漫画家になろうとしてはいけない。漫画を描くのだ!漫画を描く以外のことを目的にすると必ず挫折する。「労働者のための漫画の描き方教室」より
— うっぴー/ライトノベル作法研究所 (@ranokenn) 2019年2月7日
これは小説家も同じですね。
アメリカで行われた研究でも「人は成果を求める欲求が強まると、失敗を恐れて創造性が減る傾向にある」ことがわかっています
小説家という肩書きや名声にこだわると挫折しやすい!
小説家になりたい人間の書く小説、彫刻家になりたい人間の彫る立体、映像作家になりたい人間の編んだ映像、そして漫画家になりたい人間が描いた漫画……すべてつまらなかった。
— うっぴー/ライトノベル作法研究所 (@ranokenn) 2019年2月7日
(中略)
肩書き的なものを欲しがらない。それが描き続けるコツなんだよ。
引用・「労働者のための漫画の描き方教室」
これには科学的な根拠があります。
ハーバード・ビジネススクールの研究によって、自分が作りたいものを作るという内発的動機づけの方が、報酬を得られるから何かを作るという外発的動機づけより、創造的なアイディアが生まれやすいことがわかっています。
お金のために創作をするのは悪いことではない。むしろ名作が生まれる。
ただし、外発的動機がすべて悪いわけではありません。
お金が欲しいから作品を作るという外発的動機は、生存本能に根差したものなので、強烈なモチベーションを生み、名作を作る原動力になります。
例えば、画家のピカソは絵を描くと、たくさん商人を呼んで一番高い値をつけた人に売っていました。
彼はビジネスの達人であったことでも知られています。
漫画家の西原理恵子は、読者からの「どうして西原さんは、そんなにたくさん本を出せるのですか?」という質問に対して「借金が1億円以上あるから!」と答えています。
文豪ドストエフスキーは、莫大な借金を背負い、出版社から報酬3000ルーブルを前借りして返済するも、残ったお金を賭博で全部使い果たします。このデタラメで追い詰められた状況で、傑作『罪と罰』(1866年)を執筆し、26日で仕上げています。
生きるため、お金のために名作を生みだしたのです。
「小説家になろう」が、最大手の小説投稿サイトになったのも投稿作「魔法科高校の劣等生」が電撃文庫から書籍化されて、920万部を超える大ヒットになったからです。
なろうに投稿すれば書籍化される!と投稿が集まり、次々に名作が生まれました。
同様に、YouTubeが世界最大の動画投稿サイトになったのも、投稿者に報酬を支払ったからです。
お金が欲しい、という動機は創作意欲を増します。
外発的動機は内発的動機を壊す作用があるので、偏るのは危険!
ただし、心理学的に、報酬が欲しいなどの外発的動機は、楽しいから小説を書く、という内発的動機を壊す作用があります。
ラノベ作家の黒九いなさんは、プロになれた理由を、楽しみながら続けたからだと述べています。
彼によると『結果』にこだわりすぎると、書く『過程』の楽しみが二の次になり、それが作品の質に悪影響を与え、続けていくモチベーションを失う……といった悪循環に繋がることがあるそうです。
以前、私は大ヒットしたラノベ作家さんにお会いしたことがありますが、「●●が大ヒットしたら小説を書くのが楽しくなくなった」と語っていました。
大ヒットすると、次もまた大ヒットせねばとプレッシャーがかかるため、創作が楽しくなくなるのです。
このようにモチベーションが、外発的動機に偏るのは危険です。
多くの作家さんは、好きなことを好きでい続けるために、売れるものの中にいかにして書きたいものを入れるか。書きたいものの中にいかにして売れるものを入れるか。考えるそうです。
そうやって、内発的動機と、外発的動機のバランスを取っているのですね。
まとめ
- プロ作家という肩書きにこだわると挫折しやすくなる。
- お金のために創作するのは悪いことではない。むしろ名作が生まれる。
- 外発的動機付けに偏ると、小説を書くのが楽しくなくなるのでバランスを取る。