SF全盛期、アニメ業界は差別化をするために変わった宇宙船を出す必要がありました。
でも、あまりに変わった宇宙船を出すと、視聴者は理解してくれない。
誰も見たこと無いにも関わらず、誰もが知っている物である必要がある。
そこで有名な戦艦大和に波動エンジンを搭載したアニメ『宇宙戦艦ヤマト』を発案しました。
オリジナリティとは既知で新しいこと
例えば500万部突破のラノベ『ゴブリンスレイヤー』( 2016年2月刊行)。
主人公は最弱モンスター「ゴブリン」を狩り続ける一流の冒険者です。
世界観はファンタジーのテンプレど直球。
誰もが知っている設定を使って、誰も見たことがないキャラを生み出しました。
GA大賞受賞作『処刑少女の生きる道(バージンロード) ―そして、彼女は甦る―』( 2019年7月刊行)。
これは異世界転生テンプレを逆手に取って、異世界人を殺す少女を主人公にした小説です。
ラノベ新人賞の下読みによると『オリジナリティとは、ありがちなネタを「他人とは角度を変えて描くこと』だそうです。
この作品では、異世界転生テンプレど直球の主人公っぽい少年を登場させミスリード的に話を進めてから、彼を本当の主人公に殺させるというアクロバティックな方法を取っています。
人は未知の物より既知の物を好む
Webデザインの世界では、Yahooのデザインに近い物にした方がウケると言われています。デザインの技術やセンスうんぬんより、こちらの方が重要なのです。
ラノベが、ゲームっぽい異世界ファンタジーばかりになるのも、それが良く見慣れた物で、読者は変わった物など見たくないからです。
オリジナリティとは、テンプレを逆手に取って、誰も見たことがない物を見せること。
ここを勘違いして、テンプレを一切使わずに、書きたいものを書くと大失敗します。
テンプレを理解しないとテンプレを逆手に取ることはできないので、オリジナリティを出すためにはテンプレに対する深い理解が必要となるのです。