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  4. この中に1人、妹がいる!公開日:2014/05/26

この中に1人、妹がいる!

ジャンル:恋愛
著者:田口 一
出版社:MF文庫J
発行年月:2010年08月21日

TFAさん一押し!(男性)

■ 解説

 在学中に彼女をつくれ。 ただし――この中に1人、妹がいる!
 将悟は父の遺言に従って政財界のお嬢様たちが多く通うこの学園に編入した。「在学中に伴侶となる女性を見つけること」つまり彼女を作ることが遺言だったのだ。ところが将悟には顔も知らない生き別れの妹がいることが判明する。そして将悟の誕生日、差出人不明のケーキが届き、携帯の着信音が鳴る。「お誕生日おめでとうございます、お兄さま。お慕いしております」
 ――どうやら妹もこの学園にいて、将悟に正体を明かさずに近づこうとしてる!?
 将悟は妹と“正しく” 再会して彼女を作れるのか!? 魅惑の変則ラブコメ始まる!

■ TFAさんの書評2014/05/23

 亡くなった父親に母親の違う妹がいることが判明、この時から主人公、帝野将悟の混乱と苦悩に満ちた学園生活が始まる。前半では正体不明の「妹」を名乗る複数の少女たちに振り回されながらもそれなりに充実した学園生活を送っていたが、そんな中にも、もし自分の意中の彼女が「妹」だったらという不安が常につきまとっていた。

 そして「妹」を名乗る少女が現れ、一件落着と思いきや次から次へとどんでん返しが起こり、将悟は精神的にも追い詰められて行く。そして後半ではコミカルな要素を残しつつも、事態が急展開する。
 「妹」の存在を否定し、執拗にその調査の邪魔をする実母とその部下の敏腕秘書、意中の彼女に対する疑念、ラストは将悟自身も加わった衝撃の結末が待っていた。

 とまあ、全体にラブコメ&妹萌えのニュアンスが強い作品ですが、「妹」の正体を巡って多数の大人たちの思惑が交錯したサスペンス的な色合いもあり、読んでて退屈しません。

 アニメやコミックにもなっていますがどちらも中途半端で原作の雰囲気を伝えているとは言い難いので是非一読を。

お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?

 主人公、帝野将悟を巡る色合いの違う少女たちの存在でしょう。
 ほんわかした感じの素直なお嬢様、小さな胸を気にしているツンデレ少女、コスプレ喫茶を営む、天才少女、お菓子大好きの生徒会長とその会長に振り回される生真面目な副会長、将悟の自称ボディガードを名乗る武術万能の男装少女、将悟の幼い頃熱心に見ていた特撮番組に出ていた元子役俳優で二重人格且つサディストの陰険ブラック少女等等、よくもこれだけ性格の違う設定ができたと感心する次第です。(母親やその部下の秘書も見逃せない)感情移入できるキャラがいたらその目線で読んで見るのも、ひとつの方法です。

この作品の欠点、残念なところはどこですか?

 主人公である帝野将悟があまりにも少女たちに振り回されすぎで、俗に云う巻き込まれキャラになっていること。
 又、同年の男性(少年)が殆ど出て来ないこと。
 一種のハーレム状態になっていて同性としては羨ましい限りですが、不自然というか、面白味に欠けます。私見として言わせてもらえば、意中の彼女を巡るライバルを出しても良かったのではないかと思いますが。

 最大の欠点というか残念なところは、将悟の意中の相手が早々と読み手に判ってしまうことでしょう。

 将悟が伴侶として誰を選ぶかというのもこの作品の趣旨から言って大きな関心事項のはずですが、意図的にそうした可能性もあるので、賛否両方というところでしょうか。

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