ライトノベル作法研究所
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  4. RAIL WARS!2公開日:2012/10/09

RAILWARS!2 ―日本國有鉄道公安隊―

ジャンル:現代FT
著者:豊田 巧
出版社:創芸社クリア文庫
発行年月:2012年06月

ドラコンさん一押し!

■ 解説

 通勤ラッシュの京浜東北線に正義に満ちた少女の声が響く。「待ちなさいよ!」「な、なんだね君は?」「國鉄公安室!第四警戒班、桜井あおい!痴漢の現行犯でお前を逮捕する!」いや、俺たち研修中の高校生だってば!
 しかも今度は国賓ベルニナ王子を北海道まで護衛だって? 親方日の丸に就職し安定したレールを走るはずの俺の人生、どうしてこうなった!?
 「國鉄」が分割民営化されなかったもう一つの世界を舞台に夢の鉄道パラダイス・エンタテイメント第二弾。

■ ドラコンさんの書評2012/05/17

 廃止路線が健在など、鉄道の、新旧、夢と現実とが混然一体となった設定が最大の魅力。鉄道ファンにお薦めする、「夢の鉄道パラダイス・エンタテイメント」のシリーズ化が決定しました。今後も、楽しみです。

 登場人物命名センスに感服しました。
 外国人名には例外もあるようですが、日本人の名字は、廃止されたものを含め、全員鉄道線名です。それも、名字に使っても違和感のないものです。特に、副ヒロイン「小海はるか」には感じ入りました。
 別荘地・清里を擁し、ほかにも「小海」「美里」「乙女」といった駅がある、高原路線・小梅線。記憶力抜群、運動音痴のおっとりとしたお嬢様の名字に、この線名がぴったりです。

 以前から、疑問に思っていたディーゼル機関車運転台内部の描写があったことが、うれしいところです。

お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?

 親方日の丸「國鉄」に就職し、退職後は天下りまで夢見る高校生・高山直人(主人公)が成長していく姿が、気に入りました。また、1、2巻共に表紙を正ヒロイン・桜井あおいに奪われ、1巻のカラーページでは転倒の上、顔面強打したことに、同情しています。

この作品の欠点、残念なところはどこですか?

 まず、いずれも軽いものならが、2巻本文中で1巻の、「あとがき」で2巻本文のネタばれがあります。ネタばれを嫌う方は、1巻から、そして2巻も「あとがき」は読まずに本文から、読まれることをお勧めします。ストーリー自体は独立していますが、世界観の面からも1巻から読まれたほうが良いでしょう。

 国鉄分割民営化の象徴であり、現役の列車「北斗星」が舞台になったことは、新鮮さがなく、あまり「國鉄」らしさが感じられませんでした。引退した列車のほうが、このシリーズらしいです。

 シリーズの広告では、誤解を招く恐れがあります。「20※※年、國鉄では発達した独自の警察組織を持ち」とあります。これでは、モデルとなった本物の旧国鉄が、「独自の警察組織」を持っていなかったかのように受け取られかねません。

 これは1巻にも言えることです。根本の部分ではしっかりしているのですが、文書校正・鉄道描写の細部に詰めの甘さを感じます。

 文書校正では、「北斗星」の車掌「山田さん」が、いつの間にか「田中さん」になっています。しかも、また「山田さん」に戻っています。山田車掌は、脇役とはいえ、重要な場面で登場します。それも、名字は線名のはずです。山田線は存在しますが、田中線はありません。
 そして、「胆振線」のルビが「たんしん」になっていました。正しくは、「いぶり」です(参考『北の保線』太田幸夫、交通新聞社新書)。

 鉄道ファンの著者と、マニアの絵師が組んだわりには、重要場面の登場人物名や線名ルビを誤るとは、信じられません。

 警察類似組織「鉄道公安隊」を舞台にするのであれば、逮捕手続きについて、もう少し調べてほしかったですね。現行犯逮捕は、実は一般人でも可能です。また、本物の旧国鉄鉄道公安職員は、逮捕は現行犯に限らず可能だったはずです(参考『鉄道公安官と呼ばれた男たち』濱田研吾、交通新聞社新書)。

 これに関連し、主人公の犯罪に対する認識が少々甘いと感じます。「そんな軽い罪名ではないだろう」と突っ込みたくなることもあります。

 以下は、ネタばれにしたくはないので、あまり詳しくは書きません。あらかじめご了承ください。

 車掌が乗客に、旅客営業規則の重要事項を告知していない場面があり、違和感を覚えました。また、切符の値段について、間違いとまでは言えませんが、正確ではない記述がありました。
 某登場人物の設定に、その必要がないようなものがありました。この人物が、なぜそのようなことをしたのか、明確な説明があれば良かったです。

■ 一言感想コメント

・あのー。この話の場合、タンシン線出会っているそうなんですよ……
 まあ、あくまでもフィクションなんで……
2014/08/04

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