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無邪気な一号、クールな二号

二十兎 流助さん著作

 俺は今、異常な状況にある。
 目隠しをされ、学園の中を歩かされている。
 しかもチョコバナナを食べながら。
 別に手を縛られている訳でもないので、口にバナナを突っ込んだまま、という滑稽極まりない姿では残念ながら無い。
 それだけならまだ、異常と言うほどでは無いのかも知れない。
 ただ、俺を連れ回している人間達が異常なのだ。
「さて、三年一組の「二号」先輩。私達が誰なのか、もちろん分かってますね?」
「は、はぁ。ブルースワットか何か――」
「企画部です」
 やっぱりか……。
 企画部の生贄に俺は選ばれてしまったのか。
 しかも今日は学園祭。こいつらが一番輝く日じゃないか……最悪だ。
 生徒が学園祭で催す企画なんて、たかが知れていると思っているそこのアナタ。
 甘ぇよ。
 去年の学園祭での企画は確か「生徒と教師、逆転祭り! ~嵐の授業参観~」と銘打たれた、全教師に対しての拷問だ。
 教師は全員この学園の制服を着用。
 その上で、教師に対し筆記テストを実施するという物だった。
 もちろん、採点後におかしな回答があった場合は晒される。
 これだけでもかなりの拷問だと思うのだが、奴等……企画部はこんなものでは満足しない。
 企画を行った体育館には、全校生徒、学園祭に来た客は勿論、教師達の両親、同級生までも事前に招待していたのだ。
「あの子のこんな姿がまた見られるなんてねぇ。何年振りかしら、こんな気持ち……」なんて、どの教師の母親かは分からないが、涙まで流していたのを覚えている。
 本当に泣きたいのは教師達だったろうに。
 まぁでも、終わってみれば皆笑顔だったなぁ。
 と、思い出に浸っている場合ではない。
 あのレベルの拷問がこの後、俺を待っているというのか?
 下手すりゃ廃人じゃないか。
「ちょ、ちょっと待ってくれないか。俺は一体何をやらされるんだ? それ以前に、なんで俺なのかな」
 そう、そこだ。
 聞かずにはいられなかった。
 自分でこんなことを言うのはなんだけど、仮面ライダーG3と同じ存在価値だぞ、俺は。
「二号先輩が選ばれた理由は、三年生以外に実施したアンケートです」
 アンケート……?
 つまり投票多数で俺が選ばれたって事になるのか?
 企画部の言う三年生以外というのは、もちろん文字通りの意味ではない。
 一、二年生、教師達、事務の人達。
 そんなにも多くの人を敵に回すほどのとんでもない事を、いつの間にしでかしてしまったんだ、俺は。
「そうですね……。恐らく三年生の殆どの方も、二号先輩に投票していたんじゃないでしょうか」
 馬鹿な!
 いや、落ち着け。クールになるんだ。
 俺はクールが売りだろう。
「ちなみにアンケートの内容は?」
「内緒です。ちなみに何をやるのかもお教えできません」
 なるほどね。
 死に行く者には、情報は必要ないって事か。
 いいだろう。
 この、自他共に認めるクールの塊。
 校内の人間全員が敵だろうと、どんな無理難題だろうと、華麗に突破してみせる。
 絶対取り乱したりなんかはしない。
 俺はクールだからな。
「これくらいは教えてくれないか。何かやらされるのは何処でだい? まぁでも、どうせ体育館――」
「県中央会館です」
「うそだろ!」
 クールに逝こうぜ。




「さて着きました。暫くそのままで居てください」
 そう言い残して、取り囲んでいた人の気配が消える。
 そしてガチャリ、と鍵の閉まる音が聞こえた。
 ……。
 県中央会館なんて言っていたが、どう考えてもそんなに移動していない。
 確実に学園の敷地内という事は分かる。
 まぁ、いいさ。
 もうこうなった以上、クールに徹するのみ。
『では、お二方。目隠しをお取りください』
 スピーカーを通して音声が聞こえてくる。
 お二方? 俺以外にもう一人いるのか。
 可哀想な事だ。でも同情はしてやれない。
 俺も同じ立場だしね。
「さて、一体誰が――」
 目隠しを取った瞬間、照明の眩しさで一瞬目が眩んだが、直ぐに俺の瞳は目の前の彼女を捉えた。
「あ、二号ちゃんっ!」
「い、一号……?」
 俺は自分の目を疑った。
 落ち着け、まずは深呼吸だ。
 目を瞑り、大きく息を吸い、ゆっくりと息を吐き出す。
 そして改めて彼女を見る。
 小さめの身長、ボサボサのショートヘアに短めのポニーテール……いや、茶筅髷と言うべきか。
 彼女の事だから適当に結ってあるのだろうが、何故かだらしないという感じはしない。
 むしろ絶妙なワイルドさが、不思議と彼女の可愛さを引き立てている。
 そして、輝くような満面の笑み。
「よお。相変わらず元気だな、一号」
「二号ちゃんも、いつも異常にクールだね! あっ、今のは以上と異常をかけたんだよ、面白いねっ!」
 一号もいつも異常に馬鹿っぽいよ。
 なんて、小学生から続けてきたいつも通りの会話に少し安心してしまう。
 だけどやはり、不思議に思う。
 百歩譲って、俺がアンケートで標的にされるのは分かる。
 しかし一号は違う。
 彼女の天真爛漫なキャラクターは、この学園内では絶大な人気を誇っている。
 一号関連のグッズが購買部で販売されているくらいだ。
『さて、今からお二方にはその部屋から協力して、脱出して頂きます』
「部屋から脱出?」
 そう聞き返しながら俺は、それまで目に入らなかった周りを見渡す。
 黒板、教卓、机。反対側には生徒用ロッカー、何故か掃除用具入れのロッカーが二つあるが……。
 学園の教室とほぼ同じ部屋だ。
 しかし決定的に違う。
 入り口が無い。 
『そうです。制限時間は一時間。それまでに脱出出来なかった場合は……』
「出来なかった場合はどうなるのかなっ?」
 一号は少しワクワクしている様だった。
『お二方のポケットにメモが入っています。そこに書いてある事を実行させていただきます』
 メモか。恐らくここに連れて来られている間に入れられたんだろう。
 いくつかのポケットを探っていたところ、ブレザーの右ポケットにそれらしいメモを見つけた。
 さぁ、何が書いてあるのか。

「    あなたが富士咲 真琴に惚れている事をばらします      」

 これは……!
 いや、ちょ、うそでしょう?
「あ、あのー。なんで知ってらっしゃるんですか?」
『貴方を見ていれば、誰でも分かります』
 そ、そんな馬鹿な!
 俺はいつもクールに徹してきたはずだ。
 細心の注意も払ってきた。
 言動でミスをした覚えも――
「あのー、企画部の後輩ちゃん?」
「っ!」
 不意に聞こえた一号の声に、胸が高鳴っていた。
 やばい、意識してしまっている。
『何でしょうか、一号先輩』
「これはー、あたしにとって罰ゲームでもなんでもないよ? だってあた――」
『あ、あー。 申し訳ありません。では新しい条件を書いた紙を届けさせていただきます。少々お待ちください』
 企画部の連中も、一号までは予想の範囲に収めることは出来ないか。
 流石スーパーフリーダム、箒倶楽部部長の一号さん。
「……っ」
 ハッと、一号を見つめている自分に気が付く。
 いつも通り接すれば大丈夫。
 そう、いつも通りクールに……。
「えへへー。楽しいねっ」
 いつもの様に、一号が満面の笑みで俺の肩に寄りかかってくる。
「そうだな。まだ、始まってないけどな」
 そう返すとまた「えへへー」と、俺の顔を見上げながら笑う一号。
 ……。
 くそっ! 可愛いな!

 ちなみに一号が部長をやっている箒倶楽部とは、箒の可能性を無限に広げる研究に日夜勤しんでいる倶楽部……だそうだ。少なくとも倶楽部紹介にはそう書いてあった。
 一号のマイ箒の名前はぶろりーちゃん。他の箒とは戦闘力が段違いらしい。
 何の事だか俺には分からないが、まぁとにかく凄いのだろう。

『お待たせしました。では一号先輩、ご自分の出席番号のロッカーをお開けください』
「はーいっ」
 俺の肩から離れ、パタパタと小走りでロッカーに向かう一号。
 ……。
 いやいや、だめだ。
 平常心を忘れるな。
「わー……。これはちょっと恥ずかしいねっ……」
 ロッカーの中には、やはりメモが入っていたようで、それを見た一号が恥ずかしがっている。
 一号が恥ずかしがる事……か。
 俺が知っている限りでは、初対面の学園長にスリーサイズを聞かれていた時位しか知らない。
 企画部は一体どんな罰ゲームを用意したのか、少なからず興味はある……が――
『さぁ、これで準備は整いました。お二方、準備はよろしいでしょうか』
 企画部の卑劣な罠、危険な仕掛け……そして罰ゲーム。
 俺は恥をかいてもいい。
 怪我をしたって構わない。
 どんなことがあっても、全力で一号は守る。
 一号を守ることが、二号として俺の――
「うんいいよっ!」
『ではスタート』
「はえぇよ!」
 クールに始めるぜ。




「まず目に入るのは教室中央の机に置いてあるノートPCと黒板の「<」の字だな。不等号記号か?」 
 それ以外に取り立てて変わっている部分は無い。普通の教室とほぼ同じだ。
 机が四十、教卓、ロッカー。そして何故か二つある掃除用具ロッカー。
「えへへー、どうしよっか!」
 いい笑顔だ。
 あの顔は何も考えてねぇ。
「とりあえずノートPCかな。起動させてみよう」
 うんっ、と返事をした一号は俺の後をついて来る。
 まぁ、変に意識しなければ取り乱す心配は無くなった……かな。
 この調子で無事、クリアー出来れば良いが。
「さて、このノートPCには一体なに――うぉ!」
 背中に何か、柔らかい物が衝突した。
 ……いや、何かって言うか一号か。
「大丈夫か、一号?」
「いたた……。あ、ごめんねっ! 二号ちゃんの背中、前より大きくなったからっ!」
「背中の大きさと衝突した事に、何か関係が?」
 クールに突っ込みを入れつつ手を差し出す。
 一号の柔らかい手が俺の手をやさしく掴む。
「ちょっと、汗ばんでるねっ?」
「ばっ! 汗じゃねぇよ! ……ワセリンだよ」
「ワセリンだねっ」
 すいません、汗です。
 手汗半端ねぇ。
 汗ばんだ手で一号を起こし、汗ばんだ手でノートPCを開く。
「汗ってるね、二号ちゃんっ! 面白いねっ!」
「だから汗じゃねぇよ! グリセリンだよ!」
 ……あれ? さっきとちょっと違う?
「あっ、電源ボタンはこれだねっ?」
 一号の細い指が、ノートPCの電源を押す。
 ガコッと後ろのロッカー側から音が聞こえ、振り返る。
「なん……っ!? 危ねぇ!」
「わっ! に、二号ちゃんっ!?」
 とっさに一号を押し倒し、上に覆いかぶさる。
「暫く、このままでいてくれ」
 一号を庇いながら、一つだけ開いたロッカーから”出てきた物”を見据える。
「ね、ねぇ二号ちゃん……」
「ん?」
 下、一号の方に顔を向けた俺は、ハートブレイクした。
 横を向き、ほんのり顔を染めている一号。
 少しはだけたブラウスの隙間から胸元がチラリズムしている。
 そして俺の左手はそのチラリズムの総本山にジャストフィットしていた。
 馬鹿な事考えてんじゃないぞ、俺。クールにいけよ。
「意外とあるな」
「意外と、は余計だねっ……」
 少し怒ったように、目を瞑り頬を膨らませる一号。
 こ、こんな一号見たことねぇ!
 何なんだこの状況は。
 異常すぎるぞ。
 なんだ冒頭の

 ――俺は今、異常な状況にある。
 目隠しをされ、学園の中を歩かされている。
 しかもチョコバナナを食べながら。
 別に手を縛られている訳でもないので、口にバナナを突っ込んだまま、という滑稽極まりない姿では残念ながら無い。
 それだけならまだ、異常と言うほどでは無いのかも知れない。
 ただ、俺を連れ回している人間達が異常なのだ――

 こんなの何でも無い。
 いや、むしろあるあるだろ。
 しかしこのままではヤバイ。何とか状況を改善しなければ。
 だが左腕が……、動かせない!
 未知の感触を味わっている為か、自分の意思では操ることが出来ない。
 辛うじて指はピクリとも動いてないが、何時暴れ出すか分からない。
 暴れだしたが最後、色々終わるだろう……。 
 胸の鼓動が加速度的に早くなっている。
 この状況を脱したい気持ちとは裏腹に、徐々に一号との隙間が少なくなっていく。
 お互いの吐息が顔に掛かるくらい近づいている。
「あ……、んっ」
 いつものキャラからは想像も出来ない一号の声に、俺の心の引き金は弾丸ごと爆発した。
 筋肉の一本一本が歓喜の声を上げているのを感じる!
 左腕に力が循環していく!
 指先の神経が研ぎ澄まされていくのが分かる!
 掌の皮膚が待ちわびたと言わんばかりに鼓動する!
「俺は今、新世界の幕を開ける!」
 その瞬間――――頭に何か直撃した。
「ぐっ……! い、いてぇ……」
 余りの痛さに、正気が戻る。
 ゴットハンドになろうとしていた俺の左手で頭を抑えながら、頭に当たった何かを探す。
 そしてそれは開いたロッカーから”出てきた物”の近くに転がっていた。
「大丈夫っ、二号ちゃん?」
「あ、あぁ。すまない、カイジンライドゥしていた」
 俺はよく分からない事を口に出していた。
 まだ少し混乱しているようだ。
「捨て身の忍空技、忍影腹の術みたいな感じかなっ? 危ないねっ」
 相変わらず元ネタは分からないが、多分漫画ネタなんだろうなぁ。
 まだ痛む頭を摩りながら立ち上がり、一号と一緒にロッカーに近づいていく。
「これは……、小さい大砲かなっ? かわいいねっ!」
「じゃあ、俺の頭に当たった黒いこれは砲弾か」
 手触りからしてゴム製なのだが、随分重く感じる。
「中までぎっしり、だねっ?」
「そうだな……あれ」
 一号の言葉を適当に聞き流しながら砲弾を見ていると、白い文字で【は】と書いてあった。
「キーワードか何かか? まぁ、とりあえずヒントを一つ得たって事で」
「やったねっ! クリアだねっ!」
「いや、まだじゃね?」
 若干顔を合わせ辛いと思っているのは俺だけなのだろうか。
 一号はいつも通りに戻っているが、俺は罪悪感から目線を少し外してしまう。
 ……後悔。
 ゆ、指を暴走させなかった事では、断じてない!
 クールな筈のこの俺が、あそこまで取り乱してしまうとは……。
 一体さっきの事故について何て弁解すればいいんだ!
 いや、弁解なんて出来ない。失態は失態だ。
 ここは正直に。
「流石一号。いい物持ってるな」
「えへへー。最低だねっ!」
 軽く凹まされた。
 そんな事を言いつつも、一号は笑顔だったのでそこまで怒ってないのかもしれない。
 少しホッとする。
「とりあえず、ノートPCを確認しようか」
 ロッカーを背に、教室中央まで歩き出す。
「もう、発射されないかなっ?」
 振り返ると、一号は大砲の入り口を覗いていた。
 発射される可能性を指摘している人間が、するべき行動じゃない。
「大丈夫じゃないか? 仮に発射されてもゴム弾だろう。そこまで警戒するような物じゃないさ。だが覗くのは止めようか」
「あうぅー」
 ブレザーの襟の部分を掴んでずるずると引き摺り、ノートPCの前まで連れて来た所で、静かに手を差し出す。
「ほら、お嬢さん。立ちなせぇ」
「苦しゅうないねっ!」
 立ち上がった一号と一緒に画面を覗き込む。
 画面にはパスワード入力(1234)と書かれた項目と、その下には……。

『天井の出っ張りが怪しいと思うよ』

 と、書かれている。
 いやむしろ、違う意味で怪しいだろ。
 完全に罠だこれ。
「ねぇねぇ二号ちゃん。出っ張りってあれだよねっ?」
 一号が、俺の左袖を軽く引っ張りながら真上の天井を指差す。
 指し示すその先には、掌くらいのカップ型とでも言えばいいのか、そんな物が付いていた。
「あぁー、あれだろうなぁ……。つーか罠以前に、高すぎるな」
 天井までの高さは五メートル弱。
 机の上に椅子を二つ積み上げたところで二メートルすら届かない。
「多分罠だとは思うけど、調べてみるか……」
 とりあえず長い何かが無いか、周りを見渡してみる。
「そういえば掃除用具入れがあった――」
「待ったっ! 二号ちゃん、ここはあたしに任せてくれないかなっ!」
 一号が凄まじい勢いで迫ってきた。
 心なしか、興奮しているようにも見える。
「や、まぁ。何をする気か知らないが、危ないことはさせないぞ?」
「んふーっ! まっかせてっ!」
 鼻で荒々しく息をしながら、一号はブレザーのポケットから小さな箒を取り出す。
「ぶろりーちゃんですっ!」
 これが噂の……。
 小さっ!
 いや、待てよ。
 箒倶楽部部長の一号なら、箒の使い方について熟知しているはず。
 恐らく箒の投擲術か何かで、カップを下に落とすつもりなのだろう。
 流石、箒の可能性を無限に広げる為の倶楽部。
 急に頼もしく見えてきたぜ!
「ぶろりーちゃんを、置きまーす」
「置くのかよ!」
 クールに突っ込めなかった。
「さらにー、このリモコンを使いまーすっ!」
 箒と一緒に取り出したのだろう、その手には小さな四角い機械が握られていた。
 え、リモコン?
 まさか飛ぶの――
「柄が伸びまーす」
「伸びるだけかよ!」
 ガシャガシャと機械音を鳴らしながら、徐々に箒の柄が伸びていく。
 あ、いやでも、この感じ、何か格好いいじゃない……。
 伸びきったのだろう、機械音が止まった所で、一号は長くなった箒をノートPCがある机に立てかける。
 約三メートルって所か、結構伸びるな。
「最終工程に移りまーすっ!」
 な、馬鹿な。これ以上があるのか。
 右手を高々と上げた一号が、リモコンに向かい指を振り下ろす。
「レッツ! 変形っ!」 
「変形……だと……っ!」
 これは燃える展開じゃないか!
 何年か前まで好きで見ていたヒーロー番組で感じていた、ワクワクする気持ちが蘇る。
 柄の中央辺りから、天井に向かい四本の細い支柱が構築されていく。
 そして支柱の長さが柄と同等程になった時、床に突き刺さる勢いで降下した――!
「す、すげぇ本格的じゃないか。これから一体、どんな変形をするっていうんだ……!」
「完成でーす」
「完成かよ!」
 期待を裏切られた虚しさと、ただの突っ込みキャラと化している自分に対する切なさで、泣きそうになった。
 クールが売り、クールの塊と連呼していた設定は、最早見る影も無い。
 修正、修正。
「で、これなに?」
 俺はクールにクールを重ねた結果、クールに質問をクールした。
「ぶろりーちゃん四足歩行モードだよー。格好いいねっ!」
 目の前には四本の足で歩き、足の中央でぶらぶらと空中で支えられている箒の姿。
 四本の足には何箇所も関節があり、器用に机と机の間を歩いていく。
 ……いや、きもくね? 
「さぁ、二号ちゃん。机の上に椅子を乗せてっ!」
「あ、あぁ……」
 まるで虫の様に歩くぶろりーちゃんを横目に、机の上に椅子を乗せる。
「箒の部分は回転させることが出来るのだっ。これで届くねっ!」
 なるほど、箒であのカップを叩き落す訳か。
 机と椅子を上っていく姿は蜘蛛以外の何者でも無いが、中々やり手の様だな……ぶろりーちゃん。
 椅子の上に立ったぶろりーちゃんは、箒の部分をゆっくりと回転させていき――
「ちょっと遅いねー。少しスピード上げるねっ」
 カップを粉砕した。
 そして破裂音と共に水が雨の様に降り出していた。
「……あの、一号さん。何が起きました?」
「粉々、だね?」
「箒ってレベルじゃねーぞ!」 
 戦闘力が段違いってそういうこと!? 箒の可能性ってか、これただの兵器じゃねーか! 
 しかもやっぱり罠だ。あの出っ張りはスプリンクラーだったのだろう。二人ともびしょ濡れだ。
「やべっ! パソコン!」
 スプリンクラーの真下にはノートPCがある事を思い出し、急いで画面を確認すると文字が表示されている。

『馬鹿が、防水に決まってんだろ』 

 とりあえずノートPCを勢いよく閉じてやった。
 その時、突然脇腹に鈍い衝撃が走った。
「ぐ……は。何すんだ……」
 どうせ一号の仕業だと思い、脇腹を押さえながら顔を上げたその先には、空高く飛ぶぶろりーちゃんと、目を瞑り片手を挙げている一号の姿があった。
 一号が目を大きく見開いたと同時に、ぶろりーちゃんはその姿を変え始める。
 四本の足は柄に収納され、三メートル程だった長さも半分程まで縮小されていく。
 柄の先端部分が二つに分かれ、その間からグリップが飛び出しそのまま重力に従い、まるで吸い込まれるように一号の手に握られる。
 そして剣に付いた血を払うかの様に二度程左右に振った後、ゆっくりと背中へと収めた。
「何……それ、格好いい……」
 脇腹の痛みよりも一号のクールさに心折られた俺は俯き、そして膝を付く。
 そして床に転がっている黒くて丸い物……、さっき俺の頭に直撃した砲弾と同じだと思われる物を発見した。
「おい一号これ……」
 砲弾を拾い上げ、一号の方へと顔を上げる……が、そこにいた一号は徐々に薄くなり、ついには消えてしまった。
 こ、これは――
「……残像、だね……」
 いつの間にか、俺は一号を肩車していた。
 馬鹿な! 一号お前、いつの間に……。
「いや、降りてくれない?」
 うんっ、と返事をし何事も無かったかのように降りる一号。
 内心、一号の動きには戦慄せざるを得ないが、今は放っておこう。
 今の一連の動きに関しては、多分意味は無いのだろうし。
 脇腹の痛みも大分引いてきた。
 天井からの水も、いつの間にか止まっている。
「ほら一号、新しいキーワードだ」
 俺は立ち上がりながら、ゴムで出来た砲弾を一号に渡す。
「んー……。これはアルファベットのブイかなっ? 可愛いねっ!」
「可愛さの基準が分からねぇ……。多分【く】じゃないか? さっきは【は】だったし」
 【く】か。この部屋に入ってから、ずっと同じ文字を見ていたような――
 あぁ、黒板に書いてある不等号記号か。あれも【く】だとするなら、今まで見つかったキーワードは【く】が二つ、【は】が一つか……。
 漠然とした可能性が頭を過ぎり、胸が高鳴る。
 嫌な予感がする。
「えへへー、二人ともびしょびしょだねー。お揃いだねっ」
 髪の毛から雫を滴らせながら、一号が笑顔で肩に寄りかかってくる。
 だめだ、惑わされるな。
 とりあえず上を向いて気持ちを落ち着かせよう。
 新しいキーワードは手に入れた、とすればまた、ノートPCに情報が出ているか?
「い、一号さん。ノートPCを開いてみよっか?」
「うんっ。あたしがひらくー」
 本っ当、こいつ可愛いな。
 ゆっくりと一号が開いたノートPCの画面には、

『とりあえず着替えたら? 自分のロッカーに服が入ってるよ。つーか二人揃ってびしょ濡れとか、馬鹿――』

 バァン! と想いっきりノートPCを閉じてやった。
 お揃いで何が悪い!
「よし、着替えるぞ」
「おーっ!」
 着替えは自分のロッカーだったな。
 えーと、三十二番は……ここだな。
 正方形のロッカーが二段重ねになっている、下の段。
 その右から五番目が俺のロッカーだ。
 ロッカーの前でしゃがみ、扉を開けようとしたその時――!
 目の前が真っ白になった。
「あ、ごめんねっ。扉ぶつけちゃったねっ」
「い、いふぁ、だいじょうふ」
 同じクラスになると、一号は俺の番号のひとつ前。それは昔からそうだった。
 絶対、左下か上のロッカーは一号の場所なのだ。
 一号は不必要なくらい勢いよく扉を開ける為、俺の顔と左足は犠牲になり続けてきた。
 今回もこうなる事は容易に推測出来たはずなのだが、そうもいかないのが現状か。
 右手をひらひらと振り、大丈夫だとアピールしながらもう一方の手でロッカーを開ける。
 そこには少し小さめのスーツケースが入っていた。
 二人とも中からそれを取り出し、向かい合う。
「ところで、何処で着替えればいいんだ?」
「むっ。由々しき事態だねー。あっ、二号ちゃんは変態さん、だねっ?」
「いや、まだその提案はしてねぇよ。……いや、提案自体しないよ?」
 まぁ別に、俺はこの場で着替えても……。
「あのおっきなロッカーとかどうかなっ? あたしは入れると思うけどー」
 掃除用具入れのロッカーか。
 このロッカーだけ、普通の教室と違って二つ並んでるんだよな。
 この展開の為に用意されたものなのか、それとも罠か。
「とりあえず、手前のロッカーから開けてみるか。危ないからちょっと離れてな」
 よく考えるとあからさまにおかしいこのロッカー。
 片方、いや両方に罠が仕込んであっても不思議じゃない。
 俺は恐る恐るロッカーの扉に手を掛け、そして勢いよく開いた。
「これは!」
 俺の驚きの声を聞いた一号は、ささっと隣に来て中を見る。
 見事に何も無かった。
「何も無いのかーい」
 一号が、パシッと俺の胸辺りに突っ込みを入れてきた。
 ……非常にレアな光景を見た。
 ブロマイドならプレミアが付くぞ今のは。
「じゃあ奥のも開けるぞ」
 一旦開けたロッカーを閉め、その奥にあるロッカーの扉を開く。
「こっちも何も無いね。つまんないねっ」
「いや、罠が無くてよかった、じゃね?」
 開かれたロッカーの中はやはり何も無い。
 掃除用具も一切入ってないこのロッカーは、恐らくこの時の為に用意されたものなのか。
 やるな企画部。
「このくらいの大きさなら、俺も中で着替えられそうだな」
 ロッカーの中は意外と広く、大人二人くらいなら余裕で入れそうなくらいだ。
「じゃ、あたしこっちで着替えるねー」
 さっさと奥のロッカーに入って行ってしまう一号。
「わー、電気が点いたよ。明るいねっ!」
 ロッカーの中から声が聞こえてくる。
 なるほど、扉を閉めると真っ暗になると思ったけど、明かりが点く様になってたのか。
 よし俺も着替えるか。
 中に入り扉を閉めると、天井にはめ込まれた電球が光りだす。
 スーツケースを床に置き開いてみると、中から小瓶が転がり出てきた。
 手に取ってみるとラベルには『これで意中の人もイチコロコロコロ、コロッとコロン』とかなんとか書かれている。
 な、なんだこれは……。
 惚れ薬みたいな物なのか? いや、そんな物が現実にあるわけ……。
 それに、俺はこんな物を使うほど落ちぶれてはいない!
 俺は俺のやり方を貫く!
 クールに着替えるぜ!



 先に着替えが終わり外で待っていると、一号のロッカーが開き、中からその姿を現す。
「あれ、二号ちゃん。何かいい香りがするねっ?」
 すいません、完全に落ちぶれてます。落ち武者です。
「それに鼻血出てきてるよっ! 大変!」
「あ、あぁ、大丈夫です。さっき顔に扉が当たった時の影響でしょう。心配ございません、お嬢様」
 着替えを終えて出てきた一号の姿は予想通りと言うべきか、いや予想以上だった。 
 黒を基調にしたシンプルなデザインながらも、胸元が少し開いている。
 そして袖口、スカートの部分には可愛らしいフリルが付いていて、背中の大きな白いリボンが歩くたびに揺れる。 
 スカートの長さはブレザーとほぼ変わらないのだが、ニーソックスとのコンビネーション技、いわゆる絶対領域に俺の鼻血は決壊せざるを得なかった。
「二号ちゃ……じゃなかった。ご主人様は、執事さんだねっ? 格好いいねっ!」
 俺の服は俗に言う燕尾服。
 首元には白いスカーフ、さっき鼻血を拭ってしまった白い手袋、片眼鏡。
 そして一番の特徴とも言える、後ろが尾状に垂れている上着。
 つーかなんでこのチョイス?
 企画部にはメイド、執事好きでもいるのだろうか。
「あれ、一号。そのペンダント」
 一号の胸元には見覚えのある、半分になったハートに羽が生えているアクセサリーが付いている。
 そしてハートの部分にはよく分からない二本の線が書いてある。
 それと同じ物を、俺も胸元から取り出す。
「わー。お揃いだねっ!」
「お揃いはいいんだけど、これ繋がるんじゃないか?」
 ペンダントを外し、一号へと手渡す。
 そして一号の胸元にある半分のハートへ、もう半分のハートを近づけていく様を、俺は後ろから覗き込む。
 その時俺は合わさるハートではなく、一号の胸元に目が釘付けだったのは言うまでも無い。
「んー。これは【こ】かなっ? 難しいねっ」
 一号の声に慌ててアクセサリーへと、視線を向ける。
 確かにハートの中央で【こ】の文字が出来上がっていた。
「これでパソコンに書いてあった1から4までのキーワード枠分の文字は集めたわけか」
 鋭い目つきでクールに語るその人物が直前まで取っていた行動は、ただの変態行為である。ていうか俺だ。
「じゃあパソコンに入力してみるねっ!」
 ぱたぱたと小走りでパソコンに向かう一号の後姿をみて再び鼻血が出てくる。
 かわい……いや、萌えすぎだろ。
 二度鼻血を拭った手袋は最早、殺人を犯した後のように血に染まっていた。
「えーと、最初に見つけたのは【は】だったねっ」
 左手ゴッドハンド化を阻止した最初の砲弾。
「次は【く】だな」
 俺を悶絶させた二発目の砲弾。
「三番目はー【こ】でいいのかなっ?」
 あれ? 何か足りない。
 あぁ、黒板の【く】か。
 あれに気が付いたのは、脇腹に直撃した【く】の砲弾を見つけてからだが、最初から書いてあった文字だし……。
「1を黒板の【く】にして一文字ずつずらしてみよう」
「おっけー!」
 慣れた手つきで修正していく一号。
 そして四文字入れ終わり、エンターを押すとキーワードの下に文字が出た。
『しろよ』
 とりあえず、ノートPCをぶっ壊す勢いで閉じた。
 ……やはりそう来たか。
 キーワードは【く】【は】【く】【こ】
 一号は首を傾げているが、これはアナグラムなんて複雑な物じゃない。
 逆から読めば告白だ。
 それに俺は罰ゲームの内容の事もある。
 何が一号に惚れている事をばらすだよ、全く。
「俺に逃げ場ねーじゃん!」
 事ここに至って、企画部の残酷さに驚愕した。
 こんな、不条理すぎる。
 一号とは今の関係が一番いいんだよ。
 告白してもし断られたら、明日からどうやって接すればいいんだ……。
 でも、今のままが一番いいっていうのは、ちょっと違うか……。
 そう心の中で葛藤していると、パソコンから非情にも処刑カウントダウンが始まった。
『残り三分デス』
 音声がパソコンから流れると、ピッピッピッとアラーム鳴り出した。
「わっ、やばいね。もう時間がないねっ!」
 そう、もう時間が無い。
 一号と一緒に学園生活を送れるのもあと半年程。
 それから大学に進学するか、就職するか個人の道。
 だけど俺は……。
「俺は――お前を守り続けたい」
 アラーム音に急かされる感じとは裏腹に、俺の心は不思議とクールだった。
「俺はお前に初めて会った時の約束を、一生守りたい。二号っていうあだ名も、最初は嫌だった。でもお前が一号だからこそ受け入れられた」
 
 ――初めて一号と出会った時、それは小学一年生。
 入学して間もない頃、彼女が同学年の奴に苛められている所に遭遇した。
「おまえらなにしてんだよ!」
 しゃがみ込み泣いている女の子と悪口を言っていた三人組の間に入り込み、怒鳴った。
「ぶっさいくなてめーらが、そのハートまでじぶんでぶさいくにしてどーすんだよ!? じぶんのハートだけじゃなく、たにんのハートまでけがすヤツを、おれはゆるさない!」
「なによ! 二号のぶんざいで!」
 その時俺は、影で二号というあだ名を付けられている事を初めて知った。
「あんたは一号をまもってるのがおにあいだわ!」
 そーよ、そーよと、いじめっ子三人組はそれだけ言うと去っていったが、俺は怒りが収まらなかった。
 何が二号だよ、気持ち悪いあだ名付けるな! と叫んでやりたかった。
 でも――
「あ、ありがと。えと、二号……ちゃん?」
 目尻にまだ涙が残っている彼女からそう呼ばれたとき、不思議と怒りは無かった。
「え、えっときみは……」
 同じクラスの富士咲真琴。それは知っている。
 俺は当時、彼女が苦手だった。
 でも嫌いとかそんな感情ではなかった。
「そっか、きみが一号なんだね」
「うん……。でも、あんまりすきじゃないの……そのあだな」
 それもそうだろう。女の子のあだ名として、致命的に可愛くない。
 でも俺はそんな彼女を励ました。
 自分も二号というあだ名が嫌いだったのはずなのに。
「おそろいでいいじゃん。それに、いじめられてるときはおれがまもってやる。二号は、一号をまもるものだからな!」
「まもって、くれる?」
「あぁ、ピンチのときはいつだって!」
「二号ちゃん……格好いいねっ」
 少しはにかみながら笑ってくれたその女の子の為に俺は――

「真琴、最初はいじめっ子からお前を守るだけの意味だったかもしれない。真琴の性格がどんどん明るくなって、周り人達みんなの人気者になった事で、きっと俺の役目は無くなった」
 俺は出会って初めて彼女の名前を口にした。
「でも俺は、真琴の傍から離れたくなかった。俺の気持ちを知られない様に、クールだ何だと無様に振舞いながらも、君の傍から離れたくなかった」
 知られてしまったら、今までの様な関係には戻れない気がしたから。
「怖かった。真琴に俺の気持ちを知られることが。でも思った。いつまで今のままの関係を続けるのか。いや、続けられるのか」
 それは永遠じゃない。学生生活が終われば、きっと一号とは一緒に居られなくなる。
「だったら、一緒に居られる今この時に想いを伝えよう」
 断られるのが辛いんじゃない。
 気持ちを伝えないまま、会えなくなる方がきっと辛い。
『残り一分デス』
 この瞬間が永遠だったらなんて、もう思わない。
「真琴、俺は君がスキだ。初めて会ったあの時から。君を一生守りたい。君を――幸せにしてみせる」
 ずっと首を傾げ不思議そうに聞いていた一号だったが、俺の告白を聞いて少しはにかんだように笑った――あの時の様に。
「やっと答えがわかったよっ」
 そう呟くと、ゆっくりと近づいてくる一号。そして――
 タイムアップを告げる音が鳴り響く直前、俺の思考は停止した。
 静かな空間に長く、長く、パソコンの電子音だけが鳴り響く。
「……そして時は動き出すっ……」
 ……一体、何が?
 目の前には、手を後ろで組みほんのり顔を染めている一号が居る。
「えへへっ。キス、しちゃったっ。やっぱりちょっと、恥ずかしい……ねっ」
『おめでとうございまーす!』
 急にスピーカーから声が聞こえ、拍手が聞こえてくる。
「え?」
 教室の壁が全部開かれていく。
 そしてその先には、学園の生徒達の姿が広がる。
「きゃー! 一号先輩可愛いー!」
「二号先輩のクールになりきれない所も可愛いですー!」
 全く状況を理解出来ない。
「二号先輩ー! 一号先輩を幸せにー!」
「おら二号! 一号ちゃんを泣かせたらぼっこぼこだからなー!」
 ここは……体育館、だよな?
「やっと、やっと素直になれたな誠ー!」
「これからも真琴をよろしくねー、藤崎君!」
 学園の生徒に混ざり、俺の両親と一号の両親も何か叫んでいる。
 全く思考が働かない俺を知ってか知らずか、彼女はいつもの様に俺の肩寄りかかって微笑む。
「えへへー。楽しいねっ!」 

作者コメント

 初めまして二十兎と申します。
 以前、掌編の間に処女作をアップさせて頂きまして、今回二作目になります。

 文章技術もど素人レベルならストーリー、人物描写も未熟極まりない物だと、書き終わり痛感しています。
 しかしながら、文章を作っている時はど素人ながら楽しく書けました。

 人様に見せられる作品なのか、自分でも図りかねているのですが、もし目を通して頂けたのであれば、酷評、感想、なんでもお待ちしています。

8/7 13:44 
 文字化け?なのか何文字か????になっていたので、少し修正しました。
8/9 21:01
 驚くべき事に一箇所だけ僕となっていた部分と指摘していただいた誤字の部分を修正しました。

2011年08月07日(日)02時29分 公開

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感想

田中敬介さんの意見 +40点

 何これ……むっちゃ面白い……!

 二十兎流助様。田中敬介と申します。はじめましてですけど、ファンになりました! これから仲良くやっていきましょう!
 ……作品を拝読しましたので、感想を残させていただきます。

 えっと、批評というか、もうベタ褒めしか出来ませんね。
 特に面白かった所を、羅列していきます。

◆「あなたが富士咲 真琴に惚れている事をばらします」
・ば……罰それ!? 軽ッ! いや、本人にしてみれば重たいかも知れないけど!
◆「あ、あのー。なんで知ってらっしゃるんですか?」
 『貴方を見ていれば、誰でも分かります』
・分かるのかよ!
◆一号のマイ箒の名前はぶろりーちゃん。他の箒とは戦闘力が段違いらしい。
・面白いなぁ……面白いなぁ……!
◆俺が知っている限りでは、初対面の学園長にスリーサイズを聞かれていた時位しか知らない。
・が、学園長……!
◆「あ、あぁ。すまない、カイジンライドゥしていた」
・面白ぇなぁ……ちくしょう!
◆『天井の出っ張りが怪しいと思うよ』
・いいねこの感じ……!
◆俺はクールにクールを重ねた結果、クールに質問をクールした。
・ここに至るまでの流れが最高!
◆「ぶっさいくなてめーらが、そのハートまでじぶんでぶさいくにしてどーすんだよ!? じぶんのハートだけじゃなく、たにんのハートまでけがすヤツを、おれはゆるさない!」
・ここは面白いというか「格好良いな!」と思いました。

 後半部分が少ないのは、メモするのも面倒なくらいにのめりこんだからです。
 いやあ……それにしても良かった……。もう言うことなし! です。50点をあげたいけれども……それは次の作者様の作品までとっておくことにします。
 
 それではベタ褒めは以上です。
 執筆、頑張ってください!

grass horseさんの意見 +30点

 こんにちは。
 自分の作品に感想を残していただき、本当にありがとうございました。
 つきましては、作品拝読させて頂きましたので、感想を残させて頂きます。

 いやいや、面白かったです。
 なんといいますか……ラノベですね。
 これで二作目というのですから、うらやましい限りです。
 田中さんではないですが、これからも仲良くお願いいたします。

 では、項目に分けまして。

【内容/構成】
 女の子と、よくわからないところに閉じ込められて、脱出を試みる。
 それだけを聞くと、山田悠介を思い出しますが、しかしいかにも馬鹿らしい「企画部」というものが存在するために、 冒頭から安心して笑うことが出来ました。

 やっぱり、こういう設定もいいですね。
 王道といえば王道ですが。

 ちょっと気になったところを言いますと、最初のほうから二人の位置づけや関係がぼやかされている点でしょうか。
もちろん、後になって明らかになる部分はあるのですが、表向き、とかとりあえずの設定は提示して置かれたほうが良いかと思いました。
 そっちのほうが、自分的にはにやにやしながら読むことができるかと思います。

 また、最後の部分が、多少蛇足だったかな、と。
 両親とか、は出さなくても良かったのではないか、と思います。
 それと、これはひとつの提案なのですが「企画部」というものが多少ぼやけている以上、違和感を抱く人もいるかと思います。

 いっそのことそこらを全て省いて、急に閉じ込められた、というところから始めても良いかと思いました。
 一号が、あれだけマイペースであれば、深刻なムードにはならないと思いますし。

【文章】
 テンポが良く、面白い文章でした。
 結構小さな塊に分けて書かれるタイプなのでと思います。
 それはそれで、雰囲気がぶつ切りになる可能性をはらんでいますが、一方できちんと毎回オチをつけているところが、凄いと思いました。
 掌編がいくつも集まったような感じです。
 こう言った物語に、とても遭った書き方だと思いました。

 気になったといえば、個人的には改行が多すぎて、少し読みにくいと思いました。
 もう少し、減らしても良いかと思います。

 また、完全に説明担っているセリフがいくつかあり

>「まず目に入るのは教室中央の机に置いてあるノートPCと黒板の「<」の字だな。不等号記号か?」 

 これなどが顕著ですが、地の文で書いたほうが良いと思いました。

【キャラクター】
 いい味を出していたと思います。
 メインの一号と二号の組み合わせが、よく、とても楽しく読ませて頂きました。

【総括】
 大変面白かったです。
 久しぶりに、笑いました。
 とくにPCのコメントはツボでした。

 自分には、このような作品を書けるようなセンスがありませんので、素直に羨ましいです。

 執筆お疲れ様でした。
 次回作も楽しみにしています。

キトPさんの意見 +30点

 初めまして、キトPです。
 作品を拝読いたしましたので、感想をば。

 まず一言、面白かったですね。久しぶりに軽い感じで読める、面白い作品を目にすることができました。キャラ立ても上手くいってますし、何より、クールを強調すればするほど、クールが瓦解していく二号が面白かったです。

 文章は読みやすい以上に、テンポがあって良かったのではないかと思います。

>俺はクールにクールを重ねた結果、クールに質問をクールした。

 もはや(いい意味で)意味が分かりませんねwww。勢いよく読めてしまいます。

 あとは、少し気になった点をつらつらと。

 まずは、キーワードの出てくるタイミングと、二号達の行動との間に、もう少し関連性があればと思いました。もしかしたら、遠くから見ている企画部の人達が遠隔操作でキーワードを出してるのでは、とも思わされましたので(もしかしたらそうなのかもしれませんが)、もう少し描写があっても良かったと思います。

 あとは、閉じ込められた教室の情景がいまいち把握できなかったかなあ、と思います。ここはまあ、一行か二行くらいの追加説明で、いくらでもなるかなとは思います。

 人物描写・心情描写がなかなかに良かったと思いますね。この点が下手な私などは、何か参考にできればとも思いました。

 以上、つらつらと書いて参りましたが、また、次作ができることを楽しみにしております。
 それでは失礼します。

mayさんの意見 +20点

 こんばんは、mayと申します。
 読ませていただきましたので、感想を。

 全体的に面白く仕上がっていたと思います。
 ネタを知っている人はもとより、そうでない人も楽しめる。
 テンポが良く、さくさくと読み進めることができるのもいいですね。

▼ただ、教室の描写は少しおざなりだったかなと思います。
 話のテンポがいいので忘れがちになるのですが、情報がぶつ切りでイメージしづらいところがあります。

>目隠しを取った瞬間、照明の眩しさで一瞬目が眩んだが、直ぐに僕の瞳は目の前の彼女を捉えた。

 まずこの話の舞台となる教室の設定ですが、これはどのくらいの明るさがあるのでしょうか。
 全くもって見えないのか、薄暗い程度なのか。
 なぜそのように思ったのかというとそれは、

>一号が、俺の左袖を軽く引っ張りながら真上の天井を指差す。

>「わー、電気が点いたよ。明るいねっ!」
 ロッカーの中から声が聞こえてくる。
 なるほど、扉を閉めると真っ暗になると思ったけど、明かりが点く様になってたのか。

 
 この二つの情報に矛盾があるように思われたからです。

 まず、天井という、ある意味教室の中では見やすいところが見えていなかったということから、
 部屋は暗かったのではないかという推測。
 これはでっぱりという不自然な状況に気付かないところからそのように思いました。
 →目隠しされて連れてこられたら、たとえ教室でも罠を警戒してきょろきょろ見回すのではということから

 一方で、「扉を閉めると真っ暗になると思ったけど」という言葉から、
 対称的に教室の中は明るくなっているのではないかと推測。
 真っ暗になると思った、でも、ロッカーの電気が点くというのなら、
 暗い状況下で「真っ暗になる」という表現は出てこないだろうということからそのように思いました。

▼次に一号の立ち位置。

>「まず目に入るのは教室中央の机に置いてあるノートPCと黒板の「<」の字だな。不等号記号か?」 
 それ以外に取り立てて変わっている部分は無い。普通の教室とほぼ同じだ。
 机が四十、教卓、ロッカー。そして何故か二つある掃除用具ロッカー。


 黒板前の教卓ではなく、教室中央の机。
 そして、周囲には机が四十あるということなので、おそらく普通の教室の風景。
 それらが整然と並べられた状態で教室中央の机というのが、いまいちイメージしづらいように思います。
 当初、四十の机は端っこに追いやられて中央に机があったということなのかと思いましたが、どうもそのようではない。
 そして、

>ガコッと後ろのロッカー側から音が聞こえ、振り返る。

 この一文から、一号たちはロッカーを背にしていて、前方に教卓や黒板が見える位置にいると推測。
 ただ正方形のロッカーを二段重ねたようなところだと、後ろから発射しようにも机や椅子が邪魔にならないかなと。
私の記憶では、二段重ねのロッカーは机の高さと同じくらいだったと思います。
 いっそギミックだらけなら、ロッカーを爆発させてもよかったのでは。
 このあたりは参考程度に失礼します。

▼一番気になったのは、ぶろりーちゃんのくだりです。

>伸びきったのだろう、機械音が止まった所で、一号は長くなった箒をノートPCがある机に立てかける。

>柄の中央辺りから、天井に向かい四本の細い支柱が構築されていく。
 そして支柱の長さが柄と同等程になった時、床に突き刺さる勢いで降下した――!


 スティックのような箒を取り出して、リモコンで操作。
 それが三メートルくらいに伸びていく、とここまでは分かります。

 そこからの描写ですが、最初、これは柵ができたのかと思いました。

┻┻┻┻

 こういう感じの。
 四本の足で歩くようなので、横から足が広がった感じですかね。
 それとも、同方向に突き出してから後で横に広がったとか。
 ちょっとイメージが湧きづらいですが。

 それで「床に突き刺さる勢いで降下した」というのはどういう動きでしょうか。
 機械が突然シャッとその足を地面につけた、ということなのか。
 イメージ的に、ナナフシみたいな生き物を想像しました。

>目の前には四本の足で歩き、足の中央でぶらぶらと空中で支えられている箒の姿。
 四本の足には何箇所も関節があり、器用に机と机の間を歩いていく。


 足の中央でぶらぶらと空中で?

 そのあとの、空高く飛ぶ描写も納得はいかないですが、こういうものと思って流します。
 あと、残像のあたりも。

 全体的に見ると面白いのですが、上記の違和感があったので若干低めの点数です。
 また、細かい突っ込みが多いので参考程度に取捨選択をお願いします。

司馬武彰さんの意見 +40点

 初めまして、司馬武彰と申します。読ませていただきましたので、感想の方を述べさせていただきたいと思います。

 流石に、ラ研と銘打つだけあって、ライトノベルらしい純粋なライトノベルが非常に多いですね。この作品もその一つです。さくさくと、一気に読み進めることが出来ました。

 その中で、いくつか気になった点を。

 ・少しばかり、登場人物のイメージがつきませんでした。情報が少ないのと、描写が甘いのではないか、と思われます。といっても、壊滅的なものなどではなく、むしろちょいちょい付け足せば十二分なものでありますので、次回作よりの参考程度にお考えください。

 ・少々変形後のぶろりーちゃんの形がイメージつきませんでした。任天堂の某引っこ抜かれて戦って食べられるゲームにでてくる、ダマグモのようなものと解釈いたしましたがおそらく間違っているでしょう。

 ・最後にまったく別の洋服に着替えたことに、余し意味を見出せませんでした。少しばかり、エンドに弱さが感じられるものと思われます。いっそ展開的に、企画部のノリ的に、ウェディングドレスとタキシードのレベルでもよかったものと。少々中途半端感がありました。


 以上の三点が、主に気になった点で御座います。どれも然したることでは内容には思えますし、些細なことではありますが、作者様の糧に少しでもなれば、と思います。

 全体的な感想は、すばらしいの一言です。私はこのような小説を書くことが能わないので、素直にあこがれます。尊敬いたしてもおります。
 次回作にも期待しておりますよ。楽しみに待っておきます。
 それではこの辺で失礼をば。

たまりしょうゆA1さんの意見 +30点

 二十兎さまこんにちは!
 私のところに記念すべき初感想を頂き本当にありがとうございました。

 作品を読ませて頂いていたのですが私と同じ幼馴染ネタだったのにここまで面白くできるのか! やられた……と思いました。

 ブルースワットwにG3、ライドゥ……これも食いつきましたw
 私的にあそこはG3-XでもG3マイルドでもOKです。

 いや、これ、いきなりそれてしまうので感想を書かせて頂きます。

【内容/構成】
 一気に読めました。テンポがよく面白いです!
 外で読んでいたので「ブフフッ」とヤバイ人になって困りました。
 散りばめられたメタ言語的なネタは全部分からなくても楽しめます。

 あと、オチが幼馴染とハッピーエンド、という路線は大好物です。
 「幼馴染は噛ませ犬じゃない!」と声を大にして言いたいです

 ただ、「県中央会館」の凄さがピンと来なかったのですが、何やら大仕掛けが?とは捉えられました。

 脱出ゲームDEROとかああいう系の番組をラノベにする、というのはとても斬新だと思います。
 毎回ステージ変えて一号ちゃんと二号君2人で賞金稼ぎしてほしいです。

 あと、詳しくは以下で書きますが各会話の駆け合いが勉強になりました。

>「ばっ! 汗じゃねぇよ! ……ワセリンだよ」
>「ワセリンだねっ」
> すいません、汗です。


 こういうノリツッコミ的なお笑いトークが見事です。
 一回目で脳にスリ混んですりこんで後でもう一回同じネタの繰り返しで、というあたり全盛期のくりいむしちゅーみたいですw

>そう返すとまた「えへへー」と、俺の顔を見上げながら笑う一号。
>……。
>くそっ! 可愛いな!


 「ちょっとアホの子」一号い対する二号の「想い」が伝わるそれぞれのシーンが好きです。
 やはり幼馴染系はコレは外せません。

 こういう「一号とは今の関係が一番いいんだよ。」的なのは読者に安心感を与えると思います。
 長編ではないし、そういう作品とも違うのですが意見の違いからくるケンカや、記憶を失って敵として現れる……など
 お約束を少し見せて頂ければもっと良かったと思います。
 (でも最後はくっついて欲しい)
 
 【く】【は】【く】【こ】で一線を越えてしまうのか!?
 残念ルートか? と一気ヒートアップして 過去の回想シーンも加わって
 ドキドキしましたが、期待を裏切らないオチで安心しました。
 
>ちなみに一号が部長をやっている箒倶楽部とは、箒の可能性を無限に広げる研究
>に日夜勤しんでいる倶楽部……だそうだ。少なくとも倶楽部紹介にはそう書いてあった。


 「箒部」てw
 いいです。アリです。この発想は素敵です。
 世界をどう見るか、ネタを何処から絞り出すか切り口の大事さを痛感します。

【文章】
 自分の中では、ラノベは「(想定メインターゲットの)中高生が読んでくれた時に、気楽に楽しんで頂いて、かつカタルシスを感じてくれるもの」
 だと思っています。
 もっとこねくり回した比喩表現や文学的表現が好きな人には少し物足りないかもしれません。
 とはいっても自分は「するする読める」のが好きなので、二十兎さんと同じような書き方をしています。
 こういうコメディ系ではテンポを生かす書き方でいいんだと思います。

【キャラクター】
 明確に書き分けられていたと思います。
 一号と二号が幼馴染でこぼこ相棒コンビ。
 でも、折角なので、一号ちゃんのビジュアル記述がもっと欲しかった!

【総括】
 ラノベとしての書き方と可能性を勉強させて頂きました。
 次回作も期待しております!

(乱文失礼いたしました)

しろねこさんの意見 +30点

 はじめまして。しろねこといいます。突き抜けた面白さでした。正直、ここまでのものを二作目にして書かれたことに羨ましさを感じてしまいました。

 いちばん感心したのは書き出しとキャラです。私はこのサイトを覗かせていただいてからまだ日が浅いですが、この部分については高得点を取った作品と比較しても遜色ないレベルだと思います。「生徒と教師、逆転祭り! ~嵐の授業参観~」の回想でいきなり笑ってしまいました。それと主人公のスタンスというか立ち位置が絶妙で、それがこの物語をとても魅力的にしていると思います。

 一号、二号という呼び名もとても面白く微笑ましかったです。あとかけ合いのバランスが良いですね。最近の西尾維新ブームでかけ合いを書く人が大量に発生していますが、ほとんどが冗長になったり、入れるタイミングが悪かったりしていてマイナスに働いているものが多い中、こちらの作品は、とても上手くまとめられていると思います。楽しく一気に読めてしまいました。

 残念に思えたところは、mayさんが書かれていたところとほとんど同じです。前半は期待感いっぱいだったのですが、部屋に入ってから、まるで状況がつかめなくなってしまいました。教室の明るさや机の状況、ロッカーの形状や高さ、大きさ、大砲の位置関係が分からないので、物語に入り込めなくなって、流し読みになってしまいました。また箒の変形も最初のうちは色々と想像していたのですが、どういうカラクリで変形したのかが全くつかめず、何となくロボットみたいになったのか、くらいにしか思えませんでした。ただ、この辺りの描写は細かく書き加えて説明していけばいいだけのことなので、さして大きな問題ではないと思います。

 狙いどころがしっかり定まっているのが素晴らしいところですね。ふたりをクローズアップして、距離感などをしっかり描きつつ展開していくストーリーラインは秀逸だと感じました。真琴のキャラが若干人間離れし過ぎていて、あまりリアルな部分が出てこなかったので、もう少し人間くさいところを出してもいいのかもしれません。具体的にどうするかというと思いつきませんが……

 とても面白い作品でした。また次回作も期待しています。

ヘパチカさんの意見 +20点

 二十兎 流助様、こんにちは。
 十五枚以上の作品を見ると目をそむけたくなるヘパチカです。
 作品、御拝読させていただきました。

 以下感想です。
>生徒が学園祭で催す企画なんて、たかが知れていると思っているそこのアナタ。<
●この手法は賛否両論のあるものですね。私はこのサイト様のコンテンツをほとんど読ませていただきましたが、どこかにこの事に書かれたものがありました。探すこと小一時間。第四研究室のキャラクターのところに、この手法について書かれたものがありました。もし、読んだことがなかったら読んでみるといいかもしれません。いろいろな意見が書いてあります。
 一人称視点の読者に与える効果といったら、私は感情移入しやすいだと思っています。なので、私は冒頭「話に没頭するぞ」と思ったら、ここで作品から排除された気分でした。あんたは部外者なんだよと、主人公に言われた感じです。評価を見た限り、そこまで酷い効果ではないと思いますが、ご一考してもらえたらと思いました。

>小さめの身長、ボサボサのショートヘアに短めのポニーテール……いや、茶筅髷と言うべきか。<
●ちゃせんまげ……。私がファッションに疎いのでしょうが、茶筅髷って普段使われる言葉なのでしょうか。高校三年の口からぽんっと出てくるかわからんとです。

>「二号ちゃんも、いつも異常にクールだね! あっ、今のは以上と異常をかけたんだよ、面白いねっ!」<
●二つの意味をかけるのなら、平仮名と括弧で『いじょう』とかにして、強調したほうが読者としては分かりやすいと思います。

>「    あなたが富士咲 真琴に惚れている事をばらします      」<
●話の流れ的にわかりますが、ここ以前に、一号の説明で名前があったほうが読者に優しい流れのように思えます。

>「ばっ! 汗じゃねぇよ! ……ワセリンだよ」<
●ギャグできてますし、いいのかもしれませんが、ワセリンと例える理由もわかりませんし、面白く感じません。

>「汗ってるね、二号ちゃんっ! 面白いねっ!」<
●今度は説明がないんですね。

>若干顔を合わせずらいと思っているのは俺だけなのだろうか。<
●最近、会話のせいかこういうミスをする人が多い気がします。合わせづらいのづらいは「辛い」から来てるのでずらいではありません。

>天井までの高さは五メートル弱。<
●うちの学校が変だったのかもしれませんが、五メートルって高すぎやしないですか……?

>約三メートルって所か、結構伸びるな。<
●元の長さがわかりませんし、大きさも小さいと抽象的なので、リアリティとしては欠ける感じです。ギャグだからいいかもしれませんが。

>「二号ちゃ……じゃなかった。ご主人様は、執事さんだねっ? 格好いいねっ!」<
●??? ご主人様が執事? ってどういうことでしょう。 メイド喫茶のノリなのかもしれませんが、分かりにくいです。

>「んー。これは【こ】かなっ? 難しいねっ」<
●こ く く は。告白でしょうか。私の頭が安直であることを祈ります。

>この瞬間が永遠だったらなんて、もう思わない。<
●私は、この瞬間――告白する前のことをいうより、二人でいた時間や、関係から、時間や関係という単語のほうがしっくりくるような気がします。

【文章】
 終始改行の多い印象でした。勢いのある小説なので問題ないのかもしれません。なので読ませるという点では大変よかったと思います。
 説明や描写も丁寧にされていますし、とてもよかったと思います。

【設定】
 学園祭の催しでの企画ってことですね。印象としましてはかなり謎の残った印象です。
 まぁ、ギャグなのでいいかもしれませんが時代背景が見えません。箒が変形などをする、近未来的な感じなのに、教室は昔と全く変わらず同じ。どんな時代なのでしょう。
 一号と二号の学校での位置づけがわからないです。アンケートをとったら上位をとれる二人の位置づけってどんな感じなのでしょうか。しかも、祝福されるような関係です。また、私からすると去年の催しに比べると今年の催しはインパクトが足りなく感じます。しかし、周りはそう思わないだけの何かを二人が持っていたのだと思います。少し背景が物足りなく感じます。
 小学生の時の、一号、二号とあだ名をつけられた所以がわかりませんでした。最初、一号に付きまとっていていつも一緒にいるから、一号二号なのかと思ったら、苦手って言ってますし。子供の考えたものだから特に理由は無いと言われたら、それまでですが。

【キャラクター】
 一号:感情に正直で大変可愛らしいヒロインでした。外見描写も丁寧にされていますし、よかったと思います。特徴的な話し方でキャラ付けもされていましたし、ちょっとエロい感じは好感触です(ここは親指を立てて、腕を突き出すぐらいに)。キャラ造形は素晴らしかったと思います。
 二号:今作の主人公。クールにとかいいつつ、全然クールじゃないところギャップがとてもよかったですね。それに、二号としていた背景が、一号を守りたいという背景は、大変胸にくるものがあったように思います。

【構成】
 終始勢いのある話でした。それぞれのエピソードで、二人のイチャイチャを見られたのは大変面白かったように思います。
 終盤、二人の関係の背景を語ったのはよかったと思います。二人の関係をより明確にして、読者の共感を得られたと思います。
 そして最後、安易に言葉にせずにキスによって相手に答えるというのはいいものですね。言葉にしなくても伝わる感情はある。それは言葉にする以上に相手に伝わるものだと私は思います。
 また、ところどころパロディが入っていて、分かる人には面白い部分もあったでしょう。ですが、今回のようなパロディの使い方は、私は好きではありません。なぜなら、知らない人には全くわからないものだからです。しかも話としても分からず、楽しく読んできた人はそこで読むのを止められてしまう気がします。私は、パロディを使うなら台詞等が適当なように思います。分かる人は、あのシーンだと思って連想し笑えますし、分からない人もちょっと変わった言いまわしだな程度で流せると思います。ラノベを読む人なら知ってるだろ、と言われたら身も蓋もない話ですが。
 次に疑問に思うところもありました。パスワードを入力するシーン、特にこうしろと言われていませんし、ボールに数字を書いてあるわけでもありません。なのに、なぜ彼らは見つけた順番で言葉を入れたのでしょうか。私なら、その4つの字で完成する単語を入力すると思います。逆読みによって、告白というのを一号に知らせずに二号にやらせるための処置なのだと思いますが、少し唐突に思います。

【最後に】
 いろいろ書きましたが、面白かったです。キャラクター小説としてはよかったと思います。私としてはもう少し設定背景を練ってほしかったようにも思いますが、今作はそこまで気にするものでもなかったのかもしれません。

 次回作お待ちしています。執筆お疲れさまでした。

箱庭さんの意見 +30点

 二十兎 流助様、初めまして。
 高得点につられて読んだのですが、期待にたがわぬ傑作でした。

 ほかの方の感想レスも読ませていただいたのですが、皆さん、とても内容が濃いですね。
 正直なところ、僕の言いたいことはすでに皆さんが語られていて、ここで繰り返すのも何だか恥ずかしいです。
 それでも言わせていただきたいです。
 とても面白かったと。

 一号の可愛さはヤバいですよね。
 格好いいキャラより可愛いキャラを作る方が難しいと思うのですが、こういう愛されキャラを創造できるのは素晴らしいです。
>「待ったっ! 二号ちゃん、ここはあたしに任せてくれないかなっ!」
>「ワセリンだねっ」
>「えへへー。最低だねっ!」

 いえっ最高です、可愛いなあ、でへへ。

 一号、二号の、互いに相手を思いやる気持ちが伝わってきて、上手いと感じました。
 語り手である二号はもちろんですが、一号の二号に対する想いが透けて見えるのが素晴らしいです。
>「意外と、は余計だねっ……」  少し怒ったように、目を瞑り頬を膨らませる一号。
> いつの間にか、俺は一号を肩車していた。  馬鹿な! 一号お前、いつの間に……。

 しかし二号君、本人だけは相手の気持ちに気付かないものなんですね。
 だから面白いんですが。

 とにかくたたみ掛けてくるギャグが秀逸で、そこここで受けまくりましたが、
>「あれ、二号ちゃん。何かいい香りがするねっ?」
> すいません、完全に落ちぶれてます。落ち武者です。

 ここ、かなり盛大に噴きました。

 ぶろりーちゃんがハイテクすぎて、ちょっと違和感がありました。
 これって何か元ネタがるのでしょうか。
 僕の無知でギャグが理解できなかったのなら、すいません。

 全然クールでない主人公が、クールなキャラを目指していた理由が最後に分かりました。
 一号とは今の関係を保っていたい、つまり、つい自分の想いを打ち明けたりしてしまわないようにしていたんですね。
 しかし実はみんなにはバレバレだったと。
 全校総出で後押しをして、主人公は見事に応えてみせた訳ですね。
 いいお話だなあ。
 笑いながら、何だかジーンときちゃいました。

 とても素敵な物語をありがとうございました。
 これからも頑張って下さい。

 僕のヘタレ感想で300点越えとなってしまっては申し訳ないと思い、しばらく投稿をためらっていたのですが、堪えきれず送ってしまいました。
 せっかくの記念のレスがこんなのですいませんでした。

ざくさんの意見 +30点

 ざくと申します。

 あ、王冠ついてる! そんなに面白いのか……ということで、
 拝読しましたので感想を残します。

 とりあえず、
 自分は今まで、こんなに箒に萌えたことはありません。
 やべぇぶろりーちゃん超可愛いです。
 蜘蛛のように歩く仕草とか変形する感じとか想像するだけで胸が高鳴ります。
 ぶろりーちゃんがしまわれてからも、「次はどこで出てくるのかな」と心待ちにしてました。
 でもぶろりーちゃんはそれっきり出てきませんでした。
 個人的にはそこが残念でなりません。ぜひぶろりーちゃんが活躍する場面を増やして欲しいです。

 あとなにか言うところがあるとすれば、スプリンクラーが壊れたあとが結構普通でした。どうせならドリフのようにスプリンクラーをこわした瞬間天井からバケツの水をひっくり返したかのように水をおもいっきり流したり、その水と一緒に魚やらワカメやらラーメンやらが降ってきても面白かったのではないかと(まあ体育館だし無理かもしれませんが)

 一号ちゃんはもちろん可愛くかけていて(髪型が個人的にツボです)企画部の性格もいい感じでした。最後全員に見られてたのは「うわ~~(笑)」って思いました。

 今後もぜひ頑張ってください。
 では。

makkuxさんの意見 +50点

 一号嫁に来い!(この発言主は二号によって星屑になりました)

 っと、サーセン、トリップしてました。作者様結婚してください、いやマジで。
 あ、自己紹介遅れました。makkuxです。駄文書きのmakkuxです、許してくださいいやマジで。

 というわけで拝読させていただきました。
 突然ですが、ロボットってカッコいいですよね。変形したりとか、そういうの。
 ぶろりーって某青い野菜生活さんかよ! って突っ込みを入れつつも、楽しく読ませていただきました。
 そして密室! 燃えますねえ、燃えますねえ、もう最高ですた本当にもう。
 箒萌えはここにもいますよー、と主張してみる。

 それと二号の空回りクールっぷりはもうクールというよりもリキュール飲んでホットにハットで一号にハッとしてる感じで可愛かったですマジでもうええマジで。二号嫁に来い!(この発言は一号によって排斥されました)

 ……すいません、面白すぎてもう興奮して指が止まらな……もうあれです、これ以上書いたところで指摘箇所なんてねえですよってわけですいません逃げます!

ぺーすけさんの意見 0点

 高得点の看板に引き寄せられ、どんな面白いものかと思ったけど。
 正直、何度読もうとしても入っていけない物語。
 もう、不思議なまでに入っていけない世界の話。

 その理由はなんなんでしょう?
 語り手の二号はともかく、一号さんがただカワイイだけの存在に描かれ、
 しかもそのカワイサが、二号がカワイイ、カワイイと言ってるだけみたいで、
(たとえ設定上では全校のアイドルになってるとはいえ)
 場合によっては贔屓の引き倒しの効果さえ出し、
 読み手にはあまり魅力あるキャラとして思い描けないからかも。

 二号さん、一号さんを守り続けると言ってますが、
 それでは一号さんがカワイイ存在、愛されるだけのキャラとして終わり、
 人格的にちっとも成長しないんじゃないでしょうか。
 むしろ一号さんをそういう愛玩動物的状況から引っ張り出し、
 一人前の女性として自立させる契機をもたらすことこそ、ほんとうに彼女を守る行為ではないかと。
(野暮なこだわりかな)

 いや、気にすることありません。
 作品が凡庸なんじゃないでしょう、ぼくという読み手が凡庸でありすぎただけでしょう。
 そうに決まっている。