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甲賀忍法帖
互いに憎しみあう忍者の二大勢力、甲賀と伊賀。 その垣根を越えて、甲賀の弦之介と伊賀の朧は愛し合っていた。 だが、その二人を悲劇が襲う。 それは「徳川三代将軍の座をかけ、甲賀と伊賀を戦わせる」という家康の一言であった。 命を受け始まる甲賀・伊賀の精鋭忍者各十名による死闘! 敵同士となる弦之介と朧。 果たして二人の愛の行方は?そして戦いの結末は?
しかし、内容はまさにライトノベルの先駆け的な存在としか思いようがないので、 書いている始末です。 甲賀と伊賀の忍者同士が繰り広げる超能力じみた忍術合戦、 それを丁寧かつド迫力に表現する文章力に開いた口が塞がりません。 しかも物語にロミオとジュリエット要素を巧みに取り入れて、 伊賀と甲賀の溝や人間関係を濃密に描写し、 総勢二十人のキャラクター達を約350ページで描写しきる構成力が凄すぎます。 最近になってタイトル『バジリスク−甲賀忍法帖』とタイトルを変えた漫画になって、 更にアニメ化され、実写映画にもなって話題になってます (ただ、映画版の評価はすこぶる悪いんですけどね)。
忍の一族の人間としては二十人の中で最も浮いているように見えて、 彼女の持つ能力はあらゆる忍者にとって天敵なのです。 しかし、本来の朧は争いを嫌い、甲賀の忍者とも愛し合う優しい女性でもあるわけで、 50年前から既にギャップによる萌えが存在してたんだなぁ…… などと思わされるキャラクターです。
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軍艦越後の生涯
昭和10年、中国大陸における日本海軍機の米艦誤爆事件は、 経済破綻で疲弊したアメリカに、対日開戦の格好の口実を与えることとなった。 合衆国海軍は対日渡洋作戦『皇帝の道』を発動! それを迎え撃つは、世界最大にして日本海軍最強の戦艦『越後』! 「モンタナ」の16インチ砲と「越後」の51サンチ砲が激突する―!! 海軍軍縮条約が締結されなかった世界を舞台に、 米国のダニエルス・プラン戦艦と大日本帝国海軍の八八艦隊の艦隊決戦が繰り広げられる! 太平洋に展開する“鋼鉄の戦乙女”たちの饗宴。
しかし、これは例外的に『ライトノベル』といってよい作品だと思います。 この小説は『ある要素』を除けば普通の戦記モノに過ぎません。 (もちろん、帝國海軍の戦艦郡の活躍もいいのですが……) しかし、中里先生らしくもはやスパイスですらないあるものが加味されています。 ひとたび表紙をめくると仰天します。 なぜか架空戦記の挿し絵に、手鞠を持った可愛らしい少女が微笑んでいます。 しかも、3巻になると美少女ゲームも吃驚の数の少女達が見開きで並んでいるのです。 彼女たちは『船魂(ふなだま)』と呼ばれる存在で船の魂です。 はっきり言って仮想戦記というジャンルは女性は全くといっていいほど女性は存在しません。 第二次世界大戦時では日本はおろか、米軍でさえ女性は最前線で戦っていないからです。 しかし、この作品は違います。まさしく『萌え系仮想戦記』なのです。 中里先生は商業誌で始めて『燃え』と『萌え』の同居を成し遂げた偉大な人だと思いました…… いや、ホントに。 ちなみに主役の『越後』は、百合模様の着物を着た純情可憐な黒髪で手毬の少女(挿絵有)。 日本に捕獲された米軍の戦艦「ヴァーモント」(日本名「対馬」)が、 金髪グラマーそばかすのカウガール風ウェスタン娘(挿絵有)。 真っ白な凛々しい海軍第二種軍装の姿をした「大和」(挿絵有)。 男装麗人で剣豪姿の「武蔵」(挿絵有)。 巫女装束の「比叡」。 カッフェのウェイトレス風…… というかめがね三つ編みおさげホウキ付のアキバ系メイド(挿絵有)の「榛名」。 モガ(大正時代のモダンガール)姿の「長門」。 巫女装束の「比叡」。 天女の羽衣のような衣をまとった『翔鶴』など、もう選り取りみどりです。 足りないのはおそらく猫耳ぐらいのものでしょう(笑) もちろんただの萌え系小説ではなく、仮想戦記としても秀作です。 仮想戦記にありがちなトンデモ設定はほとんど無く、「ありえたかもしれない歴史」です。
レイテでのあの勇ましさは、本っっっっっ当に感動します。 残念ながらそのシーンの挿絵は無いのですが、 ほとんど沈みかけた『武蔵』の艦上に立つ髪の長い武士姿の少女…… ありありとその光景が頭の中に浮かぶようでした。
タイトルのとおり、軍艦越後の視線で太平洋戦争を見るというものなので、 仕方が無いといえば仕方が無いのですが…… 『越後』『武蔵』『ヴァーモント』以外は、ほとんどチョイ役です。
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あれ!? その小説、もしかして105円で売られていない? |
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