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誰かのもとへ還りたい−−切ない願いが紡ぐ、詠うファンタジー!

イヴは夜明けに微笑んで


 ○読者投票結果
 最高です!一押し。 255
 おもしろいです! 36
 なかなか良いです。 28
 ふつうです。 7
 イマイチです。 6
 おもしろくないです。 3
 買うと損します。 9

ジャンル異世界ファンタジー
著者細音 啓
出版社:富士見ファンタジア文庫
発行年月:2007年01月
本体価格 580円 (税込 609 円)

きぃなさん(女性・15歳) RADさん(男性・15歳) 狂影さん(男性・15歳) T.Kさん(男性)
雷真
さん(男性・12歳) 通りすがりの読み手さん(女性・17歳) にゃるさん(女性・17歳)一押し!


■ 解説                               

 彼女は、ずっと考えていた。人と関わらず、孤独な人生。それで、いいのかと。
 だから、決めたのだ。自分の“心”を形にして詠び出せる、名詠式を学ぶことを。
 そうすれば、少しでも彼に…何かを伝えられるかもしれないから―。
 『Keinez』・『Ruguz』・『Surisuz』・『Beorc』・『Arzus』―この五色を基本に、
 呼びたいものと同じ色の触媒を介し、名前を讃美し、詠うことで招き寄せる名詠式。
 その専修学校に通うクルーエルは、年下の転校生で、異端の夜色名詠を学ぶネイトに興味を抱く。
 一方、学校を訪れた虹色名詠士・カインツもまた、夜色名詠の使い手を探していて…!?
 第18回ファンタジア長編小説大賞佳作受賞作。
 “君のもとへ続く詠。それを探す”召喚ファンタジー。


■ きぃなさんの書評                       

 こんなに綺麗な物語は読んだことがありません。

 それくらい、綺麗で繊細で美しいです。

 とにかく、読んでみてください。
 絶対に損はしないと思います。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 カインツ。
 最初から最後までいいトコ取りでカッコいいです。笑
 そして、忘れちゃいけない主人公のネイト。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 途中から登場人物が一気に増えるので、
 カタカナのキャラが苦手な人にはちょっときつい。




■ RADさんの書評                        

 彼女は、ずっと考えていた。
 人と関わらず、孤独な人生。それでいいのかと。

 だから、決めたのだ。自分の「心」を形にして呼び出せる名詠式を学ぶことを・・・

 赤、青、緑、黄、白   この五色を基本に成り立つ名詠式。

 舞台は、一種の召喚術であるそれの専門学校。

 母の遺した異端、夜色名詠を学ぶ少年ネイトにクルーエルは興味を抱く。

 一方、学園を訪れた一人の男も夜色名詠の使い手を探していた
 

 能力を競い合う一大イベント・競演会(コンクール)。

 その当日、名詠の媒介役、触媒(カタリスト)の暴走により生み出された、
 五つの首を持つ怪物・ヒドラが学園内を火の海で焼き尽くさんと猛威を振いだす・・・!!!


 始まりは、かつて交わした、ひとつの約束。

 やさしい詠が想いをつなぐ学園召喚ファンタジー。




 まずはじめに、明らかに他と異なる部分を挙げるとするなら

     「讃来歌(オラトリオ)」  です


 召喚の際に用いるセラフェノ音語という架空言語による、まあ呪文だとおもってください。

  もう一度言いますが、「架空」言語です。
  続巻において、もっとも重要な鍵となります

  構成、翻訳、よくこんなことができるなと舌を巻かざるおえません。

  P52,158、217、236etc に記載 一回目を通してみてください


 原寸大の目線から入ることができ、三人称にも関わらず、感情移入しすぎてしまいます。
 計り知れない誘惑です。それこそ技術を盗もうとしても、
 続きがきになりすぎて手が勝手に頁をめくってしまうほど。

 知らず、三時間経過なんてザラです。

 なんでもない日常的な描写でさえも、引き込まれるし
 手に汗握る展開になると、心拍数が高まり、唾を飲み込み、唇が乾いてしまいます。
 果てしない臨場感。ほんと、情景がまざまざと目にうかびます。
 ところどころに温かさも感じられ、想いの大切さを実感させられます。

 とにかく、文が秀逸で、感動をも覚えてしまい、
 体言止めの絶妙さといったら憎たらしくてしょうがありません。

 

 コメディ要素は、大いに少ないのですが、それも必要ないくらいです。

 笑えるとは別の意味でおもしろいです。
 
 ぜひぜひみなさん、立ち読みでもいいので手に取ってみてください。鳥肌ぞくぞくものです。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 主人公のネイト・イェレミーアス

 教室の隅。ひとりぽつんと、教室中、学園中からの小馬鹿にする言葉をその一身に受けて佇む少女。
 教師から、生徒から疎外されていた。

 そんな少女を母親に持ち、彼女の想いである夜色名詠の正当を信じ、
 それを証明すべく奮闘する彼の、純真無垢さについつい応援してしまいます。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 少々重め、難しげな文となっているので抵抗のある人にはちょっと・・・



■ 狂影さんの書評                         

 この作品、私は最初竹岡さんが絵を描いていらっしゃるので買いました。

 ですが一巻を読み終わったときにあふれた感動で久しぶりに興奮できました。
 繊細な世界観にしっかりした設定、さらには名詠式どれもこれも澄んだ水のように綺麗でした。


 小説を書き始める前からの私の一番好きな作品であり、現在八巻が発売され、
 小説を書くようになった私に、この人のような物語を書きたいと思わせてくれる小説です。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 ネイト・イエレミーアス
 彼の純粋さゆえの言動や行動は読む者を引き込みます。

 クルーエル・ソフィネット
 多少ネタばれとなりますが、望んだわけではないのに世界の根幹に関連する物事に巻き込まれ、
 それでもそのたびに自分を見つめ答えを出していく彼女は素敵です。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 会話文が少ない……ですかね。



■ T.Kさんの書評                        

 自分がいいと思ったのは、名詠式を使う時の「歌」ですね。

 なかなか情緒があっていいと思います。

 そもそも「名詠式」とは何ぞや?
 という疑問があるでしょうから、簡単にそのシステムに触れたいと思います。

 まず、名詠式には5色の色があり赤、青、黄、緑、白の5色があり、
 例えば「赤色名詠」の場合、まず赤色のものを触媒(カタリスト)として用意する必要があ ります。
 赤い花、赤い画用紙、炎など赤いものなら基本なんでもOKですが、1
 度使ったものは再使用が難しくなるので、普通は次々に新しいものを使います。
 触媒を用意したら準備完了、呼び出したい赤いものを心に描き、
 そのものの名前を賛美する「讃来歌」(オラトリオ)を歌い、門を開き、
 そしてその赤いものを呼び出す、という感じです。

 名詠式にはいくつかのランクがあり、
 第4音階名詠、第3音階名詠、第2音階名詠、第1音階名詠という風に、
 氷の塊や小動物、花といった身近なものから、
 むずかしいものではドラゴン、ヒドラ、ザラマンダー、ペガサスなどの名詠生物も召喚することが可能です。
 特に、第1音階の生物は真精といわれ、別格の強さを持っています。

 主人公のネイトはちょっと地味で13歳でやや中性的な顔で、最初のほうはちょっと影が薄いかも?
 カインツなどのほうが人気あるみたいです。

 名詠生物などを使ったバトルもアリ。
 派手なギャグやぶっ飛んで個性的なキャラなどはあまりいないのですが、
 その反面、くせが少なく読みやすいほうだと思います。(6巻はややコミカルな短編集でしたが)

 自分がこの本の名前をはじめて知ったのは「とある魔術の禁書目録」と同じく、
 「このライトノべルがすごい」という本でした。
 その後、ほかの掲示板で紹介されていたので読み始めました。
 カインツは「このライトノべルがすごい」の人気男性キャラで上位に食い込んでいました。

 名詠式は1色極めるのに10年かかるといわれ、
 それを20代にして世界で初めて5色全てを極めたカインツは生きながらにして伝説の人となっており、
 5色全てを極めたことで「虹色名詠士」と呼ばれています。

 では、名詠式は5色のはずなのにここまであえて触れなかった主人公のネイトが使う
 「夜色名詠」とはなんなのか? それは本を読んでのお楽しみってことで。

 自分が一番好きなのは1巻の夜色の真精を呼ぶあたりです。
 カインツとイブマリーが再会し、イブマリーが最後に消えていくシーンが特に。

 また、1巻から出てくる「反唱」というのがあります。
 これは相手が名詠したものに直接、もしくは道具を使って触れることで、
 その名詠生物などを向こう側に送り返して強制送還する技です。
 
 また、以前一度名詠の触媒としてつかったものは再使用が難しくなると書きましたが、
 これを「後罪」(クライム)と呼びます。
 なぜ一度使った物での名詠が難 しくなるのかというと、
 名詠の際に名詠士は触媒を使って名詠門(チャネル)という門を開き、
 呼び寄せたいものをそこを通して持ってくるのですが、
 一度使った触媒の場合その門が最初に使った時より硬く閉じてしまうからだそうです。

 それと、実は修練を積めば第2音階名詠までなら讃来歌を歌わなくてもできるようになるのですが、
 第1音階名詠、つまり真精の名詠だけは違います。
 これには 「三重連縛」という3つの条件があり、それを満たさないとできないのです。
 まず1つ目は特定の触媒を使わないといけないということ。
 2つ目は特定の讃来歌 を歌わないといけないこと。
 そして3つ目は、その真精に気に入られ、
 その真精自身から真名をおしえてもらわなければならないのです。

 それとアーマって言う主人公の相棒的名詠生物がいるんですが、
 なんとなく灼眼のシャナのアラストールとキャラかぶってるような気がします。
(しゃべりかたとか、自分のこと「我」とかいったりするとことか)
 ヒロインのの方からは「夜色飛びトカゲ」なんて言われてるんですけど。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 主人公の育て親のイブマリーです。
 人に否定されながらも、自分オリジナルの「夜色名詠」を一人で完成させながら、
 無名のまま病気で死んでしまった人です。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 個性的なキャラが少ないこと。全体的にやや線が細い印象がある。



■ 雷真さんの書評                        

 2008年の1月1日に行った本屋で、
 帯にライトノベルのランキングのTOP10に入ったとかかれてたこの本。


 ボクは無意識に手にとっていました。
 少し読んで、T〜V巻まであったので纏め買いする事にしました。
 
 家に帰って、読みました。すぐに、熱中。
 ここまで熱中したノベルは久しぶりでした。
 
 ストーリー、キャラクターが丁寧に作られています。
 キャラクターに感情移入しやすく、スイスイ読めます。
 起承転結の承の部分が少なく、山場もしっかりしています。

 
 ネタバレは特にしません。
 オススメですので、読んでみてください!


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 サリナルヴァ・エンドコードが好きです!
 ああ言う研究員キャラは、ギャグと組み合わせられるので良いです!
 それでいて体術も優れているとは……
 カインツに薬を飲ませようとする所が好きです。

 あとは……エイダ・ユン=ジルシュヴェッサーとネイト・イェレーミアスです。
 エイダの見所は二巻からですが。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
  少し「、」と「。」の付け方に違和感があるところがあります。
 
 それ以外は特に無いですね。



■ 通りすがりの読み手さんの書評                 

 何がすごいって、ちょっと他で見たことないくらい華麗で繊細な世界観!

 自分が望んだ物をこの世に召喚する「名詠式」という技術(魔法)が世界にあるのですが、
 この設定の作りこみがすごい。触媒、制約、理論。
 ここまできちんと器を作り上げたライトノベルを久々に見ました。

 そしてなにより、詠使いという名に相応しい、賛来歌(オラトリオ)という詠唱部分。
 この作品の魅せのひとつですが、こと呪文詠唱という分野では、
 この作品に勝てる詠唱をラノベ界では知りません。

 作者の造語ということですが、これがあまりに美しい。
 ライトノベル作家を目指す人で作中に呪文をと考えている人は、必見です。

 
 そして、その名詠式を舞台に広がる物語が今作です。
 プロローグの『約束』が、時を超え、世代すら超え、美しい旋律を伴って甦る。そんな物語です。

 後半の怒涛の展開に息を呑み、最後の
 『イヴは夜明けに微笑んで』――この部分は素直に、泣いてしまいました。


 ネットで検索してもらえればわかりますが、刊行後一週間とたたず、
 ネットの書評系サイトで驚異的な評価。
 「ここ数年で最高の新人」・「2007年上半期の新人大賞、早くもノミネート」
 という声すら広がってます。

 わたしも、続編が最も心待ちな作品になりました。
 これがラ研の先輩であることを、心のそこから誇りに思います。


 せっかくのラ研出身者ということもあり、ラ研でぜひとも特集してほしいくらいです。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 もちろん カインツ! 最初から最後まで格好良すぎです。
 それに名詠の美しさ。
 そして、なんといってもその『約束』が果たされるエピソードは誰が見ても、
 胸にジンと来る切なさと愛しさがあります。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 欠点ではないけれど、やはり二巻にて、解決してほしい謎があります。
 でもそれはむしろ、期待の方が大きいかな。




■ にゃるさんの書評                        

 富士見ファンタジアで受賞された細音啓先生の作品です。
 現在『イヴは夜明けに微笑んで』、『奏でる少女の道行きは』が刊行され、3巻ももうすぐ出るようです。

 内容ですが、「名詠式」という「詠う」ことで自分が望むものを呼ぶ術式が確立した世界で綴られる、
 少年・少女たちの成長を描いた、息を呑むほど鮮烈で華麗なお話です。

 『詠使い』というタイトルから最初は「詠う?、なにそれ」と思っていました。
 ただ単に「〜は歌った」みたいな、軽い呪文系ものかと思ったんです。
 歌を小説の題材にした作品はいくつかあったけど、わたしが読んだものは全部そうだったから。

 でも、それが大違い!

 讃来歌(オラトリオ)――透き通るような文章と色彩豊かな世界の中で、
 目の前に飛び込んできたのは、目の覚めるような鮮烈な、
 今までゲームや小説で見てきたものとは一線を画す、まさに詠唱の一つの完成形でした。

 この詠唱のためだけに作られたオリジナル言語によって綴られる、
 繊細で色鮮やかな詠唱は本当に一見の価値があると思います。
 「詠使い」の名は伊達じゃなかった。


 さらに、ただ綺麗な詠だけがメインではありません。
 この物語のもう一つのポイントは、その心理描写だと思います。
 悲しさや決意や、誰かを大切にしたいという想い。
 精緻な描写で表現された主人公やヒロインの心理描写は、読んでいて素直に胸が熱くなりました。

 繊細な心理描写、美しくも儚い幻灯のような讃来歌(オラトリオ)、そして心温まるストーリー。
 単なるバトル、萌え。そういったものに頼らない、読み終わった後に
 「ああ、読んでよかった」と思える純粋な読後感は最近のライトノベルでは本当に久しぶりな気がします。


 たまには、こういった優しいライトノベルはいかがでしょう? 全力でお勧めです


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 夜色飛びトカゲ(アーマという名前の召還生物)。
 一人称が『我』だなんて偉そうなのに、羽をもってても数十秒しか飛べなかったりと、
 そのギャップがすごく可愛いトカゲです。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 キャラが多すぎて、最初はちょっと頭がパニックになりました(笑)


■ 一言感想コメント                       

・美しい雰囲気やセラフェノ音語といった独自言語を駆使した世界観。作品の雰囲気に合ったイラスト。登場人物たちが魅力的。読んでいて、早く続きが読みたくなる。
2012/04/30

・去年ブックオフで、タイトルに惹かれて買いました。イブマリー、カインツが現在でどうなるかが気になって、その途中の歌もとても綺麗で惹かれました。
2012/03/14

・独自の言語で詠を詠んでいるところがすばらしい。
2012/03/13

・黄昏色シリーズ。キャラクターの心理描写、物語の展開がうまく結構長めの話なのに飽きさせず続きが気になる展開はライトのベルが数あれどそうそうないと思います。
 呪文詠唱などの単語はよくこんなすごい詩が書き出せるよな(誉め言葉)と感心しきり。
 バトルものなのに殺伐としていない。稀有でかつ貴重な作品群。

・最近、粗製乱造のライトノベルが溢れているせいかもしれないが、全般的に丁寧なつくりに好感がもてた。
 欠点は話の進み方が遅く、かと思えば一気に進んでしまうなど安定しないところが多いのと、専門用語が多く、しかも説明はあまりないか、あってもあっさりと片付けられてしまうため、なれないと読み進めるのがきついところか。
 バトルものなのに殺伐とした感じがあまりしない、癒し系ファンタジーとして完成度は非常に高いと思う。

・純粋に感動できる。
 文章の一つ一つがとてもきれいで読みやすい。


■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)     

最高です!一押し。
おもしろいです!オススメします。
なかなか良いと思います。
ふつうです。
イマイチです。
おもしろくないです。
買うと損します。


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