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タイトル:念話で括弧を使うべきかの可否についての返信 投稿者: 手塚満

本末転倒と申しますか、疑問の持ち方が間違っているようです。簡潔に申せば「それは作者の狙い次第で決まること」です。以下、少し説明してみます。

少し具体的に考えてみます。例えば、主人公がテレパシーで話しかけられた経験がない、あるいは予想しておらず、普通に耳で声を聞いたような気がした、というシーンを描くとしたらどうでしょうか。

特別な記法を工夫したら変なことになります。かえって、描写の狙いを外し、効果を削いでしまいます。なにせ「普通に声が聞こえた」というのが狙いですから。この場合は、少なくとも最初は通常の会話同様、「」を使うべきでしょう。

その後、声ではなくテレパシーだと気が付いたとします。その主人公の気持ちを相手が読み取って、またテレパシーで念を送ってくるとしましょう。そうなると、通常の会話の「」ではなく、別の記法を工夫することになります。

内心の声を表すのによく使われるのは、例えば『』でしょうか。()を使うこともありますね。行頭に――を置く記法もあります。例えば以下の感じ。

『誰だ、頭の中に話しかけてるのか?』
(誰だ、頭の中に話しかけてるのか?)
 ――誰だ、頭の中に話しかけてるのか?

どれでもいいでしょう。ですが、さらに注意が必要です。例えば、相手に話しかけない内心の声の表現(独白)もどうするか決めておく必要があるからです。『』をテレパスとの会話に使うなら、純粋に内心の独白は()にするとか、ですね。

どういう記法にするか決めただけではいけません。それは作者の心づもりにしか過ぎず、読者に伝わらないと意味がありません。「」は口に出した声という暗黙の了解があると思っていいですが、『』や()等は違います。どういう台詞に使われるかは未定義です。必ず読者に「この記号はこういう意味、用法ですよ」と伝える必要があります。

例えば以下の感じでしょうか。一人称主人公が太郎(男性)、テレパスが花子(女性)だとします。

――――――――――――――――
「ねえ、君って太郎くんだよね? 初めまして、わたしは花子」
「だ、誰だ!」
 耳元で囁かれた声に、俺は驚いた。が、見回してもそんな間近には誰もいない。
「きょろきょろしないで。声を出さなくていいの。思っただけで聞こえるよ」
 まただ。俺は思った。
(俺はおかしくなったのか? ゆうべ徹夜したから――)
「そうじゃない。思いが直接届いてるの」
(え? もしかして、これって……テレパシーってやつ?)
『そういうこと! 察しがよくて助かるよ』
 ようやく分かった。確かに普通に聞こえる声とは少し違う。耳元というより、頭の中に響く感じだ。
『太郎くんの声も、思っただけで聞こえてるからね』
 そういうことならと、俺は黙って目を閉じ、思考に集中してみる。
『なるほど、ね。えっと花子さんだっけ、あんたは何者? 何がしたいんだ?』
――――――――――――――――

念のため補足しますと、思ったと独白を明示しておいて()、声がテレパシーと主人公が思ってから『』を使っています。()と『』を入れ替えても問題ないです。どちらかを行頭の――にしてもいい。

どうしてもいいわけですが、繰り返しになりますが、どうするかを読者に明示しておくことだけは必須です。これも繰り返しになりますが、通常の声を表す「」以外の記号は、台詞的に定まった用法がないからです。だから作者の狙い次第ということです。

かつ、読者が作者の台詞記法に慣れてくれるまで、しばらくは記法のさりげない説明とセットで描写する必要があります。一度説明したくらいでは覚えられないのが普通です。序盤では、くどさを避けつつ、声の種類別の記法を紹介するつもりで書いたほうがいいように思います。

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