男性向けラノベで女性主人公を書くのは、難易度が高いです。
以下の2つの問題をクリアする必要があります。
- 男性は女性の内面を描くのが難しい(作者の問題)
- 男性読者は女性に共感しにくい(読者の問題)
小説の読者は主人公になりきって、物語を楽しみます。
主人公になりきってもらうためには、この主人公の気持ちがわかる! この主人公は俺と同じだ! と、主人公に共感してもらうことが何より重要となります。
女性主人公の場合、男性読者に、この主人公は自分と同じ人間だ! 自分自身だ! と感じてもらうことが、非常に難しいのが最大の問題です。
男性向けラノベで女性主人公を書くために必要な3つ工夫
男性は女性読者には共感しにくい! この問題をいかにクリアして、主人公を好きになってもらうか? ページを読み進めてもらうかが、女性主人公を選択した場合に問われます。
- 女性主人公といっても、力で問題を直接的に解決するなど思考は男性的にする。
女性向けラノベの女性主人公は、力ではなく、知恵で間接的に問題を解決します。 - 恋愛要素は省く。男と恋愛しても、男性読者はおもしろくありません。百合(女性同士の同性愛的要素)を推奨。
- 女性ですが魔法や武力に優れるなど、男性が憧れる、好きになってもらえるタイプにする。男性は最強主人公が大好きです。
3回もアニメ化されたラノベの古典的名作「スレイヤーズ」(1990/1 刊行 全シリーズ累計2000万部以上)では、主人公のリナは女性ですが、頭の中身は完全に男性です。作中で最強の魔法使いであり、ふりかかる問題を力で解決します。
恋愛要素もなく、男性が感情移入しやすいように工夫されています。
ただ、生理が来ると魔力が衰えるなど、女性的な要素も入れています。
思考は男性的といっても、このような女性らしい要素も入れなくてはならず、この微妙なさじ加減が難しいのが女性主人公の特徴です。
ちなみに、女性読者は、強く自立していて男性に頼らないカッコいい女性が大好きです!
リナは恋愛要素を省き、最強設定にしたことで、男女双方に受けて、大ヒットしました。女性主人公の王道的なテンプレとなっています。
女性主人公だと思わせずにページを読み進めてもらう
GAで大賞を取った「処刑少女の生きる道」(2019/7/12 刊行)では、冒頭で主人公っぽい少年を登場させてミスリード的に話を進めてから、彼を本当の主人公の少女メノウに殺させるというアクロバティックな方法を取っています。
これは読み進めてもらうための工夫です。
女性には感情移入しにくいから、読者が感情移入できる対象を置くことで、とにかくページを読み進ませて、メノウを好きになってもらおうという狙いです。
他にも女性主人公のなろう小説では、中性的な名前、男の子っぽい思考にして、Webで4話くらい経ってから、初めて主人公が女の子であることを明かす、という手法を取っている作品もあります。
「処刑少女」とも共通しますが、主人公を好きになってもらう前に、読者に離脱されないように工夫がされています。
女性主人公は避けるのが基本!
人気を出したい、書籍化を目指したいのであれば、男性向けラノベで女性主人公を選択するべきではありません。
東大合格を指南する受験漫画『ドラゴン桜』では「東大には入りやすい学部と、入るのが難しい学部がある。ねらうなら絶対に入りやすい学部をねらえ!」と教えています。
東大卒という肩書を手にするのが目的なら、カンタンな学部を選んだ方が、圧倒的に成功率が高いからです。
同じように、人気を出したい、書籍化したいのであれば、わざわざ難しい道を選ぶことはありません。

難しい道は避ける! それが一番です。