柘榴さん一押し!(女性・21歳)
「二十箇月もの間子供を身籠っていることができると思うかい?」
昭和27年の夏、三文文士の関口巽(せきぐちたつみ)は東京は雑司ケ谷にある久遠寺(くおんじ)医院の娘にまつわる奇怪な噂を耳にする。しかも、密室から煙のように消えたというその夫・牧朗は関口の旧制高校時代の1年先輩だった。
皆様ならご存知のミステリーシリーズです。
京極堂シリーズの第一弾であり、かつ、京極夏彦の処女作と言われております。
とにかくドロドロした人間の愛憎劇です。
人間の負の闇を垣間見るような、少し読んでて寒気がしますが、手が止まりません。
一言で言うと、ミステリーとオカルトを混ぜたような作品です。
ミステリーでは、相入れそうにない、オカルトなシーンがたくさん出ます。
でも、決してオカルトで不思議な現象と片付けていません。現実に起こり得ていることなんです。
不思議な部分を有耶無耶にせず、ちゃんと理屈を通してるところが味噌です!
この作品を読んだら、間違いなく、今まで読んできたオカルトファンタジーがなんとなく薄っぺらく感じてしまいます。
嘘くさく感じてしまいます。不思議な能力、不思議な現象、厨二まがいのラノベが薄く感じてしまいます。勿論ファンタジーラノベを批判しているわけではございません。
一言で言うと深いんです。京極先生は博学だなあと感じました。
幽霊、式神など、不思議な伝承の存在に、ちゃんとした理由があるんです。
だから、ファンタジーによくあるご都合主義が起こりません。
お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
やはり、京極堂、中禅寺秋彦ですね。
古本屋にして、陰陽師の京極堂がかっこいいです。
そして、色んなことをよく知っております。
物語の後半の京極堂がものすごくかっこいいです。
この作品の欠点、残念なところはどこですか?
最初、京極堂の理屈や説明で眠くなっちゃう人が多いですね。
実際私も読むことを断念しそうでした。
でも、そこを我慢して読んで下さい。かなり面白くなってきます。
伏線が多いし、長いので何が何だか分からなくなりますのでご注意下さい。
また、この話はかなりおどろおどろしい話です。PG12〜15歳以上?でないと読んだら気分を害するかもしれません。ドロドロした話が苦手な人はオススメしません。
私はドロドロした愛憎劇は嫌いですが、何故かこの話はすんなり読めました。
だから、それだけ読ませる力のある作品だと考えています。