はじめまして。遠藤遼と申します。
第3回オーバーラップ文庫大賞特別賞を受賞し、2017年4月25日『ユリア・カエサルの決断』が発刊されます。
また、投稿サイト「エブリスタ」に投稿していました『週末陰陽師~とある保険営業のお祓い日報~ 』がライト文芸として同じく2017年4月10日に発刊されます。
創作というものは孤独なものです。一人でキーボードを叩き続けて、小説を紡いでいかなければなりません。「執筆における自分の感性はおかしくないだろうか」「他に執筆をしている人はどんな人がいるのだろうか」と、ライトノベル作法研究所のオフ会に参加させていただきました。
その後も時間の許す限りオフ会に参加させていただき、おかげさまで、いろいろなことを学ばせていただいています。
作家として偉そうなことは言える立場にはありませんが、何らかのご参考になればということで答えさせていただきます。
- Q1: 初めてライトノベルに出会ったのはいつですか?
- Q2: 初めて小説を書かれたのはいつですか? それはどのような作品でしたか?
- Q3: 作品はどのようなアプリ、ソフトを使って書かれていますか?
- Q4: 作品の書き方で(例:クライマックスを先に書くなど)、自分なりの書き方がありますか?
- Q5: 初めて作品を新人賞に応募されたのはいつですか?
- Q6: スランプになった、もしくは作家になることを諦めようと思ったことはありますか?
- Q7: アマチュア時代に参考になった本はありますか?(ハウツー本など)
- Q8: 尊敬している作家さんはいますか?
- Q9: アマチュア時代にどのような方法で筆力を高めていきましたか?
- Q10: 執筆は、いつもどのような時間帯にされていますか?
- Q11: 一日の執筆速度はどの位でしょうか? また、ノルマを作っていますか?
- Q12: 一日にどれくらい執筆に時間をかけておられますか?
- Q13: どのような方法でプロットを作られていますか?
- Q14: 作品を書く上で何か大事にしている、または心に留めていることはありますか?
- Q15: 「売れるものを書くべきか」、「書きたいものを書くべきか」、答え辛い質問ではありますが 、もし良ければ意見を聞かせていただけませんか?
- Q16: プロになれた理由を、ご自分ではどうお考えですか?
- Q17: プロになって一番嬉しかったことは何ですか?
- Q18: 最後にこれから、ともさんに続け!と頑張っている方達にアドバイスをいただけませんか?
Q1: 初めてライトノベルに出会ったのはいつですか?
何をもってライトノベルとするかということにもよるのですが、『ロードス島戦記』でしょうか。友達がマスターをしていたD&Dにプレイヤーで参加させてもらい、いわゆるファンタジーが楽しくなったのがきっかけです。
その後、しばらくライトノベルを読まない時期がありましたが、再度読み始めたのは『東京レイヴンズ』がきっかけですね。
Q2: 初めて小説を書かれたのはいつですか? それはどのような作品でしたか?
二次創作的なものは中学生の頃にちょこちょこと書いていましたが、自分できちんと長編を書いたとなると、2013年夏です。当時たくさん出ていた学園異能ものでした。
Q3: 作品はどのようなアプリ、ソフトを使って書かれていますか?
メモ帳でプロットを書き、そのまま複製してある程度、本文を書き進めてから、いわゆるワープロソフトにコピペして分量を見ながら執筆します。ワープロソフトは当初はWordでしたが、現在は出版社からの要請もあって一太郎が多いです。
Q4: 作品の書き方で(例:クライマックスを先に書くなど)、自分なりの書き方がありますか?
基本的には最初から書いていきます。プロットはそれ程詳細には作らない方で、特に中盤以降はざっくり箇条書き程度です。細かく決めても変わることもあるし、キャラクターたちが違うことを始めることがあるからです。
『ユリア・カエサルの決断』は史実という基礎はありますが、それは道標みたいなもので、基本的にはキャラクターに勝手にしゃべってもらっています。
どうしてもいま書いているシーンが苦しいときには、書いてて楽しいシーンを先に書くことはあります。
Q5: 初めて作品を新人賞に応募されたのはいつですか?
先ほどお答えした初めて書いた長編の学園異能もので、富士見ファンタジアで三次落選でした。
いちばん最初に書いた作品が三次落選になったので、何となくいけるのではないかと言う根拠のない自信を持ち、投稿をいろいろと始めることになったわけです。
Q6: スランプになった、もしくは作家になることを諦めようと思ったことはありますか?
仕事の忙しさにかまけて一年ほど執筆しなかった時期があります。
でも、やっぱり作家になりたかったので、戻ってきました。
Q7: アマチュア時代に参考になった本はありますか?(ハウツー本など)
まず、『ラノベの教科書』。
執筆を始めようにも、何からしていいか分からなくて、いろいろな本を読んだのですが、実例をあげてライトノベルのプロットの具体的な書き方を提示してある本って意外に少ないんですよ。この本はその辺りが非常に参考になり、いまでも基本的にこの本に則ってプロットを作っています。
あとは、『何がなんでも作家になりたい!』。こちらは新版が出ていますが、職業として作家になることの意味を教えてくれます。このなかにある「一万枚の法則」で、原稿用紙一万枚くらい努力すれば作家になれるのだと自分を励ましました。実際にはそのはるか手前で作家になれました。
その他、ラノベのいわゆる「作家もの」の内容のものはほとんど読んだと思います。必ず何かしら自分を元気づけたり、ヒントになったりする内容があります。
Q8: 尊敬している作家さんはいますか?
司馬遼太郎、遠藤周作、三島由紀夫、山崎豊子、塩野七生、トルストイなど。たくさんいらっしゃってあげきれない……。
Q9: アマチュア時代にどのような方法で筆力を高めていきましたか?
筆力と言われるほどの何かを自分が持っているとも思えないのですが……とにかく書くしかないです。
正確に言えば「長編をきちんと最後まで書き上げる」しかないと思います。
書いていて、自分の作品なのにおもしろくない作品に思える瞬間は必ずあります。フルマラソンみたいなもので、そこでリタイヤせずに、他のシーンを先に書いてもいいから、とにかく最後まで書き切る。この小説的体力をつけるのが重要だと思います。
そして、投稿してください。
投稿すれば、評価ももらえるし、ひょっとしたらデビューできるかもしれません。
Q10: 執筆は、いつもどのような時間帯にされていますか?
書けるときに書いているので、特定の時間は決まっていません。
Q11: 一日の執筆速度はどの位でしょうか? また、ノルマを作っていますか?
最大二万字まではいけますが、だいたい一万字いければいいところでしょうか。
数千字で終わる日もありますが、毎日何文字でもいいから書かないと、途端に小説の腕がなまります。
Q12: 一日にどれくらい執筆に時間をかけておられますか?
執筆そのものは6時間が限度かも知れませんが、それ以外の時間も頭の中ではストーリーを考えたり、キャラクターたちの声に耳を傾けたり、いろいろ勉強したりしているので常に頭の中は何らかの小説のことを考えていることが多いです。
頭の中がいっぱいになってきたら、いったん寝て意識的に思考内容をシンプル化したりもします。
Q13: どのような方法でプロットを作られていますか?
先ほど述べた『ラノベの教科書』に準じることがほとんどですが、ストーリーとヒロインの設定が最初にあるように思います。
項目としては、企画テーマ、タイトル案、概要、あらすじ、登場人物、各章毎の内容を書き出していきます。
Q14: 作品を書く上で何か大事にしている、または心に留めていることはありますか?
何か美しいもの、神秘的なものを書きたいし、読んだあとに元気になれるようなものを書きたいとは願っています。
Q15: 「売れるものを書くべきか」、「書きたいものを書くべきか」、答え辛い質問ではありますが 、もし良ければ意見を聞かせていただけませんか?
まずは売れるものを書かなければいけないでしょうね。
作家になることは何とかなっても、作家であり続けることは難しいと言われていますから。
とはいえ、「売れるもの」って難しいですよね。
「売れるもの」が分かれば、そのフレームワークのなかで書きたいものを書くということがベターなのかもしれませんが、「売れるもの」が分かっていたらみんな苦労はしませんよね。
実際には書いても、書籍化まではタイムラグがありますから、書いているときに売れるものでも、書籍化されるときに売れるものとは限りません。
ただ、書籍というものはとても多くの人の手によって作られるものなので、出版させていただく以上、売れることが恩返しだと思っていますから、作者として可能なことは何でもしたいと考えています。
想定読者を絞り込んで、その人が買ってくれるかどうかは考えますし、その意味で売れるものは念頭にあります。
しかし、「どうしても書かなければいけない」と湧き上がってくるものは書きます。
Q16: プロになれた理由を、ご自分ではどうお考えですか?
運です。
Q17: プロになって一番嬉しかったことは何ですか?
まだ発刊日を迎えていないのでアレですが……やはり、キャラクターにイラストがついたときでしょうか。感動しました。
あと、これまで読んできた「作家もの」のラノベや小説読本の意味がよく分かるようになったこと。いろんな先輩作家から大文豪まで、彼らの執筆に対する気持ちが分かるようになったこと。
それと、編集者さんがつくことで小説に対していろいろ意見を言ってもらえて、ますます小説が磨き込まれていくこと。
Q18: 最後にこれから、ともさんに続け!と頑張っている方達にアドバイスをいただけませんか?
チャンスを逃さないこと。運命の女神には前髪しかないので、通り過ぎてからでは遅いのです。「これだ!」と思ったときには、投稿であれ、なろうであれ、とにかくやってみることをオススメします。
それとは逆になるかもしれませんが、粘ることです。
投稿して落ちるのは悔しいですが、ナポレオン・ヒルは「三回続けて失敗しても挑戦をやめない人には、指導者の資格がある。十回続けて失敗してもまだあきらめないでがんばる人には、天才の素質がある」と言っています。私も「天才の素質」ありになるくらい落ちました。でも、何とか引っかかりました。
がんばってください。