「好きな物とややズレたところに才能が眠っている場合がある!」
— うっぴー/ライトノベル作法研究所 (@ranokenn) 2019年3月13日
「SF御三家」と称されるSF作家、筒井 康隆の代表作は、ラノベの元祖とも言われる超ヒット作『時をかける少女』(1967年発表)です。
先生は、中高生向けの恋愛小説など書きたくなかったそうですが、生活のため嫌々書いたそうです。
このように、好きな物とはややズレたところに、才能が眠っている場合があります。
世界で累計3000万部以上売れたヒット小説「グイン・サーガ」(1979年刊行)の作者、栗本薫さんは、本当にやりたかったのは舞台であって、小説を書いたのは、生き延びるため、自分を守るためだったと語っています。
小説と舞台は、同じ物語を扱うものですが媒体が異なります。こちらも好きと得意がズレていた例です。
私は最近だんだん自分が小説をかくのに向いていないこと、自分で本当にやりたかったのは舞台であって小説ではないこと、ただ生きのびるため、自分を守るために必死で小説を書いてきたのだなあということを自分で理解しつつありますが、グインだけはまったく特別のような気がします。
引用・グイン・サーガ44巻『炎のアルセイス』あとがき 著者・栗本 薫
大ヒット漫画『テルマエ・ロマエ』の作者、ヤマザキマリさんはイタリアで油絵を10年近くも学びましたが、絵では食べていくことができず、漫画家に転向して成功しています。
イタリアでの経験は漫画に生かされており、テルマエ・ロマエは古代ローマ帝国の浴場技師が日本の銭湯にタイムスリップしてくる話です。
こちらも本当に好きだった油絵ではなく、磨いた絵のスキルを活かし、生活のために転向した漫画家で成功した例です。
このように「自分の好きなことと得意なことがズレている」ことがよくあります。
このためクリエーター専門学校では、自分の好きなジャンル以外の物語も書かせるそうです。
何が自分にとって得意なことかは、とりあえずやってみないとわからないからです。
例えば、ラノベ作家としてはあまり芽が出なかったけれど、そのキャリアを生かしてゲームのシナリオライターに転向したら成功したといった話も聞きます。
現代経営学の父ピーター・ドラッカーは、著書の中で「何事かを成し遂げるのは、その人の持つ『強み』すなわち『得意なこと』によってだけだ」と説いています。
好きなことでうまくいかなかったら、その近くにあるジャンルにも挑戦してみること。もし、好きなことと得意なことがズレていた場合、得意なことを好きになるように努めた方が、良いと言えるでしょう。