タイトル:自分の文章がいつも痛々しく見えてしまう。自己陶酔におちいらないようにするにはどうすればよいか。の返信 投稿者: 手塚満
お示しの文章を、一文ごとに改行し、番号を振って、話の流れがどうなっているか考えてみます。
――――――――――――――――――――
01:恋人らしいふれあいを、もう一週間もしていない。
→(おそらくは)主人公(たぶんA)の状況、かつ現時点での最大の悩み、不満。
02:Aがそれに気が付いたのは家族で食卓を囲んでいたときだった。
→01に気が付くヒントが食事の団らんにあったとの示唆。
03:隣で二個上の兄は生姜焼きをおかずに白米をかきこんでいた。
→兄の客観的な食事状況。読者が02から期待する情報はなし。
04:Bはきっちり三十回噛んでから飲み込んだ。
→Bの客観的な食事状況。読者が02から期待する情報はなし。
05:居間の冷房は26度だったが、食事中のせいかBの鼻筋には小さな汗の粒が浮き始めていた。
→Bに対する詳細観察。詳しいし、室温と汗が相反しているかららには何かあると読者は期待する。
06:Aは無意識にBの食事における繰り返しを食い入るように見つめていた。
→主人公AがBの様子を注視。05での期待は深まる。
07:Bはまず、幾分深めの小皿に盛られたレタスを数枚重ねて箸で束ねた。
→主人公AはさらにBを観察するが、客観情報のみ。
――――――――――――――――――――
01でこのシーンでの主人公の問題が提示され、02で進捗が示唆されているにもかかわらず、03~07は他の登場人物の客観的な観察のみです。01~02の期待に応えるヒントがある感じではない。
つまり、気を持たせておいて話を進めないパターンですね。しかし、短い描写です。07のすぐ後くらいに、01~02に対する多少の答えが、03~07が実は手がかりだったとい形で提示されるなら、特に問題はないように感じます。
しかし、スレ主さんは「キモい」と感じてしまわれたわけですか。そうであれば、お示しの文章の後の展開に問題があるんじゃないかと思います。おそらく、01~02で発生する読者の期待に応える段取りが用意できてない、とかでしょうか。
あくまでも例えばですが、何か大事なことがありそうに書けたものの、何が大事かを示せないと作者的に感じたら、とても居心地が悪い感じがするはずです。極論すれば「読者に対する嘘、裏切り」ですから。
そういう状況は悪い意味で「ポエム」と呼ばれる文章が発生しやすくなります。語ることが分かってないから饒舌になってしまう現象です。極端になりますと、字数を埋めないとと焦るけど、具体的なことが思いつけず、無意味に近い文を連ねてしまう。それが「キモい」ということはあり得るでしょう。
とりあえず、01~02に対する答えを文章で示せるまで、書き進めてはどうかと思います。それでも「キモい」ということなら、その文章を拝読したうえで、何か申し上げられることもあるかもしれません。逆に、お示しの文章だけから「キモい」要因を探し出すのは、とても困難だと思います。
上記と別の要因があるとしたら、客観情報のみということがあるかもしれません。主人公の主観が描かれていない。主観を示唆する行動、言動もない。客観情報だけで生きたキャラを描くのは至難の業です。言い換えれば、お示しの文章だけからはですが、キャラが死んでいる印象が生じる可能性があります。
あくまでも、読者的には可能性です。この先まで知っている作者的には、読者より深く察するものがあり、キャラが生き生きしてなくて「キモい」と感じてしまう恐れもなくはないと思います。