すべての小説は作者の構築した嘘(虚構・フィクション)です。そこから逃れることはできません。
しかし。
そんなこと、読者にだって分かってるんですね。分かった上で、楽しみか、何らかの知見を得るためか目的は様々でしょうが、虚構性を承認して読んでいます。
創作は作者―小説―読者の間にそういう暗黙の約束事があった上で成立している世界なので、ご相談のような悩みは杞憂です。
要するにね。
読者は作り話だって分かっていても主人公がピンチに陥るとハラハラするじゃないですか。(フィクションへの感情移入)
この心理はなぜなのか?
考えてみるとけっこう不思議ですよね。
私見では、それが「物語の力」なんだと思います。プロットと言い換えてもいいですが、虚構かどうかに関わらず、人間の心理に働きかけてハラハラさせたり、泣かせたり、感動させたりする作用があるのだと。
もう一つ別の例をあげると、歌詞のない音楽はどうでしょうか?
短調のメロディーは暗かったり悲しい感じがしますよね? しかし、歌詞のない音楽は音の連なりに過ぎないじゃないですか。それでも、人間は悲しいと感じたりします。
結論。
小説や音楽は、人間の脳に作用して「誤作動」を起こさせる。
これが創作の真実だと思います。
だから創作者は、そういう作用の法則性を突き止めればいいんじゃないかなと。