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天槍の下のバシレイス
世界中に突如出現した『塔』と巨大生物群。 その存在により日本は広大な無人地域を挟み、東西に分断されていた。 2018年、東日本にいた十五歳の川中島敦樹は、軍の観測隊に選抜され『塔』を目指す。 しかし率いた隊は『当初の予定通り』全滅。 敦樹だけが西日本東部辺境である南兵庫へと逃れた。 1960年代まで市民の生活水準が後退したその土地で、 敦樹は学校に通いながら防災団の一員として活動を始める。 同級生でもある仲間たちと、やがて人類再起へ向けた戦いの一翼を担うために―― 『電撃hp』誌上に掲載された「まれびとの棺」前半に、書き下ろし二編を加え、 新シリーズ、いよいよスタート。
連装刀、多脚砲台、剛粧、ファンタズマ、戦術歩行艦、塔、etc... オリジナル用語が飛び交いながら、 それらが馴染んでいる関西圏の昭和末期的雰囲気がなんとも絶妙。 ハードな設定、それを忘れがちにさせるまったりした日常描写、 やたらに凝ったギミック、燃えるガジェット、どこにでもいそうでどこにもいないキャラクター。 それらの要素が食い合うことなく引き立て合っています。 地味ながらクセのない文体が読みやすく、 気がついたらその絶妙な世界観とキャラに引き込まれるでしょう。 ちょっとしたサブキャラ一人一人にちゃんと味があり、 彼らの人間模様と怪物と戦う日常が入り混じった、良作です。
なんとも言えない男前っぷりを披露します。 その真面目さと天然ボケがなんとも言えません。 オマケに某ドラゴンごろしのような大刀で怪物どころか戦術歩行艦と斬り結ぶ格好良さ。 それでいながら趣味は釣りで、 友人の眼鏡っ娘と手を繋ぎながら銭湯に入るというズレっぷりが凄まじい。
派手なことをやっているはずなのに、とにかく淡白な文体が全てを地味にする。 アクが強いはずの作品なのに、割と誰にでも勧めやすいという長所にもなりますが。
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トルネード!
主人公・葉桜栄斗は格闘技オタクの高校生。 ある日、ストリートファイトからの帰りに「トルネード」と呼ばれる豪腕のファイターの存在を知る。 その正体は、栄斗が書生として住み込みで働いている円乗寺家の次女、七味だった! しかも逆立ちして闘う格闘技・カポエラの使い手でもあったのだ……。 竜巻のように読み手を引き寄せる格闘アクションラブストーリー、ここに開幕。
格闘技オタクの主人公がハマっているストリート・ファイトや、 彼が通う高校で催される大規模な格闘大会を描いています。 この物語を語るにあたって欠かせないキーワードがいくつか存在します。 まずもちろん格闘技、続いてカポエラ――そして、パンツ。 格闘技の取材は多くされたらしく、その知識がキャラクターの語る蘊蓄として、 また全編を彩る格闘描写にもふんだんに発揮されています。 もっとも、それがよくある作者の語りたがりという風にうるさいものではなく、 蘊蓄は抑えめで分かりやすいところがいいですね。ここはきっと気を使われたのでしょう。 その暴風の如き戦いぶりから『トルネード』、 また『純白の天使』ともあだ名される美少女格闘家・七味が物語の大きなウェイトを占めます。 表紙の子です。 彼女は良家のお嬢様ですが、いざ戦いとなると、 可憐な制服姿で逆立ちしたまま鮮やかな蹴り技を繰り出す、勇猛果敢なファイターとなります。 お嬢様然としたふだんの可愛らしい描写と、格闘シーンのギャップは見所でしょう。 そして、カポエラは足技を主体とした格闘技、というのはご存知の方も多いでしょうが…… それを、彼女はスカート穿いたまま平気で繰り出すわけです。 なぜ彼女が『純白の天使』と呼ばれるのか? どうして『純白』なのか? ――その理由が容姿の可憐さだけでないことは、これで分かって頂けると思われます。 ややネタバレになりますが、彼女ともう一人のヒロイン・みずかとのバトルも見所です。 物語が最高にヒートアップするところで、 これは読んでいてまさに自分も観客席から直接見ているような熱い感覚が味わえます。 もはや恥じらいなどという言葉はどこへ行ったのか!? 激しく翻るプリーツスカート。 純白が、縞柄が、ふとももが――強烈な足技と共に飛び交う描写に目が引きつけられること請け合い。 『戦う女の子はカッコイイ!』という昨今のラノベヒロインを顕著に現わしています。 ……まぁ、男子たるもの、スカート姿でバンバン足技を繰り出してくる美少女相手に 平常心で戦えという方が無理でしょうね。 ちなみにフルメタで有名な四季童子さんが挿し絵を担当されていますが、 その9割方がパンチラ絵だったりする辺り、この作品のコンセプトが窺えます。 格闘技と白いアレを愛する同士は間違いなく読むべき。 ――痛い視線に晒されようとめげないこと。
下着が見えても何のその、可憐に戦うその姿に惚れ惚れします。 ……お色気描写は抜きにしても、単純に格闘シーンはカッコイイです。 そして前述した通り、お嬢様モードの恥じらいぶりもまた可愛らしく、 ヒロインとしての魅力を高めています。
やや善戦する人も一応いるのですが、ほぼ全員がヒロイン達の噛ませ役として終わっていきます。 努力してるシーンもあるし、カッコイイ信念を掲げている人も中にはいるのに…… ちょっと勿体ないですね。 (ただ剣道部の人は、『真剣白羽取り』をお嬢様にさせたという点で最大の功労者に違いない…… 読めば分かります)
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その小説、105円で売られているかも…… |
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