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ビター&スイートな物語、衝撃と感動の第5弾

“文学少女”と慟哭の巡礼者


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ジャンル学園
著者野村 美月
出版社:ファミ通文庫
発行年月: 2007年09月
本体価格 620円 (税込 651 円)

すとれんじているさん一押し!(男性・18歳)

■ 解説                               
 
 遠子の受験・卒業を目前にし、寂しい思いにとらわれながらも、
 ななせと初詣に行ったりして、和やかなお正月を迎える心葉。
 だが、ななせがケガをし、入院先に見舞いに行った彼は、
 その心を今も縛り付ける、ひとりの少女と再会する――!
 過去に何があったのか。そして今、彼女は何を望んでいるのか……。

 心葉は、そしてすべての物語を読み解く”文学少女”は、その慟哭の中から、
 「真実の物語」を見つけ出すことができるのか!?


■ この作品について、熱く語ってください!            

 “文学少女”シリーズ5巻目です。

 1巻2巻3巻4巻と続いてきた大きな物語の流れを、ここで一旦総決算する形になっています。
 そのためか、これまでのシリーズの中で最も長いです。


 このシリーズのコンセプトは「名作文学のオマージュ」ですが、
 おそらく今までの中では元ネタが最も有名なのではないでしょうか。
 この作品は、

 1、元ネタが読者には提示されている
 2、語り部(井上心葉)とは別のキャラクターの一人称が挿入される。

 (これは、ミステリーに譬えれば犯人の手記が載っているのと同じことです)

 の二つの理由により、本来非常に読者にとって
 展開の先読みがしやすいという欠点があるはずなのです。

 しかしそこが作者・野村美月の凄いところで、これだけ読者に情報を与えながらも、
 巧妙な誘導によって読者に「正解させない」のです。

 私も、かなりいろいろと先読みはしていました。
 しかし、終盤で明かされた真相は、その先読みの遥か上を行くものでした。
 「やられた・・・」と呟いたほどです。


 そして、物語はラストへと向かって一気に展開していきます。
 340・341ページに引用されている文章は、最早誰もが見慣れていて、
 さしたる感動を覚えなくなってしまったほど有名なものです。
 しかし、このシーンに用いられることで、名文はもとの輝きを取り戻しているのです。
 さらに直後に続く感情吐露のシーン、この一連の流れは感動せずにはいられません。

 第九章最後の一行は、心が洗われるような気分さえします。


 今までの全てを決算したストーリーのエピローグには、とてつもない伏線が張られます。
 最初から最後まで目が離せない、素晴らしい作品だと思います。



■ お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?  

 天野遠子先輩。
 出来事の背景にある真相を明らかにするのみならず、出来事の当事者達が、
 今後進むべき道すらも示してくれる、そんな“文学少女”の活躍、お見事です。
 彼女に対して抱いている思いは「お気に入り」とか、
 そういうのよりむしろ「敬意」であるような気がします(笑)

 琴吹ななせ。
 シリーズ開始当初から、そのストレートなツンデレっぷりが賛否両論なヒロインなのですが、
 4巻・5巻と続けて読むと、そのあまりの健気さが可愛くて仕方がなくなってきます。


■ この作品の欠点、残念なところはどこですか?          

 特に見当たらないですね。


■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)     

最高です!一押し。
おもしろいです!オススメします。
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 ついにラストエピソード――「文学少女」の物語が開幕!

“文学少女”と神に臨む作家


 ○読者投票結果
 最高です!一押し。 43
 おもしろいです! 1
 なかなか良いです 0
 ふつうです 1
 イマイチです 1
 おもしろくないです。 0
 買うと損します。 0

ジャンル学園
著者野村 美月
出版社:ファミ通文庫
発行年月: 2008年05月
本体価格 600円 (税込 630 円)

伊吹 沙羅さん(女性・14歳) ケイ素さん(男性・18歳) 
白野 紅葉さん(男性) ひすいさん(男性)一押し!

■ 解説                               

「わたしは天野遠子。ご覧のとおりの“文学少女”よ」
 ―そう名乗る不思議な少女との出会いから、二年。
 物語を食べちゃうくらい愛するこの“文学少女”に導かれ、心葉は様々なことを乗り越えてきた。
 けれど、遠子の卒業の日は迫り、そして―。
 突然の、“文学少女”の裏切りの言葉。愕然とする心葉を、さらに流人が翻弄する。
「天野遠子は消えてしまう」「天野遠子を知ってください」
 ―遠子に秘められた謎とは? 心葉と遠子の物語の結末は!? 最終編、開幕。


■ 伊吹 沙羅さんの書評                     

 個人的には文学少女シリーズ全部がおすすめです!
 そのなかでも、一番じ〜んと来たのが最終巻のこれでした。

《以下ネタバレ有り》

 文芸部部長の天野遠子が「本を食べる妖怪(?)」
 という設定があるのですが、とても斬新だなと思いました。
 
 余談ですが、文章中に「咀嚼」という言葉が出てきます。
 咀嚼は、食べ物をよく噛んで味わうこと、と言う意味と、
 文章を正しく読み解くこと、という二つの意味があります。
 遠子は、咀嚼の二つの意味を同時に行っているんですよね。
 作者も、この言葉から物語の設定を生み出したのかな〜
 なんて『想像』しています。

 閑話休題としまして、
 この最終巻においては、遠子の過去と、主人公、井上心葉の選択が大きなテーマになっています。
 ほかにも、琴吹ななせが遠子に嫉妬したり、姫が妊娠したり、
 竹田千愛が流人くんを刺したり、もう・・・すごいです。
 ですが、一番最後は、未来への希望をもって、余韻をもって終わらせています。

《ネタバレ終わり》



 シリアス物語ですが、その分感動量は半端じゃないです。

 漫画化もされていて、劇場アニメ化も進行中の作品です。
 皆さん、是非一読ください!!


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 二人います。

 非常にネタバレを含みます。



 1、井上心葉 2、竹田千愛

 私自身の性格が、心葉くんを2つ、竹田さんを3つ足して5で割った性格です。
 「いつか壊れるかもしれない関係なんて、最初からないほうがいい」
 という心葉くんの台詞と、
 「死にたいと思うのが癖みたいなもの」だという竹田さん。
 私にそっくりなんです。
 暗い話ですみません。
 でも、二人とも根はいい人なので。



■ ケイ素さんの書評                       

 文学少女シリーズ最終章です。

 今作品では今まで語られていなかった遠子先輩の過去が明かされていきます。

 じゃあ文学少女の代わりに物語を読み解いていくのは?
 といったら一人しかいませんよね。
 心葉君の成長を応援しながら読んでください。そして最後に泣いてください。

 本の終わりが近づくと、まだ終わってほしくないという気持ちが生まれることがありますよね。
 この本はそれが大きすぎて僕は泣いてしまいました。



お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 遠子先輩
 優しい文学少女でドジで悲しい過去があって…
 魅力たっぷりの人物です。



■ 白野 紅葉さんの書評                     

 実際は上下巻であるのですが、一つの作品として語らせていただきます。

 ……感動で言葉が出てきません。

 まず作者の野村先生の腕に舌を巻きます。
 伏線の回収の仕方や、主人公の一人称であるにも関わらず浮かぶキャラの心情。
 そして何よりも驚愕の真実。言葉の一つ一つ全てが鳥肌ものです。


 読み終えたとき泣きますよ。

 あの時のあの人物の行動の理由、あの時の言葉の理由。
 全部全部明かされて、スッキリして心に隙間ができた感覚に陥ります。

 ここからはネタバレです。
 
 井上心葉の言葉にこんな言葉があります。

 『ぼくはこれから、道化のように、哀しみを隠して笑おう。
 ときに幽霊のように渇望し、ときに愚者として決断し、堕ちた天使のように穢れにまみれても、
 月と花を胸に抱いて、聖地へ向かう巡礼者のように歩き続けよう。
 そうして、神に臨む作家になろう』

 ――お分かりですか? 私は大泣きしました。
 このシリーズを読んできた方なら絶対に感動する言葉のはずです。

 私はなぜ天野遠子があんな選択をしたのかわかりません。
 でも井上心葉のため、すべてそうするしかなかったのかもしれません。
 私は彼女の選んだ道に、泣きながら納得するしかありませんでした。

 ネタバレ終わりです。

 この作品に出会えた事に感謝します。
 親愛なる“文学少女”へありったけの感謝と愛情をこめて。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 井上心葉。
 ついに立ち上がり、前向きに歩んでいく姿がかっこいいと思いました。



■ ひすいさんの書評                       

 文学少女”シリーズ完結編です。
 それに加え、“文学少女”シリーズ唯一の上下巻構成となっています。

 正直、ここまで鳥肌が立った作品は初めてだったような気がします。
 伏線、意外性、構成……様々な面で感嘆しました。


 一作目から、何となく軽い感じで読んできたのがこの巻で一転しました。
 内容が重いといえば重いんです。
 ただ、それでも登場人物たちの葛藤が、とてもリアルに描かれていて……
 共感出来るからか、読んでみて心が沈んでしまうかといえばそうでもない。不思議です。

 また、前半と後半で登場人物達に抱く感情も大きく変化する作品です。
 
 前半は主人公の先輩、遠子先輩の弟である流人に対してうざったいと感じ、
 主人公と、それと付き合っているななせに半ば同情しながら読んでいましたが、
 下巻になって物語が後半に連れ、流人に対して同情するようになっていました。

 そして、“文学少女”シリーズを締めくくるクライマックス。
 沢山のどんでん返しに驚きつつ、主人公の成長を感じながら、
 この作品の世界観にどっぷりと浸かることができました。
 
 エピローグを読み終えた後はひたすら余韻に浸っていたいという感じに包まれたりも……。


 分からない、というのは私の説明が下手というのもありますが、
 実際に読んでみないと分からない良さが沢山含まれた作品だと思います。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 前半は琴吹ななせ、後半は主人公の井上心葉。
 上記の通り、作品の最初と最後とでキャラの印象が異なる作品です。
 前半は、ななせの一途に心葉を想う姿に好印象を受け、
 後半は最初と比べて段々と成長し、自分の行く道を見据えることのできた心葉がたまりません。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 他の作品にもいくらか言えることなのですが、
 個人的には法律や犯罪を軽く見ている感じがしました。
 犯罪を犯しても普通に暮らして居られる、というキャラがいたりします。

 
 また、所々で入る回想(というか伏線とか、そういうのでしょうか)が鬱陶しかったりも……


■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)     

最高です!一押し。
おもしろいです!オススメします。
なかなか良いと思います。
ふつうです。
イマイチです。
おもしろくないです。
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