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君のための物語
華やかさとも成功とも無縁で、幸福や繁栄は手に入らない対岸のもののように感じられる、 そんなひとりぼっちの冬の寒い夜。 ひょんなことから死にそうな目に遭った私を救ったのは、奇妙で不思議で美しい「彼」…レーイだった。 出会いと喪失をいちどきに運んだ不思議な力、老婦人の昔日の想いが込められた手鏡と櫛、 天使をも魅了する声を持つ女帝とも称された歌姫、そして「彼」を追う魔術師― 私は彼にまつわる不思議な事件に巻き込まれ、そして―? 第14回電撃小説大賞“金賞”受賞。「彼」と「私」をめぐる数奇な運命を綴った物語。
主に表紙の青年・レーイが謎多き人物のため、 その秘密が知りたくて続きを読む意欲が湧いてきます。 それでいて、しっかり山場も用意されており、 レーイの秘密が分かりそうで分からない展開など、読んでいて飽きることがありません。 本作は第一章〜五章、終章と構成されているのですが、 一章ごとに一つの事件や出来事が解決していき、短編小説を読んでいるような気にもなります。 しかし、それでいて全ての内容が上手く絡まっているので、力量を感じます。 何より、主人公の「私」とレーイが『友人』になっていく過程が、色々な意味で魅力的です。 初めはレーイのことを絡みづらいと思っていたはずなのに、最終的には得がたい存在になっていた。 これを踏まえての五章は感動物ですし、一章からの二人の会話はコミカルで笑えてしまいます。 そして、泣けます。私のツボにはまったというだけかもしれませんが、それでも泣けるんです。 小説でこんなに号泣したのは久々で、とても気持ち良かった。 あまりに泣きすぎて、続きが読みたいのに涙で読めないという事態に何度も陥りました。 一章で中泣き、二章で小泣き、五章で大泣きという感じです。 何故、これほど素敵な作品の続編が一巻も出ていないのか理解に苦しみます。 電撃文庫らしくないからでしょうか。 ※ここからはネタバレになります。 その大泣きした五章ですが、ここが期待通り感動的なシーンになっているんです。 レーイを殺そうとする女性から「私」を逃がそうとするレーイに、涙腺が崩壊しました。 重傷を負ったレーイを必死に救おうとする「私」の言動も涙を誘います。 様々な先入観からレーイは死んでしまうんだろうなと思っていたので、 最後ハッピーエンドになった時は軽く拍子抜けしてしまいましたが、 でも冷静になった後はレーイが生きていてくれて良かった! と、やはり爽やかな読後感でした。 お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか? レーイです。 レーイの魅力は、なんと言ってもミステリアスなところですね。 それから無遠慮なところ、秘密主義で謎が多いところ。 ……これだけ聞くと良いも何もないと思われるかもしれませんが、 読み進めていると本当にはまってしまうんです。 それに、何だかんだ言ってレーイは「私」のことをしっかり助けてくれます。 理由もなく自分から危害を加えることもありません。 秘密主義になってしまうのにも理由があります。 後は、所作がいちいち格好良いで、 完全に偏った意見ですけど(笑)どきりとしてしまうシーンがいくつかありました。 主人公の「私」も結構気に入りましたね。 最初は好きでも嫌いでもない感じだったのですが、五章での言動で一気に好感度が上がりました。 レーイに対するツッコミも面白くて好きですw 何気に、レーイの執事も好きだったかもw この作品の欠点、残念なところはどこですか? これはまぁ、完全に自分が悪いだけなのですが…… 私、主人公の「私」というのは女の子だと思っていたんですね。 最初の方にあるイラストにも女の子の絵が結構出てきてましたし。 レーイと女の子のツーショットもありましたし。 だから、その女の子とレーイがどんな風に関わっていくのか、 そしてあぁどんなドラマチックな展開が待っているんだろうか! とわくわくしていたのですが。 ……主人公、まさかのおっさん。 一応青年らしいですけど、雰囲気がおっさん。間違っても女の子じゃない。 それが個人的に物凄くショックでした。 少年とか青年ならまだ良かったんですけど……。 しかし、途中からは気にならなくなりました。文句言ってても仕方ないですし。 それに最後まで読んでみても、主人公は少年でも青年でもなく、 「私」でなきゃこんなに良い物語にはならなかったと思うので。あくまで私見ですが。
早速ですがこの作品、とても引き込まれました! 独特な物語構成、登場人物の個性豊かさ、そして物語の進行のさせ方。 何気ない日常の一場面からいつの間にか不思議な「彼」にまつわる出来事に関わっていくその運び方。 強引にではなく、自然に日常から外れていく展開に感銘を受けました。 最初は彼を訝りながらも、「彼」が一緒にいることの不思議さ、 それがだんだんと日常の風景になっていく主人公。 読めば引き込まれる久しく目にしていなかった名作です。 お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか? 主人公(ヴィルヴェント・ワイズウェール) 愚痴をこぼしながらも「彼」に紅茶を入れ苦笑する人柄にほれました。 あと、ちょっと捻くれているところも! この作品の欠点、残念なところはどこですか? 人を選ぶと思われる作品です。
物語は大きく五つの章で構成されていて、その一つ一つがとても繊細に書き込まれています。 一人称の文体も小気味良く、すらすらと読むことができました。 ラスト数ページでタイトルの謎が氷解され、読後感の良さからも一押しです。 あまり書くとネタバレになってしまいますが、 作家志望の我々ラ研の人たちなら共感できる部分も多いのでは、と思います。 お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか? やはりレーイでしょうか。彼の生まれながらにしてまつわる色々な制約は、考えさせられます。 あと、個人的には一章に出てくるセリアです。彼女の健気さにはぐっときました。 もっと書きたいのですが、ネタバレって怖いですし……。 この作品の欠点、残念なところはどこですか? 外見描写がほとんどと言っていいほどない。 レーイとトゥリスという名の女性以外、イラストさえありません。 ですからセリアの外見も(ある程度の予想はつきますが)分かりませんし、 主人公の「私」に至っては名前さえ明かされません。 いけない、というわけではありませんが、重要なキャラとそうでない区別ができないのです。 外見も何も書いていないから大したことない人なのかと思ったら、意外にも物語に関わってきたり……。 残念なところと言えばここですね。
文章の淡々とてるなかで、ほんのりと笑えるところが好きです。 あとは登場人物の苦悩がリアルに描写されていて、心に残ります。 読んだライトノベルの中で一番大事な作品です。
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その小説、105円で売られているかも…… |
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