宇宙が赤外線の波長よりも小さく縮む。異次元からの攻撃でボストン消滅。怪獣の群が横須賀襲撃。ロケットで地球を動かす。
現実にはあるはずのないことを一生懸命に描いた「面白い」SF作品を紹介する。
2004年刊「トンデモ本? 違う、SFだ!」の続編。
この本は、SF作家の山本弘氏が自分の好きなSF作品について語った書評集です。タイトルに「RETURNS」とある通り、同趣旨の「トンデモ本? 違う、SFだ!」という本の続編です。
本来ならば前編も一緒に紹介するのが筋なのでしょうが、あいにく私は続編の方しか読んだことがないので、続編のみを紹介させていただきます。
この本の記事のうち、創作に最も役立つと思ったのは、「SF版ノックスの十戒を考えよう」という項目です。
ミステリー創作の基本ルールとして知られている「ノックスの十戒」に対抗して、シリアスSFを創作する際のルールを作ろうというのがこの項の趣旨です。
著者によって提唱された十戒は、いずれも物語にリアリティーを与え、SFを愛する読者に納得できる作品を作ることに直結しています。
「読者はどうせ無知だから、リアルな描写ではなくそれっぽい描写をしておけばいい」――著者は、このような態度を「許されない」と断罪し、SF作家はSFマニアとしてSFマニアを納得させる作品を目指さなければならないと主張しています。
さて、上では「SFの十戒」に関してばかり述べてきましたが、それ以外の部分も、面白いSF作品を見つける際に役立ちます。また、著者の創作論、SF論なども、なかなか読む価値のあるものです。
上では専ら「SFの十戒」をほめていますが、この十戒、必ずしもすべてが納得できるものではありません。
例えば、「未来の宇宙には日本人と白人以外の人もいなくてはならない」というルール。著者は、アメリカのSF作品が人種配分に気を使っている例を挙げ、日本のSF作品に黒人が出てこないことを問題視しています。
しかし、アメリカの作品が人種配分に気を使っているのは、面白さやリアリティーのためというより、むしろアメリカの国内事情によるものではないでしょうか。少なくとも、そのまま日本の作品に当てはめられないのではないかと感じます。
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