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縫製人間ヌイグルマー
クリスマスイブの夜、高円寺。 4歳になる姫子はブサイクなテディベアが「助けて!」としゃべるのを聞く。 名前はブースケと名づけられた。 3年後のクリスマスイブ。ツリーの下敷きになって父が亡くなった。 そして高校生になった姫子。母と小競り合いをし、姫子を守ってくれるブースケを捨ててしまう。 だが、この世界の人民すべてを不幸へ陥れようとする、 おそろしい悪の組織がすぐそこまで迫ってきていた・・・。 命をかけて、ぬいぐるみが君を守る! 糸ほつれ、綿もはみで、布やぶれ、体もげてさえ―綿いっぱいの愛と勇気を! ぬいぐるみのヒーロー、縫製人間ヌイグルマーが、プライドと友情をかけて今、巨大な敵に立ち向かう! 大槻ケンヂが描く、かわいくって残酷な長編アクションファンタジー。
〜あらすじ〜 小熊のぬいぐるみ「ブースケ」の中に隠れた宇宙からの知的生命体が、 クリスマスプレゼントとして一人の少女のもとにやってきた。 愛され、大切にされたブースケは、少女の危機に戦士ヌイグルマーとなって立ち上がる! 敵は強大にして異様な軍団、狂ったサンタにゾンビ、片腕ロリータに、怪奇・赤ちゃん人間、さらに……。 糸ほつれ、綿もはみで、布やぶれ、体もげてさえ、命をかけて縫いぐるみが君を守る! (帯より適当に抜粋) *** 筋肉少女帯の大槻ケンヂ氏が放つ、異色の現代アクション・ファンタジー。 これはすごい。エンターテイメント小説の真骨頂です。 縫いぐるみが戦います。合体します。とある大物と死闘を繰り広げます。 他にも、微笑ましさと友情に思わず涙します。 ここ一番での意外なジョークや、ブラックユーモアもぴりりと効いていて思わずニヤリとしてしまう。 登場キャラクターひとりひとり、その細部にまで血肉が通っている。 魂を感じます。 設定がかなり嘘臭いですが、そこを許すことができれば、 細かいことがブッ飛ぶほどの面白さが待っています。このセンスはもはや神です。 (逆にこれが許容できなければ糞と言われる危険性が……) 展開もまた凄まじい。 ちょっとボリュームありますが、最後の最後まで読ませます。 お恥ずかしながら、読み終わる頃にはもう号泣でした。 これはもう読んでもらうしかない。 一味違ったファンタジーなので、冒険してみる価値はあると思います。 この奇抜さはライトノベルを書く上で多くの衝撃を受ける(と思います)。 面白いかどうかの判断は各々方にお任せするしかないのですが、 私はこれをバイブルにしようと決めました。 ぜひ、オススメさせていただきます。 本書に関わらず、大槻ケンヂ氏の小説は面白いですよ!
でもやっぱりブースケとチャーリーが一番。二人で一つです(笑)
辛くなったら一息入れて、ゆっくり読みましょう。 意外とグロいのでグロ耐性のない人は要注意です。 (ちょっとだけネタバレ?) 唯一納得いかないのは、和尚ですかね……最後の。 (ネタバレ終わり)
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放課後退魔録 ロストガール
ある朝、雨神丈斗は九堂よしえとウサ耳娘・桜宮サヤに怪しげな部活へ勧誘される。 その名も『紅椿学園妖魔術クラブ』。 広大な地下校舎にはびこる妖魔たちを退治するため、力を貸してほしいというのだ。 一度は断った丈斗だが、二人の助けを求める電話を受け、 彼につきまとう番傘を背負ったウエイトレス姿の美貌の妖怪、遊天童子とともに、 真夜中の地下校舎へ向かう! しかし、その前に立ちふさがったのはかつての恋人、夏芽だった―。
個性的なキャラが多いので読んでいて飽きません。 イラストの黒星紅白さんも絵ともピッタリです♪
……と言いたいのですが、 特に!! 主人公の雨神丈斗は本当に普通っぽい高校生で親近感を持てたの好きです。 あと、ウサ馬鹿な桜宮サヤもかなりいいキャラしていて好きです。
しかし、T〜V巻は本当にお勧めです!!
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僕たちの旅の話をしよう
赤い風船が運んできた手紙。それは、一人の少女が出した“誰か”を求める声だった。 風船を受け取ったのは、どれほど遠くのものでも見えてしまう健一、どんな匂いもかぎわける麻里安、 そしてあらゆる音を拾う耳を持つ隼人。 不思議なチカラを備えた3人は集い、少女に会いに行くことを決めるが、 理不尽な現実が事件となって彼らを襲う―。
以下、多少のネタばれを含みます。 全ては、赤い風船が紡ぐ物語。 遠い田舎の小学校に通う藤倉舞は、手紙をつけた赤い風船を空に放った。 そしてそれが、運命とも呼べるように東京に住む三人の小学生の手に渡る。 どれほど遠くのものでも見えてしまう視覚を持つ芳野健一。 どんなことも匂いでかぎ分けられる嗅覚をもつ喜田麻里安。 そしてあらゆる音を拾える聴覚をもつ米沢隼人。 三人が鋭敏な感覚を持っているという設定、そして彼らが藤倉舞の手紙によって引き寄せられて…… という話。 でも三人が運命的に出逢ってから、色々と事件が起きて――。 見えるということ。匂いの持つ形や色を感じること。聞こえるということ。 そのテーマに見合った人物が葛藤していく心理描写はまさに秀逸というほかはない。 そして子供と大人の違い、大人という「子供からみれば別の生き物」への心情をリアルに描いている。 少し家庭に問題を抱えている「四人」が、 次第に一つのところへと収束してく流れは見ていて考えさせられるし、何よりも清々しい。 この作者の描く子供は、子供が描いた子供のよう。 また、出てくる大人たちもいい味を出しています。 叔父のユウジ、麻里安の母の愛人であるカンザキの二人が主に動く大人です。 子供のために、という標榜を抱えた大人たちの助けも、この作品の重要なポイントでしょう。 なんのてらいも無い言葉の羅列が、こんなにもリアルに感じる。 そうさせるのが、この小説の最大の良さでしょう。
芳野健一、喜田麻里安、米沢隼人、そして藤倉舞。 それぞれの視点で描かれているこの四人は、誰もがみな魅力を持っていて、 一概に「この子」というお気に入りを選びづらいですね。 ですが、個人的な気持ちで上げさせてもらえば、喜田麻里安という子が感じ取れる「匂い」の描写では、 打ちふるえるところがありました。彼女は多分、お気に入りのキャラクターと言えます。 また健一の優しさ、隼人の勇ましさ、舞の思いやる心。 みながみな魅力溢れていて、きっとみんな好きになれる。そんな人物たちです。
ちょっと薄かったことだと思います。 「手紙」と「一人称」で緻密に描かれている四人はいいとして、 そのほかに登場する「子供の味方」であったりする人の背景などが、 あまり描かれていないのは少し惜しい。 また関係してくる団体なども、全体像がちょっとつかみにくかったと思います。 そして終盤ですが、人によっては好みが分かれるかもしれません。 序盤から綿密にじわじわとくる構成なのに終盤はいやに早足なので、 ここは読んだ方それぞれが感想を持つでしょう。
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その小説、105円で売られているかも…… |
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