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  4. 魔術への旅公開日:2014/12/23

魔術への旅

ジャンル:魔法・ファンタジー関係
著者:真野 隆也
出版社: 新紀元社
サイズ: 文庫
ページ数: 365p
発行年月:2012年8月30日
ドラコンさんのオススメ!

■ 解説

 物質文明に支配されている現代でも、世界中には今なお科学で説明できない魔術と呼ばれるものが数多く残っている。本書では、ストーリー仕立てで世界中の魔術を紹介していく。主人公のケンとリュウの不思議な旅はエジプトからヨーロッパ、アフリカ、アジア、そして日本へと進む。ふたりの行く先には何が待ち受けているのか…。

■ ドラコンさんの書評2014/12/19

 新紀元文庫からは、ほかにも『魔術師の饗宴』(山北篤と怪兵隊)と『魔法・魔術』(山北篤)という類似の本も出ているので、この本の特徴が分かりにくいかと存じます。そこで、この本の特徴を挙げてみます。なお、この本の特徴は、『魔術師の饗宴』『魔法・魔術』には書かれていないか、この『魔術への旅』のほうが分かりやすい点です。

 1、高校生のケンとリュウが各地を巡り、魔術を学ぶストーリーになっている。そのため、『魔術師の饗宴』『魔法・魔術』よりは「魔術の学び方」「呪文の唱え方」「召喚魔術の仕方」が比較的印象に残りやすい。また、小説的要素があるので、そこで前2者との棲み分けができている。

 2、簡単ながら、護符・魔術武器・妖精・魔獣も取り上げられている。

 3.ページは少ないが、チベット魔術・占いについて書かれている。『魔法・魔術』の「密教」と併せると、仏教系の魔術について理解が深まる。これは東洋ファンタジーを考えると、ありがたい。

 4、古代エジプト・ギリシャの魔術がそれぞれ章を充てられている。また、古代ローマ帝国で信仰されていたミトラ教も取り上げられている。

 5、超常現象を科学的に解明する「超心理学」にも言及がある。また、ごく簡単ではあるが近代魔術師の名も出てくる。

 6、ピラミッド、ストーンヘンジ、泰山、出羽三山、熊野大社といった「聖地」の魔力に言及がある。

■ この本の欠点、残念なところはどこですか?

 欠点は以下の通りです。

 1、中国の神仙道の記述は、風・雲の動きで未来・吉凶を占う「占風術」「望気術」を除けば、新紀元文庫から出ていて、既に投稿した、同じ真野氏の著書『タオ(道教)の神々』の域を出ない。ただ、『タオの神々』では、修行法はバラバラに載っているため、ページを繰って探し出さねばならぬ。それが、1カ所にまとめられているのは、分かりやすい。また、個々の仙人については、圧倒的に『タオの神々』のほうが詳しい。

 2、中国魔術・日本魔術では、仙人の住処・仙薬は『魔術師の饗宴』、術・占いの種類・儀式は『魔法・魔術』のほうが分かりやすい。

 3、インドのヨーガは、1章充てているわりには大したことが書かれていない。

 4、西アフリカを舞台にする必要があったのだろうか。具体的な国名は出てこないし、主人公らに魔術を教える呪師は北欧出身。アフリカに伝わる魔術というより、「自然魔術」「原始魔術」との印象が強い。

 5、全体的に「広く浅く」との印象。「狭く深く」だと物足りない。

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