ライトノベル作法研究所
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風水探偵タケル

ジャンル:伝記・時代
著者:六道 慧
出版社:富士見ミステリー文庫
発行年月:2001年12月
gmさん一押し!

■ 解説

 時は大正九年。特殊技能を活かした副業を終えたばかりの苦学生・速水タケルは、戻ってきた学生寮で不機嫌だった。
「なんで尾行したんだ?」
「君の力を見てみたかった。風水師なんだろう?」
 目の前では、同室者にして自称・親友の東儀雪彦が有無を言わせぬ口調で、話を進めている。
「行方不明者を探して欲しい」
 それが全ての始まりだった。
 複数の行方不明事件、それを結ぶ奇妙な共通点、そこに隠された謎とは―?
 不思議な『かごめ歌』が響く時、一人、また一人と犠牲者は増えて行く!
 帝都の闇を舞台に風水的活劇ミステリー、堂々の開幕。

■ gmさんの書評

 時は大正時代、舞台は帝都・東京。
 名家の子息が集う一流学校に紛れ込んだ庶民出身の異端「貧乏学生」の速水タケルが、隠し持った風水の知識・技能を武器に怪奇な事件に立ち 向かっていく。
 そういった内容の、伝奇ミステリー的な作品です。
 まず、この要素だけで好きになる人は少なくないのではないでしょうか。自分もその一人です。

 風水を武器にする探偵役が挑むのは、やはり風水に関連したオカルトの領域からくる怪奇な事件。
 人々の眼には不思議にしか映らず、手に余る事件でも、風水探偵の眼にははっきりと仕掛けられたギミックが映ります。

 「風水探偵にしか解決できない」そんなシチュエーションこそが、まず一番に挙げられるこの作品の魅力です。

 その内容はどうかというと、これもまた凄いものです。
 キャラクター物tかと思いきや、全編に渡って展開される事件の謎追い、豊富な情報量。

 一般常識の範疇外の理屈だとはいえ、その理屈にそっ て構築された事件の構造と、それを追いかける物語の構図は見事に「探偵もの」として成立しているように思え、説得力があります。

 風水の知識を持っていない私ですが、十分物語に引き込まれ、楽しむことができました。

 また、メインキャラクター達が年頃の少年少女であり、彼らが織りなすジュブナイルものとしての側面も、大きな魅力と言えます。
 「大正」というモダン・お洒落な雰囲気のある設定どおり、泥臭く無く、言ってしまえば気取った所のある登場人物達のやり取りは、現代人の感覚とは一風違っているように思います。
 けれど、そこに通った人間の情は理解でき、気取ったところもかえって微笑ましく視えて面白いものです。

 毎度毎度事件の度に美人の女性を見つけ、「自身のマドンナ」と設定し、事件解決にやる気を出す主人公・タケル。その悪友であり無二の相棒 ある東儀雪彦。雪彦の従姉妹であり、タケルに想いを寄せつつも持ち前の怪力と併せて何故か空回りする日野真美子らの友情や恋愛の物語は微笑ましくギャグタッチでもあります。

 そうした彼らの日常の描写と、事件のシリアスさのギャップがまた良く、バランスの良い物語性を生み出しているように思います。

 そういった具合で、程良く小奇麗にまとまった魅力のある作品だと思い、投稿させて頂きました。
 今までひと押しされていなかったのが不思議なくらいです。

お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?

  作品について、で述べさせていただいた通り、登場する少年少女が微笑ましく、どの子も可愛い感じです。

 敢えて言えば、日野真美子。
 ギャグにすらなる怪力少女でありながら、その内面は奥ゆかしい両家の子女。
 何より、その空回りっぷりが非常にかわいらしいと思います。
 がんばれ真美子!

この作品の欠点、残念なところはどこですか?

 古張乃莉さんのイラストも綺麗で似合っており、まず欠点らしいところはありません。

 残念というならば、3巻以降の続刊が全く未定、刊行の予定が見られない所でしょうか。
 レギュラーキャラクターが増え、これから……というところだったと思うのですが。

■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)

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なかなか良いと思います。
ふつうです。
イマイチです。
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