだ。

 ◆

『……昨日の空間転移失敗による死者は三名でした。我々報道関係者は繰り返し申し上げます。決して無
暗に空間転移を試みてはなりません。ご自分の命を……』
 くだらない。そう心の中で呟きながら秋名はテレビの電源を落とした。
 六畳半の和室には、円卓とブラウン管テレビ、そして壁の隅に固定された本棚以外に目立つものはない
。円卓の前に座る秋名は、静まり返る部屋で落ち着きを失っている。
 秋名には、十一も歳の離れた春という名の兄がいた。どんな状況にあろうと、まるでヒーローのように
かけつけて秋名を守ってくれる。そんな兄の迫力のある声が今日は聞こえない。それもそのはず、春はフ
ィアンセと共にイギリスで幸せ旅行の真っ最中だった。
 静けさに耐えられず、秋名は仕方なくもう一度リモコンに手を伸ばす。テレビ画面の中では、先ほどの
司会者がいまだに空間転移の危険さを訴えている。秋名はそのバカな試みにうんざりしていた。無駄に死
の危険を冒す必要がどこにあるのか、と。

 
 空間転移という能力を人々が認識したのは、今から三ヶ月ほど前にアメリカで全世界同時放映された生
放送番組でのことだ。サンタクロースみたいな真っ白な髭をなびかせた老人が、六十階建てのオフィスビ
ルの屋上を全力疾走し、飛び降りた。
 落ちる、いや、死ぬ――視聴者の誰もが目を覆い隠そうとしたであろうその瞬間。
 老人は消えた。
 誰もが硬直し、まさに時が止まったように静まる中、老人はメインスタジオのカメラの前に忽然と姿を
現してこう言った。
「If it is man, everyone is possible. (人間なら誰だって可能だよ)」
 そしてその時、全世界数十億の人々は人間の未知の能力に畏れ、震えた。
 それからというもの、条件さえクリアすれば誰にでも空間転移が可能だと理解した人々は、様々な場面
でそれを実行した。しかし、条件をクリアしている、と勘違いした一部の人々は、一瞬で命を失った。


 飲み物を取りに台所を訪れた秋名は、冷蔵庫に磁石で固定してあるいくつかの紙切れを見て、ため息を
漏らしていた。
『食事のあとは歯磨きを忘れずに!』
『夜十時には布団に入ること!』etc……
(僕は小学生かよ……ウザすぎ)
 紙切れに書かれた言葉をひとしきり読み終えると、そのすべてを剥ぎ取ってゴミ箱へ勢いよく投げ込ん
だ。
 円卓の前に戻った秋名は壁に掛けられた時計に目を移す。夜九時を回っていた。またも大きなため息が
漏れる。春が旅行に出発した一昨日から、毎日この時間に電話がかかってきていた。そして、携帯の電源
を切ろうとした直後、聞き慣れたメロディが静まる部屋に響き渡る。
「おう、今日も生きてるか? なんてな」
 携帯から聞こえてくる、耳ざわりなほどに無駄に明るい声が秋名の気分を害す。
「……もう電話いいから。春は気にしないで旅行楽しみなよ」
「おま……兄ちゃんのことを想ってそんなこと……」
 携帯を通して伝わってくるのは、春の嘘泣きの演技。
(なんなんだよ一体……)
 秋名の落ちた気分は、急降下したジェットコースターが余力で傾斜を上るように、別の感情へと変わり
始めた。
「そういえばさ、僕、熱あるみたい」
「……!」
 携帯の向こう側の雰囲気が変わるのを感じて、秋名はニヤリと口元をつり上げる。
「何度あるんだ?」
「さっき計った時は三十八度くらいだったかな」
 兄が自分を心配することが分かっているからこそ効果的な嘘になる。秋名はそれを十分に理解していた

 しかし秋名の嘘は、想定していた範囲外の結果を招くことになる。
「今から行くから、すぐに布団敷いて寝ろ」
 え? 秋名の目が若干大きめに開く。
「な、何バカなこと言ってんのさ。気にしないで旅行続けなって」
「いいから寝てろ!!」
 兄の怒声に驚き、秋名の右手はあやうく携帯を離しそうになる。
 携帯を耳に強く押し当てることで震える右手を制御しながら、秋名は口調を速める。
「春、僕なら大丈夫だか……ら……」
 言い終わる前に通話は切られた。
 携帯の画面を見つめつつ、秋名は金縛りにあったように静止する。そして次第に大きくなる心臓の鼓動
を感じていた。

 そのあと何度か、かけ直しを試みたものの、繋がらない。海外ということもあり電波の状態がおかしい
のか、それとも単に充電が切れたのか。
 秋名の焦りは身体の異常に現れる。心臓の鼓動はますます速くなり、呼吸の乱れを助長する。秋名は呼
吸を整えながら、空間転移を行うための条件を頭の中で再生した。

 条件一『今いる位置より低いところへジャンプすること』
 条件二『ジャンプにより、確実な死の恐怖を感じること』
 条件三『転移する距離に応じた明確な理由が存在すること』
 条件四『転移する場所、もしくは人物を思い浮かべられること』

 春は何度か空間転移を行ったことがあり、普段であれば条件を誤認するはずがないと確信できた。しか
し、今回は違う。春に、イギリスから日本までの超長距離を飛べる理由がない。
 秋名の熱は嘘なのだから。
 ――したがって、条件三を満たすことができない。
 転移する距離に応じた理由をいったい誰がジャッジするのかは定かではない。ただ、ジャッジする何か
は確実に存在する。秋名は、兄が飛ぶたびにそう口にしていたのを思い出す。
 自分のささいな嫌がらせが兄の命を奪うかもしれない。背後に死神が姿を現したかのように、秋名の心
に不安と恐怖という名の闇が堕ちる。
 洗面台には、夕食をとった後に歯磨きをした形跡。寝室には夜九時前に敷いた布団。春の言いつけをき
っちり守る秋名がそこにいた。
 秋名は、本棚の上の写真立てから一枚の写真を抜き取り、玄関の下駄箱の中に隠してある頑丈な針金を
乱暴に掴む。そして靴もはかずに外へ飛び出した。
 普段使われない階段を二段飛ばしで駆け上がり、マンションの屋上へと続く扉の前にたどりつく。小さ
い頃にいたずらで、このカギのかかった扉を何度か開けたことがある秋名は、持っていた針金でカギ穴を
ガチャガチャといじる。
 しかし、開かない。
「……なんでだよ。開けよ、開いてくれ!」
 焦りは言葉として表面に現れた。両目に涙を溜めこみながら、震える手でカギ穴をいじくる。
 カチッ。
 秋名は安堵する気持ちを瞬時に抑えて扉を開け、冷たいコンクリートの上で足を止める。

 息が切れている。
 心臓の鼓動が身体の芯を揺るがす。
 右手には力が入り、掴んでいる写真が歪む。
 足元のコンクリートから伝えられる冷たさが、沸騰する秋名の身体をこころもち冷やしてくれる。
 秋名の目の前には、死を暗示するような緋色の満月が浮かんでいた。

 持っていた写真を数秒見つめて、自分が飛ぶ相手の顔を頭に刻み込む。当然、兄の顔を分からないわけ
がなかったが、空間転移の経験がない秋名は、少しでも不安を拭おうと必死だった。
「できるさ……僕にだって飛べるんだ」
 秋名はゆっくりと歩き出したかと思うと、そのまま走りだし、全力で十五階建てマンションの屋上を駆
け抜ける。
 そして、漆黒の闇に浮かぶ赤みがかった満月に向かって――

 ――飛んだ。

 ◆

「本当に……大丈夫なの?」
 春の傍らにいる夏美は、込み上げる不安を隠せない。
「大丈夫。日本までの距離だと『人の死を助ける』くらいの理由が必要だけど、必ず成功する」
「でも秋名君、ただの風邪かもしれないじゃない」
「秋名は免疫力が特別弱いんだ。三十八度以上が出たら完全に赤信号、でも秋名はそれを自覚していない
。最後に発熱したのが四歳のときだからな」
 そわそわする夏美の前で屈伸運動をする春は、いつも通りの空間転移を思い描く。
 二人がいる場所は、観光地として有名なタワーブリッジの上にかかる歩行者通路。そこから、川ではな
く、橋の途中にある柱の低い部分――コンクリートに向かって飛ぶことで死の恐怖を確実に感じようとい
う試みだ。
 準備運動を終えた春は、今にも泣き出しそうな夏美の両腕に軽く手を添える。
「大丈夫。夏美を独りにはしない。すぐに戻ってくるからさ」
「すぐに戻ってなんてこれないくせに……死んだら私も死ぬからね……」
「だーいじょうぶだって! 俺は死なないよ」
 そう言いながら春は、泣きじゃくる夏美を抱きしめて背中をポンポンと叩く。
「……?」
 夏美はふと、視線の先の空間が歪んでいることに気づく。
「春、後ろ、なんか変……」
「え?」
 春が振り向くと同時に、空間に完全な円形の穴が開く。
「……ぅぁあああぁああああ!!」
「あ……秋名!」
 春は胸に思いっきりダイブしてきた秋名を受け止めようとするが、勢いに勝てず後ろに倒れこむ。
「いてて……って、何してんだおまえ! どっから飛んできた!?」
 秋名は震える両手を見て、生きていることに心から安堵した。安心感で意識を失いそうになるが、顔を
上げるとそこには大好きな兄がいた。
「……兄ちゃん……僕、飛べたよ……。嘘ついてごめん、兄ちゃん……」
 秋名は兄の胸に顔をかぶせ、小さく声を上げて泣いた。
「え、どういうこと……だ?」
 春は弟が飛んできた理由、飛べた理由が全く分からなかったが、すぐに心をシフトする。
 昔のように『兄ちゃん』と呼んでくれた秋名をやさしく包み込む。胸にうずくまって泣く秋名を見て、
理由なんてどうでもよくなったらしい。
「ありがとうな。秋名」

 秋名の右手には、くしゃくしゃになった写真が力強く握られていた。
●作者コメント
 最近、『猫』と名のつく方が多いですね。被ってしまってすみません。猫らぼです。

 今回の挑戦は、ジャンル『青春』、テーマ『兄弟愛』です。多分。
 なんの捻りもない落ち着いた物語ですが、少しでも秋名の葛藤を楽しんでいただければと思います。

 毎度のごとく長めな作品ですが、お読みいただければ大変嬉しいです。

※大変申し訳ないです。早速の誤字と明らかに不可解な点を修正いたしました。レスの前になってしまい
ゴメンナサイ>< この作品の状態が我慢できませんでした;;

※H23.2.11 このたびは、本当に多くのご指摘ありがとうございます。感謝と共に感激しています。全体
の雰囲気を損なわない程度にいくらか修正しました。が、根本的なご指摘については、未熟故、手を出せ
ませんでしたorz
 次回作以降に必ず活かしていこうと思います。

 改めまして、沢山のご批評ありがとうございました!


この作品が気に入っていただけましたら『高得点作品掲載所・人気投票』にて、投票と一言感想をお願いします。
こちらのメールフォームから、作品の批評も募集しております。

●感想
風車さんの意見 +30点
 初めまして、猫らぼ様。
 本文を拝見させていただいたので、感想や個人的意見を書きたいと思います。

 とは言いますが、話の構成や文体がしっかりできていると思ったので少し揚げ足取りのような指摘になってしまいますが……。

> 春は何度か空間転移を行ったことがあり、普段であれば条件を誤認するはずがないと確信できた。しかし、今回は違う。――

 この部分ですが、気持ちの強さと移動距離は本当に関係あるのでしょうか? 何かしらのエネルギーを使用しているなら分かりますが、空間移動は人間の潜在能力なんですよね?
 確かに、一見読むと正しいように見えますが、よく考えると、近くに移動するのも、遠くに移動するのも関係無くできるから空間移動なのでは?
 なので、どこに移動するにもそれなりの、命をかけるほどの出来事が今まであったという裏付けが欲しいと思います。
 そのため、春の今までした空間移動の例を挙げた方がいいのではないでしょうか?

 分かりにくい表現ですみません。
 気になった点は以上です。

 最初に言った通り、文章や話の構成が綺麗だったので良かったと思います。

 では、これからも頑張って下さい。応援しています。
 以上、風車でした。


zseさんの意見 +20点
 はじめまして。zseです。
 話の進み方や心の動きが上手く書けていたと思います。
 とても楽しんで読むことができました。
 ……これ以上書くことがなくて申し訳ないのですが。
 あえて言うならもっと上を狙うにしても、このような話の作り方ですので掌編にありがちなどんでん返しは無理そうですし、掌編のままこの長さである限りはこれ以上の感動は作れなそうな気がしました。
 とにかくよかったです。
 それでは。


wさんの意見 +10点
 こんにちは。
 冬祭りでは『灌木』にていねいな感想をいただき、ありがとうございました。作者レスが遅れていて申し訳ないのですが、先に感想返しの方から行ってみたいと思います。

 なんとも評価の難しい作品でした。
 読んでいて面白いというものではなかったのですが、ラストの部分は上手く読者の予想を裏切っていて意外性がありました。
 作者コメにあるように、兄弟愛の話なんだろうなと思いました。両親はいないのでしょうかね。

 三年前に空間転移が認識されて、現在にいたるまで無謀に試みる人が絶えない、というのはどうでしょうかね。
 命のキケンをおかしてまで、距離に応じた理由が必要という中では、大抵失敗するでしょうし、成功してもメリット少なそうですし。そうなると、試みる人自体も減っていきそうですし、マスコミがさっさと飽きて報道しなくなるんじゃないでしょうかね。マスコ ミが報道しなくなると、空間転移自体がさっさと忘れ去られそうです。
 また、空間転移をする条件としての理由が、誤情報だったら失敗というのもどうなんでしょうかね。
 んで、さらっと書いてあるのですが、春が何回か空間転移を成功させているのですが、何のためにでしょうかね。当然弟のためなのでしょうけど、弟が熱を出したのは4歳の時以来というから、空間転移を使ってまで駆けつけるような弟のピンチ自体が無いと思う のです。
 どうも両親がいなさそうですし、「もし兄である自分が死んだら、弟はひとりぼっちになってしまう」と思えば、ちょっとやそっとのピンチではリスクの高い空間転移は使えないような。
 両親がいなくて、年の離れた兄が親代わりとなって兄弟という関係が変質してしまったところへ、兄が結婚して、という弟の葛藤は上手く描けていたように思います。

 ラストは、兄が飛んでくると単純に思っていたのですが、その予想を裏切り、弟の方が飛ぶ。なるほど、空間転移を試みること自体が命の危機なので、飛べるのか。この発想は上手かったです。兄が空間転移を試みているという信頼を前提としての弟の空間転移というのは物語としてもきれいにまとまっていたと思います。
 でもこれ、いい話っぽいですが、飛んだ後の弟、どうするんですかね。ずっと兄の旅行にくっついて行くしかないですよね。パスポートも無いはずですが。

 というわけで、感想は以上です。


狛犬白さんの意見 +30点
 読ませていただいたので、感想を書きたいと思います。

 特殊能力ものでよくある、設定だけを細かく書くというものが無かったので、非常に読みやすかったです。だからといって、設定をいい加減にしている節も無く、とてもよかったと思います。
 兄弟愛もしっかりと読み取れることができました。

 次回作も読みたいです!
 これからも頑張ってください。


水守中也さんの意見
 +30点
 こんばんは。拝読いたしましたので感想を残させていただきます。

 空間転移というかなり突拍子もない能力を、うまく作品内に取り入れているところは見事だと思いました。
 話の内容も素晴らしく、テーマにされていた『兄弟愛』を十分に堪能させていただきました。オチも感動しました。

 ただやっぱり空間転移に関して気になる点もありました。

>空間転移という能力を人々が認識したのは、今から三年ほど前にアメリカで全世界同時放映された生放送番組でのことだ。
 テレビは三年前から毎日のように被害者の数を報道しているのでしょうか。
 異常な感覚かもしれませんが、三年も続けば交通事故のように日常茶飯事の事件のような気がします。

>転移する距離に応じた明確な理由が存在すること
 春の転移の理由は秋名を助けたいから。たとえ病気が嘘であろうと本人がそう思っている限り明確な理由になると思います。
 これはまぁ仕組みがまだ解析されていないようなので、秋名が失敗すると考えても仕方ないかもしれませんが。

 細かいことですが、最初のサンタクロースの老人が転移した明確な理由は、この能力を皆に伝えたいから、でいいのでしょうか。作中兄弟の転移理由が素晴らしいので、なんとなく低俗に感じてしまいました(笑)

 その他空間転移とは関係ありませんが少し気になった文をあげてみます。

>まるでヒーローのようにかけつけて秋名を守ってくれる。
 秋名視点なのかは微妙ですが、この文章は、春に対し好意的に感じられて、その後の嫌っている様子を見て、違和感を覚えました。

 蛇足ですが、ラストの「兄ちゃん」発言を生かすためにも、先の電話で春と呼び捨てにしているシーンがあればより効果的だったかなと感じました。

 それでは。失礼します。


山田 覚さんの意見
 +10点
 どうも、山田覚と申します。
 
 空間転移が実現された世界という舞台はなかなか面白そうなのですが、いささか現実味に欠けました。
まず、設定が作者にとって都合の良すぎるもののように感じたのです。
 物語なのですから、ストーリーがご都合主義になるのは仕方ありません。ただ、明らかに「こうするために用意した設定」を見せ付けられると、面白みが激減するのです。
 条件や失敗があるということだけを事前に開示し、その内容について後に説明するという構成はとても上手いのですが、それが物語の終盤、それも箇条書きでとなると、問題があるのではないでしょうか。
 作中で、実際にこの空間転移を使っている人物は二人で、回数も二回しかありません。せめてこういう条件のついた空間転移を登場させるなら、もっと他の使用目的による活用などが、読者の頭に入ってからの方が良いのではないでしょうか。そうすることで、さ
 もこのために用意した設定という印象は薄れるのではないかと思います。

 このほか、数値のおおさっぱさなどが目に付き、やはり現実味を損なっているように思います。例えば
>そしてその時、全世界数十億の人々は人間の未知の能力に畏れ、震えた。
 という一文がありますが、ひとつのテレビ番組を全世界の人々が見ているはずがなく、別の番組を観ている人や、仕事をしている人、何よりそれが放送されていない地域やテレビを持っていない人々は知りようがありません。(時代説明は一切ないため、作中では 3年前に世界の人口が現代とは比べ物にならないほど増えている可能性はありますが)
 また、生放送だからとはいえ、全員が全員即座に信じるには、サンタクロースもどきのおじいさんのしたことは、インパクトに欠けます。実際に自分が正真正銘目の前で見ない限り、多くの人は「双子」「やらせ」「CG」など、適当な理由をつけて疑うのではないでしょうか。

 また、地の文が少々読みづらかったです。違っていたら申し訳ないのですが、素直に過去形の文を使用したほうがしっくりくるところさえも、無理矢理現在形の文にしてある印象を受けました。
 文章が単調になるのを避けたいのだと思いますが、自然な文章が一番読みやすいのではないでしょうか。


ライムペンギンさんの意見
 +10点
 どーも、ライムペンギンです。

 今まで読んだ猫らぼさんの掌編の中で一番面白かったです。
 空間転移という突拍子もない設定を、どうやって生かしていくんだと、ワクワクしながら読み進めることができました。
 オチも期待を裏切らず『うん、それ以外にないよな』というところに落ち着いています。

 話の流れで特に気になる点はありませんでした。
 良作ほど感想は短くなる法則。

 でわ、お互い頑張りましょう。


志乃さんの意見
 +20点
 こんにちは、ノコノコと感想返しに参りました、志乃です。

 えーっと……
 既に皆様がおっしゃられているところ以外に、非の打ちどころが無いように思えます。私ごときからは何も言えません(汗)

 こんなことで感想返しになるのかはなはだ怪しいものですが、これにて……
 短くて済みません(泣)

 次回作、楽しみにしています! では、失礼をば。


猫目石さんの意見
 +20点
 はじめまして、猫目石です。拝読させていただきました。

 すいません。私のほうこそ”猫”を被らせちゃって(笑)。
 
 さて、内容ですね。
 異能力ものとしては新鮮味がありました。
 サンタ風の老人が空間移動を試す場面は引き込まれました。
 構成も巧くできていて、冒頭のシーンの流用なんかは、きれいだと思いました。


 以下、御作で気になったところです。
 空間移動できる条件がやや説明的になってしまったと思います。
 ただ、個人的には非常に魅力的な条件で、このアイデアを捻り出したのは凄いと思います。

 マンションの屋上へ続く扉の鍵が開かないシーンの演出に取って着けた感がありました。
 ここは緊迫感を高めるためにあえて持ってきたシーンと思われます。
 それ自体は良い試みだと思うのですが、開かない扉を針金で開ける設定が唐突すぎて違和感がありました。

 If it is man, everyone is possible.
 
 この英文なのですが、英語としては不自然な気がします。
 翻訳サイトか何かで訳されてますよね?
 英語ではありますが、文は文なので使うのであれば正しく表現されたほうが良いと思います。

 それでは、失礼いたします。


涼木ショウさんの意見
 +40点
 拝読させていただきましたっ

 すごくよかったです。アイデアも文章もよく練られていて、よみやすくて内容もすいすい頭に入って来ました。

 この短さでこれだけの展開を書けるのはすごいと思います。なにげない嘘が大変な事態を引き起こしそうになった時の焦燥感が、読む方をハラハラさせてくれました。

 僕なんかは、バッドエンド癖みたいなのがついてるのか、弟が兄の所に飛ぶ→飛ぼうとしている兄の背中にぶつかって、兄落下。なんてオチが待ってるんじゃないかと冷や冷やしていましたが、無事に終わってくれてなによりです。

 他の人もおっしゃっているように、兄が命がけの空間移動を何度も行っているというのには違和感を覚えましたが、思い付きですが、これは兄がすごく正義感の強い性格……とか、職業が× × 救助隊、とかいう設定を加えれば無理なくとおるのではないでしょうか。
 いえ、本当に思いつきなので、軽く聞いておいてください。

 これを読んで、ぼくもハッピーエンドな作品が作りたくなってきました。また猫らぼさんの次回作を期待しています。


綾龍さんの意見
 +40点
 こんにちは! 綾龍です。
 拝読しましたので、感想などを残していきます。

 秋名くんが焦るシーンにはドキドキさせられました。
 電話が繋がらなくて、ウソを言ってしまって、そのせいで兄が命を落とすかもしれないという、もどかしい心情がとても良く描かれていたと思います。
 少し残念だったのは、そんなウソを言えば空間転移で飛んでくる事は明白な上、厳しい条件だという事も分かっていたはずなのに言ってしまった事。ひょっとしてこれは『兄を殺すための計画的なウソ』なのか? などという黒い可能性も考えてしまいました。
そんな自分が非常に残念……orz 秋名くんはそんな人ではなかったです。純粋に寂しがり屋のツンデレキャラでした。(違

 一番疑問に感じたのは、空間転移の条件。

>条件二『ジャンプにより、確実な死の恐怖を感じること』
>条件四『転移する場所、もしくは人物を思い浮かべられること』


 この二つ、矛盾しているように見えます。
 二つとも本人の感情や意思によって条件の判定が行われるものです。外部の人からは分からない条件です。
 移動先を思い浮かべられるということは、移動して無事でいられることを望んでいるわけですよね。そうすると、確実な死の恐怖を感じるところの『確実な死』が当てはまらないです。他人が見て死ぬんじゃないかと思っても、本人が死を感じなければ条件をク
リアしたことにはなりません。
 なので、移動先を思い浮かべて無事でいられることと、確実な死の恐怖を感じることは、同時に感情を表すことの出来ない矛盾した条件だと思いました。だから、失敗する人が続出していたのでしょう。
 問題なのは、この矛盾した条件でも飛べてしまった兄です。
 しかも、何度も飛んでいるようですし、何か別の優先される条件でも見つけたのでしょうか。このあたりが謎のままでした。でも、秋名くんはこの条件を知らないので空間転移は失敗するはずです。それなのに成功してしまっています。条件三の『転移する距離
に応じた明確な理由が存在すること』で、兄が死ぬかもしれないところを助けるため、という理由がカギになっているのかもしれませんが、それでも条件ニと条件四の矛盾は解消されません。助けに行くためには生きていないといけないので、確実な死の恐怖を感
じることは出来ないからです。
 秋名くんがジャンプしたとき、偶然、兄の知る新たな条件に当てはまっていたということでしたら、そのことを書いておいて欲しかったです。個人的には、その新たな条件を切迫した中で自力で見つけ出すという展開が熱いのですが、今回のお話は、そういうと
ころを見せたいわけじゃないんですよね……。
 でも、奇抜な設定の上をいく奇抜さで、困難を打開する主人公が見たかったのです。

 以上、とんでもない言いがかり文章でした。orz
 ここまで書いておいてなんですが、すごく読み間違えているような気がして仕方がないです(いつもそうorz

 文章や構成・展開などは文句のつけようがありません。上手いです。
 比喩表現も心情に沿った風に書かれてあって、楽しく読み進めることが出来ました。
 兄が毎日電話をしてきて「生きてるか?」と冗談とも言えないような気遣いも、キャラの個性を出していて良かったです。
 良いところは沢山あるんです。でも、条件が矛盾していると感じてしまってからは、そこばかりが引っかかります。なので、点数をどう付けたらいいのかの判断も難しく、決めかねます。すみませんが今回の点数評価は無しにさせてくださいorz

 サンタ髭のお爺さんは、ひょっとしてあの忍者(?)のお爺さんだったのでしょうか?
 あの時、最後に姿が消えたのは空間転移を使っていたから、という訳だったのですね。なるほど(勝手に納得)

 最後に。
 兄弟の心の繋がりを感じ取れる素敵なお話でした。
 良い作品を読ませていただき、ありがとうございました。
 それでは、失礼します。


grass horseさんの意見
 +20点
 お久しぶりです。
 作品拝読いたしましたので、感想など残していこうと思います。
 
 文章力はさすがですね。
 他の方々が言われている以外に、言えることは特にありません。
 読み終わって、面白いアイデアだなと思いました。
 しかし、それを活かしきれていないな、とも。
 空間転移、というアイデアは個人的にすごく面白かったです。何かと言うと、その条件さえ満たせば、誰にさえ出来る、というところでしょうか。しかも、その条件にもなにやら深さがありますし。
 それが、兄弟愛で終わってしまったのが、残念でした。
 いうなれば、設定については、四十点。しかし、肝心のストーリーのほうに付いては、特に魅力を感じませんでした。すみません。アイデアの魅力に霞んでしまっているといいますか。

 この設定で、短編を書いてみればよいと思います。
 他にも数個空間転移のような技を出して、その条件にメッセージを含ませて、それで色々な人に焦点を当てた短編集とか。

 すみません。勝手な要望のようになってしまいました。
 では、これからもお互いがんばりましょう!
 乱文失礼しました。


路野トホホさんの意見
 +30点
 お疲れ様です、路野トホホです。
 先日は拙作に感想いただきましてありがとうございました。お返しになるのかどうか謎ですが拝読しましたので感想を書かせていただきます。

 正直、ここ最近ラ研で読んだ作品のなかで一番上手いと思いましたし、実際に面白いと感じました。

 『空間移転』という独特のアイディアが秀逸でした。また、文章・構成なども非の打ちどころがないもので、山場の見せ方も上手かったです。
 作者様の筆力が高いからこそ、この秀逸なアイディアを活かせるのだなぁと思いました。

 気になった点としては、春が命の危険を犯してまで空間移転をしようとする理由です。
 弟の命を救いたいと思う気持ちは充分すぎるほどわかるのですが、現実で考えたら、空間移転を試みるよりも、まず、秋名に119番通報するよう説得することのほうがはるかに重要だと思いますし、効率が良いと思いました。
 空間移転に成功したところで、結局は医療機関に頼らなければならないわけですし。

 もちろん、ライトノベル作品ではリアルさよりも「面白い展開にできるかどうか」の方が重要だということは承知しているのですが、私がこういう風に違和感を抱いてしまったのも、春が弟を思う気持ちといいますか、春の心理が上手く伝わらなかったからなのかなと思いました。文字数の制限などもあり、心理描写を描ききれなかったというのもあるかも知れませんが。

 では、とても面白い作品をどうもありがとうございました。次回作も楽しみにさせていただきます。
 それでは、失礼いたします。


03さんの意見
 +20点
 拝読いたしました。
 いつもお世話になってます03です。

 ああ、私もこんな優しい兄が欲しかったなぁ(遠い目)……いきなり個人的な感傷に浸ってしまいました。失礼いたしました。
 「I can fly!」というピ○ ポンのワンシーンを思い浮かべたのは私だけでしょうか?w冗談はさておき、飛ぶ、という動作は人間にとって永遠の憧れとも言いますか、特殊な動作ですよね。空間転移という事象と、飛ぶという動作を紐付けた設定は素晴らしいアイデアだと思います。
 ただ、他の方も仰られていますが条件その他諸々でいくつか「ん?」と首を傾げる点が見受けられました。掌編では設定を全て伝えきることが不可能かなと思いました。
 文章力はさすがの一言でした。ストーリー構成も序破急と纏められており読みやすかったです。

 ―以下、いつにも増して個人的な意見ですので読み飛ばしを推奨します―

 さて、今回の「兄弟愛」というテーマですが、個人的には秋名は「妹」という設定の方が良かったのではないかな、と思います。アッキーナだけにw……失礼しました。
 理由としては、個人の作品の話になって恐縮ですが、私の三十歳童貞の話があんな女人禁制の駄作にも関わらず、かなりの方にお読みいただいたことから、今サイトの利用者はほぼ男性ではないかと推測されるためです。
 需要としては、美しき兄弟愛を描くよりも、ラストシーンで涙ながらに兄に抱きつくツンデレ萌えヒロインを描いた方がより良い評価が得られたのでは、と思う次第です。
 もちろん、これはある程度読者に媚びる、ということを意識した基での考え方ですので、猫らぼ様が「読者には引かぬ!媚びぬ!省みぬ!萌えが無くとも面白い話を作るのだ!」と仰られるのであれば止めはしません。むしろ猫らぼ様の実力ならば可能だと思っておりますので、全力で応援させていただきます。

 ―以上、個人的な意見終了。大変申し訳ございませんでした。―

 以上、失礼いたしました。


司馬武彰さんの意見
 +40点
 先日は作品への感想を頂き、誠に有難うございました。
 拝読させていただいたので、感想を述べさせていただきますね。

 最初に感じたのは、とても纏まった素晴らしい文章という事ですね。
 間のとり方の絶妙でしたし、視点変更もスムースだったように思えます。
 特に大きな矛盾も見当たらず、読んでいて非常に引き込まれました。
 今後の参考になる、とても素晴らしい作品を読ませていただきました。
 有難うございます。


 ただ一点だけ、少し違和感があったところを。

>「秋名は免疫力が特別弱いんだ。三十八度以上が出たら完全に赤信号、でも秋名はそれを自覚していない。最後に発熱したのが四歳のときだからな」

 矛盾というほどではないんですが、免疫力が弱いのに四歳の時以来発熱を一切していない、というのは少々不思議に思いました。

 少々話がずれますが、白血病を例示させていただきます。
 白血病という病気は御存じだと思いますが、白血病細胞の増殖により、正常な血球が減少し、その結果細菌や感染症への免疫が低下し、何気ない病で死に至る病気です。
 勿論白血病自体が死に至る病というわけではありません。白血病が原因で、免疫力が低下し、その結果感染症にかかって死亡する、という物です。

 私が言いたいのは、この秋名君が、この白血病と似た状態である『免疫力が下がっている状態』でありながら、『比較的元気な体』であるのが少し違うのではないか、という事ですね。38度の熱で赤信号であるほど免疫力が低いのであれば、無菌室の中に軟禁状態にされていてもおかしくはないでしょうから。

 と、別に医学部の学生でも無いのですが、あり合わせの知識とウィキペディア先生のお力でご意見させて頂きました。
 「それはどう考えてもおかしい」と思われるかもしれませんが、その時は全力でスルーして頂けると幸いです。

 然しながら、何度でも言わせていただきますが、非常にすばらしい作品です。
 お手本にしても何ら遜色のない作品かと思います。
 ですので、私の言った単なる揚げ足なんか気になさる必要は御座いません。

 次回作にも期待していますと共に、また御機会があればご教授いただければ、と思います。
 それでは、失礼させていただきますね。


【追記】
 ここずっと作者レスばかりやってたので、点数評価を忘れておりました……^^;


waniwaniさんの意見
 +30点
 こんばんは。感想を書かせていただきます。

 掌編でSF物、しかも設定をないがしろにしていない所に感服しました。
 文章に引っかかりもなくサクサク読めました。
 物語の内容もすばらしく感動しました。
 掌編でこれだけ深みのある話を創れるのはすごいと思いました。

 次回作にも期待しています。
 頑張ってください


カナイさんの意見
 +20点
 こんばんは、カナイです。
 拝読致しましたので感想を残していきます。
 
 いつも通りに複雑な構成ですね。
 項目ごとに分けて読み解いてみたいと思います。

【世界観】
 空間転移という異能力があります。
 この超能力の歴史は大変浅く、一人の先見者によって人々に知らされたばかりです。
 これについてはまたあとで触れます。

【登場人物】
・秋名
 名前からして女性かと思いましたが、男の子だったんですね。まあ、これは私が勝手に誤解しただけですが。
 空間転移を行ったことはなく、作中で初挑戦します。
 反抗期なのか兄に対して反発的な態度を取ります。しかし一方では、幸せいっぱいな兄を気遣う一面も持っています。
 少々疑問なのですが、秋名は自分の虚弱体質について知らなかったのでしょうか。
 かなり重要なことだと思うので、兄から何も聞いていないのだとしたらおかしいような気がしました。
 また、そこまで虚弱体質なのにも関わらず四歳を過ぎてからずっと健康優良児な点にも首を傾げました。

・春
 はっきり言ってしまえばブラコン。しかもかなり重症な気がします。
 婚前旅行中(?)にフィアンセを放り出して命懸けの帰宅を試みるほどのブラコン。
 空間転移に関してはかなりの上級者のようですね。
 弟のことになると周りが見えなく人なのでしょうか。
 自分が駆けつけられないのでしたら、知人に世話を頼むとかの方法はあると思います。
 少なくとも医者に診てもらうように怒鳴りつけるくらいのことはするのではないでしょうか。
 いくら腕に自信があるとは言え、命懸けの帰還は本当に最後の手段だと思いました。

・夏美
 春を心配する人。なんと言いますか、それ以上でも以下でもないって感じがしました。
 終盤にしか出番がないためか、あんまり存在感はなかった気がします。
 泣くくらいだったら春を止める工夫をするんじゃないでしょうか。
 電話は通じるのですから、秋名を何がなんでも病院に行かせるとか。
 方法はありそうな気がしました

・老人
 かなりぶっとんだキャラ。全世界に向けて自身の超能力を披露した人。
 人間なら誰でも空間転移が出来ると言った人物です。
 ある意味で全ての元凶でしょうか。

【ストーリー】
 冒頭では誰かが飛びます。その後、本編に入ります。
 秋名は春が遠出をしたため一人で部屋にいます。
 春の心配性に辟易していた秋名は、兄をからかうのでした。
 真に受けてしまった春は命懸けで家に帰ろうとします。
 このままでは春が死んでしまうと思った秋名は必死に秋名を止めに行き、ハッピーエンドです。

 私だけかもしれませんが、やはり春が命懸けで空間転移しようとする流れがしっくりきませんでした……。

【構成】
 少々気になる点がありました。
 何者かが十五階建ての建物から飛ぶシーンが冒頭になっています。
 その後、本筋は死者が出た事故のニュースから始まります。なので、私は飛び降りた人物が死亡したのだと思ってしまいました。実際は違いますが。
 ミスリードなのかもしれませんが、中盤以降に活かされている訳でもないので、ただ読者を混乱させるだけになってしまっている気がしました。

【設定】
 空間転移という超能力ですが、色々と謎の残る能力だったと思います。
 まず第一に、人々の間にあっさり広まったこと。
 テレビの影響力というのはとても大きいものです。しかし、空間転移が無名な段階ではシリアスに取り上げられることもないかと思います。
 ビルから飛び降りて老人が生き残る場面を視聴者が見たら、普通まず真っ先にヤラセを疑うものかと私は考えます。
 まして、老人に続いて自らも飛び降りようとするには尋常ではない覚悟が必要かと思います。
 と言いますか、誰も老人に続かないかと思います。

 第二に、あまりにも空間転移の条件が明確化され過ぎてしまっている点を挙げたいと思います。
 これだけ詳細な条件を見つけ出すには相当な実験や研究が必要なのではないでしょうか。
 老人だけで突き止めたというのは少々腑に落ちませんでした。

 ……とは言うものの、御作においてはそれほど大きな問題でもないような気がします。
 この作品のテーマは『兄妹愛』だそうですから、そこまで練りに練った異能力の設定は求められないかと思います。
 上で挙げた二点につきましては揚げ足取りのレベルだと思うので、あまりお気になさらないでください。

 総評ですが、暖かな印象を読者に与える作品だったかと思います。
 ややキャラの行動に違和感を覚える部分はありましたけど、空間転移の条件などは興味深かったです。
 四つの条件がうまくストーリーに絡められていたと思います。

 他の方の感想はあまり読んでいません。カブった場合はご容赦ください。

 では、失礼致します。


aeさんの意見
 +30点
 猫らぼ様、こんにちは、次回作に期待してますと宣言しておきながら忙しさにかまけて感想を遅らしていたaeです。
 しかし、その間に既に400点をたたき出しているという……凄いですね。
 ということで、遅ればせながら作品を拝読いたしましたので簡単に感想を残させていただきます。

 まず、高得点おめでとうございます。個人的には既に猫らぼ様はプロだろ、という感覚なので驚きはありません。さらに個人的には「君想う時~」の方がお気に入りです。あっちが高得点しないとは……少し残念です。今作に関しましては、もう少し……という
読後感でした。

 途中はかなりハマりました。世界観もただ関心します。ストーリーに関しましても、早くしないと兄が死んでしまうではないかという、ドキドキしてました。お見事です。
 ただ、その後です。ドキドキして、助かって終わり。というのはあまり好きな展開ではありませんでした。言うならば、後日談が少ない気がするのです。ドキドキが冷めやらない間に終わるという感じです。カタルシスを感じる前に終わるという感じです。起承
転結の結です。御作の結は凄く少ない気がするのです。解決し終わっていない感じです。まぁいっかという感じで兄は弟を迎えています(これは気になりました)。ということで、もろもろの事情を曖昧にして終わった気がするのです。それが後味を悪くしました

 例えば、本当にくだらない案を出させていただくならば、
 きちんと主人公は兄に嘘をついたことを話す。そして兄は嘘を赦す。その上で「例え嘘だったとしても俺は絶対に飛べていたから大丈夫だよ」とかカッコイイ台詞を吐かせる。そしたらaeに兄弟愛の涙の嵐が吹き荒れます。そして、兄は主人公が頑張って飛んで
やってきたことに大賛辞を送る。頑張ったなとか、俺のためにありがとうとか、うんたらです。兄弟愛です。そしたらカタルシスをばっちり感じれたような気がします。
 なお、関係ないですが「例え嘘だったとしても俺は絶対に飛べていたから大丈夫だよ」という点に関しては、微妙に春様が死んだら夏美様が死ぬという関係があります。春様が飛ばなければ夏美様が死ぬ。つまり、人の命が関わっているのですから、そういった
意味でも飛ばなければいけない理由として、実は大丈夫だったのではとか思ったりしました(こじつけっぽいですが)。これは兄弟愛を疑わせるので、オチとして微妙っぽいですが……。
 はい、くだらない例えをすみません。ようは、何かこの後にあるといいな……という、もう少し……という感じです。
 ということで相変わらずの生意気な駄文はこれぐらいにします。

 相変わらず、構成のマエストロといった感じで凄かったです。特に、世界観の説明や情景描写は文句のつけようがありません。さすが推敲の達人です。そこまでで既に30点です。この世界観と設定だともっと話は膨らみそうな気がするので、掌編ではなくても
っと長い作品で書いたら面白いのではないかと思います。やっぱり、死ぬか生きるかの究極の選択、葛藤は凄い魅力を持っています。のめり込みます。それを表現できる技術が一番すごいのですけど。長編にしてもいけそうですね。なんとなくそう思います。

 ということで、設定が一番のお気に入りだったaeでした。はい、期待通りのクオリティでした。満足しております。また、関係ないですが猫らぼ様の感想の力にも爽快感を覚える今日この頃です。
 次回作も期待させて頂きます。
 では、失礼します。


鍵入さんの意見 +20点
 ああ、「猫love」だったんですね、お名前。すごく納得です、鍵入です。

 少し不思議でSF設定。「空間転移失敗による死者」ってどうやって判断するんだろうとか「空間転移という能力を人々が認識したのは、今から三ヶ月ほど前」にしては広まりすぎだろうとか思いましたが、その使い方の上手さには感嘆しました。マイナスをプラスが完全に上回っています。

 正直なところ、初読時はちょっと微妙な印象だったんですよね。秋名(女の子かと思った)の葛藤もあまり伝わらなかったし、ただのなんてことないハッピーエンドだよなぁと。
 で、ラスト付近をぼーっと眺めて「春は弟が飛んできた理由、飛べた理由が全く分からなかったが」に気づいて、「あれ、そういやどうして飛べたんだ?」と思い、「あっ! そういうこと!」と。

 秋名を心配して春はすぐ飛んでくるだろう。でも秋名の言葉は嘘だったから、春は「条件三『転移する距離に応じた明確な理由が存在すること』」を満たせない。だから春は飛ぶのに失敗する――ということを秋名は予想できたから、秋名は条件三を満たせる、と。この解釈でよろしいでしょうか? 違ったら恥ずい。
 でも秋名にしたって、春が飛んでくれるとは限らないわけで、ともすると飛ぶのにはかなりの勇気が必要なはず。そこで『兄弟愛』なんですね。この一連の流れはほんとに上手い。

 ただ、少し分かりにくかったかな、とも思います。示唆する描写が直接にはないので、気づかなければそのままで終わっちゃいそう。いや、「分かりにくい」だなんて僕が言えたことじゃないのですが。

 こんなところで。それでは、失礼しました。


明治さんの意見 +30点
 明治と申します。
 拝読させて頂きましたので感想をば。

 まず題材が空間転移と。
 インパクトがあって凄く良かったと思います。
 主人公に対して容易に投影させることができましたし、何より冒頭に重要なシーンを持ってきたのが効きました。この技法、こうやって使うんですね。

 ただ1つだけ。
 心理的に、もうちょっと秋名が焦りを覚える描写が欲しかったです。まぁ焦る理由が理由ですから、仕方ないのかもしれませんが。


★野さんの意見 +30点
 どうも、こんばんは。★野です。
 久方ぶりに掌編を覗いたら、お世話になった二人が投稿しているのに気付き、感想を残した次第です。
 私ごときクマムシ以下ギョウチュウ未満の人間が言う事は、既に下の大勢の方々がおっしゃっているので、控えます。
 猫さんも返信をするのが大変だと思うので。決して手抜きとかではありません!いや、本当に!

 面白かったです。とだけ言います。本当はもっと感想書きたいけど、そうすると返信が大変そうだし;;他の方にも返信返さなきゃだし;;いっそ、★野には返信しなくてもいいので;;私の事などそこら辺のアリと看做して構いません;;

 次回作も、投稿なさった際には、是非、読ませてもらいますね^^


耳呈さんの意見 +20点
 お久しぶりです。名前と高得点に釣られてきました。耳呈です
 多くの方から感想をいただいてるようなので、難しいこと考えずに書いていきます。被ってたらごめんなさい

空間転移
 ポテンシャルエネルギーでも使ってるんですかね。上から下へってのが独特で好きです。でも、死を感じるだけなら、スカイダイビングやバンジージャンプでもいい気がする。僕は三階からでも十分怖いです。頭から落ちない限り死なんでしょうが
 距離に応じた明確な理由ってのも曖昧ですね。人類の願望という名目で月に行ったりできないのかなあ

>> 春は胸に思いっきりダイブしてきた秋名を受け止めようとするが、勢いに勝てず後ろに倒れこむ。
エネルギーが減少してるんですね

 春名は兄を助けるため、わざと自分に死を近づけようとする。兄は無事ジャンプ。しかし、そこには物言わぬ(ry
 というバッドエンドを想像してました。僕はハッピーエンドの方が好きです

 ミステリ脳で恐縮ですが、アリバイ殺しですよね。犯人なら必死だろうし、各地で犯罪が起きそうです。暗殺やテロも容易ですね。厳しい条件と思いきや、人間その気になれば恐ろしい。

 ストーリーはよかったです。ただ、異能が衆知してるってとこに無理があるんじゃないかなと勝手に分析。何か脈絡ない文章ですが、この辺で
 それでは 。
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