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レィティアの涙
女神レィティアの怒りにふれたために色彩を失った王国フェネルスティ。 王子ユーザは、転生のたびに誰よりも苛酷な運命に苦しめられていた。 だが、翼ある人間―、翔翼人のカイとユリエが城の庭に舞い降りた夜、ユーザはある決意をする。 一千年間自分を縛り続けた運命の鎖を、今こそ断ち切る時であると…。 ユーザの頼みを聞いた二人は、引き換えに伝説の宝石「レィティアの涙」を要求してきた。
図書館で偶然見かけて借りたのですが、なかなかのものです。 正直、最初は「どうなんだろう……」と思っていました。 しかし、読んでみるとあら不思議。 今まで読んだ高遠さんのどの作品よりも最高です。 レヴィローズとクロスティアの花嫁。どちらも悪くはありませんでしたが、レィティアが一番かもしれません。 まず、ストーリーがちゃんとあるんですよね。キャラも無駄にいるわけじゃないし。 一つの国の中で繰り広げられる、一千年の歴史を背負った王子の物語。とでもいいましょうか。 輪廻転生、女神、王子、因縁……。 それを文章でまとめた、という感じがします。 高遠さんの作品は、 「ああ、高遠さんの本だ。……読んでみるか」 と、なるんですよね、不思議と。何故でしょう。
我侭かと思えば優しくて真っ直ぐ、でも天然。 どうかなー、と思って読んでたら惚れました。
とくにユーザの父親やデュエルはもっと「何か」がほしかったですね。おしい。 あと文書能力がもうちょいほしい。 でも、高遠さんの作品の中で、この作品が一番文章もストーリーもよかったですね。 最近の高遠さんの作品は、起家さんのイラストに頼りまくりというか。 もう一度原点回帰してほしいなあ、と思います。
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ロードス島戦記
30年前の魔神との戦いの傷も癒え、平和の続くロードス島に、新たなる戦乱の兆しが現れ始めていた。 暗黒の島マーモの皇帝ベルドが、カノン王国を攻め滅ぼしたのだ。 しかも、彼の背後には強大な力を秘めた謎の魔女、カーラの姿があった! その頃、辺境の村ザクソンの青年パーンは、己の正義感の赴くまま、 神官のエト、ドワーフの戦士ギム、魔術師スレインらとともに、故郷の村を旅立とうとしていた。 自分の前に立ちはだかる、大いなる運命も知らずに…。
このシリーズを読まずして異世界ファンタジー・ライトノベルを語る事なかれ。 日本の小説にファンタジーというジャンルを定着させたのは、このシリーズの功績によるものだからです。 今までこれが一押しされていなかったなんて信じられない! 北欧神話や指輪物語の影響を強く受けてはいますが、 歴史、宗教、魔法の系統、武器や防具の種類、国や部族の対立、 魔獣や幻獣、エルフやドワーフといった種族などの世界観の設定がものすごーく細かい! 現実にアレクラスト大陸があって、その南には本当にロードス島があると思わせられます。 (実際にエーゲ海にもロードス島はありますが、何の関係もないと第1巻のあとがきに記されています) 電撃文庫のクリスタニアシリーズ、富士見ファンタジア文庫の魔法戦士シリーズは、 ロードス島シリーズと同じフォーセリアという世界が舞台です。 外伝・黒衣の騎士、魔法戦士リウイ第9巻と呪縛の国の魔法戦士でその繋がりがよくわかります。 ロードス島戦記第1巻から遡る事30年前、 魔人戦争が起こったロードス島を舞台にしたロードス島伝説シリーズを読む事もオススメします。 読んでおくと新ロードス島戦記を読んだ時に「あれ?」と思わせられる場面が、 いくつかある事に気づかされます。探してみてください。
一番をと聞かれたら、やはり永遠の乙女・ディードリットでしょう。 98年に放送されたアニメのOPで、風に長い金髪をなびかせている姿を見て一目惚れしました。 (恥ずかしながら、アニメでロードス島の事を知ったのです) ネタバレになってしまいますが、外伝『開かれた森』でハイエルフの長に 「不幸になると分かっていても、おまえはその戦士の子を産みたいと思うかね?」と訊ねられ、 「もちろんです。もしも、授けられたなら……」 と答えさせるほど彼女に愛されている戦士=パーンを本気で羨ましいと思いました。 ちなみにそのパーンは、夢の中で森の精霊ドライアードたちに、 このまま森で暮らせとさかんに勧められましたが、 「でも、オレは森の精霊じゃなく、森の妖精(=ディードリット)にすでに魅入られていたから」 と丁重に断っています。
作者である水野先生の強いこだわりがあるからなのでしょうが、ファンとしてはじれったーい!
ストーリーで最後ビックリした。なんでそんな事に……と消化不良でずっと記憶に残る。 ファンタジーだが、世界観が半端なくしっかり細かく作りこまれていて他のファンタジー小説とは比較にならない程のリアリティーがあった。 台詞がすくない分、登場人物を自分の好みの感じの性格に勝手に作り上げる事が出来た。 ・聖者(『ロードス島伝説』より)は、主要人物ですらない、名もない、脇役の一人です。でも、そこが良いのです。 有象無象の《百の勇者》のひとりであり、その能力と尊称の割に、性格は至って凡庸(というか俗物)なのが、非常に良い味を出しています。 主要キャラクタは軒並み、後の英雄たちなので、このぐらい低俗な方が、感情移入もしやすいのでしょうね。
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wonder wonderful
こかげはごく普通の社会人。 一方、妹のひなたは異世界旅行を繰り返すおかしな性質を持っていた。 異世界にはまるで縁がないと思っていたこかげだが、 ある日、妹の危機に異世界の国ディーカルアへ飛び込むことになる。 しかし、その先でこかげを待ち受けていたものは、 妹ひなたに向けられるものとはまったく正反対のなぜか厳しい視線ばかり。 こかげが邪険に扱われるのはなにか理由があるようで…。 ランキングサイトで1位を独占し続けたオリジナル小説サイト「therehere」 のあの大人気小説が待望の書籍化。巻末に番外編「彼女の護衛たち」を収録。
ヒロイン・コカゲは27歳のOL、当初異世界では全く歓迎されていない、 という異世界トリップでは珍しい設定です。 異世界と言っても、魔法などのファンタジーはありません。 先にトリップしてきている妹を守るために、当初は歓迎されていなくても、 徐々に周囲に溶け込んで影響を与えていくコカゲの行動は、 やはり27歳の社会人という設定があってこそと感じられます。 異世界で出会う人物も、王様から護衛の騎士、一般市民などと様々ですが、 どの人物も個性があってしっかりと書き分けられています。登場人物がどの人もいい味を出してます。 素直になれない27歳のヒロインが、最後に少しだけ素直になれます。 その過程にときめいてしまいました。 うまく言葉にできないのですが、「大人のための良質なファンタジー」 といううたい文句が本当にぴったりな作品です。
ネタバレになるのが嫌なので、くわしくは書きませんが… 自分の感情を押し殺して相手を守ろうとする姿が、かっこいいです。 大人な男であり、どこか少年っぽい部分もあるところがたまりません。
ですが、読み始めると止まらなくなりますので大丈夫だと思います。 オンラインノベルの書籍化ということもあって、 作者さまはプロの作家ではなく、続編が期待薄なところです。 (番外編は出ますが、続編については考えていないと作者さまのHPで書かれていました)
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