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タイトル:異世界の食文化について(改)の返信の返信 投稿者: 手塚満

やはり、お話を伺うほどに心配になります。もちろん、スレ主さんが物事を自分のためについてどうお考えになるか、どうお感じになるかは自由です。

ですが、赤の他人に読んでもらって、面白がれる作品をお作りになりたいはずですね。そういうご相談をしていらっしゃるはずです。

それなら、まず主人公が状況を理解でき、受け入れられなければなりません。主人公が状況を理解するとは、ほぼ同義で読者が理解するということです。読者は感情移入するわけですので、一読して分かることは大前提となります。

ハンバーグについて、さらに仰っていることを検討してみます。

> ぶっちゃけた話、ひき肉を丸めて伸ばして焼けば、一応それでハンバーグとしては成立しますので。

それが日本に伝わったハンバーグの原形です(明治時代、戦後すぐの2回)。今では手抜きハンバーグなどと称したりしますが、実は先祖返りです。しかし「手抜き」などと称するのは、やはり「ハンバーグじゃないよね」という感覚になるわけです。

> 色々と材料を加えたり、手間をかける事で、より良い物へと昇華させる事が出来て、段々とそれはミートローフに近いものになると思います。

もう一度申しますが、ハンバーグとミートローフの差は形状を含む調理法であって、挽肉に何を混ぜるかではありません。

玉ねぎ等を含むつなぎなしハンバーグをハンバーグとして許容する基準を読者が認識するなら、つなぎなしミートローフも認められるでしょう。違いがある、とするほうが無理が出やすいはずです。

> 元々、両者の境界はあいまいなのですが、ハンバーグの方が料理としては単純だと考えたので、知名度や普及のさせやすさ、それに生産性の高さ(大量供給が可能な点)なども考慮して、ハンバーグを持ち出しました。

例えば、固まり肉を焼き上げて切り分けて供するローストビーフと、固まり肉を切り分けてから焼くステーキは同じ料理か、みたいな話です。ミートローフのローフを軽んじるべきではありません。似ているけれど違うという基本を外さず、境界は曖昧という、部分的な事実を全体に拡張すべきではありません。

繰り返しですが、スレ主さんが「どっちでもいいんだ」「似たようなものだ」と思うのは自由です。が、読者に一読して理解してもらうにはどうするか、という問題です。

> 言い方は悪いですが、余りに完璧な出来のハンバーグは求めていないんですよね。とりあえず、ハンバーグだと認識出来れば、それで良しとするレベルにしています。

これは、作者としてそうしたい、ということだと思います。それを読者に伝えるにはテクニックを要します。最も簡単なテクニックは「読者の引き出し」準拠です。言い換えれば、読者が普通のハンバーグと思うものを作中のハンバーグにするのが無難です。

> もっとレベルの低い例を挙げると、ハンバーガーのパティ程度の出来です(もちろん、大きさは違います)。

それが第2次大戦後に再輸入されたハンバーグの原形です。進駐軍が持ち込んだハンバーガのパティは牛挽肉のみを使っていました。最初は明治時代で、やはり牛挽肉のみです(ただし外側に小麦粉を着けて焼き上げることが多かった)。

それが日本で食べるハンバーグになっていったわけです。それも2度もです。明治時代の最初のものは、肉団子調理との混交が起きていきました。戦後のは値段の割に量を増やす目的で混ぜ物を入れることが多くなりました(合いびき肉使用も価格的な理由)。

そのため、日本で食べるハンバーグステーキは日本独自といってもいいような状況になっています。その日本独自のハンバーグを、日本の読者に一読して認識してもらわねばなりません。

> ただ、現代と同じレベルの要求はしていないです。とりあえず、ひき肉をこねて形を整えて焼いたものを、ハンバーグの基準としています(若干の味付けなどは行いますけどね)。

もう一度申します。それが原形です。今では「手抜き」等の説明抜きにはハンバーグだと思う人は、事実上、いないわけです。「手抜き」と反対の「高級」という表現も散見されます。価格的には挽肉だけのほうが高いからです。
(ただし、牛肉よりずっと安かった魚肉で作る既成品ハンバーグなどには、つなぎなしの名残が今でも見られる。異世界料理でも材料次第では混乱を生じない描写も可能ではあるでしょう。)

もちろん、挽肉だけをこねて主人公が「これでもハンバーグだ」と言えば済むことかもしれません。しかし事情を知る人ほどおかしいと思う恐れもあります。うっかり、ミートローフと同じようなもの、と書いたら混乱する読者も出るでしょう。作れず食べるだけの読者も疑問に思う人は少なくないはずです。食べるためには、普通は見ますから。

たとえ作中に書かなくても、作者としては登場させる料理の正確な理解に努めるべきです。作者が満足するためではなく、読者に楽しんでもらうために書くわけですから。

こうまで書くと、「なぜそんなに拘る?」「どうして、そこまでくどい?」とお思いかもしれません。自分語りになりますが、自分は高校時代途中から食事の用意をしなくてはならなくなりました。

当然、レシピ本は見ますし、料理の出来る人に質問したりもします。それで今まで来た経験を踏まえますと、自分のどの段階(高校以前も含む)でも、ハンバーグ料理についてスレ主さんの仰ることが、とても奇妙に思えます。もし自分がスレ主さんのようなことを言っていれば、(一応は料理ができる)誰とも話が通じなかったのは間違いありません。

それなら読者に通じなくなるんではないか、という点がとても心配であるわけです。よく調べて、よくお考えになって、できれば自ら試してみたほうがいいと思います。が、それでもスレ主さんの今のお考えで進めるということでしたら、これ以上申し上げることはありません。

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