人は誰もが、心の中に一枚の絵を持っている──。
アート・テロリスト『破壊者』の目的とは!?
第16回電撃小説大賞金賞受賞作。
「プロパガンダ撤廃令」により、世界のあらゆる芸術が規制された時代、ヴァンダルというアート・テロリストが世界各地に世界の名画を描き残していくという物語です。
絵画を描くヴァンダルたちは、何を思うのか、この世界に暮らす人々は、描かれた絵画から何を感じるのか。
ライトノベルでは珍しいタイプのお話です。
少年少女が悪に立ち向かうという心躍るようなものではなく、むしろ心落ち着くようなほっとするものです。
「人は誰もが、心の中に一枚の絵を持っている」とあるように、このお話のテーマは絵画。
あなたも、心の中の一枚の絵を捜してみてはいかがでしょう。
お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
どのキャラクターも好きですが、やっぱり主人公のエナが一番です。
世界の理不尽さに屈することなくいつも前向きに生きる彼女の姿は美しく感じます。
挿絵や作中の登場人物たちが、露骨な「萌え」に頼っていない所が一番いい点だと思います。
それでいて登場人物の誰しもに共感を抱くことができます。
掛け合い漫才のような会話も、ジョークや皮肉がきいていて楽しいです。
文章表現も凝っていて、特に風景描写の所がお気に入りです。
「ヴァンダル」の世界にある風景が、文章を通して頭に思い浮かんできます。
この作品の欠点、残念なところはどこですか?
エナの前向きな姿勢と世界の理不尽さに決してくじけない強さに惹かれました。
あと極度の甘党ってのがツボです。
・夏目小夜子は正直、自分の理想の彼女です。
この本を読む前から、なんとなく自分の理想の彼女はこんな感じかなって漠然と思っていたイメージがあって、それにガチッとあてはまった感じですね。