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僕らはどこにも開かない
鎖の音がする。高校受験やら恋愛だかで辛苦を味わっている奴らを縛る、鎖の音。 世界という濁流の中に流れる様々な情報で、張りぼてでしかない見てくれを形成し、 それを正解だと信じ切っている奴らを縛る、鎖の音。 ―がちゃがちゃ、がちゃがちゃ。その音から逃げ出したくて、俺は―。 電撃が贈る衝撃の問題作、登場。
ぶっ飛んだ萌えキャラが登場するわけでもない。 加えて、ライトノベルだというのに挿絵すら一枚もはいっていない。 否、挿絵がはいっていないのではなく、挿絵を必要としないのだ。 いや、適した挿絵が見つからなかったのかもしれない。 ファンタジー要素は全く無いと言うのに、 ファンタジーを越えた奇抜さと魅力を持ち合わせている。 3人のキャラクターの視点を用いて語られるこのストーリーは、 一度ハマッたら最後まで止まることを許さない。 決して心が安らぐわけでも、気分が良くなるわけでもない。 道徳と言う道徳を完全に無視しながらも、完璧に、合理的に、物語は進行する。 ―――がちゃがちゃ、がちゃがちゃ。 その音から逃げ出したくて、俺は――。 著者の御影瑛路さんは、今回のこの作品が初。 別に、電撃ゲーム小説大賞で賞を取ったわけでもないけれど、 僕はこの作品を、過去最高の作品とします。 挿絵が無いので、そっちの方面に期待している方々は残念でしょうが、 この作品は、挿絵を必要としない位に面白いです。 普通のライトノベルというものに飽きてしまった方、必読です。
どのキャラクターが好きかと断言することは出来ません。 また、作品全体に、異様な雰囲気が漂っていて、どの部分を読んでも退屈しません。 しかし強いて言うならば、最後の決着シーンは最高に興奮します。
挿絵が無いというのも、この手の作品に明確な挿絵をつけてしまうと、 どうしても作品のイメージが偏ってしまうので、 挿絵なしという選択は正しかったように思えます。
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その小説、105円で売られているかも…… |
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