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タイトル:3人以上の会話が冗長になってしまうの返信 投稿者: 手塚満

会話劇になっているのが適切かという問題と、会話劇にする場合の工夫と、2つの問題に分けられるように思います。以下、少し説明してみます。

1.会話人数と会話の制御の問題

まず人数の問題から。2人の会話劇ですと、キャラの関係性は1つしかありません。AとBが話しているなら「A-B」だけです。
もう1人、Cを加えると6通りになります。A-B、A-C、B-C、A-(B, C)、B-(A, C)、C-(A, B)で6通りです。
4人になると数えるのも嫌になるくらい、組み合わせが増えます。会話の制御がそれだけ大変になるわけです。

もしかすると、冗長なのではなく会話が混乱しがちかもしれません。2人の会話だとスムーズなのに、3人が喋り出すとテンポ、メリハリがおかしくなる事例はときどき見ます。2人の会話と3人の会話では、増える要素が1ではないことに注意が必要でしょう。

2.キャラが動くドラマで語れないか

会話で話が進むのも、要注意です。キャラが動かず、ドラマになりづらいですから。多少極端な話をしますと、目の前で起こっていることを描写する場合と、それを見たキャラが後で他のキャラに説明する場合、後者ですと躍動感や臨場感は出しにくい。

例えばミステリで探偵が謎解きを披露するような場合は会話劇(言葉による説明のみ)も仕方ないですが、できればキャラの動きで全部描けるようにしたほうが有利でしょう。言葉で作品を作ると言うのに逆説的ですが、言葉で語るのは、動きだけではどうしようもないときに限定する、くらいに考えて構成を練るほうが得だと思います。

3.劇的アイロニー

それでも会話でストーリーを進める必要があることも少なくありませんから、会話だけの劇でやる工夫も、ご質問にできるだけ沿って、少し考えてみます。

「読者だけに明らかになる」「主人公にとっては意味がわからない話」というのは、劇的アイロニーと名前がつくほど、多用されるし、有名な手法でもあります。読者をハラハラさせたり、焦れさせたりするのに有効です。

例えば「ヒロインが優し気な神官に誘われ、もてなされ、着飾らせてもらえるが、神官の狙いはヒロインを邪神への生贄にすること」だとします。読者にはそれが知らされるけど、ヒロインは知らない。読者は、のん気に喜んでるヒロインに「危ない、逃げろ」とヤキモキすることになります。

お考えの構想でも、主人公がただ聞いているだけなのは損でしょう。読者がヤキモキするよう、例えば主人公が状況を誤解するとか入れておけば、読者の感情を動かせます(「違う、そうじゃない」「どうして分からないんだ」みたいな)。

4.立ち聞きの主人公を会話の準参加者にする

そうするとしても、しないとしても、立ち聞きする主人公と、会話している3人(以上)をバラバラに描くのも、もったいないかもしれません。会話する3人の台詞に対し、主人公の独白がつながるようなやり方は割とある手法です。

主人公の独白が、他の3人の会話を補完するというのが多いかもしれません。一種の読者向け解説を自然に入れる手法です。ですが、お考えの構想では主人公は会話を理解できず、蚊帳の外であるわけですね。

となると、上述しましたように劇的アイロニーを利用する方向でしょうか。劇的アイロニーを強化するのであれば、読者には主人公の勘違いが明白であるように描写する。逆に、どんでん返し狙いでミスディレクションを混ぜ込むなら、一見は辻褄の合うような台詞を主人公に言わせる(けど、後で間違いが明らかになる)。

5.会話・立ち聞きキャラの感情を動かす

論理的なことだけでなく、感情、気分も流れに抑揚を作れます。主人公をもっと際立たせるのでしたら、3人の会話を聞いた主人公の感情も動かす。分からないなら分からないで、途方に暮れる、イライラする、思わず3人に質問したくなる好奇心・不安などが考えられます。

その際、身体的な動きも併用すると効果的にしやすいでしょう。首をかしげる、眉間にしわを寄せる、目を見開く、険しい表情になる、ニヤリとする、睨む、人差し指を立てる、腕組みする・腕組みを解く等々です。言葉で表現していても、キャラや物の動きには注意が行きやすいものです。主人公だけでなく、会話している3人も同じです。

読者は読みつつシーンをイメージしてますから。会話劇を書いてると、つい会話内容のみに注意が行きやすいんですが、仕草もある程度入れておくと、臨場感を増したり、維持しやすくなったりします。

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