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  4. 漫画FBI式しぐさの心理学公開日:2014/11/24

漫画 FBI式 しぐさの心理学

ジャンル:人間心理
著者:高梨としみつ
出版社: メディアファクトリー
サイズ: 新書
ページ数: 187p
発行年月:2013年6月28日
ドラコンさんのオススメ!

■ 解説

 日本警察に「仕草を読む」技術を伝えるため、東京・アキバ警察署にやって来た元FBI捜査官ジョー・ナヴァロ。彼は会議やパーティ、公園などで人々を一瞥するなり、彼らの「真意」を当てるのだった……。意思の60~65%を伝えるという「言葉以外(=ノンバーバル・仕草)」の読み方が、漫画でぜんぶわかる一冊!

■ ドラコンさんの書評2014/11/24

 心理学本を読んで、書名・章名に「しぐさ」と付いていながら、文章主体の説明でイメージがわかなかったことはありませんか。

 何といっても、この本は「漫画」ですので、全編イラスト主体で、本音を表す「しぐさ」がイメージしやすいです。実際、「はじめに」に「文章だけではイメージしにくい動きやシチュエーションも、絵で伝えれば短時間で学べるのではないかと考えて本書は生まれた」とあります。

 ストーリーは、「人間ウソ発見器」と呼ばれた、元FBI捜査官の原作者が、日本の警察で刑事たちにしぐさで本音を読み取る方法を伝授するものです。そのため、取り調べの場において、容疑者のウソや隠し事を見破る話が多く出てきます。

 ですので、刑事モノや探偵モノに役立ちそうです。また、男女関係のしぐさもかかれています。

 しぐさで本音を見破る主な対象は以下の通りです。

 ウソや隠し事の有無。
 緊張しているか、リラックスしているか。
 敵対的なのか、友好的なのか。
 拒否なのか、受け入れるのか。
 自信の有無。

 また、原作者は亡命キューバ人なので、子どものころ英語が話せないにもかかわらず、アメリカの学校に通っていた経験があります。それが原体験となり、しぐさという「言語によらないコミュニケーション」に興味を持ったようです。
 この点は、異世界トリップモノのように、言葉の通じない世界に来たキャラ関係で、一定の参考になりそうです。

■ この本の欠点、残念なところはどこですか?

 まず、指摘しなければならないのは、この本が「非言語コミュニケーション」の「しぐさ」の本です。したがって、「口癖から」、つまり言葉から相手の本音を見抜くような場合には、役に立ちません。ですので、「漫画」ならともかく、文章だけで表現しなければならぬ「小説」にはあまり向かないかもしれません。

 また、本音が見抜けたからといっても、「どう対応すれば良いのか」という視点は薄いように感じます。

 「自信のあるしぐさ」の解説が「謝罪の場」を舞台にしたのは、適切だったのでしょうか。もちろん、謝罪される側としては、自信のない人物に来られても信用できません。しかし、この本でも若干言及があるように、「自信のあるしぐさ」は「生意気」「押しつけがましい」と受け取られかねません。しぐさで、「自信」と「謙虚」をどう両立させるのかを、もう少し詳しくかいてほしかったですね。

 原作者が外国人というのも、少し気になります。既に記した通り、原作者の生い立ちを見ればば、「しぐさ」は国や言語を超えたものと考えても良いでしょう。しかし、文化や生活習慣の違いはどう考えればよいでしょうか。

 謝罪に行ったとき、「緊張は足に逃がすんです テーブルで見えませんから」とあります。これは、椅子とテーブルがある部屋へ通されることが前提です。座布団が出されても、テーブルのない和室に通されたら、どうすれば良いのでしょうかね。

 この本は、表情もありますが「腕や足のしぐさ」で本音を見抜く方法が主です。迎える立場であれば、テーブルのない和室や脚の低いテーブルのある洋間に通し、相手の足が見えるようにするのもありでしょうか。

 最後に、これは手軽さと表裏一体の関係ですが、文章主体の本と比べると、ボリューム不足の感はありますね。

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