ライトノベル作法研究所
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  4. 黒淵 晶公開日:2012/09/01

黒淵 晶さんのインタビュー

 第1回文芸社フェニックス大賞・大賞受賞

アポカリプス 黙示

〈STORY〉
 テレビが伝える不審死事件、恋人・政博とのすれ違い、平穏な生活が少しずついびつになる。そんな中、徐々に神経が過敏になっていく葉子。小さな不安が黒いしみとなり、心の中でじわりじわりと広がっていく。まるで蝿がたかった食べ物が徐々に腐っていくかのように。葉子は誰を信じ、何を選択していけばいいのか?
出版社:文芸社
発行年月: 2012年08月
文芸社の公式ページ
(注)文芸社は自費出版の会社ですが、フェニックス大賞は賞金が出た上で書籍化がされる、通常の新人賞です。

■ 黒淵 晶さんからのコメント

 お世話になっております。『黒淵モコ』という名前で活動させていただいてました。この研究所におきましては、たくさんの拙い作品を投稿させてもらいました。その際、多くの感想やご批判をいただき、その貴重な経験が今の私の作品に生きています。
 去る2011年12月、文芸社の「フェニックス大賞」で大賞をとることができました。ライトノベルではありませんが、新人賞受賞に至る道や苦労は、一般でもライトノベルでも同じだと思います。今は次の作品目指してがんばっております。
 他の新人賞目指す方の少しでも参考になればと思いまして、不肖ながらアンケートに答えさせて頂きました。

■ 作家になられた黒淵 晶さんに気になる質問をいくつかしてみました

Q1: 初めてライトノベルに出会ったのはいつですか?
 高校生の頃、『ブギーポップは笑わない』シリーズを読ませてもらったのが最初です。

Q2: 初めて小説を書かれたのはいつですか? それはどのような作品でしたか?
  2008年の6月に初めてノートに書きました。最初はほんの時間つぶしのつもりで書き始めました。内容は、大学生の主人公と難病のヒロインがお互いの繊細さに共感しながら触れ合う作品で、今にしてみればとても拙くて笑っちゃうような作品ですが、未だにとても瑞々しく思い出される大切な作品です。

Q3: 作品はどのようなソフトを使って書かれていますか? あるいは手書きですか?
 手書きは字が下手なので……色んなソフトを使いましたが、結局ワードに落ち着いています。

Q4: 作品の書き方で(例:クライマックスを先に書くなど)、自分なりの書き方がありますか?
 まず作品の冒頭とラストを頭の中で作ります。それから一気に書く。予め書いておくのは、キャラクターの設定や舞台の設定などで、プロットは細かいものを含めて書きながら修正していきます。そしてとにかく一度最初から最後まで書いてみて、それから細かい部分を直すといったやり方でいつも書いてます。

Q5: 初めて作品を新人賞に応募されたのはいつですか? 
 社会人の時。具体的には2010年です。小さいものを覗けばほとんど落選してます。

Q6: スランプになった、もしくは作家になることを諦めようと思ったことはありますか?
 書けない時はあります。しかし、他のことをしていると無性に書きたくなってきて、結局気がつくと書いている、その繰り返しですね。諦めようと思ったことはありません。やっぱり書くのが好きなので。好きなことはずっと続けたいですしね。

Q7: アマチュア時代に参考になった本はありますか?(ハウツー本など)
 ハウツー本はほとんど読んだことがありませんが、高橋源一朗先生の『一億三千万人のための小説教室』 という本はハッとさせれました。新人賞を目指している人は、毎月出ている『公募ガイド』を読むと色々参考になると思いますよ。

Q8: 尊敬している作家さんはいますか?
 プロの先生方はどの方も素晴らしい方ばかりです。その中で、特に自分が影響を受けたのは、江戸川乱歩、夢野久作、フランツ・カフカ、太宰治、石川淳、小川洋子といった方々です。あと詩人ですが萩原朔太郎にも影響を受けています。

Q9: アマチュア時代にどのような方法で筆力を高めていきましたか?
 とにかくどんな出来でも一本完成させる。途中で終わらせてはダメ。とにかく何がなんでも完成させる。その繰り返しです。
 第三者に見せることも勉強になりますが、ここだけは譲らないという部分がないと自分の作品がわからなくなってしまうと思います。なので、とにかく書き続けることが一番です。

Q10: 執筆は、いつもどのような時間帯にされていますか?
 時間がある時。深夜は集中力が低下するのでしません。

Q11: 一日の執筆速度はどの位でしょうか? また、ノルマを作っていますか?
 僕は遅筆なので1200字書けたら上出来と思ってやってます。気分が乗ってたくさん書くときもありますけど、結局後で見ると半分くらい削ったりするので、まぁマイペースでやるのがいいでしょう。また、ずっと書き続けると自分の作品と距離がとれなくなるので、ある程度何かしながらのほうが効率よく書けると思います。

Q12: 一日にどれくらい執筆に時間をかけておられますか?
 3時間くらいです。まぁその日にもよりますけど。

Q13: どのような方法でプロットを作られていますか?
 僕は基本的にプロットを紙には残しません。
 何故かというと紙に書くとそこで終わってしまうんです。自分の中から放出してしまうと、消化してしまうんですよね。逆に紙に残さず、自分の無意識の海に浮かべておく。そうすると、その時はイマイチだったプロットのアイデアが、別のアイデアと融合して新しいプロットに生まれ変わったり、以前は書けそうになかったプロットが、書けるようになったりする。だから僕はプロットが浮かんだらそれを無意識の中で泳がして起きます。
 そうすると、忘れているようでも違う場面で上手く出てきてくれたりします。難しいことを言ってるようですが、ようは一度完成したプロットも固定化しないで、常に柔軟な考えを持っておくと役に立つ、ということです。

Q14: 作品を書く上で何か大事にしている、または心に留めていることはありますか?
 作品の内容が多少変わることはあっても、絶対に作品のテーマだけは譲らないこと。テーマは、いわば作品の柱だから。気をつけているのは、読者の感情です。「これを読んだら読者はどういう感情になるだろう」これに注意しておくと、作者の意図しないところで読者を不愉快にさせることは減ると思います。

Q15: 「売れるものを書くべきか」、「書きたいものを書くべきか」、
 答え辛い質問ではありますが 、もし良ければ意見を聞かせていただけませんか?

 『書きたいものを書いてそれが売れる』のが一番だと思います。でも時代もありますし、商売上ある程度今の読者に迎合されるものを書かないといけないのは、みなさん苦労しているところだと思います。でも、いくらエンターテイメントだから、ラノベだからと言って、読者に尻尾を振ってばかりでは中身のない作品になってしまいます。

Q16: プロになれた理由を、ご自分ではどうお考えですか?
 こればかりは運が良かったからとしか言いようがありません。相応の努力はしましたが、誰だって努力はしてるわけです。

Q17: プロになって一番嬉しかったことは何ですか?
 今まで自分をフォローしてくれていた読者の人たちがとても喜んでくれたこと。書店に他の一流の本と同じように陳列されていたこと。複数の図書館で借りられていたこと、ですかね。でも一番は製本化された本が手元に届いたときです。この嬉しさは格別でした。やはり、大賞をとって自分の本を出した甲斐があったと思いました。

Q18: 最後に、これから黒淵 晶さんに続け!と頑張っている方達にアドバイスをいただけませんか?
  とにかく書き続けること。辛い時期はたくさんありますが、それでも自分を信じて書き続けること。それが一番です。
 そして時には第三者に作品を見せて、読者の反応を知ることを心がけること。

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