- Q0:自己紹介をお願いいたします。
- Q1: 初めて小説に出会ったのはいつですか?
- Q2: 初めて小説を書かれたのはいつですか? それはどのような作品でしたか?
- Q3: 実力を高めるために最も役立ったトレーニング方法はなんでしょうか? その方法をどのようにして知りましたか?
- Q4: 作品の書き方で(例:クライマックスを先に書くなど)、自分なりの書き方があれば教えてください。
- Q5: 初めて作品を新人賞に応募されたのはいつですか?また、ネット投稿のご経験があれば、初めて投稿した時期を教えてください。
- Q6: アマチュア時代に参考になった本はありますか? また、どなたか師匠や先生に教えてもらったご経験はありますか?
- Q7:デビュー作以外のシリーズや本を刊行できない、という事例も多い中、継続的に本を刊行されていたり、web連載など活躍の場を広げられていますが、その秘密があれば教えていただけないでしょうか?
- Q8: 小説を完結させるのはプロでも難しいと聞きます。どのようにして、この壁を乗り越えていますか?
- Q9: 小説家になる、あるいは続けていくためには、どんな能力が一番必要だと思われますか?
- Q10: その能力を得るためにはどうすれば良いでしょうか?
- Q11: 一日にどれくらい執筆に時間をかけておられますか?
- Q12: どのような方法でプロットを作られていますか?
- Q13: 作品を書く上で何か大事にしている、または心に留めていることはありますか?
- Q14: 「売れるものを書くべきか」、「書きたいものを書くべきか」、答え辛い質問ではありますが 、もし良ければ意見を聞かせていただけませんか?
- Q15: プロになれた理由を、ご自分ではどうお考えですか?
- Q16: プロになって一番嬉しかったことは何ですか?
- Q17: 最後に、小説家を目指して頑張っている方達にアドバイスをいただけますでしょうか?
Q0:自己紹介をお願いいたします。
紙吹みつ葉と申します。
現在comicoノベルにて「ぶっとばスターチス(2/15最終話掲載)」を連載、チャット小説アプリ「peep」で短編や中編の連載、掲載など、アプリ系でもお仕事させていただいています。
書籍最新作は「柴公園(ドラマ版)」のノベライズです。
よろしくお願いします。
Q1: 初めて小説に出会ったのはいつですか?
小学校低学年の頃でした。順番はうろ覚えなのですが、印象的なのは斎藤惇夫さんの「冒険者たち~ガンバと15ひきの仲間~」と森村誠一さんの「虹色の青春祭」の二冊。
児童書と一般文芸ですが、今思えば「世の中には色んな本がある」と知ったきっかけのように思います。
Q2: 初めて小説を書かれたのはいつですか? それはどのような作品でしたか?
小学校5~6年生くらいのときです。異能力バトルモノっぽいものを書いていました。当時テレビゲームをやっている兄をよく見ていたのでその影響かと。
でも異世界ファンタジーじゃなくてあくまで現代だった理由はよくわかりません。
Q3: 実力を高めるために最も役立ったトレーニング方法はなんでしょうか? その方法をどのようにして知りましたか?
まずはとにもかくにも、書き上げること。
短編中編長編と段階をつけてもいいので、とにかく「完成させるという体験」をすることがとても大切だと思います。
でもこれ自体はものすごく大変なので……その前の段階としては、「疑問」を持つこと。
「こういう設定なのはなぜか」「なぜこのキャラはこういう性格なのか」、とにかく「なぜなに」を自分の作品に対して持ち、その答えを自分で用意することです。
疑問を持って、その疑問を自分で解決できるようになって初めて、本文で躓くことを減らせるのかなと考えています。
そしてその疑問の「答え」を、物語の設計図でもある「プロット」として「形にしておくこと が大事です。脳内だと気付かず変化しちゃうので。
プロットの存在自体は何となく知っていたのですが、自分ではまず「何を事前にまとめておけばいいかわからない」という状態でした。そんな中アミューズメントメディア総合学院(AMG)で指導を受けたことで「自分に必要だったもの」がわかるようになりました。
Q4: 作品の書き方で(例:クライマックスを先に書くなど)、自分なりの書き方があれば教えてください。
全体プロットの後、そのシーンを書く直前に、シーン用のプロットを作ってから書いています。
これをやると、実際の本文と全体プロットのズレを、次以降のシーン用プロットで修正しやすくなるのでラクです。
Q5: 初めて作品を新人賞に応募されたのはいつですか?また、ネット投稿のご経験があれば、初めて投稿した時期を教えてください。
中学二年生の頃です。当時応募要項をきちんと読めてなかったため、かなり枚数を超過して投稿したことはもう一生忘れられないですね。
ネット投稿は、2014年くらいの頃、個人的に短編を載せたりしたことがありました。
ただ現在はcomicoノベルさんやpeepさんでお仕事させてもらっているので、紙の本よりネットでのお仕事のほうが多くなっていますね。初めてお仕事したのがcomicoノベルさんで、2015年からになります。
Q6: アマチュア時代に参考になった本はありますか? また、どなたか師匠や先生に教えてもらったご経験はありますか?
アマチュア時代は、とにかく「書きたい」としか考えていなかったので、本を読む数がとても少なかったです。よくないことなんですけどね。
私の根本は、基本的にアミューズメントメディア総合学院の先生方から教わったことばかりです。自分の視野がいかに狭かったのかを思い知らされつつ、知らないことをたくさん知ることのできる学校生活でした。
トレーニングのところに書かせてもらった「疑問を持つ」は、学院に入らなかったら培われなかったと思います。
Q7:デビュー作以外のシリーズや本を刊行できない、という事例も多い中、継続的に本を刊行されていたり、web連載など活躍の場を広げられていますが、その秘密があれば教えていただけないでしょうか?
自分の納得度を追い求めすぎて期限を破るなどせず、仕事としてできる範囲で良いものを作ること。「良いものが作れる」だけでなく「良い仕事ができる」と思ってもらえるよう努めること。
そして、できた縁を大事にすること。
私が今こうしてお仕事させてもらえているのは、そういうことなのかなーと。それ以外の部分は運と、縁ですね。
Q8: 小説を完結させるのはプロでも難しいと聞きます。どのようにして、この壁を乗り越えていますか?
私はむしろプロになってからのほうが完結させる、終わらせる、締め切りに間に合わせる、はやりやすくなったと思います。自分以外の人に迷惑をかけてしまうので、自分の納得度の優先度はだいぶ下がりますから。
だからまず、「一番優先すべきものは何か」を自覚することが大事なのかなと思います。
アマチュアの場合完結させられなくても誰も困りませんが、その「完結できない」の理由が「自分の納得度」が優先されているからだとしたら、まずそこから改めないといけないのかな、と。
完結させるよりも納得度の方が本当に優先事項なら、構わないんですけどね。でも本当に「完結させたい」と思っているのなら、まずその目標を最上位に設定しなおすこと、というのは大事なのだと思います。
Q9: 小説家になる、あるいは続けていくためには、どんな能力が一番必要だと思われますか?
書き続けることと、考え続けること、な気がします。
前者はとにかく「物語」に関するものを書き続けること。
後者は「これは面白いかもしれない」「これはどうしてこうなっているんだろう」など、疑問を持って色んなものを見て考えること。
Q10: その能力を得るためにはどうすれば良いでしょうか?
前者は、色んな作品に興味を持つこと。後者は、創作以外のことにも興味を持つこと。全部を受け入れなくてもいいので、まずは「興味」を失わないことなのかなーと思います。
Q11: 一日にどれくらい執筆に時間をかけておられますか?
一日家にいるときは、休憩時間とかも含んで6~8時間くらいですかね。
Q12: どのような方法でプロットを作られていますか?
全体用のプロット(企画書)と、自分用の全体プロット、そして違う回答にも書いたシーン用のプロットを作ってから原稿に入っています。
自分用のプロット作成には、必ずExcelを使っています。各話ごとにシートを分け、「シーンの大体の流れはこう!」や「ここでメインなのはこの要素!」みたいに同じシーンについての微妙に違う情報を違う列に並べ、その表を見ながら原稿を書いています。
文字数や枚数のカウントもできるので便利ですよ、Excel。
Q13: 作品を書く上で何か大事にしている、または心に留めていることはありますか?
わかりやすく、想像しやすく、を意識しています。
わかりやすさが面白さのすべてではないですが、そもそも「自分の思う面白い」が「伝わらない」と意味がないので。
そして書いたものが読んだ人に「想像しやすい」ように。小説の面白さは「想像すること」にもあると思うので。
Q14: 「売れるものを書くべきか」、「書きたいものを書くべきか」、答え辛い質問ではありますが 、もし良ければ意見を聞かせていただけませんか?
売れるかどうかっていうのは、運に左右されるところもあるでしょうし……それを思うと「自分が面白いと思うもの」の中に「売れる要素」を何かしら仕込んでいけたらいいのかなーと思います。
逆でもいいですけどね。「売れそうだと思われるもの」そのものだけだと書けないこともあるでしょうから、そこに「自分が面白いと思うもの」を仕込むとか。
Q15: プロになれた理由を、ご自分ではどうお考えですか?
運です。運がよかった。
でもその運も「書いている」ということをしていなかったら手に入らなかったので、書き続けることは大事。
そして続けられているのは、「仕事」として真面目にやってきたことと、「自分の得意」が何となく見えるようになってきたからかもしれません。
Q16: プロになって一番嬉しかったことは何ですか?
知り合いが「今乗ってる電車に、あなたの本読んでる人がいる!」と連絡をくれたときですね。
本屋さんに並んでいる時点では「並んでるだけで誰も買ってないのでは」と疑り深く思ったものですが、実際に買って読んでる人を見たと言われたときすごく嬉しかったですね。
Q17: 最後に、小説家を目指して頑張っている方達にアドバイスをいただけますでしょうか?
小さなことからコツコツと! 小説自体が「文字」の集合体です。
小さなことから積み上げた結果物語ができます。そしてそれは、小説本文を書くことだけに留まりません。
プロット、執筆、インプット、インプット以前の「情報をキャッチするアンテナ」作り……できたほうがいいことは細かくあげ出すとキリがないし、大変に思うかもしれません。
でも、「小さなことからコツコツ」と、です。小さなことも積み重なると大きな力になります。「大変だ」「難しい」と躊躇う前に、「これくらいならできそう」というところから、少しずつチャレンジしてみてください。
そしてやはり「完成させる」ことをまずは目的として、そこができるようになってからそれ以外のところにも目を向けてみるといいんじゃないかなーと思います。