戻る 目次へ戻る 次へ

これぞ新伝綺ムーブメントの到来を告げる、傑作中の傑作!

空の境界


 ○読者投票結果
 最高です!一押し。 785
 おもしろいです! 152
 なかなか良いです。 60
 ふつうです。 9
 イマイチです。 22
 おもしろくないです。 17
 買うと損します。 62

ジャンル現代ファンタジー
著者奈須 きのこ
初版発行 2004年 06月
講談社
上巻 1,100円 (税込:1,155円) 
下巻 1,200円 (税込:1,260円)
ドラゴソさん(男性・27歳) 煉姫さん(男性) 黒夜 式さん(男性・16歳)
フミヅキヒカルさん(男性・16歳) スクロングフェザーさん(男性・11歳) 片目さん(女性・17歳)
◇砕氷グレイシア◇さん(男性) さん(男性) カルガワさん(男性・18歳)
souさん(男性・14歳) 浅葱良哉さん(男性・17歳) Y1さん(男性・16歳)一押し!

■ 解説                               

 これぞ新伝綺ムーブメントの到来を告げる、傑作中の傑作!
 2年間の昏睡から目覚めた少女・両儀式(りょうぎしき)が記憶喪失と引き換えに手に入れた、
 あらゆるモノの死を視ることのできる“直死の魔眼”。
 浮遊する幽霊の群れ。
 人の死を蒐集する螺旋建築……。
 この世の存在のすべてを“殺す”、式のナイフに映る数々の怪異。
 非日常の世界は、日常の世界と溶け合って存在している
 あの伝説の同人小説の講談社ノベルス化が満を持して成就。
 “新伝綺”ムーブメントの到来を告げる傑作中の傑作がいま新生する!!


■ ドラゴソさんの書評                      

 矛盾螺旋と殺人考察(後編)、エピローグがお勧めです。

 特に後者2つのエピソードは多分、著者がテーマにしてる部分です。
 ネタバレになるのであまり語れないのですが、

 かなり厨臭くて大好きです。
 
 織は殺人を好み、彼がいなくなった後、代償行為として殺人衝動を求める式に惹かれます。

 特にエピローグでは、ヒロインの殺人衝動は肉体の人格から生じてたのですが、 その肉体の人格は根源の渦と繋がり、 根源の渦が無を望むからなのか、シキの起源なのか考えさせられます。
 そういったことを考えながら読むと面白いです。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 荒耶 宗蓮

 荒耶 宗蓮はただ己の内のみに救われない死を観測するといいつつ、己の外を巻き込みまくるw
 悪役なんですが、やっぱり悪役の個性は重要ですね。
 もっと、彼の内面に関する記述が欲しかったですが、求道者としての彼が一番好きです。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 主人公がヒロインに惚れた理由が説明不足で、何でストーカーじみた行為に至るのか、意味不明な殺人考察(前編)が分かれ目。

 ところどころに矛盾がある点が気になりました。
 自分がおっさんに成りかけてるからかもしれないですねw


■ 煉姫さんの書評                        

 凍えた 吐息だけが熱を帯びて。
 お互い 切れそうな鼓動をみてた。

 それは ほんとうに
      夢のような 日々の名残。

 この作品を知ったのは、『Fate/stay night』にハマった頃です。
 Fateの原作者である奈須さんの処女作と聞いて、上下巻を購入。
 ノンストップで最後まで読み終えました。

 独特のリズムで進む物語には、楽曲にも似た優麗さがあり、
 最後まで読み終えた後に生じる余韻は、他の作品では絶対に味わえない夢見心地。

 
 酷く哀しく、酷く美しい旋律。
 つまりはそんな、何とも不思議な作品です。

 『生』と『死』。
 こんな二つの言葉の意味を考えさせる哲学的な側面を持ちつつ、

 『愛』と『孤独』
 こんな二つの言葉をとても大切に描いているラブストーリーでもあります。


 ライトノベルという括りでは収まらない壮大な世界観を、しかし重くしすぎず、感動的に、
 かつ格好よく描いた、まさに傑作です。
 是非、一度手に取ってみて欲しいです。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 両儀式。
 最後まで読んでみて、彼女が正真正銘の『主人公』だったんだなあ、と感動しました。
 哀しい衝動、哀しい想い。ただ悲痛なまでに『木漏れ日』を求めた彼女は、本当に美しいです。
 特に、≪『いつか一緒にいられるよ』そんな言葉を、ずっと誰かに言ってほしかった≫
 の一文は、涙ものです。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 残念ながら、一度読んだ程度では理解しにくいです。

 この作品を本当に楽しみたいのなら、一度読んで物語を把握し、
 二度目で登場人物達の心情等を理解し、三度目で物語の根幹を知る、と。
 まあ、つまり何度も読まなければ味が薄くなってしまう、という点です。



■ 黒夜 式さんの書評                      

 なんといっても魅力的なキャラクター、そして世界観でしょう。

 僕がこの作品を知ったのはゲーセンにあったとある格闘ゲームからでした。
 そこからfateという作品を知り、月姫という作品を知り、最後に空の境界を知りました。
 初めは「そらのきょうかい」だと思ってたばっかりに、
 後で「からのきょうかい」と知った時は驚いてしまいましたね。

 主人公の両義式(女)は着物姿に革ジャンといったありえないマッチング。
 そして生き物(生物だけではなく生きてるモノならなんでも)を殺すことが出来る直死の魔眼。
 おまけに二重人格だし殺人嗜好者、そしてかなりの武術の達人。
 これ以上変わったヒロインってなかなかいないんじゃないでしょうか?
 また主人公だけでなくその周りにいるキャラも魅力的です。
 さらに世界観が僕の好みにとても合っていたためかいっきに読んでしまいました。

 この作品は七章構成で一章ごとに完結しますが、全体で見ても一つの章といえます。
 またこの作品の特徴として第一章が第一章じゃないんです。
 これは読んだら分かりますが、

 時間軸がずれていて、読んでいくことで一つの話が見えてくるといった形式ですので、
 それを知らずに読んだ人は頭に? を浮かべるはずです。

 
 しかし分かればなるほどといった具合なのであまり気にしなくていいかも。
 と言ったわけでこの作品はほんと凄いです。

 これに出会ったおかげで小説ってすごいなあと思ったくらいですから。
 人生百八十度変わったと言ったら大げさですが、それくらい威力があった小説でした。

 余談ですが、この本のおかげで和風の世界観および着物キャラが好きになりました。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 青崎 橙子。
 この人なくして空の境界は成り立たないです。
 ことある毎に説明をするのですがその説明や言い回しが非常にカッコイイ。
 思わず「スゲェ」と思ったほどです。
 式が戦闘をもりあげるなら橙子は世界観を盛り立ててる人ですね。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 いろんな人が指摘してるように好き嫌いではっきりと二分化されると思います。
 好きな人ならとことんハマる、嫌いな人ははっきりと嫌う作品かも。
 
 あとは文章が難しくてなに言ってるかわからない所がありますね。
 なので途中で投げ出した人もいるかと。


 僕のオススメは「fate stay night」のアニメを見て、
 奈須きのこさんの世界観を把握してから「月姫」という作品に触れ、
 そして空の境界を読むと割とすんなりと入っていける感がありました。



■ フミヅキヒカルさんの書評                   

 「生きているのなら、神様だって殺してみせる」

 こんな突拍子もないことを言い、
 夜な夜なナイフを片手に夜の街を闊歩する主人公が今までいたでしょうか。

 しかもそれが、和服姿の可憐な少女。ミスマッチも甚だしいです。

 そんなアンバランスな主人公を中心とした「空の境界」。私が最初に読んだのは中学生の頃でした。
 哲学的、とでも言いましょうか。難解な言葉たちの前に私はずっと頭に疑問符が浮かんでいました。
 にもかかわらず、ページをめくる速度は速くなっていく一方。
 よく理解できていないのに私は次々と文章を読んでいきました。まるで何かに憑かれたかのように。

 「ああ、これが本当の天才が書いた文章なんだ」と、そのとき漠然と思いました。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 黒桐幹也です。
 この物語中で唯一といってもいいほど「普通」な青年です。
 それなのにもっともアブノーマルな式のことを一途に思い続ける彼は、
 最後まで読んでみると実は一番の異常者だったのかもしれない。
 そんなフランスの詩人みたいな黒桐が大好きです。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 先にも述べましたが、難しいです。

 俯瞰風景から始まるわけですが、式陣営の全てのメンツがそろった状態からはじまり、
 ころころと描写が変わります。
 上巻の半分あたりまで読むと話がわかってきてすんなり受け入れられたりするんですが、
 なにせ文章量が半端ない^^; 

 前半でリタイヤ、なんて人もきっといるんじゃないかと思います。



■ スクロングフェザーさんの書評                 

 ふつうの話などもありますけど、僕は戦いが好きです。

 ネタバレですが、両儀式と浅上藤乃が戦うのと、
        蒼崎橙子とコルネリウス・アルバが戦うのが好きです。


 式と藤乃は、「−ーいたい。痛いです、先輩。すごく痛くて・・・・・・
       こんなに痛いと、わたし、泣いて、しまう--。
       ・・・・・・ねえ母さま--藤乃は、泣いて、いいん、ですか。」
       のところが心に残りました。

 蒼崎とコルネウスは、呪文とネコが心に残りました。

 DVDもでているので小説と合わせて見てください!


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 僕は敵の荒耶宗蓮が気に入っています。
 最後まで死ななかったし、そのさきが気になります。

 もう一人は臙条巴です。
 最初は女か? と思いました。でも、男ですよ!
 以外に、少しかわいいところや、勇気をだしたりしたところが心に残りました。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 最初に読んだとき、あまりよく内容がわからないかもしれません。
 僕はなんとか読み返してちゃんと理解できました。




■ 片目さんの書評                        

 私がこの小説を知ったのは小学校6年の時でした。
 その頃慣れない二段組みと緻密な世界観に圧倒され、半分も読まなで途中放棄しました。

 高校に入って全部読みましたが、年間約100冊を読破してきた経験が役に立った!
 面白くて仕方ない!!!

 キャラ、世界観、セリフ回し総てにおいて他を圧倒する作品です!


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 蒼崎橙子。
 メガネの着脱でキャラが変わる所がツボwww


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 特には思い当たりません。
 奈須病に罹りましたねぇ〜



■ ◇砕氷グレイシア◇さんの書評                 

 万物には全て綻びがある。人間は言うにおよばず、大気にも意志にも、時間にだってだ。
 始まりがあるのなら終わりがあるのも当然。

 ━━━生きているのなら、神さまだって殺して見せる。




 私がこの小説に出会ったのはとある掲示板でした。
 小説とはなんの関係もない掲示板で、この小説の名前がたまたま上がっていて、
 そしてこの上の部分も書いてあったんです。
 それを見て一言。
「カッコいい((((゜Д゜))))」
 僕がラノベを読むきっかけを作ってくれた一作。

 まさしくこれぞ新伝記。

 なるほど、これが小説か、と思わず感嘆してしまうような内容。小説だからこそ成し得る技。
 とにかく、もう言葉では表せきれないぐらい凄いんです!



 日常と非日常の狭間をいく少年と、非日常の世界に無理やり生まれさせられてしまった少女。
 お互いに相容れない存在と分かりながらも惹かれあい、そして━━━

 廃ビルに済む魔術師と、平凡を望む少年と、殺人に憑かれた少女との、
 奇妙な日常を描いた非日常なストーリー。

 ━━━それはほんとうに。
   夢のような、日々でした。

 彼らの行く末に、とても胸を打たれます。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 やっぱり両儀式。
 着物姿で戦うその姿にデレデレです。
 そこに日本刀というアクセサリーまでつけちゃったりしたら、もうたまらん(

 鋭い冷たさと、分かりづらい優しさを兼ね備えた、ある意味最強のツンデレ。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 やはり、難しい内容ですかね。
 この作品の概念をキャラクターが紹介してくれているんですが、未だに100%は理解してません。
 でもある意味で、それもこの小説の醍醐味であると思います。




■ 奴さんの書評                         

 物語は章ごとに分かれていて、それぞれに主要となる人物とテーマがあります。

 そしてそのどれもが哀しい! 


 登場人物の抱える事情や過去、その全てが涙を誘う事必至でしょう! 
 勿論涙涙の哀しいだけの物語ではなく、手に汗を握る戦闘シーンや、
 謎解きのように或いはパズルを完成させていくかのような心地よさもあります。

 夥しい量の伏線が浮き上がり、繋がり、そして収束して完結する。
 この快感は是非味わっていただきたい! 


※これよりネタバレを含みます。


 個人的に気に入っている章は五章「矛盾螺旋」と七章「殺人考察(後)」です。

 矛盾螺旋ではこれまでに登場した異常者(能力者)を式に向けた元凶、アラヤの登場。
 起源を求めて彷徨った哀しい人物である彼の絶対的な意思には、少し共感してしまいました。
 途中で彼が夢を見る(それらしい)シーンがありますが、そこから感じられる彼の想いが切ないです。
 この物語では誰もが異常と化した理由が用意され、またそれが納得のいくものでしたが、
 私としてはアラヤの過去が最も重く思えました。

 その他にもこの章では様々な複線が引かれ、そのどれもが綺麗に纏まっています。
 上巻でのトウコの意味深な発言や行動は、下巻を読んだ時ないしは二度目に読み返した時に
 「あぁ、なるほどそういうことか……」と思わず呟いてしまうでしょう。
 加えて類似シーンの繰り返し、これには寒気を覚えたぐらいです。
 
 一度目にトウコとアラヤが対峙した時、敗れたのはトウコです。
 残り僅かな時間の中で彼女のした質問が、二度目に二人が対峙した時に繰り返されます。
 一度目はトウコの最期、二度目はアラヤの最期。その背景転換がとても面白い!

 殺人考察(後)では式と幹也の二年前の過去を中心に、
 そこから現在に繋がる新たな物語が展開されます。
 何故式と織はバランスを保てなくなっていったのか、その理由も解ります。
 クライマックスはそれまでの複線を上手に使った感動。
 これまであまり明かされなかった式の思いには涙腺が壊れたように涙が溢れてくる。
 織の意思や式の意思、二人のシキの意思が相克する章です。
 また式が幹也をどれほど大切に想っていたかという点で、
 この章は恋愛性も含んでいるともいえるでしょう。

※以上、ネタバレはここまでです。


 先のご意見でも記されておりますが、
 この物語に登場するどの人物も物語上の存在とは思えないほど人間らしい、素晴らしいキャラクターで、
 この小説は本当の意味でのキャラクター性を感じる事が出来る作品です。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 黒桐鮮花。

 数多くいるキャラクターの中でも、彼女は最も人間らしく感じられました。
 作中では禁忌という起源を持つと言われていますが、境界から飛び出し、
 特別でありたいと思う生き方が人間らしく、また憧れさえ持てました。

 蒼崎橙子。

 全てを知りながら、それでいてやたらに動かないその在り方が好きです。
 また、矛盾螺旋で感じられた彼女が表に出さなかった想いには泣かされます。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 言葉の通り、欠けている部分がある、ということです。

 この作品には「未来福音」という章もプロットでは用意されていたようですが、
 実際には含まれていません。
 その為にこの章よりの伏線が飲み込めず、モヤモヤとした気分になります。



■ カルガワさんの書評                      

 何十にも編まれた設定と、章ごとのテーマに沿って流れるように描かれるキャラ同士の対立は、
 見事としか言いようが無い。

 
 式や黒桐といった必ず全章に出る人物が、
 各章ごとの主要キャラと対立やら共感やらの立場で絶妙にマッチしているのが地味にすごい。
 また、きのこさん流の考案も長々と書かれていて、
 読めば一つ物事に対して新しい視点を持つことが出来るようになるのは保障します。

 またここからは個人的な蛇足ですが。
 ラノベかどうかという異論が度々なされているこの作品、
 自分も最初はどっちかなと悩んでいたのですが、今なら言える、これは6:4の割合で間違いなくラノベです。
 明確に知りたい方は逆に6:4の割合でラノベじゃない作品、
 宮部みゆきさん著のクロスファイアなどと読み比べてみることをオススメします。
 
 キャラクターに色があるかどうかという点でやはり、
 ああこういうのが属性とかキャラ色ってものなんだなと、明確に理解できると思います。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 黒桐幹也。
 ぶっちゃけますと、どこかおかしくなってしまった人物ばかりが出るこの空の境界で、
 一般人と呼べる唯一の人物なのでかなり色が薄いですが、
 行動していることの全てが自分としての意志からくるものなのでかなり好感が持てます。

 と、おもいきや最後まで読むと実はこの人もかなりおかしい人なのだとわかるのですが……
 そこがイイっ!


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 個人的に、長い説明や独特の倫理感はこの作品の肝といえる部分なので残念なところとはいえません。
 元々理解されなくて何ぼな感じで書いてる匂いがしますし。

 けれどもそんなところも置いといて、あらゆる意味において読み手を選ぶ作品です。
 やっぱり手に取るまでが重そうなのがネックかな〜 


 迷って評価見てさらに迷うドツボループにはりやすいんですよ。

 おもしろい、しかし読みにくいと評される作品ほど読もうかどうか迷わされるものも無いかと思います。
 しかも長くて高いですしこれ、文庫版も全巻含めて。
 手にとって少し読むまでが千里の道よりも長いのが初読の方にはきついかなと思います。



■ souさんの書評                         

 何よりも凄いのはこの世界観。そして設定。
 主人公の行動。周りの変化。そして出会い。
 ある程度行ったら、もうページをめくる手が止まりません。


 一人ひとりのキャラクターがハッキリしています。
 それぞれの考え方は違って、その違いがまた面白い。

 無駄に長い様な説明や考察が入っています。
 最初はうっとおしかったんですが、
 一通り読んでからまた読んでみるとその的確さに驚きました。

 その哲学的な考え等も、この作品の魅力だと思います。

 以下、ネタバレも含みます

 第三章の浅上藤乃。彼女の話は余りにも悲しすぎます。
 何故か人殺しになってしまった無痛症患者。
 彼女は怪物になってしまい身内にも殺してくれと頼まれ、
 行く場も無くさ迷う姿が、救いが無くて涙が出ました。
 
 第五章の巴は親を殺してしまいます。
 そこまでの過程が悲惨だった。悪いのは俺だったのだと、彼は思い知ってしまう。
 その後の迷いの無さがかっこ良かった。
 荒耶にたった一振りのナイフを持って立ち向かう姿は勇ましいです。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 浅上藤乃。
 余りにも悲しい物語に思わず涙が出ました。
 あと強いです。主人公との戦闘シーンがハラハラしましたね。

 両儀式。
 主人公としての役目をしっかりと果たしてます。
 とにかく強くて、どこか壊れそうな女の子。
 そんな感じです。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 文章が簡潔すぎる様に思います。

 時々驚くようなあて字をするんですが、
 それ以外の描写は少し分かりにくいところがありますね。



■ 浅葱良哉さんの書評                       

 講談社がライトノベルかと聞かれるとやや疑問ですが、
 自分はライトノベルだと思っていますので書きます。

 最近話題の小説なだけあります、
 やや説明が多い気もしますが、
 読んでいるとその世界観に吸い込まれて行きます。


 主人公両儀式は、事故で意識不明になってしまった。
 だが二年後、意識が回復すると共に、ある能力が開花する。
 それは、直視の魔眼。
 すべての物(生物だろうが物質だろうが)に壊れやすい線が見え、
 そこに刃物を通すと、物質的・魔術的要因を無視し『殺す』事ができる。
 同人ゲーム『月姫』の世界観を継承するこれは、魔術師と異能者の戦いの物語です。

 文章に癖があり、好き嫌いが大きく分かれる話だと思いますが、
 十分お勧めできる小説と思っています。



お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 両儀式です。

 理由って言われても『強い女の子だから〜』
 としか言いようがありません(笑)


 それに、このキャラはすごく人間らしいと思います。

 他の物語のように安っぽい正義感など持ち合わせておらず、
 人殺しに惹かれるところなどまさにそうだと思っています。


 いけないことだけど、それに惹かれてしまう。これが人間だと思います。



■ Y1さんの書評                          

 美少女で二重人格で超越者。兄を想う妹。眼鏡をかけると性格がガラリと変わる美人。
 その手の人にはニヤリの設定が組み込まれている。

 物語は過去へ、現在へと一転、二転し。視点も、三人称、一人称と一転、二転し。
 緻密で膨大で哀しい物語の全貌が見えてくる。

 この物語は本当に哀しい。全部で七章で構成されてるが、その全てが哀しい。

 本当に哀しすぎる、物語です。
 とにかく哀しいを強調したい。
 また複線も多く散りばめられ、二度目読んだときに、
 「ああ、なるほど」とか「コイツ、ここに既に登場していたのか!」とか思わず叫んでしまいそう。
 また、驚くような急な展開なども在る。

 上・下巻、計約1000ページで構成されていて、
 第1印象としてはページ数が多いような気がしたけど、むしろ足りないぐらいです。

 以下ネタバレを含む。

 五の矛盾螺旋では、敵で在るはずのアラヤすら、同情してしまう。
 特に最後のトウコとの会話が、堪らなく哀しい。
 また、巴の独白も哀しい。本当にこの作者はもの凄いと思う。
 六の忘却録音も同じ。犯人の皐月がまさか死ぬとは思わなかった。
 その後の彼の思考が堪らなく哀しかった。

 そして七の殺人考察では、黒洞幹也が死んでしまう場面が在る(実際には死んでいなかった)。
 そこに至るまでの、敵、りおと幹也との対話や、りおの独白など、心に響くものが在る。
 そして、式がりおを殺してしまった後の、幹也の台詞にも感動した。
 最後に、エピローグの部分で式の第三の人格、両儀式が現れ、幹也と対話する。
 その人格のあり方、その対話の内容(特に最後の部分)、全てが哀しすぎる。
 この部分は人によって、受け取り方が違うと思うけれども、バットエンドだと自分は思う。
 幹也は二度と第三の両儀式とは出会う事はないのだから。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 荒耶宋蓮。
 その不毛な人生に尊敬。

 両義識
 彼の最期にとった行動に感動。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 難しい。
 世界観が飲み込めにくい。
 視点がころころ変わる。


■ 一言感想コメント                       

・最近のライトノベルにはない面白さがある。ぶっちゃけ、比較すること自体、空の境界を書いた人に失礼だけど。最近のライトノベル作家とその作家を中傷する人はこの作品を読んで一から勉強し直して欲しい。
2012/04/28

・両儀式はクールで格好良いくせして、純情なところがあるヒロインで、とても惹かれる。

・両儀式が一番好きです。
 その容貌は、「黒髪で、和服の上に赤い皮ジャンを羽織った、中性的な顔立ちの少女」といささかキャラ立ちが弱い気もしますが、そのシンプルさがむしろカッコいい。そして、そのギャップでツンデレを起こすのが、カワイイのです。
 ――ですが、こういった「カッコいい」「カワイイ」というキャラクターは他にもいます。
 そこでこの両儀式の魅力なのですが、――ネタバレになるので言えません。
 ただ、なんというか、情をかけてしまいたくなるキャラクターなのです。色々とある過去やら未来やらに。

・恐らく、この作品は世間一般的には「つまらない」に分類されるでしょう。
 その理由の最たるは、世界観があまりに難しいからです。
 特に第一章は私も挫折しましたが、それこそが本作の一番の味でしょう。
 もちろんストーリー展開やキャラクターも面白いのですが、それを引き立てる世界観が素晴らしいのです。
 どのような世界観かと申しますと、俗に言う「中二病」的な世界観ですが、これが凝りに凝った本作では「中二病」なんて感じさせない高度な思想的な世界を味合わせてくれます。
 いや、先ほども申しましたが、ストーリー展開やキャラクターも面白いのですよ。あのミステリアスな雰囲気はたまりません。少し、ぐだぐたしましたが、以上です。

・妥協しない徹底的な書き込み方に好感が持てた。
 ストーリーや人物などが魅力的なのは言うまでもない。

・話の中で徐々にあらわになっていく世界観や裏表のある斬新で繊細なストーリー、
 個性的なキャラクター達がとても良かった。
 日常にある人間愛のようなものや、
 非日常にある魔術師や起源覚醒者などの人間達の様子などがとても細かく描かれているところ。

・両義式が好きです。まず第一にかっこいいところ。
 このキャラクターは今まで見てきたヒロインの中で一番かっこよかった。
 次に時折急に女の子の部分が出て来て、それがたまらなく可愛いところ。

・ラノベのキャラの中では両義式が一番好きです。
 うーん。
 なんていうか、一番印象に残っているヒロインだからでしょうか。
 最初に読んだライトノベルが空の境界だったていうこともあり、とても心に残っているのです。
 ちょうど中二のころでしたし(笑
「式カッケぇぇ!」
 とバスの中一人でにやけていた自分が記憶にあります><
 和服に赤い革ジャン。
 殺人鬼。
 ナイフ。
 そうして、日本刀。
 なんていうか、その一つ一つの響きが全て中二のころの私の心を捕らえてしまった。
 そんな感じがします。
 もちろん、式のキャラクターも大好きなんですけどね><
 最後のデレには思わずぐっとしました(笑

・それまでに出会ったことのない世界観のある作品だと思った。
 読むたびに違った読み方が出来る奥深さ。

・今までに無い特異な世界観でのめり込んで読めました。
 イラストも好みだったのも要因になっています。

・文章に惹かれた。

・テーマ、世界観、キャラクター、物語、と作品の基本的な構成要素全てが好きです。
 例えば、仏教的思想やその他哲学などを盛り込んだ世界観は、なんとも蠱惑的です。
 キャラクターはどれも格好良かったり、可愛かったり、親しみを持てたりします。
 物語は、新本格ミステリー要素を含んでいて、そのミステリー的展開に惹かれていきます。
 また文体が、何とも言えない魅力を含んでいます。
 人によっては、癖がある、難しいなど言われるでしょうが、
 私にとってはそこがむしろ良いとしか言いようがありません。
 とにかく何をとっても素晴らしい作品です。

・独特の世界観があって、どこか他人行儀っていうか、客観的っていうか、
 そういう描写の仕方が大好きです。

・作品全体が醸し出すストイックな雰囲気に魅かれた。
 キャラクターが実際に存在するかのような存在感、時系列を弄った構成、
 魔法など特異な能力のリアルさなど様々な要因がこの物語を奥深いものにしている。
 私はライトノベルがどうライトなのかわからないが、なぜかこれはライトではなく、
 もっと本格的な物語でではないかと感じる。
 ライトノベルは最近よくアニメ化されているが、作品によってはそれで事足りてしまうものもある。
 しかし空の境界はアニメ化もされていながら、アニメ、小説とが互いに素晴らしく、
 より空の境界という作品を盛り上げていると思う。
 アニメでは長いスパンで制作したことが納得のいくほど、
 眼前に迫ってくるような迫力のある映像美であったし、
 小説ではアニメよりも個々の登場人物の心理が描かれることで、
 読み手としても主人公のみならず脇役にもより深い印象を持つことができた。

・まず一つは設定。奈須きのこ独特の世界観に惚れ込みました。次に描写でしょうか。
 でも一番は登場人物の心象。一人一人の心の闇や光が深く描写されていたので。

・空の境界を選んだ理由は単に作者の奈須きのこさんの作品が好きだからです。
 奈須さんがシナリオライターを担当した『月姫』という作品をやったことがありまして、
 それでファンになり空の境界を買いました。
 そして、読んだのですがやはりキャラクターの個性が出てて面白かったです。

・一言で言うなら格好いいということにつきます。
 そして女性キャラが実に魅力的です。ただカワイイというのではなく、彼女らもまた格好いいのです。
 式、藤乃、鮮花、燈子みんなそうです。
 これが個人的にツボでした。というかコレの所為でそんな趣味になったきも・・・


■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)       

最高です!一押し。
おもしろいです!オススメします。
なかなか良いと思います。
ふつうです。
イマイチです。
おもしろくないです。
買うと損します。


-Mini Vote-
『空の境界』のご注文は、こちらから >>>

あなたの知っている隠れた名作を教えてください
 
 一押しのライトノベルのレビューを大募集中! 投稿してくださる方は、

 『一押しのラノベ募集係』 『一言感想係』 よりお願いします。
その小説、105円で売られているかも……

戻る トップへ戻る 次へ