ラノベ研シェアワールド企画4

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[No.46296] 2014/10/09(Thu) 09:13:41
Re: ★コメントです (No.46277への返信 / 4階層) – わをん

ジジさん、感想ありがとうございます
良かった点、ゲルトの代償など了解しました

ただ、
> 課題点ですが、まず、今回は短いストーリーなので、「中心」になるネタを決めてほしかったですね。焦点が決めきれず、せっかくのネタが流れてしまっていると感じました。
この点だけ少し理解しにくかったので詳しい解説が欲しいです
聖女とエロネタで二つテーマがあるように感じた、ということでしょうか?

[No.46301] 2014/10/09(Thu) 14:11:18
Re: ★コメントです (No.46294への返信 / 4階層) – わをん

ジジさん、こちらでも感想ありがとうございます
惚れ薬のところは自分も失敗したなと思っていました
本当ならもう少しゲルトの過去ネタを入れつつ惚れ薬も消化しようと思ってたんですが、字数が足りなくなりそうなので強引に終わらせたというどころがあります
このあたりの感覚はまだ掴めてないみたいです

[No.46302] 2014/10/09(Thu) 14:23:27
Re: ★コメントです (No.46301への返信 / 5階層) – ジジ

> > 課題点ですが、まず、今回は短いストーリーなので、「中心」になるネタを決めてほしかったですね。焦点が決めきれず、せっかくのネタが流れてしまっていると感じました。
> この点だけ少し理解しにくかったので詳しい解説が欲しいです
> 聖女とエロネタで二つテーマがあるように感じた、ということでしょうか?
そんな感じです。
ネタが「アダルトグッズ」、「聖女の人となり」、さらには「3人の会話コメディ」と複数になってしまっていて、それを説明しなければならないことでストーリーとしてのスタートが遅れてしまっているというようなことが言いたかったのです。
クローズアップする中心ネタをひとつに絞り、他のネタはカットもしくは縮小して中心ネタに吸収させるほうがよいと思います。

これ(1シーンにいろいろ詰め込んでしまう)は長編を書くときにも起こりがちなことなので、注意しておいて損はありません。

[No.46303] 2014/10/09(Thu) 15:05:54
『無垢の聖女』ネタ/一旦回収します (No.46156への返信 / 4階層) – ジジ

後でまた投稿します。

[No.46305] 2014/10/09(Thu) 16:32:03
Re: ★(更新1)お知らせスペース (No.46231への返信 / 2階層) – たなか

こんにちは、たなかと申します。

シェアワールド、楽しませていただいております。他の方がどんな考えで物語をつくっているのか予想すると、結構楽しいです。

>>投稿してくださった方、もう少し詳しい感想など必要でしたらお気軽にレスしていただければと思います。

ぜひ私の作品にもコメントの方をよろしくお願いしたいです!
悪い点など指摘していただけると、今後の参考になります。
よろしくお願いします。

[No.46306] 2014/10/09(Thu) 17:18:50
Re: ★コメントです (No.46303への返信 / 6階層) – わをん

> ネタが「アダルトグッズ」、「聖女の人となり」、さらには「3人の会話コメディ」と複数になってしまっていて、それを説明しなければならないことでストーリーとしてのスタートが遅れてしまっているというようなことが言いたかったのです。
ということは、直接的な問題点は説明が長い、ということになるんですか?
それとも聖女は大ボケの役割だと言っていたので、そういうのとも違うんでしょうか

根本的な問題は「テーマが複数」というところにあるとして
ジジさんが実際に読んでてつまづきを感じたポイントは何なのか、それを聞いてもいいですか?

ややこしい質問になってすいません
ただ自分としては聖女とエロネタを別々のテーマとは考えてなかったので(子ども同然の聖女がエロネタを振ってくる、という突飛さを物語の起点にしたつもりなので)
ジジさんの意見も完全には理解できないところがあります

[No.46313] 2014/10/09(Thu) 18:26:24
浴衣の帯は、マジックカット/キャラ三人/一人称/約2500字 (No.46134への返信 / 2階層) – ケスウ・ユジン・ヘイテ

「ロザリンド。先立つ罪を許したまえ。我には、お前を守るだけの気概はなかった。一足早く、罪無き幼子に詫びるつもりだ。地獄に堕ちるつもりだから、お前とはもう会えぬ」
私こと、ラモラック・ティンタジェルは、ため息を吐く。むき出しの梁に浴衣の帯がかかっている。帯を二本使って補強し、きちんと輪っかを作ってある。つまり、自殺するつもりだ。
私は、自分のエゴがおぞましい。私以外の他者を死なせる事で、制限の範囲内で願いを一つ叶える。やはり私の十八番とする、この魔術は禁忌に触れるものだったのだ。
何故、対価となる人柱が、齢いくつにもならぬ幼子ばかりなのか。世界を平和にする為に何故、その恩恵を真っ先に受けるべき人々が、呪い殺されるのだろう。
「子供を殺して、何が匿名の篤志家か。何が匿名の名士か。何が匿名の博愛主義者の善人か。利己主義の偽善者ではあるまいか。我には、ロザリンドを愛する資格はない」
私のこの罪は、死を以って贖うしかない。そう思い、帯の輪の中に首を入れて足元の椅子を蹴飛ばした。子供と変わらぬ痩身矮躯ゆえに、ちゃぶ台の上に椅子を重ねてある。
次の瞬間、帯が千切れて私はちゃぶ台に体を打ちつけた。物凄く痛い。転げて、畳に落ちる。弟子兼秘書のロザリンドが、青ざめた顔で戸を開けて入ってきた。ロザリンドは、湯治に誘ってくれた、最愛の人でもある。この不老の体を、愛してくれた人だ。
ショタジジイ、ショタジジイと言いながら熱視線を送ってくる、残念な子だがいい子だ。
ここは温泉旅館という、宿泊施設だ。東方の僻地の島国にある、建築物を模している。かの地に住まう蛮族は、長い歴史と優れた文化を持っている。精強な異民族に、首都を占拠され支配権を奪われた、国々は多い。遠国とはいえ、学術調査は必要だった。
「だーりん! だーりん!」
心配する声の音は、甲高くて幼い。この子を残して逝くなという、神の啓示か。
ロザリンドは同じ代償派の才媛で、長身で見目麗しい。牝豹のような豊満な体を揺らして、私の体を抱き起そうとする。つまらぬ自尊心にこだわり、四肢を動かして隠し持った匕首の切っ先を、その白い喉に突きつける。ロザリンドの動きが止まった。
「すまぬ。何でもないのだ。今見た事は黙っていてくれ」
「だーりん。しねないように、おててとあんよをきりおとされたいの? はにーは、かなしいよ。もうにどとさからえなくなるよう、あぶないおもちゃは、あずかるからね。ぷんぷん」
感情を喪失した、麗人の目はどこか悲しそうだ。抑揚のない、子供のようにあどけない声が聞こえた。その強力な邪眼のせいで、身動きが取れなくなる。金縛りか。
あっという間に手を激しく打たれ、強く握った匕首が、宙へと飛ぶ。手に激痛が走った。危ない玩具は畳に刺さった。修理費は、後で請求されるだろう。魔法研究所は、意外にしっかりしている。
おのれ。形が卑猥などと文句を言わず、純研究派のアイニッキに特注した、お守りの試作を携帯すべきだった。まあ、温泉宿にて浴衣姿でアレを持ち歩くのも、かなり異様だが。
そこへ、だみ声が混じる。
「お客様。爪が甘い。当旅館の浴衣の帯は、全てマジックカット式です。帯では自殺など不可能ですよ」
見るからに食堂派らしい、小太りの青年が、匕首と契れた帯を回収していこうとする。逃げるように去っていく、青年の丸い背中に問いかける。
「若人よ。一つ聞こう。これ、普通の帯として使えるのか?」
「いえ。無理です」
案の定、ロザリンドの浴衣の帯がはじけ飛んだ。官能的な艶めかしい肉体美に、心奪われる。次の瞬間、電光石火で動いたロザリンドの回し蹴りを喰らって、青年は倒れ込んだ。呻き声を上げて、悶えている。
「これ、ロザリンド! 暴力はいかん! 若人よ。大丈夫かね?」
「し、失礼。大丈夫です。あのシェフマン第八司祭に、スモウレスリングを教わって鍛えてますから。中々に良い蹴りでした。当旅館は、ご夫婦や恋仲のお二人にとって、嬉しいハプニングを提供する宿泊施設です。どうかご理解を。正直、ギブアップです」
泣きそうな顔で立ち上がり、よたよたしながら、どたどたと青年が去っていく。
私を押し倒して、ロザリンドがのしかかる。香水臭い甘ったるい体臭が、鼻腔をくすぐる。金縛りで動けない私は、せめてもの意趣返しとして、反撃を試みた。
「ロザリンド。怒らないから、素直に言いなさい。ひょっとして予約の前に、事前に説明されていたのではないかね? その、ここはそういう施設だと」
「おしえてあげない」
「君の交友関係にまでは口出ししないが。かの『冥府の料理人』の、入れ知恵ではなのかね。まむしドリンクとかすっぽんエキスとか、最近君はよく買ってくるが。精神年齢が上のお姉さん達に憧れるのはいいが、程々にしときなさい。カモにされるだけだから」
「うん」
そのまま夜が訪れ、鼾をかいてぐっすり眠るロザリンドの重みに耐えながら、私は思う。布団を敷いてもらうまでが、割りと辛かった。あと半裸の私がロザリンドにお姫様抱っこされて、仲居が布団を敷くのを見学するのは、お仕置きにしても辛い。羞恥プレイなのか。
言いたくはないが。トイレに行くのにも、ロザリンドを起こさねばならない。苦痛だ。
私の名声が、あっという間に台無しになるとは。ロザリンドを、侮っていたのか。しかし親心めいた気持ちで、成長を喜びたい一面もある。
死なずに生きねば。ロザリンドに、蹂躙されるだろう人々が、正直気の毒だ。私は生贄の子羊なのか。だが、それも良いだろう。共依存で罪悪感から、目を背けるのも悪くない。
皆から「のじゃババ様」などと呼ばれる、初恋の人を思う。あのお方の、名前をいつも聞きそびれている。私が何かしでかす度に、折檻と説教をくれていたあの人も、こんな気苦労をどこかでしていたのかもしれない。
まあいい。結論を言おう。ロザリンドはドジっ子で、ウザ可愛い。

[No.46318] 2014/10/09(Thu) 19:00:17
狩人の射る的は、白か黒か/キャラ三人/一人称/約4000字 (No.46134への返信 / 2階層) – ケスウ・ユジン・ヘイテ

「おい、カミーユ。大丈夫かい? 僕とカミーユだけで、抑えきれるかな?」
研究所の近辺にある、大平原を高い丘から見下ろす。幾多の魔物が、水平線から迫ってくる。本来『無垢の聖女』が、動いていてもおかしくない。それ位の脅威だ。純研究派の僕とカミーユの二人だけで、討伐を企んでいるのには、色々と理由がある。
兵は詭道なり。何も、真っ向から立ち向かう必要はない。敵の弱点だけ、ピンポイントで突けばいい。
僕は狩人として日頃磨いた、弓術の冴えを見せる事ができるのか。非情に徹する事が、本当に出来るのか。
竹製の複合弓、和弓をそっと見る。背中の矢筒には、矢が一杯詰まっているはずだ。
「犬彦こそ、大丈夫か? 関係ない君が、死ぬ気で戦う必要がどこにある? オレに付き合わなくても、いいんだぜ犬彦」
一顧だにしない美少女、カミーユの麗しい姿を見る。褐色の肌と、肩ほどまでの短髪が艶めかしい。切れ長の釣り目は、鋭い刃のようだ。同い年で、十六になる。
長身痩躯で、魔術の制御に優れている。防御系の魔術が大の得意だ。
凛々しい佇まいは、高貴なる父親に似ていた。
「何の為の相棒だよ。少なからず、カミーユに好意を抱いているから、僕は行動を共にしてきたつもりだ。気持ちが叶うかどうかは、別だけどね」
チラリと見るが、意にも介さない。カミーユには野暮天、という言葉が似つかわしい。身分違いの恋は叶わないのか。
それよりも、本当に何も関係ない人間まで、巻き込んでしまうシャリエ辺境伯の気持ちが分からない。一族の者の、尻ぬぐいを研究所の人員にさせようというのには、閉口した。
まず、代償派の古参であるゲルトさんによる、調査を強要されてしまった。確かにあの人がうってつけで、最適であったのは事実だが。もし「知り過ぎたるミーミル」の調査範囲内を超えていたら、為す術がなかった。
何と研究所内にある、辺境伯の私邸にて強力な力を持つ宝剣を、盗まれたのだという。魔物を従わせる力のある、厳重に保管されていたはずの品を、不注意で奪われるとは。
調べてみれば、地下牢に囚われたカミーユの異母姉、代償派のアリサの仕業だという。
戦乱にて名を馳せた、あの英雄シャリエ辺境伯にも、弱みはあったのか。全てを魅了してしまう代わり、良心を同時に失ってしまう娘、アリサを溺愛して育ててしまった。危険視される彼女の、誰よりも強力な庇護者であろうとした、その親心が悲劇を生んだ。
カミーユの従者だった僕にとっても、他人事ではない。奴隷の子と、虐げられるカミーユへの偏愛が、僕を救ってくれた。あの美しくて優しい悪魔へ、跪くのを拒ませたのだ。思えば主筋であるシャリエ辺境伯と僕は、本来は絶対に相容れない、敵同士のはずだった。
愛娘であるはずの、アリサの実力を、辺境伯は見極めていなかったのか。食堂派の落ちこぼれ、ルーアンが爆発事故を起こしたお陰で、辺境伯の差し向けた追手が命からがら逃げのびたのが、勿怪の幸いだ。
居合わせた優等生のカインが、咄嗟に機転を利かせなかったら、追手の兵の命は無かっただろう。あの二人にも、感謝せねば。
あの『自分専属天才料理人』という異名を持つ、パッフェ・ランタンには感謝してもいいのだろうか。アリサに自作の料理を勧めて、しばらく行動を鈍化させる、功績があったとかないとか。僕から言わせれば、お目付け役のクロという人に、勲章を授けるべきだ。
同じ東洋人の研究員である、片桐広人さんには、根回しを頼んでおいた。研究所の危機に『求愛の管理官』を動員するのは、まあ自然な事だ。だが同時に『求愛の管理官』の消耗を不安視し心配する、誠実な研究員が存在するのも事実だ。
攻撃魔法の使い手十数名を、後ろに配置してくれている。素直にありがたい。
首領格のアリサさえ倒せば、魔物達は撃退できる。シャリエ辺境伯に計画の承諾を得る事が、やっとできたばかりだ。これでアリサを、妄執から解放できる。
アリサは父の威光を笠に着て、あの『無垢の聖女』に求愛し、研究員を困らせてきた問題人物だ。『無垢の聖女』を力で跪かせる為、今回の反乱を企てた、というのがもっぱらの見解だという。アリサは本当に馬鹿だけど、本当に可哀想な悪魔だ。
シャリエ家の手で、仕留めるのならば家名に泥を塗るような事には、なるまい。一縷の望みをかけて、僕達は狙撃の計画を練ってきた。
「オレはあえて姉様を討つ、覚悟を決めたけど。兄弟姉妹の絆って、本来は重いものだよな。犬彦のお兄ちゃんは、元気なのか?」
ためらいがちに、カミーユが尋ねてくる。僕は、言葉に詰まりながらも返事した。
「ああ、いかれた兄貴か。虎彦兄ちゃんなら、呑気なもんだよ。尊敬するかの『石の魔法使い』に問い合わせた手紙の返事がやっと来て、興奮して一日中仕事が手につかなかった、とか何とか。そりゃあ、許嫁同然のホアさんも怒るだろうに」
「あの『石の魔法使い』は『さすらいの魔女』を動かせるはずだぞ。派閥にも政治にも無頓着だけどな」
もう実力者に全部任せればいいんじゃないかな。お互い、思いはすれども言い出せない。無責任ではあるが、僕とカミーユにこの任務は重く大役なのも、事実なのだ。
「あと兄ちゃんの話では『無垢の聖女』が、ジェシクに似た生首と鬼ごっこしていた、とか。本当ならばジェシクは生きているのかな。リナっていう子が、探してるって噂なんだけどね」
「まあそこは『無垢の聖女』だから大丈夫だ。どうせ『おとうさま』が何とかしてくれるだろう。口封じして隠蔽するにせよ、元に戻すにせよ、な」
黙考している間も、雑談している間も、僕達は血眼になってくまなく周囲を見回していた。アリサさえ見つけられれば、後は僕の弓の腕を生かすだけだ。しかし、アリサも一筋縄ではいくまい。
アリサの視覚を通じて、僕達に狙いをつけ魔物に攻撃させる事が、可能になる。いわばアリサは、魔物達の目にして心臓なのだ。カミーユとは真逆で、攻撃に特化し秀で防御の魔術を使えないからこそ、のこのこ自分の体を晒すとは思えない。
狩人として最適の、視力を強化する魔術で、大平原を隅から隅まで探す。だがいない。
魔物はもう、弓が届く距離に来ている。カミーユは印を組み、呪文を唱える。
敵の飛龍が炎を吹きはじめた。アリサが、僕達を見つめている、という事だろう。でなければめくら撃ちだが、攻撃の精度は高い。カミーユの結界で減殺したのに、周囲への着弾で大地が揺れる。紅蓮の炎が巻き起こり、草木が燃え始める。
決心したように、カミーユが口を開ける。観念した様子だ。
「すまん犬彦。姉様はあそこにいるよ。でもオレは本当に姉様を」
カミーユが褐色の体をどけ、アリサを指さす。ずっと、僕の目から隠していたのか。
白いドレスを着た美少女を、遠目に見る。長髪と雪のように真っ白な肌以外は、カミーユによく似ている。僕は強化した視力で、アリサを捉えて睨む。黄金の宝剣を掲げて、魔術を組成しているようだ。
「カミーユはアリサを愛していた。それは、僕がよく知っているよ。あそこだね」
カミーユが何も言わず、首肯する。弓を引き絞り仰角をつける。ちょうど、この強弓の有効射程ぎりぎりだ。高い視力で補佐されているとはいえ、僕の腕で当たるのか。僕は、アリサを射抜けるのか。
逡巡を見破ったのか、アリサの放った雷撃が、カミーユを襲う。結界によって弱められ、そらされなければ、御陀仏だった。迷う暇はない。
体を集中させて、射程と射撃精度を高める、強化系の魔術を使う。今だ。弓弦から手を放す。弦を弾く音が、鼓膜を叩く。飛来する矢は、天に曲線を描いて落ちていく。
当たれ。その一念が届いたのか。遠方のアリサの胸に、矢が刺さる。
しかし、アリサは倒れない。オーガ達がその美貌を、隠しきってしまう。
万事休す。絶対絶命だ。
そう思った時、轟音が響いた。後方部隊の判断で、攻撃魔法の一斉掃射が始まった。アリサを見つけ、再び狙おうとするが、宝剣はその手を離れていた。攻撃魔法の余波を受けて、吹っ飛ばされたらしい。
魔物達が動きを止め、各々の住処へと帰ろうとしている。
「オレが、止めを刺してきます。皆さん、待機して狙いをつけておいてください」
気丈にも、カミーユは一人で前へ出る。慌てて僕も従う。
一体何歩歩いただろうか。気づけば、血まみれのアリサの美しい姿が、間近にあった。岩にもたれかかり、草の上に座っている。
無邪気な笑顔を見て、心が疼く。僕もやはり、この人を心からは憎めなかった。本当に可哀想な人だった。シャリエ辺境伯が、遠征に加わらず、ずっとあの屋敷にいてくれたのなら。きっと、こうはならなかったのに。
泣きべそをかきながら、僕は膝をつき、短刀を抜いた。
「貴きお方、アリサ様。この犬彦めが、そのお命を頂戴します」
「ええ。いいわ。でも約束して。私を忘れないで。愛の口づけが欲しいわ」
ごくりと唾をのみ、アリサを見た。柔和な笑みで、手招きする。僕はどうすべきか迷いながら、引きつけられるように近づいた。
そこへ、カミーユが体当たりしてくる。アリサへの嫉妬か。父の愛を奪う、アリサの死を望んでいたのか。
そんな妄念は、カミーユの顔を見て消える。女の顔をした佳人がそこにいた。最愛の姉の前に立ちはだかり、一歩も通すまいとする。
「姉様に触れるな。この下郎が。この犬が。お前なんぞに、オレが心奪われなければ。姉様は、姉様はずっとオレを見ていてくれた。ずっとずっと、愛してくれたはずだ。誰が姉様を、血で汚れた父上などに渡すか。姉様はオレのものだ。絶対に、絶対に殺させない」
カミーユは瀕死の姉に抱き着き、美しい唇に口づけた。そして、くずおれる。アリサの呪殺だと、気付いた時には全て遅かった。
カミーユは、ごめんな犬彦、と愛しげに呟いた。最上の笑顔を残して。

[No.46320] 2014/10/09(Thu) 19:14:16
Re: ★お知らせスペース (No.46231への返信 / 2階層) – 雷

こんにちは、雷です。
作品への感想をいただき、ありがとうございます。

> 投稿してくださった方、もう少し詳しい感想など必要でしたらお気軽にレスしていただければと思います。
せっかくですので、お言葉に甘えて、詳しい感想をいただきたいと思います。
今後の作品づくりの参考にもしたいので。

よろしくお願いいたします。

[No.46330] 2014/10/09(Thu) 20:44:41
Re: ★コメントです (No.46313への返信 / 7階層) – ジジ

> ただ自分としては聖女とエロネタを別々のテーマとは考えてなかったので(子ども同然の聖女がエロネタを振ってくる、という突飛さを物語の起点にしたつもりなので)
> ジジさんの意見も完全には理解できないところがあります
整理してみます。

結論:オチが弱い

原因:せっかくのネタが生かせていない

理由
1.ストーリーの中で聖女を出さなければならない必然性が感じられない(使うならディアーヌのポジションに入れて、アイニッキと直接対決させるほうが自然)。(ネタ)フリ役がディアーヌか聖女かはっきりしないので、オチ役のアイニッキが今ひとつ生きていない。
2.登場人数が字数に比べて多い(キャラが多くてストーリーのあちらこちらで空気になっているキャラがいる/説明が多くなっている分、ネタに費やせる文量が少なくなっている/ネタがとっちらかってしまっている)。

これ以上は説明でなく、説得になってしまいますので、このくらいでご勘弁ください。

[No.46336] 2014/10/09(Thu) 22:32:36
★コメントです (No.46141への返信 / 3階層) – ジジ

プラスでもマイナスでも、カギになるのは「のじゃババ」です。

まずは丹というアイテムが万能すぎます。
これが万能なせいで、ネタが平坦(ベタ)になってしまっており、「のじゃババ」というせっかくの名前オチなキャラが平凡な人になってしまっています。一例を挙げるなら、ロリババアという個性は年齢を変えてしまうと根こそぎ損なわれてしまうということですね。
丹で変化というネタを使うとすれば「顔はそのままで体だけ変化」などにするほうがまだよいかと思われます。

加えて、のじゃババが物語の都合に合わせて作者の思惑どおりに動く進行キャラになってしまっているので、ここはできるかぎり大きく読者を裏切ってほしいところですね。
「トランキライザー丹を上下派の若造に食わせて黙らせる」と見せかけて「自分で飲んで自分が黙る」、「管理官に飲ませて苦言を呈せなくさせる」など、そっちかよ! と読者に思わせられる感じにしたほうがよいかなと。そこに落語の「まんじゅう怖い」ばりの脱力感のあるオチ(もちろん、アッパー系のオチでもまったく問題ありません)がからませられるとさらにいいですね。

なんにせよ、「のじゃババ」という名前オチの人はもっと使い倒せるかと思われますので、性格設定をもっとヒステリックにして、突飛なことをさせるほうがよいですね。あとは相方をすげ替えて、ババのせいで苦労させたり、ババを増長させたりのバリエーションをつけるとおもしろさがいや増すものと思います。

[No.46337] 2014/10/09(Thu) 22:34:10
Re: ★コメントです (No.46296への返信 / 4階層) – あまくさ

ジジ様。くわしいコメントを頂き、参考になりました。有難うございます。

カテエラについては、抜本解決は一朝一夕にはできませんので時間をかけて考えて行きたいと思います。

>もう少し細かく言えば、

あ、それが伺いたいところでした!

>人格が抑えられている――ラノベキャラの基本である、感情や行動の「むき出し感」が感じられないということになります。

ああ、なるほどなるほど。「キャラの感情が薄い」という指摘は、他の方からも時々頂くことがあります。書き手的にはジェシクにせよ聖女にせよ、かなりクセのある感情を抱かせているつもりなのですが、それをもっと誇張して分かりやすく表現しなければならないということでしょうか? あるいはそれだけではなく「感情をむき出しにするキャラ」そのものがラノベの読者層には好まれるという意味合いも含まれるのでしょうか?

>「雰囲気に流される」構成は、ラノベでは武器になり得ません。

つまり、キャラがどう感じ何がやりたいのかが読者に伝わるように描けておらず、雰囲気で表現しようとしている。そういうことでしょうか?
言い訳ではないのですが、理解を深めるためにご質問します。
雰囲気ですませたのは、一つには枚数制限、もう一つは長い物語のワンシーンということだったので、一応の着地はさせるものの全てを説明しきらなくてもよいのではないか? と思ったということはあります。長編ならば作品全体で伝えることを目指しますから。
で、もう少し尺をとってこのシーンのみで説明しきるとしたら、私のベーシックな手法としては雰囲気はこのまま、アリのモチーフやリナとの過去のエピソードなどを、聖女との会話の中で明確につなげることを目指します。イメージや暗喩だけであっても、丁寧に繋げてポイントでさらっと短い説明を補足的に挿入する感じです。
それで分かりやすくすることは可能だと思うのですが、そういうことではなく情緒過多なトーンそのものがラノベでは向かないということなのでしょうか?

もう一本については、書いてみたいと思いますが、これからしばらくあまり時間がとれないので未定です。

話は変わりますが、ジジ様の『求愛の管理官』の小話について、一つだけ気になったことがあるのでコメントさせて頂いてよろしいでしょうか?
お話そのものは面白く、管理官の上司の無理難題に振り回される中間管理職みたいなショボクレ感がよかったのですが。
さっと拝読して、内容が頭に入りにくかったです。
視点が定まっていなかったせいかと。地の文の中に管理官の内心の独白が時々入ってくるのですが、基本的に神視点なので「誰が話しているんだ?」という戸惑いがありました。
緩やかな三人称一視点という手法もあり、三人称なら神視点と一視点をチャンポンにしたような書き方もありだと思いますが、その場合は冒頭の2~3行で「緩やかな視点人物」――この場合は管理官にフォーカスしておくと、読者は誰にひっついて物語に入って行けばよいか分かるので、読みやすくなるのではないかと思いました。実例では冒頭でむしろ局長の方が強く印象づけられてしまうので、読者が足場を見つけるのに時間がかかってしまいます。

[No.46343] 2014/10/09(Thu) 22:58:38
Re: ★コメントです (No.46337への返信 / 4階層) – たなか

評価の方、ありがとうございます。

> プラスでもマイナスでも、カギになるのは「のじゃババ」です。
> まずは丹というアイテムが万能すぎます。
> これが万能なせいで、ネタが平坦(ベタ)になってしまっており、「のじゃババ」というせっかくの名前オチなキャラが平凡な人になってしまっています。一例を挙げるなら、ロリババアという個性は年齢を変えてしまうと根こそぎ損なわれてしまうということですね。
> 丹で変化というネタを使うとすれば「顔はそのままで体だけ変化」などにするほうがまだよいかと思われます。

せっかくのロリババアですからね……そこをもっと強調する方が、キャラが活かせそうです。アドバイスありがとうございます。

>
> 加えて、のじゃババが物語の都合に合わせて作者の思惑どおりに動く進行キャラになってしまっているので、ここはできるかぎり大きく読者を裏切ってほしいところですね。
> 「トランキライザー丹を上下派の若造に食わせて黙らせる」と見せかけて「自分で飲んで自分が黙る」、「管理官に飲ませて苦言を呈せなくさせる」など、そっちかよ! と読者に思わせられる感じにしたほうがよいかなと。そこに落語の「まんじゅう怖い」ばりの脱力感のあるオチ(もちろん、アッパー系のオチでもまったく問題ありません)がからませられるとさらにいいですね。

申し訳ありません。この文章見て笑ってしまいました。
そういうオチに持っていけたらとても面白いですね。キャラクターが弱かったです……もっとロリババア全開にすると、面白くなりそうと思いました。

> なんにせよ、「のじゃババ」という名前オチの人はもっと使い倒せるかと思われますので、性格設定をもっとヒステリックにして、突飛なことをさせるほうがよいですね。あとは相方をすげ替えて、ババのせいで苦労させたり、ババを増長させたりのバリエーションをつけるとおもしろさがいや増すものと思います。

分かりやすいアドバイス、ありがとうございます。ロリババアをもっと使い倒していきたいと思いました。アドバイスを踏まえてあと一作書く予定なので、そのときはまたよろしくお願いします。

さて、これは別件なのですが。
『無垢の聖女』ネタ、読ませていただきました。
とても面白かったです。少ない文量なのに、うるっときました。
お忙しい中、ありがとうございました。

[No.46345] 2014/10/09(Thu) 23:24:11
Re: 職人は破壊する :食堂派の落ちこぼれpart2/キャラ二人/三人称/約2450文字 (No.46292への返信 / 6階層) – ねね

わ。すみません。
ルールがきちんとわかっていませんでした・・・。

いろいろ書きなおしたり継ぎ足したりしてオチまでつくってみましたが、4000文字におさめるのが難しい設定だったので、これはあきらめます。

別のネタを思いついたので、間に合えば、また懲りずに投稿させていただきますね。

[No.46349] 2014/10/10(Fri) 00:50:36
愛の行方 (No.46134への返信 / 2階層) – たなか

―――――本文開始―――――

ここは魔法研究所。
魔法の研究に励む、少し頭のおかしい人間たちが、毎日のように騒ぎを起こす場所。
そんな場所にある、ごくごく普通の家屋に、アンという妙齢の女性が居た。
「……今日も、あの人は力を使ったようね」
窓際にて、青い空に浮かぶ爆発の煙を眺めながら、ぽつりと呟く。煙は毎日のように起こる騒動の証だと、理解しての言葉だった。
一見すると独り言を呟いているようにしか見えないが、実はそうでもない。
一人きりと思われた家屋に、アン以外の声が響き渡る。
「そのようですね。ベレルの力が使われております」
揺れ椅子に腰をかけるアンの膝にある、赤ちゃんほどの人形。これが、アンの声に反応した存在だった。
ゴシックロリータに身を包む、金髪ツインテールの可愛らしいその人形の名前は、ベレルという。
そして、
「では、アーサー様が力を使った代償に、貴方様の愛を頂きます。よろしいですね?」
彼女は、『代償と引き換えに力を分け与える』という、邪神でもあった。
ベレルは自らの力が行使されたことを知覚して、その代償である愛をアンから貰おうとしているのである。
これは仕方のないことだった。アーサーが魔法を使うためには、この邪神に代償を捧げなければならない。
「ええ、どうぞ」
アンは事情を理解しているせいか、さほどの抵抗もなくベレルの提案を受け入れた。
もっと抵抗しないのですか……と、ベレルは少しだけ後ろめたさがあるようだが、
「良いのですか? あなたは夫であるアーサー様に愛を感じなくなるのですよ?」
一方で、アンの方はやっぱり冷たい態度のままだった。
「それくらい些細なことよ。さあ、どうぞ遠慮なく」
「は、はい。では、お言葉に甘えて……」
申し訳なく思いながらも、ベレルは遠慮がちにアンから代償を受け取る。
「……今日の夕ご飯、作るの面倒くさくなってきちゃった」
アンは気だるそうにため息を吐きながら、愛を失っていくのだった。
「た、ただいま! アン、私は今日も頑張ったよ! 君の夫として立派に生きてるぞ!」
日も暮れて、騒がしい魔法研究所に、一瞬の平穏が訪れる。その時になってようやく、アンの夫であるアーサーが帰って来た。
息を切らしながら頑張ったアピールをするアーサーを、アンは半眼で睨む。
「お帰りなさい……えっと、ムーネーさん?」
「ムーネー!? 私はアーサーだよ、アーサー! 君の夫じゃないかっ」
「別にいいじゃない。どっちでも」
「あ、あんまりだ……」
氷のように冷たい視線に耐えきれなくなったのか、ムーネー……じゃなかった。アーサーは肩を落として、意気消沈してしまった。
そんな二人を眺めながら、アンの膝上に座るツインテ人形が、小さく一言。
「そろそろ離婚なのでしょうか? ……わ、私のせいですか?」
あまりよろしくない二人の仲に、ツインテ人形ことベレルは、申し訳なさそうにしていた。
そんなベレルに、アーサーは髪の毛の薄くなった頭をかきながら、苦笑を浮かべる。
「深く考えなくても良いです。私もアンも、了承の上であなたと契約したのですから。お気になさらず」
「そう、ですか」
しゅんと俯くベレル。アンは優しく頭を撫でてあげる。
「そうよ。私たちはあなたを利用して、あなたも私たちを利用する。それでいいじゃない」
「……ごめんなさい」
アンの励ましにも、ベレルはやはり申し訳なさそうだった。
邪神ベレル。絶大な力を持つ彼女だが、その正体はただの人形である。
彼女は純研究派が外の世界で見つけてきた、古代の遺産だった。一応、力を与える存在ということで神に位置づけられているベレルだが、彼女は生物じゃない。人形なのだ。
そんなベレルは、愛を求めている。冷たい体に感情の炎を灯すために、愛を欲している。
だからこそ、彼女はアンから愛を吸収しているのだ。その愛のおかげで、当初は感情のないただの人形だったというのに、今ではこうして落ち込んだ様子を見せるようにもなっている。直に、ベレルには『心』が生まれるだろう。アンの愛が、ベレルを人間により近付けるのだ。
まあ、対照的にアンの感情がなくなっているように見えなくもないが、これもまた理解してのこと。
仕方ないと、アーサーは苦笑することしかできなかった。
「さーて、そろそろ夕ご飯の時間かな? アン、私はお腹がぺこぺこなんだ」
空気を変えるために大きな声でそんなことを言ってみれば、アンも便乗するように明るい声を発してくれる。
「そうね。ご飯にしましょうか。今日はベレルの大好物、カレーライスよ」
「……甘口?」
「もちろんよ。いっぱい食べてね?」
「……んっ」
大好物で少し気が紛れたのか、ベレルは少しくねくねしている。それを見て二人は胸をなで下ろしていた。
さて、夕ご飯の時間である。
「ベレル、美味しい?」
「うん、最高です! アン様の料理が、ベレルはとても大好きですっ」
「そう、嬉しいわ。わたしもベレルの幸せそうな顔が見られて満足よ」
山盛りのカレーライスを美味しそうに頬張るベレルと、それを愛おしそうに眺めるアン。
そして、蚊帳の外であるハゲ……じゃなかった。アーサーさん。
彼は夕食として用意された食べ物を凝視しながら、冷や汗をかいていた。
なぜなら、
「あ、アン……どうして私の皿にはジャガイモしかないのかな?」
そう。土のこびりついたじゃがいもが皿に乗っていたので、アーサーは動揺していたのだ。
何かの間違いであってくれ……と祈るようにアンを伺うアーサーだが、対するアンは視線をやることなく冷笑を浮かべる。
「それは紛れも無きじゃがいもよ。さっき収穫した自慢の一品なの」
「で、できれば料理を……」
「うるさいわね。丸かじりしなさい」
「……これはあんまりだ!!」
あまりに淡々とした態度に、流石のアーサーでも耐えきれなくなったようだ。
「か、覚悟はしていた……いつかこんな日が来るって、予想していないわけではなかった! だが、これは酷い……あんまりだ。せめて火を通してくれっ」
ぎゃーぎゃー喚きだすアーサー。
「ひぅっ」
すると、ベレルがびっくりしたように身を小さくしてしまう。突然の大声に驚いていたのだ。
それを見て、アンはピクリと片眉をあげる。
「うるさいわよ、ハゲ」
氷のような鋭さと冷たさを含む言葉に、アーサーは気圧されてしまった。
「あ、アン……」
哀愁を漂わせる夫をあしらったアンは、大声にびくびくするベレルを安心させるようにあやしている。アーサーに構う気配はまったくみせない。
「もう、ここまで来ちゃったのか……」
アーサーは寂しそうに独り言を呟いていた。やけくそになって、思いっきりジャガイモを丸かじりする。
その瞬間だった。

爆音が、鳴り響く。

「これは……またか」
研究所では日常的に耳にする爆音。また誰かが暴走したのかと、アーサーは辟易する。
が、悲しいかな。中間管理職である彼は、現場に向かわないわけにはいかなかった。
「アン、行ってくるよ……『求愛の管理者』としての職務、果たしてくる」
すぐに出かける準備をして、表情を引き締めるアーサー。
そんな彼に、アンは早く行けと言わんばかりに手をしっしと振るのだった。
「ぅっ……い、行ってきます!」
今度力を使ったら、愛がなくなるのではないだろうか……? 不安を抱えながらも、扉を飛び出していくアーサー。
そんな彼の心境を、抜け落ちていく髪の毛が教えてくれた。
「……良いのですか? このままだと、今日でアン様の愛はなくなりますよ?」
走り去ったアーサーの背中を眺めながら、ベレルがそんなことを呟く。その声は、少しだけ震えていた。
恐らく、すぐにでも。アンのアーサーに対する愛はなくなってしまう。
代わりに自分はより人に近い存在になるが、感情を持つようになったベレルは、罪を感じずにいられなかったのだ。
一方で、アンはやはり平然としている。
「別にいいわよ。愛がなくなるくらい、些細なことだもの」
当たり前のように、のほほんとしていた。
「アン様が冷たくなったのは、ベレルのせいですか……?」
ベレルは泣きそうになっていた。声を震わせて、瞳を潤ませている。冷たい態度のアンに、心が痛くなったのだ。
が、しかし……
「大丈夫よ。どうせ私は、あの人のことを好きになる。何度だって、愛してしまうもの」
泣くことは無かった。
なぜなら、アンの浮かべた表情が、優しい微笑みだったから。
「愛なんて、いくらなくなってもいいのよ。どうせすぐに生まれるものだから」
ぎゅっとベレルを抱きしめながら、アンは思いを紡ぐ。
「それに、わたしは冷たくなった覚えはないわよ? 最初からこんな感じだもの……ドSだから、あの人のおろおろする顔を見るのが好きなだけ」
微笑みと同時に生まれる言葉は、優しさに溢れていた。
「……それなら良かった、です」
その温もりに包まれながら、ベレルもまた小さく笑う。アンの優しい愛情が、心地よかった。
人形である自分だけど、こうしていつまで一緒に居られたら……なんて、考えたそのとき。
アンは、小さな声でこんなことを言った。
「わたし、ずっと子供がほしかったのよ」
突然の言葉にベレルは首をかしげるが、アンは構わずに言葉を続ける。
「ずっと、この時を待っていた……私の愛が結晶となる、この瞬間を。ずっと、待ってた」
刹那、アーサーが力を行使したのか、アンの愛がベレルに流れ込んできた。
それが、最後の愛。
「――ぁ」
アンのアーサーに対する愛が、ベレルの内側で結晶となる。
『心』が、ベレルに生まれたのだ。
ただの人形にすぎなかったベレルは、このとき……『人間』となる。
アンが愛を失ったその日には、
「神様に感謝するわ……私とアーサーに出会ってくれて、ありがとう。あなたは今日から、私たちの子供よ」
新たな愛が、生まれたのだった。

―――――本文終了―――――

二回目の投稿、失礼いたします。
ジジさんにアドバイスを頂いた点を意識してみたのですが……どうでしょう。なかなか難しいです。

キャラクターをもっと強く! ということで、アンをより冷酷に、アーサーをより可哀想に、ベレルをより幼女っぽくしてみたつもりです。

悪い点などあったら、指摘してくださるとうれしいです。
よろしくお願いします。

[No.46352] 2014/10/10(Fri) 03:31:45
Re: ★コメントです (No.46343への返信 / 5階層) – ジジ

> 書き手的にはジェシクにせよ聖女にせよ、かなりクセのある感情を抱かせているつもりなのですが、それをもっと誇張して分かりやすく表現しなければならないということでしょうか? あるいはそれだけではなく「感情をむき出しにするキャラ」そのものがラノベの読者層には好まれるという意味合いも含まれるのでしょうか?
そうですね。キャラたちの、特にセリフがおとなしいんですよ。みんな大人な感じで。ラノベキャラは基本的に、直情的な思考のほうがよいと思います。
ただ、全員そうである必要はもちろんありませんので、個性に合わせてということになりますが。

> そういうことではなく情緒過多なトーンそのものがラノベでは向かないということなのでしょうか?
これは対象読者層の年代や性別が関わってくるのですが、若年層向けの場合、雰囲気を出すにしても、それをなるべくはっきりとした言語化をしたほうがよいです。
雰囲気を正しく受信するためには、それを察したり想像したりできるだけの「感性的な経験値」が必要になるからです。ニュアンスで関係を構築する経験を積んだ成人女性なら問題ないのですが、男子や男性、女子では、なかなか難しいものがあります。
このあたり、あさのあつこ氏の『バッテリー』などが参考になるかなと思います。

> 話は変わりますが、ジジ様の『求愛の管理官』の小話について、一つだけ気になったことがあるのでコメントさせて頂いてよろしいでしょうか?
さっき見返したら、なんだかひどいですね。とてもプロの原稿とは思えません。
あそこまでひどくなった理由はいくつかあるのですが、大きな理由は「一人称(ただし管理官のモノローグのみで構成)」をムリヤリ「三人称(両者セリフあり)」へ変更したのと、着手から脱稿まで15分、文字数をとにかく減量という縛りにこだわりすぎたことですね。
最後のやりとりの部分も研究所の事情が入っていないせいでよくわからないことになっていますし、とりあえず回収して、時間があれば書きなおします。

[No.46353] 2014/10/10(Fri) 04:23:32

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