花井利徳さんのインタビュー
ジャンプ小説新人賞’14Spring・金賞受賞
十三歳にして心理学の天才・鬼塚伊予。人助けを生きがいとする彼女の進むところ、あらゆる悩み事は即座に解決される。その忠実な「犬」としてこき使われるのは大学生の大和一也。日々、伊予のわがままに振り回される大和だったが、彼には伊予にも隠した重大な秘密が…!?ジャンプ小説新人賞フリー部門、金賞受賞のオカルトファンタジー!!
■ 花井利徳さんからのコメント
数年前(恐らく5年前)に鍛錬投稿室でお世話になっていた者です。
当時のPNを忘れてしまったので、現在のPNでのご挨拶を失礼いたします。
鍛錬投稿室で、直接うっぴー様になにかお言葉をいただいたりした訳ではないのですが、自分の作品に対する、正直なみなさんのご意見をいただける、このような場所を提供していただき、様々な方にいろいろなご意見を頂き、ショックを受けることも沢山ありましたが、大変勉強になりました。
その後忙しくなり小説を離れていましたが、大学院卒業の節目の昨年、思い立ち、以前コチラの鍛錬投稿室で様々なご意見を頂いた作品をブラッシュアップし、『ジャンプ小説新人賞’14Spring』に応募したところ、なんと『金賞』を受賞することが出来ました。
そして、昨年2014年12月19日に受賞作を改題した『鬼塚伊予の臨床心霊学』という小説を出版させて頂くに至りました。
現在はまだ兼業作家で、副業の塾講師の仕事が落ち着かず、身内以外のお世話になった方々にご連絡を差し上げるのが遅くなってしまいました。
前述の通り、うっぴー様と直接やりとりなどをしたわけではありませんが、作品を改善するきっかけと、チャンスにめぐり合わせていただきましたことに、感謝をお伝えしたくメールを送らせていただきます。
数年前の当時うっぴー様の著書『ライトノベル新人賞攻略』を買って一生懸命読みながら頭をひねっておりました。今でも本棚に大事に入っております。
■ 作家になられた花井利徳さんに気になる質問をいくつかしてみました
Q1: 初めてライトノベルに出会ったのはいつですか?
恐らく、中学生の頃だと思います。
あかほりさとる先生の「セイバーマリオネット」シリーズが大好きでした。
Q2: 初めて小説を書かれたのはいつですか? それはどのような作品でしたか?
これも多分中学生の頃だったかと思います。
当時は漫画とか色々考えては試していたのですが、小説は連続意識不明事件の謎をおう、少女と使い魔の猫の話を書いていた記憶があります。
あれどこに行ったんだろうなぁ?
Q3: 作品はどのようなソフトやアプリを使って書かれていますか?
基本的にMicrosoftのWordを使ってます。
Q4: 作品の書き方で(例:クライマックスを先に書くなど)、自分なりの書き方がありますか?
私の場合、まずはキャラクターを作り込むところから始めます。
キャラクターたちが好き勝手に動き出すようになってから話を書きますね。
キャラクターたちに振り回されながら、一緒に物語を追いかけていく感覚で書いてます。
Q5: 初めて作品を新人賞に応募されたのはいつですか?
きちんと小説を新人賞に投稿したのは、2011年ぐらいだったかな?
一次審査を通過して、それ以上は行かなかったと思います。
Q6: スランプになった、もしくは作家になることを諦めようと思ったことはありますか?
もちろん何度も。
スランプなんてしょっちゅうで、その度に諦めようと真剣に悩んで、それでも、諦められなかったからこその今なのだと思います。
周りには、そんな素振りを全く見せないように、必死に強がっていましたが。
Q7: アマチュア時代に参考になった本はありますか?(ハウツー本など)
文章の練習とか、勉強とか全くしていなかったので、勢いで書いてました。
でも、「それではいかん」とうっぴー様の著書『ライトノベル新人賞攻略』を買って、読んでいた記憶があります。
あとは、塾の講師をやっているのですが、その中で気づいたのは、学校の教科書や塾のテキストが実に参考になるということ。
生徒に教えようと読み込んでいると、ものすごく勉強になりましたので、みなさんも引っ張り出してきてみては?
Q8: 尊敬している作家さんはいますか?
山のようにいらっしゃいます。
推理小説が好きなので、東野東吾先生とか、堂場瞬一先生、他にも、冲方丁先生、初野晴先生……
ライトノベルだと、あかほりさとる先生、一条理希先生、橋本紡先生、入間人間先生、佐藤ケイ先生、三上延先生……
JUMPjBOOKSの先輩方、永遠月心悟先生、畑中りんご先生、菅野隆宏先生……
みなさん本当にあげていたらきりがないです。
Q9: アマチュア時代にどのような方法で筆力を高めていきましたか?
mixi等のSNS日記サイトで定期的に小説を描いてUPしてましたね。
コミュニティとかにも積極的に投稿して、色々な方から感想などを受け付けて、それを反映して……
丁度『なろう!』の小説のように連載形式で書いてました。
反応がもらえると嬉しい半面、もっと頑張らなければと文章を鍛えるようになりましたし、やはり、誰かに読んでもらって、それを糧にがむしゃらに頑張ると言うのが、筆力を高めるのにいいのではないでしょうか?
もちろん、こてんぱんに叩かれることもままありましたが……
Q10: 執筆は、いつもどのような時間帯にされていますか?
朝起きてから昼までと、塾の仕事を終えて帰ってきてから眠くなるまで、ですかね。
Q11: 一日の執筆速度はどの位でしょうか? また、ノルマを作っていますか?
速度というのは測ったことがないので分かりませんが、基本的には42字×36行で5P~10Pを一日で描いて、翌日それを見直して……の繰り返しですかね。
Q12: 一日にどれくらい執筆に時間をかけておられますか?
仕事がある日は5~6時間、そうでない日は10時間前後だと思います。
Q13: どのような方法でプロットを作られていますか?
前述の作品の書き方と重複しますが、まずキャラクターを考えて、その後、テーマ、描きたいシーンと決めていき、後はキャラクターたちがどうするのかを確認しながら、まとめていきます。
そのプロット通りに綺麗に進んだ試しがないですが、大抵はキャラ達がコチラの想定を上回る動きをしてくれますね。
Q14: 作品を書く上で何か大事にしている、または心に留めていることはありますか?
キャラクターの気持ちを理解して、それをきちんと読者様に届けられるようにすることを心がけています。
できれば、キャラクターを好きになって欲しいですし、知ってほしいので。
そして、その物語を通して、そのキャラクター達が、読んで下さった読者様の心になにか爪痕が残せれば……と思って書いてます。
Q15: 「売れるものを書くべきか」、「書きたいものを書くべきか」、
答え辛い質問ではありますが 、もし良ければ意見を聞かせていただけませんか?
プロである以上、『売れるもの』を書くのは当然だと思います。
そして、『書きたいもの』を書いてこその作家だとも思います。
難しいことではありますが、『書きたいもの』=『売れるもの』に出来るようにしゃにむに頑張ることが大事なのではないかと。
二者択一の質問に、『どちらも書くべき』と答えるのはずるいのかも知れませんが、クリエイターはそんな無茶をやってのけてこそなのだと思います。
私もいつかそうなれるように、今は必死に頑張っております。
Q16: プロになれた理由を、ご自分ではどうお考えですか?
単純に『出会い』だと思います。
ある程度のレベルの文章が書ける人の作品は、どこかにきっと、その作品を『面白い!』って思ってくださる方がいて、そう思ってくれる『編集者の方』と出会えるかどうかがデビューのきっかけだと思うんです。
私の場合は、その方にありがたいことに出会えた訳で、こうしてデビューに至りました。
ですが、プロになることはもちろん大変なことなのですが、きっとこれから『プロであり続ける』事の方がもっと大変なのだと思っています。
そう言った意味で、私がプロになれた理由は、出会いの運に恵まれたこと。そして、出会えるまで続けられたこと。ではないでしょうか。
Q17: プロになって一番嬉しかったことは何ですか?
自分の書いた本が、書店に並んで、多くの方に読んでいただけたことですね。
感想をいただいたり、応援していただいたり、本当に嬉しいことの連続です。
売上だったり、評価だったり、心配になることもそれこそ山のようにありますが、この嬉しさはほかに変えられないものがあると思います。
Q18: 最後に、これから花井利徳さんに続け!と頑張っている方達にアドバイスをいただけませんか?
アドバイスが出来るほどの立場にはまだ全然いないのですが、皆様より少しだけ先を歩くものとして、言えることがあるとすれば……
まず読むこと。
漫画でも小説でもエッセイでも、自分ではない人が生み出した作品にたくさん触れることが大事だなと思います。
刺激を受けるとか、参考にするとか、目標にするとか、色々な作品に出会うことがまずは必要かと。
次にいろいろ試すこと。
部屋に閉じこもるのではなく、色々な人に出会って、いろいろなところに行って、いろいろな物を見ること、聞くことが大事です。
私たち人間は、知らないことは書けませんし、私のような不器用な人間には、知らないことを想像だけで書き上げることは難しいですから。
もちろん、そういうものなしに、想像だけですごいものを書き上げている作家さんは山ほどいるので、私のような不器用な方には必要なことなのだと思います。
あと、これは意見が分かれると思うのですが、人の意見をきちんと聞くこと。
創作においても、他人の目は絶対に必要だと思います。
その作品を本にした時に読むのは、自分ではなく赤の他人ですから。
身内の方の率直な意見を、もちろん鵜呑みにするのは違いますが、ぶつかる意見こそ、私は大事に扱います。
万人に受け入れられる作品を書きたいとかではなく、自分の周囲の人間ってたいてい好みが一緒だったりするじゃないですか? そんな人が、『これは違う』って思うときは、恐らく、自分の好きなジャンルの読者様も同じように考えるんだと思うんですよね。だから、そういう意見を上手く取り入れて、自分の納得いく修正を加えていく……人の意見を自分なりに解釈することも、すごく大事だと思います。
長くなりましたが、これから、小説家を目指す方々、私なんてきっと直ぐに追い抜かれてしまうと思います。
ですので、私は私で、日々進化を続けようと思っていますので、みなさんもどんどん成長して、素晴らしい作品を、この世界に送り出して行ってください!