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国内外の政財界が絡む大陰謀に巻き込まれてしまったふたりは!?

ヤングガン・カルナバル


 ○読者投票結果
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ジャンルアクション・バイオレンス
著者深見 真
出版社:徳間書店
発行年月:2005年06月
本体価格 819円 (税込 859 円)
jogtyさん一押し!(男性・23歳)

■ 解説                               

 漫研所属の塵八は、基本的にいい人だが変態の平等院会長や、
 プロの漫画家・由美子らと会誌作りで大忙しの、ごくフツーっぽい高校二年生。
 いつも学校をブッチして、近くの河原でサボっている、
 激辛食べ物好きの弓華はボーイッシュな女子高生。
 実はこのふたり、謎の美女・白猫に育てられた凄腕のヤングガンだ。
 しかしついこの前、なんでもない仕事のはずが、
 どういうわけか途中で邪魔が入って、不首尾に終わり……。
 いつの間にか、国内外の政財界が絡む大陰謀に巻き込まれてしまった、高校生ふたりは。


■ この作品について、熱く語ってください!            

 ジャンルは青春+ガンアクションです。

 ヤングガンと呼ばれる若い年代(中高生)の殺し屋たちを多数抱える、
 中堅ながら少数精鋭主義による高い暴力性と攻撃力を持つ新世代型犯罪組織ハイブリッドと、
 裏の世界を牛耳る巨悪との戦いを、ヤングガンたちに焦点を当てて描いた物語です。

 私がこの作品で非常にツボなのは、登場人物たちの必死さと破壊の爽快感です。
 
 深見真さんは人物造形の確かさとアクションシーンに定評のある作家さんですが、
 私は非常に丁寧な描写と構成を心がける作家さんだなとの印象を持っています。
 登場人物たちは非常に個性があります。
 
 漫画を描く女の子が苦手な主人公・小暮塵八、
 恋愛ベタでレズの同じく主人公・鉄美弓華、
 義侠心もあっていい男なのだが変態の漫研の会長でヤクザの組長・平等院将一。

 主人公・小暮塵八は漫画を描くのが好きなのに、漫画をどこか自分の中で持て余しています。
 そして女の子が好きなのに苦手で、非常に不器用に恋愛しています。
 もうひとりの主人公である鉄美弓華も日本と言う舞台において、
 どこか異物である自分に不安定さを感じながら、それを吹き払うように自由に生きようとしています。
 そして泥沼の恋愛にはまっています。
 
 彼らが必死になって青春を生きようとしているところが非常に丁寧に描かれています。

 アクションシーンもスピード感だけならば勝る作品はあるかもしれません。
 しかし、銃撃戦、格闘、一方的な殺戮、それらを爽快感と臨場感、緊張感を上手く引き出しながら、
 スピード感を殺さないよう丁寧に描写しています。行間から硝煙の香りがにじみ出てくるようです。
 
 銃の解説もよくある情報小説のように無駄にだらだら続くものではなく、
 それがないとどこか物足りなく思わせる的確さです。

 またこのシリーズが持つ破壊の爽快感は格別です。
 主人公たちは自分たちの置かれた苦境をすべて、銃弾と言う純粋な暴力で突破します。


 閉塞した現状を打ち砕いてくれる銃弾。
 あれをしちゃいけないこれもいけないと駄目だらけの世の中を吹き飛ばしてくれる、
 いっそ意味の無い殺戮。
 
 殺人を正当化してくれることで、人命の価値を相対的に低下させ、
 ひいては自分の中に重く圧し掛かっている世の中ですらすっきりと軽く感じます。
 
 勧善懲悪という王道中の王道である爽快感を、
 こうも見事に読者に吹き込んでくれる小説は滅多にありません。


 徳間エッジはライトノベルと断定するには微妙な位置づけのレーベルなので、
 このシリーズを紹介するのも少々気が引けるのですが。
 それと少々、作者の趣味でホモセクシャルの登場人物が多目で、
 性描写もどぎつくはないですが、一般のライトノベルに比べると濃い目です。
 暴力シーンも多々ありますので、向かない人には向かないと思います。

 しかし、疲れているときにこそこれを読んで、気分をパーッと晴らして欲しいと思います。


■ お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?  

 好きなキャラは、男だと毒島将成ですね。病みっぷりが最高です。しかも滅茶苦茶強い。

 女ならば敵役ですが、豊平琴刃。
 グラマーで美人で最強でお金持ちでカリスマ性抜群で、しかも露出度が高い。
 しかし、一番の魅力は、達観した壊れた精神に捉えどころのないミステリアスなところですね。


■ この作品の欠点、残念なところはどこですか?          

 作者の趣味性がちょっと全面に強く出すぎかなと言う気がしますね。
 百合系キャラと映画の話が多めです。


 銃器・軍事ネタも作者の趣味性全開ですが、これはないと作品が成り立たないので。

 それと欠点と言うほど欠点ではないのですが、
 やはり時勢柄大量の暴力シーンがある青年・少年向け小説というのは厳しいかもしれません。
 今だからこそ価値のある小説なのですが。


■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)     

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おもしろいです!オススメします。
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原作者マレルによる戦争映画「ランボー」のノベライズ。

ランボー―怒りの脱出


ジャンルアクション・バイオレンス
著者デイヴィッド・マレル
出版社:ハヤカワ文庫
発行年月: 1985年06月
本体価格 840円(税込 882 円)
地底人Tさん一押し!(男性)

■ 解説                               

 ヴェトナム戦争で行方不明になった米兵に関する情報収集のため
 敵地に乗り込んだランボーの活躍を描く。


■ この作品について、熱く語ってください!            

 戦争映画「ランボー」の2・3のノベライズです(注意:原作ではありません!)。
 一般に映画やアニメのノベライズといえば、
 手抜きのやっつけ仕事みたいな本がイメージされたりします。

 しかしこの二冊に関するかぎり、そういう悪い先入観は見事に裏切ってくれて爽快です。
 とにかく中身が濃い!

 描写力や独自展開もさることながら、登場人物の内面もしっかり書かれていて、
 キャラクターに深みがあり、もはやこちらが本家・原作と言っても通るくらいです。


 映画に比べるとやや派手さには劣るかもしれませんが、
 ストーリーの素晴らしさでは映画に負けていません。
 
 「超人」ではなく「人間」としてのランボーがかえって魅力的なくらいです。


 とくに『怒りのアフガン』では敵のソ連の少尉の葛藤(「これは俺の戦争じゃない」)が、
 アメリカのベトナム帰還兵であるランボーの苦悩と重なります。
 そして結末も映画と異なって、感動的なまさかの展開! 
 映画ではタフで冷血漢なだけだったソ連の軍曹が、人間的な一面をのぞかせます。
 「俺は苦悩を職業にしたのだ」というランボーの独白も胸を打つものがありました。

 さて、ここまでくれば「筆者のマレルって何者?」って疑問がわくわけで。
 実は映画第一作目「ランボー」の原作『一人だけの軍隊』の作者だったりします。


 冒頭でマレルは「映画の中ではランボーは生き残った」と述べていますけれど、
 悲劇で終わった自分のデビュー作に、
 救いのあるアナザーエンディングを描きたかったのかもしれません。
 とにかくやっつけ仕事とは気合が違うように感じます。

※人によっては「これはライトノベルではない」という批判があるかも。でも私はそうは感じません。
 アメリカは『X−MEN』や『スパイダーマン』が実写映画化されたお国柄です。
 もし今の日本だったら、押井守あたりがアニメ映画にしていてもおかしくないと思うのです。


■ お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?  

 やはりランボーです。
 いくらかなりとも生きてきた人間なら、挫折の経験や理想への失望もあったりするわけで、
 近年の若者に共感できる面があるのではないでしょうか。

 あと良かったのが『アフガン』のソ連兵。
 『脱出』では敵役は単純に「悪者」として書かれていたのですが、
 『アフガン』ではちゃんと人間として描かれています。
 それでランボーが相対化されていて、「一面的」ではない、
 よりリアルな世界・人間関係が前面に出ています。
(この辺は『一人だけの軍隊』でのランボーと警官の対立と構図が似ています)


■ この作品の欠点、残念なところはどこですか?          

 一見、ランボーの「俺は苦悩を職業にした」という最後の「悟り」には説得力があります。
 しかし裏を返せば、「戦争ための消耗品」として利用され続けることを
 肯定していることにもなりかねません。
(政治家やCIAの無慈悲・無責任さには、作中でも繰り返し言及されています)

 だからハッピーエンドに見えて、けっしてハッピーエンドではないトゥルーエンドだと思うんです。
 大衆向けハリウッド映画のノベライズである以上、「あたりさわりなく」結末をつけなければならない。
 それでもシリーズの原作者として、安っぽく迎合するやり方は受け入れられない。
 
 そんなジレンマがあってこそ、マレルは含みをもたせたこのラストに決めたのではないかと。


 この点は『一人だけの軍隊』と比較すればはっきりします。
 『一人〜』では軍隊で「戦闘マシン」に仕立て上げられた青年ランボーが、
 帰ってきた祖国アメリカの「平和」に適応できず、町を破滅させてしまうことになるわけで。
 映画を主演したスタローンが「ランボーを怪物にしたくなかった」と話を修正したのも分かる気がします。
(ノベライズが良作になったのは、そんな映画の意向が反映されたからなのかもしれません)。

 原作とノベライズで、一番決定的な差異は上官の「トラウトマン」です。
 まず映画(+ノベライズ)ではトラウトマンは厳しいながらも尊厳ある父親のように描かれます。
 誠実な人格者で部下のランボーを絶対に裏切りません。
 おまけに勇敢な武人の鑑で「世界平和のために」戦うのですから。
 まるで(理想化された)アメリカそのものの擬人化のようです。

 一方で『一人〜』に登場するトラウトマンは、ちょっと卑小な感じがします。
 葛藤を抱きながらも職務を全うするしかない、ありふれた一人の軍人に過ぎません。
 そして最後にランボーを射殺するのです。

 映画とノベライズの感動の根底には「理想化されたアメリカ(軍)」という幻想があると、
 私には考えられます。


 前向きに捉えれば、ベトナム戦争に落胆したアメリカへの「励まし」なのでしょう。
 しかしそれは真実をヴェールで覆い、安易な態度で隠蔽してしまう危険も孕んでいます。
 一例としてアフガニスタンの混乱は今でも続いていると聞きます(2010年現在)。

 欠点や残念な点云々というより、良作であるゆえにかえって、
 エンターテイメント作品というものが必然的に持つ、二面性・明暗を考えさせられるように思います。


 もしこれが異世界ファンタジーだったら、内容的に二重丸なのでしょうけれども、
 ここまでの深さや重み、リアリティはでなかったかもしれません。


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契約しないのか、氷結の魔神と? 八眼争覇が始まるぞ

レンズと悪魔


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ジャンルアクション・バイオレンス
著者六塚 光
出版社:角川スニーカー文庫
発行年月: 2006年10月
本体価格 600円 (税込 630 円)
匿名希望さん一押し!(女性・15歳)

■ 解説                               

「契約しないのか、氷結の魔神と? 八眼争覇が始まるぞ」
 美貌の首都に帰還したエルバに次々と襲いかかったのは悪魔召喚士。
 それは奇妙な紋様が刻まれたレンズを装着して独自の生体装甲を召喚した異能者だ。
 危ういところでエルバを救った少女テッキは、番外地に建つバベルハイズ博物館へと誘う。
 そして、エルバが片瞳に隠し持つレンズ―父の遺物を覚醒させ、ともに戦えと迫るのだが…!?
 無限闘争の火蓋が今、切って落とされる。


■ この作品について、熱く語ってください!            

 とてもおおまかに説明すると、エルバ・ナイトロンドという、
 この本の主人公が父親の敵討ちのために「八眼争覇」という大会に出るという話です。

 この作品には、東部・西部という二つの地域が存在し、
 それぞれの考え方なども交えて物語が進んでいきます。
 あと、魔神と呼ばれる「八眼争覇」に出場する人間のお供につく者が存在します。
 魔神は塵で出来ていて、相手からの攻撃を受けると、塵となって消えていきます。
 とりあえず、作品の説明はここまでにして、、、。

 この作品は、私が今まで読んだライトノベルの中で一番好きな作品です!

 魔神や一般人などの登場人物が多いため、少し話は複雑ですが、
 複雑な話ほど実は面白いのですっ!!

 
 人物は多くないと話は進みませんから、やっぱり登場人物は多い方が良いです!!


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