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二人の想いが錯綜する、重層世界ファンタジー、開幕。

氷結鏡界のエデン


 ○読者投票結果
 最高です!一押し。 45
 おもしろいです! 10
 なかなか良いです。 7
 ふつうです。 1
 イマイチです。 1
 おもしろくないです。 2
 買うと損します。 1

ジャンル異世界ファンタジー
著者細音 啓
出版社:富士見ファンタジア文庫
発行年月: 2009年09月
本体価格 600円 (税込 630 円)
T.Kさん(男性) アロさん(男性・17歳)一押し!

■ 解説                               

『対・穢歌の庭術式へ移行了承。―第七天音律を結んでください』
 結界を張るよう要請された少女の頬を、透明な滴が滑り落ちる。
「シェルティス…わたしたち、本当にもう会えないの?」
 幽幻種と呼ばれる存在に、人が侵される世界。
 巫女の祈りで守られた浮遊大陸オービエ・クレアでのみ、人は生きることができた。
 結界の巫女・ユミィは、ある少年を待っている。
 巫女を守る護士だった、幼なじみのシェルティス。
 大陸から堕ち、異端として追放された彼は、かつてユミィと約束していた―必ず君の隣に行く、と。
 世界の理を体現する少女と、世界の理に拒絶された少年。
 二人の想いが錯綜する、重層世界ファンタジー、開幕。


■ T.Kさんの書評                         

 元々、私は前作「黄昏色の詠使い」の読者で、それがきっかけで興味を持ったんですが、
 
 やはり最初に目に留まったのは「世界の理を体現する少女と、世界の理に拒絶された少年」
 というキャッチフレーズがよかったですね。


 世界観としては浮遊大陸という、その名のとおり空中にういてる世界が舞台です
 大陸の端には一応防壁などが張ってあるのですが、
 それでも事故などでおちてしまう人がゼロにならないとか。

 ちなみにその下は、瘴気が渦巻く謎の領域「エデン」といわれ、
 戻ってきた人はいないとされてるのです。
 そしてそのエデンからは幽幻種という謎の生命体がやってきて、浮遊大陸をたびたび襲っていました
 そこで、浮遊大陸は巫女が一時的に自らを氷漬けにして発動される、
 エデンそのものを凍らせる結界、氷結鏡界によってできるかぎり幽幻種の進入を防いでいます

 ちなみに、氷結鏡界をはじめとする技は、
 沁力というすべての人が潜在的に持っているとされる力が必要になるのですが、
 その修行は過酷の一言です。
 精神を削るような苦行の数々を受けなければ沁力を引き出すころができません。

 何百人、何千人といる巫女候補が数年の修行を経て、
 実際なれたのは2,3人ということからも、その過酷さが伺えます

 たとえば、灼熱の砂漠のような場所での修行、
 逆に極寒の吹雪のようなところなどでの修行などがあるらしく、
 自分自身を凍らせる修行なども相当の苦痛や冷たさを伴うひどく苦しいものらしい。
 3巻によると、その苦痛は夜にそれを思う出しただけでも震えがとまらなくなるほどとか。(汗)

 とんでもない苦痛と冷気に苦しみながら自分自身を数時間凍らせる……
 それがいちばん楽な修行だったとか3巻でいってました(汗)
 メインヒロインのユミィはそんな修行に耐え巫女になった人なんです。


 敵の幽幻種は「魔笛」と呼ばれる能力を使います。
 それらは幽幻種が発する意味不明な呪文により、破壊、猛毒、精神汚染など様々な効果をもち、
 浮遊大陸にあるものを侵食、生物の体を壊死させる力を持ちます。
 それは沁力と相反する性質を持ち、沁力によって浄化したりすることが可能です。

 主人公シェルティスはなんと…数年前に浮遊大陸から落下してしまいます。
 当然誰もが彼は死んだと思っていたのですが……
 数年後に突然帰還します。
 彼の幼なじみであるユミィは真っ先に彼に駆け寄ったそうなのですが、そのときある悲劇が……

 そう、彼からは誰でも持つはずの沁力が消え、敵の持つ能力「魔笛」が宿っていたのです。
 それも氷結鏡界に匹敵するほどの……


 そして、ユミィは修行により、沁力を極限まで高めた人間です。
 一方シェルティスの魔笛は氷結鏡界に匹敵するほどでした。
 実は沁力と魔笛は極めて強力なもの同士が接触するとある物理現象が起こるのです。

 それはエルベルト共鳴とよばれるもので、もし二人が触れようとすると、
 お互いに激痛とともに血を流し、それぞれ逆方向に吹き飛ばされてしまいます 。

 そう、ユミィとシェルティスはお互いに触れ合うことができなくなってしまったのです(泣)

 さらに、巫女などを管理する天結宮(ソフィア)は彼の魔笛をあってはならないものとして、
 彼を巫女たちの居住区から追放してしまいました。
 彼は、ユミィのために巫女を守る専属護士「千年獅」を目指しもう目前にまでいっていたのですが、
 まさに踏んだりけったりですね。

 それと、実はシェルティスの持つ魔笛、悲劇の元でもあるのですが、
 実はこれがバトル方面では意外な活躍を見せるのです。
 たとえば、普通の人間なら死ぬような魔笛を頭から浴びたりしてもぜんぜん平気です。


 そして、普通は敵と味方がそれぞれ沁力、魔笛の防御壁を展開し、
 お互いにお互いのダメージを軽減しあう形になるのですが、
 主人公は同じ魔笛の力を持つため敵の防御壁をすり抜け貫通ダメージを与えられます。

 そのかわり、こちらもダメージが軽減できないので本来はかすり傷ていどに抑えられるダメージが、
 致命傷になるかもという面があるのですが。まさにハイリスクハイリターンです。

 さらに、敵が沁力使いの場合、魔笛を発動することにより沁力を無効化し、
 相手の術を無効し、打ち消したりもできます。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 ちなみに好きなキャラはペンダント型人工知能の結晶体「イリス」ですかね。
 人工知能なのに、人間味たっぷりでものすごく茶目っ気があって面白いです。
 ヒロインをからかったりとか、例えば、ユミィの胸のサイズがこの間のデータを上回っています。
 これなら法衣の裾をはだければ、そこらの男なら誰でもイチコロに…とかいったりとか。(笑)

 あと、人工知能らしく戦闘中のサポートをしてくれたりとかも。
 また、1巻では主人公が外部から人に頼んだ天結宮(ソフィア)へのハッキングを、
 そうとは知らずに興味本位で手伝ったりとか。(笑)


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 周囲に魔笛の事を隠しながら戦ってる面があるためか、
 おおっぴらに魔笛を使っているシーンが少ないことでしょうか?



■ アロさんの書評                        

 切ないです!
 前作、黄昏色の詠使いシリーズでも発揮された綺麗で切ない物語は健在です。
 

 ここからネタバレ有。

 
 主人公のシェルティスは、ある事件がきっかけで、
 ヒロインのユミィと逆の性質の能力を得てしまいます。
 それは、ユミィたちが戦う敵と同じ力。ゆえに、敵相手に有利に戦えます。
 だけど、それが原因で、ユミィと触れ合うことが出来なくなってしまいます。
 もし、触れようものなら、力が反発し、お互いに血を流してしまいます。

 二年越しの再会なのに、二人は触れ合うことも出来ない。
 このシーンは切な過ぎです。
 
 それでも、一巻読み終えれば、綺麗に纏まっていて、読了感も良いです。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 エミィは可愛いですね。
 個人的に言えば技師キャラのエリエも良い。
 

この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 欠点ではないですが、萌え要素はほとんどないです。
 この作品には無いほうがいいですが。


■ 一言感想コメント                       

・ヴァイエル・バッハベルが好き。見かけはやる気が全然なさそうだけど、中身は人間としてきちんとしていると思うから。心がきれいだと思う。
2012/10/27

・巻数を重ねるごとに徐々に明らかになっていく世界にまず魅了された。また設定があざとすぎるようなキャラがいなかったのも、個人的には良評価。また作者の細音啓さんの作品に共通していえることだけれど、作品内に登場する詠唱が素晴らしい。初めて読んだときは鳥肌が立ちました。あと最近のラノベでは割と珍しく、主人公がすごく格好いい。ヘタレ主人公が量産されている今日では、個人的に目立つ作品だったと思う。
2012/10/27

・キャラクターの会話などに自然な面白みがあるし、設定にとても魅力を感じる。

・細音作品の第二作。
 前作の良さを受け継ぎながら、軽妙で笑える展開が増えて気軽に読めるようになった。
 中盤以降は黄昏色必読の展開なので、余裕があまりない人でもそちらを読破してから読むことをお勧めします。

・ジャンルやストーリーなどに最初全く興味が引かれなかったのですが、
 読んでみるとスッと世界観やキャラ、ストーリーなどが機能していることが分かり、
 一気に読んでしまいました。バランスの面でとても優れた作品だと思います。


■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)     

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ファミ通文庫だけの、オリジナルストーリーここに登場

ファイナルファンタジー11


 ○読者投票結果
 最高です!一押し。 9
 おもしろいです! 3
 なかなか良いです。 7
 ふつうです。 1
 イマイチです。 1
 おもしろくないです。 0
 買うと損します。 0

ジャンル異世界ファンタジー
著者はせがわ みやび
出版社:講談社ノベルス(講談社)
発行年月:2004年05月
本体価格 780円 (税込 819 円)
どーどさん一押し!(男性・16歳)

■ 解説                               

 今日もまた、ひとりの少年が冒険者として旅立とうとしていた。
 彼の名はアルフレッド(アル)。
 未熟な戦士のアルが、ガルカ族の騎士と白魔道士の少女との運命的な出会いによって、
 この地にうごめく邪悪な影に導かれることになる……。
 人気のオンラインRPG『ファイナルファンタジー11』の世界〈ヴァナ・ディール〉を
 舞台に繰り広げられる壮大なドラマが、ファミ通文庫だけのオリジナルストーリーでここに登場。


■ この作品について、熱く語ってください!            

 オンラインゲームを題材にした作品です。

 設定や世界観が既に作られているが、そのぶん風景や戦闘シーンがとてもくわしく描かれています。
 巻を重ねるごとにキャラクターがどんどんおもしろくなります。
 恋愛、ギャグ、シリアス、悲劇、戦争等いろいろな要素も取り込まれているのもいいです。
 全体としてみればややシリアス方向ですが・・・。

 それから、キャラクターがとてもたくさん出てくるのですが、
 しっかり全員に個性があるのがいいです。


 自分はとてもおもしろい作品だと思います。


■ お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?  

 ペタです。あのハチャメチャぶり・・・。大好きです。
 最初の方はややはっちゃけたところのある物知りキャラくらいにしか見てなかったのですが・・・。
 2巻からやや性格が変わってきて、3〜4巻で完全に正体を現しました。
 ほぼ全ての巻に出ていますが、最新刊が出るたび暴走具合に拍車がかかっています。
 その暴走っぷりが最高です。


■ この作品の欠点、残念なところはどこですか?          

 冒険→謎の敵に狙われる→敵の陰謀発覚→陰謀阻止のため戦う。これが基本パターン。
 結構ワンパターンな作品です。なので1〜3巻あたりで飽きる人もいるかも・・・。


 本格的におもしろくなるのは2,3巻あたりというのもちょっと・・・。
 1巻が微妙な出来なのが残念・・・。
 1巻と2巻でいきなり変わる所もあるし・・・、なによりペタが1巻では地味!!
 そこが微妙なとこですね。


■ 一言感想コメント                       

・原題となったゲームのプレイヤーから見ると、色々と合点の行かない部分が多いです。
 強敵にあっさり勝利するかと思えば、意外な敵に苦戦したり、登場モンスターやキャラクターの想定レベルを始め、魔法やアイテムの扱いにもあやふやな点が目立ちます。
 つまらなくは無いけれど、正直ちょっぴり物足りません。
 ただ、登場する魔法やアイテム、スキルやゲーム中のシステムなどについては、かなり苦労して解釈なされている様ですので、そこは汲み取りたいと思います。
 特に、竜騎士があやつる飛竜の扱いについては、相当苦労したと思われます。
 また、パーティーの盾となりたいと言うキャラが、防御を捨てた両手持ちの武器を使用した完全アタッカーだったりと、突っ込み所も多いですが・・・。
 なので、私自身としては、どうしても辛口な評価になります。
2014/06/08


■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)     

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 投獄、国外追放、失意の果てに見た真実とは……夜明けを目指す、王道ファンタジー

フェンネル大陸偽王伝


 ○読者投票結果
 最高です!一押し。 33
 おもしろいです! 13
 なかなか良いです。 6
 ふつうです。 1
 イマイチです。 4
 おもしろくないです。 1
 買うと損します。 6

ジャンル異世界ファンタジー
著者高里 椎奈
出版社:講談社ノベルス(講談社)
発行年月:2004年05月
本体価格 780円 (税込 819 円)
三吉田拓さん一押し!

■ 解説                               

 大陸の東端に位置するストライフ王国。
 幼くして指揮官に就いたフェンベルクは、悪鬼を従える獣兵師団を率いて外敵を打ち払い、
 順調に戦果を上げていた。
 しかし不意に舞い込んだ凶報が、次第に彼女を奈落の底へと導いて行く。
 投獄、国外追放、失意の果てに見た真実とは……
 夜明けを目指す、王道ファンタジー。



■ この作品について、熱く語ってください!            

 世間知らずの王女様が無実の罪で流刑になり、
 故郷とは別の大陸の端から世界を見るために旅立つ話です。

 王女様と、それに関わった全ての人の変化や成長がこれからも楽しみです。

 それぞれの国の気候や文化なども多岐にわたり、特色がでていて面白いです。
 自分も一緒に旅をしている気分になれます。

 そしてシリーズタイトルの偽王、
 5作目(風牙天明)で判明します
 そのシーンでは本を読んでいて久しぶりに震えが走りました。

 ここを読むためだけに最初から読み進めてもらいたいぐらいです(笑)。

各巻タイトル
 孤狼と月
 騎士の系譜
 虚空の王者
 闇と光の双翼
 風牙天明


■ お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?  

 強いて挙げるのが難しいぐらい好きなキャラが多いです。
 天然だったり無口だったり皮肉屋だったり、
 お調子者だったり努力家だったりしてそれぞれが魅力的です。

 それでも無理矢理挙げるとしたら……古王国の気取らない王様ですかね。
 部下との掛け合いが素敵です(笑)。


■ この作品の欠点、残念なところはどこですか?          

 国名にしても人名にしても固有名詞がどんどんでてきて、
 一読しただけでは覚えきれないところです。


 ただ、基本的に何も知らない登場人物に教える形になっているので、
 世界には入っていきやすいです。


■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)     

最高です!一押し。
おもしろいです!オススメします。
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あなたの知っている隠れた名作を教えてください
 
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その小説、105円で売られているかも……

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