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平井骸惚此中ニ有リ
帝大生・河上太一は今をときめく推理作家・平井骸惚の本に出会い、弟子入りを志願する。 認められずにいたところ、骸惚の知人、池谷是人が不可解な自殺を図る。 事件解決の折には弟子入りを認められる河上だったが……
文体は普通のライトノベルとは一線を画しており、ともすればとっつきにくく感じるかも知れません。 しかし一度読み始めれば、その特徴的なリズムに引き込まれます。 クセの強いキャラクターのやりとりも魅力的で、とりわけお調子者の《書生っぽ》、 主人公であるところの河上君と、骸惚先生の長女・涼嬢の会話はクスリときます。 また、大正当時を意識した、ハキハキとしたキャラクターの喋り口もこの作品の魅力の一つです。 殺人事件が起こる以上、陰惨なイメージの付きまとうミステリにあって、 さっぱりとした読了感を与えてくれます。 作品の雰囲気を助長する睦月ムンク氏のイラストも素晴らしいです。
彼の惚れこんだ探偵小説作家、表題にもある平井骸惚先生です。 本名は平井京太郎。名探偵の類に漏れず、事件の真相を見透かした理屈っぽい男性です。 しかしそれだけではなく、妻の澄婦人に叱られたり、次女の溌子嬢に泣きつかれて困惑してみたり…… 一見スカしているようで、非常に人間味溢れる名探偵というところに惹かれます。
人によっては出だしを流し見ただけで棚に戻してしまうかもしれません。 また、京極夏彦氏の作品に影響を受けている節があり、 同氏の作品の愛読者の方には物足りない面もあるかと思います。
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閉鎖のシステム
鳩時計の鳩を、また見逃した。8時、9時、そして今。――俺は鳩に負かされている。 残業と勝ち続ける鳩にため息をつき、撞久屋市論悟はつぶやいた。 「死んじゃおうかな。いや、こんなんで死んじゃ駄目か」 その日、巨大ショッピングモール『プラーザ』に異変が起きた。停電。 シャッターが降り、静謐が支配するビルに残されたのは、 そこに店を出す論悟、香澄に、高校生の康一と教子。 まるで、出口のない迷路のような『プラーザ』を、彼らはさまよう。 そして、暗闇の中、突然に犯罪は始まった。 『プラーザ』に犯人が? 閉ざされた空間で緊迫は高まっていく。
秋田氏が書いている通り、あとがき含めて本編ですが、最後まで読んでも「へ?」って感じです。 ネタバレしないと語れないので以下ネタバレです。 (読むと面白さが半減するかもしれないので要注意) 最初の殺人事件の犯人が誰か、具体的に示されません。 探偵役によって煙に巻かれます。 その為、読者によって犯人が変わるという不思議な現象が起きます。 ミステリーの暗黙の了解を守るなら犯人は――。 一応フーダニットですのでそれぞれの事件についても考えると……ちょっと怖くなってきます。 黒星紅白さんのイラストも意味不明で素敵です♪
こういうキャラ大好きです。現実にいたら絶対気を許せませんが(^^;)
ちょっと古いので古本屋でしか見つからないかもしれません。 ちなみに私は図書館で見つけました。サラッと読めて変わってます。お勧めです。
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あれ!? その小説、もしかして105円で売られていない? |
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