あらすじは「物語の山場を繋いでいくもの」/小説のあらすじの書き方

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しやさんの質問 2017/06/05

今回お聞きしたいことは
『ラノベ新人賞に応募する際に同封が求められている800字あらすじの書き方』になります。

ジジ様の過去の回答や、他の下読み様(複数)が残した書き込みから
『既にあらすじを読んだ段階で、賞を期待できる(もしくは次に上げる)作品か、はたまた難しそうか、ということが予想できる』
という趣旨の発言が見受けられました。

別レスの情報とも併せまして、
『キャラや設定によって巻き起こる事案への期待値と、それをどう収集つけるかの出来栄えが評価の指標になる』
と拝察しました。

ジジ様がよく仰られる「おもしろければ次に上げる」というのはラノベとしてのおもしろさを指すものと考えています。

それは前述した部分に由来していて、それを系統化して考えると
『設定(斬新さ)』『キャラ』『筋・展開』およびその組み合わせのことを指すのだなと推察してきました。

そしてその部分であれば、あらすじの段階で確認ができる為、あらすじからアドバイスが可能になるのではないでしょうか?

――違った場合、あらすじという設計図のどこに期待値を見出しているか。

これを教えていただけると助かります。
ある意味、それが一番の疑問になりますので。

以下は私の作ったあらすじです。アドバイスをいただけると助かります。

●あらすじ

小路コウは花に悩みを語る様を、城ヶ崎乙姫に見られる。
それをネタに城ヶ崎家の造園の手伝いを強要される。

コウは、雇われ庭師の丹羽と庭を築き上げ、城ヶ崎との関係を良好なものへ変えていく。

学園祭。コウは、飯野千代の失敗を園芸の知識で回避。
コウはクラスではじめての居場所を作る。

コウは、修学旅行で夢がガーデンプランナーだと自覚。
園芸部創部を決意。

クラスのイケテルグループの妨害にあいながらも、生徒会に認めてもらい創部。
創部の過程でコウや園芸に対する認識も改まり、クラスではコウに対する協力体制が形成される。

新設園芸部は、ガーデニング甲子園大会の参加を決定。

大会目前、丹羽が病に倒れたと一報を受ける。
病院でコウは、丹羽に最優秀賞を約束。

本気になったコウに付いていけなくなり、周りはどんどん離れていく。
丹羽が死ぬ。
コウは城ヶ崎と千代まで突き放し、完全に孤立する。

丹羽の遺した手紙をきっかけに、コウは一人一人に頭を下げる。
再び大会に臨む体制を整える。

大会になる。

結果は散々だったが、大会参加がキッカケで丹羽の旧知と出会う。
コウは、そこで将来の展望を語る。

(合計469文字)

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●下読みジジさんの回答

あらすじという設計図のどこに期待値を見出しているか。
これを教えていただけると助かります。

これについては物語の縮図を見ている、というお返事になりますので、

『設定(斬新さ)』『キャラ』『筋・展開』およびその組み合わせのことを指すのだなと推察してきました。

という解釈で大体問題ないかとは思いますが、ただひとつ。
あらすじは「物語の山場を繋いでいくもの」であるということは意識してみてください。

山場(盛り上がるところ)とは、物語的に言えば軸の部分です。これが説明されていることで、下読みや編集者は物語のおもしろさを知ることができるのです。

あらすじを拝見して感じたのは、現状ではまさに筋を書き込んでいるだけで、「作者が用意している物語的な山場」「なぜそういう筋をたどるのか(物語の必然性)」、「そのシーンにおけるキャラの心情とその変化」がないので、作品の売り(作者が見せたいテーマ)を読み取ることができません。

ひとつ例を出せばあらすじの冒頭部――

 小路コウは花に悩みを語る様を、城ヶ崎乙姫に見られる。
それをネタに城ヶ崎家の造園の手伝いを強要される。

造園の手伝いを強要される理由がわかりませんし(これ以降、あらすじ中に乙姫がまったく現われないこともありますね)、ガーデンプランナーだと自覚する理由や、それを自覚するのがなぜ修学旅行でなければならないのか等々、物語の「軸」である本筋の情報があらすじにないので、おもしろさが伝わってこないのです。

まずはその部分を意識してあらすじを書いてみてください。

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