「もしその文章にリズムがあれば、人はそれを読み続けるでしょう。でももしリズムがなければ、そうはいかないでしょう。二、三ページ読んだところで飽きてしまいますよ。リズムというのはすごく大切なのです。」
引用:村上春樹 「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」
日本を代表する小説家の村上春樹はこのように文章のリズムの大切さを語っています!
文章のリズムを良くする2つの秘訣
- 一文を短くする
- 一定の音節のパターンを繰り返す。
例えば、短歌は五七五七七、と短い文と同じ音節のパターンの繰り返しでできています。
東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ
by菅原道真
村上春樹の文章も、一文一文が短く、文章の切れ目ごとの音節の数がほぼ一定になっています。
以下は、村上春樹の小説「騎士団長殺し」のプロローグの最初の段落の引用です。
今日、短い午睡から目覚めたとき、〈顔のない男〉が私の前にいた。私の眠っていたソフアの向かいにある椅子に彼は腰掛け、顔を持たない一対の架空の目で、私をまっすぐ見つめていた。
この文章は、ほぼ6音と9音のパターンの繰り返しでできています。
きょう(2音)みじかいごすいから(9音)めざめたとき(6音)かおのないおとこが(9音)わたしのまえにいた(9音)
わたしの(4音)ねむっていたソファの(9音)むかいにあるいすに(9音)かれはこしかけ(6音)かおをもたない(6音)いっついのかくうのめで(11音)わたしをまっすぐ(8音)みつめていた(6音)
一定の音節のパターンを繰り返すことで、文章にリズムが出て、読みやすくなるのです。
昔の文豪、夏目漱石や芥川龍之介は、俳句を趣味にしていました。
俳句も
五七五
の短い文と同じ音節のパターンからできています。
彼らの文章が読みやすかったのは、このあたりに秘訣があるのではないかと思います。
五七五の音節のパターンは、日本人の耳に特に心地よく響くことで知られており、標語も五七五で作られることが多いです。
簡単にリズムの良い文章が書けるコツ「一文を短くする!」
一定の音節のパターンを繰り返す、というのは、かなり難しいことです。
ですが、もう一つの秘訣である「1文を短くする」ことはカンタンにできます。
「小説家になろう」から書籍化される作品も、一文一文が短いのが特徴です。
一文が短くなると読みやすくなり、リズムも整いやすくなるので、おすすめです。