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タイトル:ヒロインや女性キャラの動かし方の返信 投稿者: 手塚満

この掲示板でも類した質問があったりするわけですが。

> 『女性の目線と考え方』を彼の中に落とし込めればいいのでしょうか?

これが支障になってるんでしょうね。こういう考え方に陥っているのも類例質問にありました。個性的であるべき作中のキャラを「女性」で十把一からげにしてしまう弊害です。現実でも「あなたは女性だ。女性はこう考え、こう言うべきものだ。然るにあなたはそうしていない」とか言い出したら、大問題引き起こしかねないでしょう。

大分類から個別を規定するのは悪手なんですよ。仮に平均的、代表的な「女性」を想定しても集団的なものに留まり、個々人については無意味です。個々人を考えるなら、個々人を見ないといけません。フィクションのキャラでも同じです。

1.キャラを抽象化すべきではない

人間を男女に分類するのはいいでしょう(とりあえずマイノリティといったことは置いておいて可)。が、例えばスレ主さんが男性だとして「男性の目線と考え方」を身に着けていると言えますか?

その「男性の目線と考え方」で、自分の創作の男性キャラが頭の中で動いてくれますか? もし、お出来になるとしたら既に天才、ないしは熟練者です。その要領で女性キャラも動かせます。ご友人も同様です。

が、普通はそんなことない。動かそうとするのが男性キャラだとして、「リアルのどこにもいない、ある作品の中だけにいる、たった1人のキャラ」ですよね。そのキャラを「男性」という記号に埋没させたら、動かそうにも動かせませんよ? ましてや「動いてくれる」には決して到達しません。

2.キャラは「この世にたった1人」の個性を持つから動かせる

物語を進めるとして、「この男性キャラなら、この場合にはこうするだろうか?」「この男性キャラなら、あの女性キャラにこう言うだろうか?」等々と悩んで、ストーリーを進めたり、ドラマを発生させたりします。「あの男性キャラならこうはしないかもしれないが、この男性キャラならやりかねない」とか思いつつ、想像を巡らせるわけですね。

もし「男性なら、この場合にはこうするだろうか?」「男性なら、女性にこう言うだろうか?」等々だとどうでしょうか。どうキャラを動かしていいか、分からなくなります。行動を起こす源泉たる個性が消えるからです。さらに「男性なら、この場合にはこうべきか?」「男性なら、女性にこう言うべきか?」みたいに迷妄が深まってしまいもする。特定の、たった1人のキャラなのに、そのキャラの属性のごく一部に過ぎない情報に、キャラの命である個性が埋没してしまうわけです。

3.個性において、性別は下位の属性でしかない

ですので、「この女性キャラならどうするか?」で「女性」に注目してはいけないわけです。むしろ「女性」を無視して考える。「女性」でキャラの性格特徴設定はできません。キャラ設定は、例えば「怒りっぽい」としてみたりするわけですよね。それですら具体性を欠いてキャラを動かしにくいので「額が広いと言われたら激怒する」とか、もっとピンポイントな特徴に仕上げていきます。そうなった原因エピソードも想定したりする。

そうするとキャラが動かせる(こういうときに、このキャラはこうすると想像できるようになる)。動かしているうちに、キャラ自身が動くような感覚を覚えることもあります(いわゆる「キャラが走る」)。そうできるのも「世界広しといえども、この作品だけの、たった1人のキャラ」だから。「性別」「世代」「職業」等々の属性、肩書をキャラ本来の個性の前面に出してしまっては、決してキャラは動きません。

3.たくさん読んで、たくさん書けばいい

しかし、無手勝流で想像してキャラを動かせるかといって、やはり難しいということはあります。小説書きのコツはよく言われる1つにして基本中の基本が「たくさん読んで、たくさん書く」です。インプットは書くために必要です(現実の経験からではないことが大事かも)。アウトプットは読者からのフィードバックを得るために必要です(このまま進むか、修正かけるか等)。

4.何かが分からないとしても問題ではない

ご心配事は、分かる人には分かるんだけど(もしかしたら8割がたの人)、ご友人には分からないシーンがある、ということでしょうか。別にそれでいいんじゃないでしょうか。それが現時点での作者の個性の一部です。スレ主さんには分かるけど、ご友人には分からないとして、取り立てて言うほどのことではありません。

そんなこと、たくさんあるはずですから。ある人には分かるけど、別の人には分からないなんて普通にあります。無難な例を考えてみると、「納豆大好き、匂いかいだだけで食欲がわく」という人もいれば、「目の前で納豆食う人がいただけで食欲がうせる、あの臭いは吐き気がする」という人もいます。どっちかが正しいなんてことはない。

このシーンのこのキャラの気持ちがよく分かる、という人もいれば、このキャラってバカなのではないか、と思う人もいて、少しもおかしくありません。しかし幸いなことに、ご友人はスレ主さんが説明してみると、手間はかかったものの、納得できたわけですよね。

5.自分が実感できずとも、可能性を感じ取れるなら充分

おそらく「そういう気持ちになる人もいるのか」くらいでしょうか。現実の気分としては持てないけれど、可能性は分かるといったところでしょう。それこそ、創作の大事なポイントです。可能性を理解できるなら充分です。可能性が理解できるなら、キャラの動かし方として普通にして基本である「このキャラなら、こういうときこうする/こうはしない」を考えるのが可能になってきます。

納豆の例えで続けると、基本的には臭いんです。発酵食品はおおむねそういうところがある。が、消化がよく、発酵によって発生したいい成分もあったりするわけですね。すると、食ってから何時間か後の体調はよくなる。そういう経験で納豆が好きになっていきます。しかし、納豆の成分が他で充分に摂取できているなら、納豆の恩恵は感じず、嫌な臭いしか分からない。納豆の好き嫌い一つとっても、個々人の習慣~生活史が影響しているわけです。言い換えると、生きていくための個性です。

6.これは分かる、あれは分からない、も作者の大事な個性

シーンが分かる/分からない(さらに、好き/嫌い、等々)とて同じです。その人の今までの経験に裏打ちされた感覚です。そこを否定したら、その人を否定し、能力を損なうことにもなりかねません。

分かろうとしても分からないなら、それでいいのです。それでも気になって、分かる人の説明を聞く気を起こしたら、もう充分です。さらに説明を聞いて分かる部分も出たら幸運です。でも、幸運はいつもは起こるわけではないから、幸運であるわけです。

7.(結論再掲)各キャラ個人の個性が大事、属性は参考程度

ですので、キャラが女性だからとか、とりあえず忘れたらいいです。代わりに「このキャラだから」にしてはどうでしょうか。そうするために(とりあえず)必要なことは、もうご友人は持っているでしょう。ピンポイントに「このシーンが分からないようでは」とかで『矯正』にかかるべきではありません。作中のキャラの個性を形作るのは、作者の個性だといってもいい。「たくさん読む」が為されている限り、作者の個性を損ないかねないことは避けるべきです。

なお、作者本人の性格とか実生活の経験とか、どうでもいいことです。読者に見せるのは作品ですんで。

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