↑目次へ戻る |
ナハトイェーガー ~菩提樹荘の闇狩姫~
「わたしを愛でてくださるかしら?」 女子高生・白河恵那の前に突然あらわれた白金色の髪の少女。 「フレイヤ」と名のったその幼い姫君は、菩提樹荘と呼ばれる洋館の主だった―。 「わたしをお食べになりたいのなら、夜まで待ってくださるかしら。ここでは、恥ずかしいわ」 「そういうのじゃなくてっ…」 ふつうの高校生活を楽しんでいた恵那の日常は、フレイヤの出現で一変。 さまざまな怪事件とともに混沌の渦へと巻き込まれていく。 そんなある日、謎めいた黒髪の少女、早花月這子が恵那のクラスへ――。 名匠・涼元悠一が描く、妖しくも艶やかな、『時の螺旋』の物語。
私が最もそう思ったのが、この小説です。 内容としては「百合+ファンタジー+妖しい雰囲気+ギャグ」といった感じで、 特に百合ものとしては傑作だと思っています。 どうしても「友情」に逃げがちな百合作品が多い中で、この小説は友情に逃げません。 登場人物もほとんど女の子なので(男性もちょこっと出てきますが、脇役なので気になりません)、 百合好きな方はぜひ。 見どころは、主人公の恵那とヒロインの少女・フレイヤのやりとりです。 不思議な洋館のお庭でチェスをしたり、一緒にデパートへ行ったり、まめかんを食べたりします。 微笑ましいです。 特に、恵那がフレイヤに「美味しかった」と言わせようとする場面が好きです。 全体を通して雰囲気がとても良い作品だと思います。
白金色の髪を持つ、幼い容姿(推定十歳。BY主人公)をしているのに 妖艶な雰囲気を纏っているという不思議な少女です。 普段は落ち着いているのに、たまにムキになるところが可愛らしいです。 特に、まめかんを食べた時なんて……。
物語は一応一巻で完結しているといえなくもないのですが、 エピローグ? のような部分で、続編があるような事が示唆されていました。 ですが、一向に出版される気配がありません。 欠点ではありませんが、残念なところ、という事で。
|
||||||||||
ネペンテス
(ボクが動揺するとよくないことがおきてしまう。 よくないことはボクだけにとどまらない。 世界がよくないほうへとバランスを崩してしまう。 少しずつ…世界から見ればほんのわずかかもしれない。 でもそれで不幸になってしまった人はきっと―) 自分の好奇心を体の奥底に閉じ込め、 心の揺れを極端に恐れ誰とも深くかかわらないときめた西村祐胡(ゆうこ)。 彼はクラスメートからは若くして悟っているクールなやつと思われている。 そんな彼の前に現れるのは…。 清水マリコが描く、日常に潜む切なくも甘い迷宮の連作短編集。
現実と幻想をこれでもかこれでもかとシェイクして辺りにぶちまけたような物語が、 不思議と心地よいのです。 ファンタジーの、よくある見せかけの格好良さ、いわゆる呪文だとか技だとか、 そういうグロテスクなものを輝かせて見せる小手先の手法に真っ向から対立して、 「ファンタジーとは人間の内面を一番よく表現している」を素晴らしく実践している問題作。 文章はお世辞にも上手いとは言えないが、いかにも嘘っぽいキャラクターのぎくしゃくした表現は、 人形しかり、ピエロしかり、誇大された人間像を模しているようで逆にドキリと心を突いてきます。 百人読んで十人の共感が得られるか微妙な作品ではあるけれども、 どたばたわいわい楽しい作品や渋くて格好いい作品が肌に合わなかった人、 B級な作品が大好きなあなたに超おすすめです。
ニーソックスと、幼稚園児の着るようなデザインのワンピースが似合う意地悪な女の子なのですが、 なんとも子供っぽい意地の悪さが好感を持てます。
キャラクターの動きが小説を作っているのですが、今一歩臨場感に欠けるのは、 文章に繊細さがないからだと思われます。 ダークで湿った空気の小説なのに、 読者がその場にいる雰囲気を作り出し切れていないのが大きな減点です。
|
||||||||||
|
|||
その小説、105円で売られているかも…… |
↑目次へ戻る |