ライトノベル作法研究所
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  4. ほうかご百物語公開日:2014/07/01

ほうかご百物語

ジャンル:学園
著者:峰守 ひろかず
出版社: 電撃文庫
発行年月: 2008年2月10日
○読者投票結果
最高です!一押し。 83
おもしろいです! 28
なかなか良いです。 12
ふつうです。 10
イマイチです。 2
おもしろくないです。 74
買うと損します。 19

青大将さん(男性・17歳) 跳ね馬さん(男性) 竜遁さん(男性)一押し!

■ 解説

「いきなりで悪いけど、あなたの血、吸ってもいいかな」
 高校生で美術部員の僕は、夜の学校で銀色に輝く瞳を持つ不思議な少女に出会う。少女の正体を“イタチ”だと見抜いて吸血(!)の難を逃れた僕は、その夜、彼女とある『約束』を交わす。翌日。美術室に現れたイタチ少女は、僕に告げた。手遅れになる前に約束を果たしに来た。約束を果たすその日まで、僕のことを守ってくれる、と。一守るって、一体何からっ!?ピュア可愛いイタチさんと僕の、ちょっと不思議な放課後物語。第14回電撃小説大賞“大賞”受賞作登場。

■ 青大将さんの書評2014/06/25

 今日、最終巻を読み終わったので、その興奮と一抹の寂しさでこれを書いています。

 本作は、第十四回電撃小説大賞大賞受賞作をシリーズ化した物で、本編9巻+「あんこーる」1巻の、計十巻からなります。
 背表紙の色が同じなので、最初は狼と香辛料と間違って買ってしまったのですが、すぐにこっちに引き込まれました。

 作者の峰守ひろかずさんは、電撃大賞受賞時のインタビューでこの作品を、「妖怪対処」の物語、と仰っていましたが、まさにその通りです。シリーズ通して派手なアクションがあるのは山場だけで、その他では日常シーンの中に、ちょっと厄介な妖怪が絡んでくる、と言った構造になっています。

 だからといって、退屈だと言う訳ではありません。日常シーンでも、派手なシーンでも、キャラクターの掛け合いは絶えず、純粋なコメディーとしても楽しめます。場合に依っては、その掛け合いに相手の妖怪まで絡んでくるので、緊張感は薄れてしまう事もありますが、逆にそれがこの作品の美点でもあります。

 一言で言ってしまうと、この作品の最大の魅力は「安定感」です。

 笑わせて欲しい所で、ギャグが的確に挟まってくる。シリアスな空気になった時は、そちらへ偏りすぎない様に、巧く物語が転がって行く。いい感じだな、と思ったカップルは巧い具合に一緒になる、と、読者が、「こうして欲しいな」と思った所は、ほぼ確実に叶えられて行きます。意外と、こう言った作品は少ないと思います。

 純粋に、話の面白さの水準も高いです。基本的に一巻で一つのお話は一旦切れ目を迎えるのですが、一巻に入っている四、五章は、全て妖怪が絡んでおり、それらの積み重ねで、最後の章がその巻を綺麗に締めくくる、と言った形になっています。エンターテインメント小説としても、これは理想的な物語の作りだと思います。
他の電撃大賞受賞作と比べるとこぢんまりとした感が否めないですが、それがこの作品の最大の武器でもあります。
ラブコメ好きな方、妖怪好きな方、学園物が好きな方、一度読んでみられる事をお勧めします。

お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?

 総じて、キャラクターは個性的です。個性的なキャラクターが、時に正ヒロインであるイタチさんを食ってしまう事があるのですが、ここではやっぱり、イタチさんをあげてみようと思います。

・イタチさん
 正ヒロインです。この人は「鼬」と言う妖怪なのですが、主人公の白塚真一はイタチさんにべた惚れしていて、事あるごとに「大好きだ!」と叫びます。
 見所はこの時のイタチさんの反応です。お話が進むに連れ、イタチさんの反応が肯定的になって行きます。(巧い言い方が思い浮かびません。実際に読んでみられる事をお勧めします)
 このイタチさんが、昨今のライトノベルのヒロインとして異色であるのは、自分から「萌え」を振りまかない事です。
 自分の欠点を見つけると、人に心配をかけない様に、隠れて人一倍努力する。自分には厳しいのに、他の人の失敗は大らかに受け入れる。

 主人公の真一は(この小説はこの人物の一人称で進んで行くのですが)、ちゃんとこう言った所も解った上で、前述の様な愛情表現をするので、読者も彼と同じ気持ちになり易いです。容姿や言動にありありと見える可愛さではなく、行動や信念からにじみ出る健気さが、いじらしいヒロインです。

この作品の欠点、残念なところはどこですか?

 小説だけで完結してしまう事です。
 確かに、電撃大賞受賞作でメディアミックスをした作品は少ないのですが、それでも最終巻を読み終わった後に、続きを読む事が出来ないのは、それなりの寂しさを感じます。
 物語の終わりが理想的な形だからこそ、その物語の世界にもっと使っていたいのですが、それが出来ない、と言うところが、たった一つの弱点だと思います。

■ 跳ね馬さんの書評2009/02/13

 第14回電撃小説大賞受賞作です。
 買った理由としては、友達が読んでたのを見て「イタチ!?」と思いました。
 なんかちょっと一風変わった世界を繰り広げてくれそうだったので、購入。

 そして読んでみると、変わってる・・・ってほど変わった物語でもなかったです。
 結構話は単純なんですが、とても楽しめました。

 一つ目に話が分かりやすく、、ギャグもたくさん盛り込まれてて読みやすい。
 二つ目には出てくる妖怪の種類が多く、よく調べられていて、それらを読んでるだけでも楽しめる。
 そして皆さんが言ってますが・・・三つ目にイタチさんが可愛いことですね。

 あとで述べるように、残念なところも多いんですが、買って損はしません。
 レビューを見て読んでみようかなと思った人、大賞だから買おうと思ってる人、獣娘好きな人(笑、どうぞ手にとって見てください。

お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?

 イタチさん(ヒロイン)か、白塚真一(主人公)か・・・。
 いや、二人揃ってこそ両者の魅力が引き出されるって感じですかね。

この作品の欠点、残念なところはどこですか?

 まず、シリアスな展開でも主人公真一に全く焦りが見られずに、あまり緊張感が伝わってきません。

 恐ろしい妖怪を前に人間が落ち着いてて、強い力を持った妖怪の方が緊張してます。

 次に挙げると、真一&イタチさんの関係に進展が期待できない。
 最後に、気になる人と気にならない人がいるかと思いますが・・・
 真一、しつこい。「イタチさん」しか言ってません(苦笑

■ 竜遁さんの書評2008/05/23

 この作品は、電撃文庫の小説大賞の大賞受賞作です。

 私は肩書きで本を読んだりはしないのですが、このときだけはその表示を見て買う事にしました。
 結果的に、この作品は大当たりでした。

 一人称で書かれている文には、主人公の白塚真一の多彩な感情が余すところ無く描かれており、なおかつ文体も読みやすくきれいなものでした。
 登場するキャラクターの個性は一般的といえば一般的ですが、それを感じさせないだけの生き生きとした躍動感がこの作品にはあります。 

 特に見るべき点としてお勧めするのは、ヒロインの少女の健気な頑張りです。

以下ネタバレ:
 主人公である美術部員の白塚真一は、夜の美術室でイタチが化けた美少女に血を吸われかけます。
 とっさの機転で吸血を免れた白塚は生来のジゴロ体質(?)のせいなのか、彼女をモデルにして、絵を描くという約束を取り付けます。
 その後、彼の前に現れたイタチさんに、彼は約束を果たすまで守ってもらうことになるのですが、

 このイタチさんがすごく可愛い。

 よく使われる『萌え』という単語とはちょっと違った意味での可愛さがあります。
 しかし私のボキャブラリーではこの可愛さを表現することはできません………

 とにかくなんでも一生懸命なんです、なんでも頑張っちゃうんです。
 美術部の活動も、学校内の妖怪退治も、そして主人公を守ることも。
 ちなみに主人公はイタチさんにベタぼれです、ぞっこんですとも。
 あまり描写はされてはいないものの、多分三人称で書いていたら、二人はラブラブカップルに見えなくも無いでしょう。
ネタバレ終了:

 とにかく、この作品は読んでみればわかりやすいと思います。
 ほのぼのとした流れの中に、いろいろな笑いが込められています。

 一つだけ述べておくと、人によっては合わないかもしれません。
 私の友人たちはこれに撃墜されましたが。

お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?

イタチさん:
 とにかくこの作品の主軸、というかいなければ成り立たないほど重要なキャラ。
 可愛いと思うかどうかは個人の判断ですが、私は素直に可愛いと思いました。
 性格は素直で優しい、健気な努力家であります。

経島御崎先輩:
 イラストを見ればわかるのですが、その外見で先輩です、先輩。
 妖怪研究家という怪しげな趣味に精を出し、空気を読んだ上でぶち壊す、
 傷口に塩を塗りたくってバーナーで炙ってしまうほどの精神ダメージを与えてくる人でもあります。
 ぶっちゃけ超マイペースな人。
 しかし序盤から終盤までずっと活躍いたします。

この作品の欠点、残念なところはどこですか?

 最初から続編を意識していたのか、それとも訂正したのかは不明ですが、ストーリーのラストがどうも物足りなく感じました。
 気になる人は気になってしまうかもしれません

■ 一言感想コメント

・表紙買いしました(笑)
 何はともあれイタチさんが可愛いです。
 イタチさんが好きになれないなら読めたものではありません。
 イタチさん大好きな主人公の一人称のため、少々くどいかも知れません。
 イタチさんは文句なく可愛いですが短編でサクサク読めて、人間的ながら妖怪の信条(少し大げさかも)を持ち合わせた妖怪たち。
 ハーレム系ばかりな昨今(2008年頃)のラノベの真逆を行く一途な主人公、あざといキャラ(電波だったり語尾に変なのがついたりetc)がいない 。
 といった所もさり気なくポイント高いです
 全体を俯瞰すれば決して個性的ではないかも知れませんが、かゆいところに手が届くといった感じです。
 最近のラノベ(ラブコメ)にうんざりしてきたあなたにこそおすすめです。
 駄文失礼しました。
2008/04/30

■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)

最高です!一押し。
おもしろいです!オススメします。
なかなか良いと思います。
ふつうです。
イマイチです。
おもしろくないです。
買うと損します。


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